裏表紙 個人蔵
(読み)
なし
(大意)
なし
(補足)
敵討ちを果たしたあとの余韻が少し残る、さざ波がたつ浜辺に二羽の鳥。別版のかちかち山では本文の挿絵に使われていたものを、裏表紙にしたようです。
荒れ狂う浪を表現するのが難しければ、さざ波のような静かなものも手強くおもいえます。さざ波は上から下へ、浜辺は下から上へと濃淡をつけています。波音が聞こえてきそうな静かな浜辺です。
裏表紙 個人蔵
(読み)
なし
(大意)
なし
(補足)
敵討ちを果たしたあとの余韻が少し残る、さざ波がたつ浜辺に二羽の鳥。別版のかちかち山では本文の挿絵に使われていたものを、裏表紙にしたようです。
荒れ狂う浪を表現するのが難しければ、さざ波のような静かなものも手強くおもいえます。さざ波は上から下へ、浜辺は下から上へと濃淡をつけています。波音が聞こえてきそうな静かな浜辺です。
P18P19 個人蔵
(読み)P19
and when it was sinking, the
rabbit brandished aloft his oar
and struck the badger dead,
thus avenging the
old man's wife.
(大意)
そして沈みつつあるとき、うさぎは自分の櫂を
高々と持ち上げて、たぬきを打ち殺しました。
このようにして、ジジイの妻の敵討ちは
はたされたのでした。
(補足)
絵全体の色調が地味な中、うさぎの袖裏生地の朱が目立ちます。右足は踏ん張り、親指が反り返っています。豆本にはうさぎのセリフが「ババアの敵、おもいしれっ」とあるのが多いですが、まさしくそのとおり舳先ギリギリにたって力いっぱいたぬきを打ち殺し、奥の岩場ではジジイが喝采しています。和船が今にも絵からとび出してきそう。
P18P19 個人蔵
(読み)P18
"I too will make a boat of clay,"
he said. So having made a clay
boat he rowed out to sea along
with the rabbit.Then the
badger's boat began to sink,
(大意)
「わたしも小舟を泥土で作ってみよう」とたぬきは言いました。
そうして泥舟ができあがり、たぬきはうさぎと一緒に沖へ漕ぎ出しました。
それからまもなく、たぬきの小舟は沈み始めました。
(補足)
海の浪の表現は北斎の神奈川沖裏の浮世絵がまずうかびますが、この絵の浪はそれとはことなっていて、こちらもまたうまいものだとおもいます。荒れ狂うほどではなくかといって、さざ波でもない。
たぬきの泥舟の周りは少々荒れていますが、うさぎの小舟のまわりはいくらかゆったりとした浪になっています。
P16P17 個人蔵
(読み)P17
"what are you going to do with
this boat?" The rabbit replied,"I
intend to catch fish,"thus deceiving.
The badger felt envious,but was
dull in that kind of work.
(大意)
「この船を作ってなにをするんですか」
うさぎは「魚を捕まえるつもりなんです」とこのように
欺いて答えました。たぬきはうらやましく感じましたが
船造りのような仕事は退屈でありました。
(補足)
ちりめん本では平紙を加工して縮緬状にしてしまうので、細かい部分が見にくくなってしまいます。うさぎの道具が置いてある部分を拡大すると、鑿(のみ)や鉋(かんな)、そして墨つぼがあります。うさぎが手にしているのは和船づくりに必需品の「鍔鑿(つばのみ)」といわれるものでしょうか。和釘を打ち込むための穴をあけるための道具です。
うさぎの着物の袖からのぞく裏生地の赤は必ず描いてます。
P16P17 個人蔵
(読み)P16
ack all raw and sore.That must
be a good medicine, he thought,
when he heard of it. So he got
some applied to his back.But
there in no language to tell how
he smarted when the red-pepper
sticking plaster was applied to his
sore skin. He just rolled over and
over and howled long and bitterly.
Now after about twenty days the
badger's sore was healed.The
rabbit was then making a boat,
and the badger seeing it asked
(大意)
(その頃、たぬきは)背中じゅうがひりひりと痛みがひどく
(何もできずに横たわっているところでした。)
うさぎはその知らせを聞いたとき、これは良い薬が必要だと考えました。
そうして、たぬきの背中に塗ってあげました。でも、赤唐辛子入りのねり薬を
たぬきのやけどで痛む背中に塗ってあげたとき、どれくらいひどくヒリヒリしたかを
言い表すことはとてもできないほどのものでした。たぬきはまったく七転八倒の苦しみ、
長いこと辛そうに叫んでいました。
さておよそ二十日後のこと,たぬきの傷は治りました。そしてうさぎは小舟を作りはじめました。
たぬきはそれを見て尋ねました。
(補足)
たぬきの襟からのぞく胸毛がかわいらしい、裾からはみ出している尻尾もお茶目であります。
その背後には海を描くのは砂浜ばかりとおもいきや、磯のごつごつした岩のようです。船を下ろすときに傷がつくのではと心配。
かちかち山のあらすじを知っていても、英訳を再び日本語訳にするにはなかなか大変であります。
ふぅ〜。
P14P15 個人蔵
(読み)
P14
again asked, what is that?" The
rabbit replied, "That is Bo-BO
Mouutain." By this time the fire
had spread to the badger's back
and burnt it badly. Crying out in
pain, he rolled over and shock off
his load and ran away out of sight.
The rabbit next mixed some
sauce and red-pepper and made
sticking plaster, put on a hat and
set out to sell it as a cure for
blisters and burns.The badger
was then lying helpless with his
*Crackle Mountain, or Mountain of Defeat
P15
(大意)
ふたたび「何の音か」と聞きました。「ボォーボォー山の
音だ」とうさぎは応えました。このときには火はたぬきの
背中に燃え広がってしまっていて、ひどいありさまでした。
痛みに泣き叫び、たぬきはころがりまわり、干し草をかなぐり捨てて
逃げ去りました。
その後、うさぎは何種類かの原料と赤唐辛子をこねて
棒状のねり薬を作りました。そして帽子をかぶり水ぶくれとやけどの
治療薬として売りに出かけました。
その頃、たぬきは(背中じゅうがひりひりと痛みがひどく)
何もできずに横たわっているところでした。
*パチパチ山、または敵討ちの山。
(補足)
うさぎの頭には「put on a hat」とあるように、編笠をかぶっています。手作りの膏薬を背負い、旗には「やけどかうやく」とあります。うさぎの着物の裏地は前の頁からずっと朱(赤)でしたが、これは赤唐辛子と同じ色なのでした。
部屋の土壁がちりめん本の効果で、本物の漆喰壁のザラザラ感があります。その壁にかかっている着替えの着物の垂れ下がる感じのだしかたががうまいなぁ〜と感心します。
腹ばいになっているたぬき、ほんとに痛くてくたばっています。
P12P13 個人蔵
(読み)
p12
The badger alarmed at the noise
asked, "what is that?" The rabbit
replied; "That is Kachi-Kachi
Mountain." Soon the fire began to
kindle and spread in the dried-
grass.The badeer,
*Click Click Mountain, or the Mountain of Victory.
P13
hearing this
(大意)
たぬきはその音を不審におもい、「その音は何の音か」と
尋ねると、うさぎは「これはかちかち山だ」と答えました。
ほどなく、火は燃え上がり始め干し草に燃え広がりました。
たぬきはこれをきいて、
*カチッカチッと音のする山、または勝利の山。
(補足)
うさぎが手にしているのは、P1の挿絵にあった火付け道具です。左手に細長い板状のものを持ち、右手の火打ち石でカチカチとこすりぶつけます。
たぬきは背負っている干し草を振り返りながら、歩くさまはどことなく腰が引けて不安そう。
P10P11 個人蔵
(読み)P11
badger on before,while he took
out his flint and struck out a
spark,and set the bundle on fire.
(大意)
たぬきを送り出す前に、うさぎは火打ち石を取り出し
火花を散らし火をつけているうちに
干し草の束に火がつきました。
(補足)
この頁の文字がうすいのは経年変化ではなく最初から印刷が甘かったためだとおもわれます。
うさぎやたぬきの着物衣装が本物の生地のように感じられるのは、(越前)和紙をちりめん加工してあることもあるでしょうが、摺師の色ののせやバレン加減で微妙な濃淡をつけていることもあるのでしょう。
ちりめん本は手にすると、着物生地のようにしんなりとする手触り感もあって、二人の会話までもが聞こえてきそうです。
P10P11 個人蔵
(読み)P10
"Give me about a handful of those
beans." This was what the rab-
bit was expecting. So he said;
"I will if you will carry a bundle
of dry-grass for me over to yon
mountain." "I will do as you
say without fail," replied the bad-
ger, "only first give me the beans."
He begged importunately, but the
rabbit said; "Yes, after you have
carried the load of dry grass."
He then put on his back a great
pile of dried-grass and sent the
(大意)
「その豆をひとつかみほど下さい」。うさぎが
期待していたとおりのことになりました。ですので
「わたしのかわりにあの山の向こうへ干し草の束を
はこんでくれたら、そうしてやってもいいぞ」と言うと
たぬきは「あなたの言う通り、ちゃんとできますとも」とこたえ、
「最初にちょっとだけ豆を下さい」としつこく懇願するので
うさぎは「えぇ、あのたくさんの干し草をあなたが運びおえたならばね」
と言いました。それから、うさぎは山なりの干し草をたぬきに背負わせ、
たぬきを送り出す(前に)
(補足)
「yon」は誤植かと調べてみると初めてみる単語でしたが⦅古⦆あちら[あそこ]の物[人]とありました。
豆や干し草の束をいろいろな表現で表しています。a handful of、a bundle
of、the load of、a great pile of.
たぬきとうさぎの立ち姿がすぅっとしてかっこいい。
P8P9 個人蔵
(読み)P9
the old man crying,
he came and tried
to comfort him,and
said he would him-
self avenge tho death of the old
woman. "First, " he said, parch
me some beans." And the old
man parched them.The rab-
bit put the parched beans in a
pouch and said, "Now to the
mountain agnin;" and away he
went.The badger was attracted
by the smell, and came and said;
(大意)
ジジイの泣き声(を聞きつけ)、
うさぎはやってきてジジイを慰めようとしました。そうしながら
うさぎはわたしがババアのかたきをとってあげようと言いました。
まず、豆を炒ってくれないかといい、ジジイはそのようにしました。
うさぎは炒った豆を袋に入れ、これからまた山へ行ってくると
出かけていきました。たぬきは炒った豆の匂いに引き寄せられ、
近寄ってきて言いました。
(補足)
たぬきの振り返りながら逃げ去る様子があわただしい。
今までの豆本のかちかち山では豆を炒るところはありませんでした。この部分は訳者の創作なのかどうかはわかりませんが、このあとでやけどをしたたぬきに味噌を塗る場面が出てきます。味噌の原料は大豆ですから、そこからもしかしたら思いついたのかもしれません。
英文はきっと古風な雰囲気を感じさせる文章なのでしょうが、わたしにその雰囲気がわからないのは残念であります。
P8P9 個人蔵
(読み)P8
derisively it escaped out of doors
and disappeared. The old man
threw down his chop-sticks and
cried long and bitterly.Now in
the same mountain there lived an
old rabbit.Hearing the voice of
(大意)
悪態をつき(嘲笑しながら)屋外に
逃げ去ってしまいました。ジジイは
箸を放り投げ、長いことひどく泣きました。
さて同じ山には年とったうさぎが住んでおりました。
ジジイの泣き声を聞きつけ、
(補足)
長谷川武次郎のちりめん本Japanese Fairy Tale Series、かちかち山は同じ訳者でも異なった版があり、また訳者を変えての版違いもあります。どの版も噺の内容は同じですが、文章の版組や木版画の挿絵も細かいところで異なっています。
このジェームス夫人の版では話の内容にあるとおり、爺さんが箸を投げ出し茶碗がひっくり返って中身が飛び散っている様や取り乱し悲しみ溢れる涙を手ぬぐいで拭っている様子が描かれています。ついさっきまで箱膳にごちそうがととのえられていて幸せだったそのときとの対比が残酷さと悲しさをより一層表現しているようにおもわれます。うさぎは爺さんを慰めつつ、逃げ去るたぬきを見返しています。
この挿絵の背景は、かすかに濃淡をつけた薄青緑色(畳の葦草(いぐさ)の薄い色)になっています。なんと手のこんだことをするのかと感心してしまいます。
P6P7 個人蔵
(読み)
P6
Then he assumed her
shape and sat waiting,
when the old man re-
turned from the field.
When he was about to
P7
partake of the soup, the badger
assumed his original form,and
cried out,"You wife-cuting old
man you! Did not you see the
bones under the floor!' Laughing
(大意)
そののち、たぬきはババアに姿を変え
ジジイが山から帰ってくるまで待っていました。
ジジイがまさにたぬき汁を食べようとしたそのとき
たぬきは元の姿に戻り叫びました。
「ババア、食ったジジイだ、やい。
床の下の骨を見てみるがいい」
(悪態をつき)笑いながら
(補足)
爺さん婆さんの衣装は地味ながらも細かい柄を丁寧に描いています。
婆さんの髪の毛の流れるような線は拡大してみるとよくわかりますし、尻尾のフサフサ感も見事です。爺さんの眉毛やひげなども、これは拡大してみなくともわかります。
膝脇の煙管道具一式もひとつひとつちゃんと判別できて色もかえているという丁寧さ。当時の木版職人たちはこれくらいのことは朝飯前のなんでもないことだったのかもしれません。
P4P5 個人蔵
(読み)
sad plight she untied the cord
and let it down.Then right
away the badger sprang at the
old woman and killed her, and
made her into soup.
(大意)
ババアは縄をといて、下におろしてやるやいなや
たぬきはババアに向かってとびかかり
殺してしまいました。そして
ババアを汁に入れました。
(補足)
見開きの絵を隅々までひとつひとつのものを拡大したりして見ているのですけど、それにしても絵師・彫師・摺師とすばらしい仕事ぶりであります。
P4の背景の濃淡をつけた淡青色、庭の草や花がかもしだしている日常さ、竹垣の結び目も丁寧に描いています。
P5のやや灰色がかった土壁も本物のようです。壁にある2つの篩(ふるい)の網目の細かいこと。その他にもまだまだあげればきりがありませんが(奥の囲炉裏には鍋がぶら下がっています)、とにかく丁寧で微に入り細に入り妥協知らずの木版画の挿絵とはおもえないほどの出来栄えにため息がでてしまいます。そして美しい。
前回その4でたぬきがぶら下げられているのを家の軒下(rafter(屋根を支える垂木))としましたが、この絵で見ると梁もしくは鴨居でした。
P2P3 個人蔵
(読み)
man angry and at last he took the
badger alive, carried it home with
him, and hung it to a rafter by
the feet.Then he said to his
wife, "Let us have this badger for
soup.Have it well cooked and
wait till l come back." Then he
went again to the field. His wife
was pounding barley in a mortar
and singing. In distress the bad-
ger said, "If you will only spare
my life I will pound the barley
for you." As it was indeed in a
(大意)
じじいは激怒し、とうとうじじいはたぬきを
生け捕りにして家に持ち帰り、家の軒下に
吊り下げました。それからジジイは
「このたぬきを汁にしておいてくれ。おいしく
料理してわしが帰るまで待っていてくれ」と
ババアに言いました。それからふたたびジジイは
畑へ戻りました。ババアは歌いながら臼で麦を
つき続けました。
苦しみながらたぬきは言いました。
「もしわたしを助けてくれたのならば、
あなたのかわりにわたしが麦をついてさしあげましょう」
とても苦しんでいたようにみえたので、
(補足)
爺さんの右脚元には弁当箱や煙管一式があり、くわえ煙管で一服しています。
婆さんは運んできた弁当とお茶の土瓶を手にしています。
木の枝に竹竿をかけ藁を干し、その後ろからたぬきがのぞいています。
たぬきの表情は拡大してみると鋭い目つきでこちらをにらんでいます。
全体に落ち着いた色合いの中、椿でしょうか、この花の赤だけが明るい色であります。
P1 個人蔵
(読み)
KACHI-KACHI MOUNTAIN
ONCE upon a time there was
an old farmer who cultivated
a field in the mountains. One day
his old wife came and brought
him his dinner, but a badger stole
and eat it.
This made the old
(大意)
かちかち山
昔むかし、山で畑を耕している
老農夫(じじい)がおりました。ある日
彼の老妻(ばばあ)が食事を持って
やってきたのですが、
たぬきがそれを盗んで
食べてしまいました。
じじいは激怒し
(補足)
大意はなくても良いような気がしましたが、まぁついでということで記しておきます。
この挿絵は火打道具のようです。左の木片に火打金があって右の青いのが火打ち石でしょうか。それと藁のようにみえる草に火をつけるのでしょう。
badgerはアナグマとあります。日本のたぬきが訳者の国にはいなかったので似たような動物を選んだのでしょうけど、たぬきは鍋になりそうですがアナグマはどうなのでしょう。
eatだけが現在形になっているのが気になります。他の動詞はすべて過去形です。
見返し 個人蔵
(読み)
著作權登錄不許複製
ALL RIGHTS RESERVED
日本昔噺第五號
かち\/やま
明治十八年八月十七日 印刷
仝 十九年九月廿九日 発行
譯者 ヂヱームズ夫人
發行者 東京下谷上根岸町十七番地
長谷川武次郎
印刷者 仝 京橋竹川町一番地
柴田喜一
Published by T.HASEGAWA,17 Kami Negishi,Tokyo.
(大意)
略
(補足)
訳者ヂヱームズ夫人とあるのはJames, Mrs. T. H.です。この訳者のかちかち山をデジタル公開されているちりめん本のなかに見つけることができず、もしかしたら偽物かとも疑いました。
しかしworldcatでコツコツ追跡すると「国際日本文化研究センター図書館」に「Kachi-kachi mountain[譯者 ヂエームス夫人]. -- T. Hasegawa, 明治19 [1886]. -- (Japanese fairy tale series ; no. 5).」が所蔵されているのがわかりました。本の題名だけですが同一の書籍と見てよさそうです。
余白の白紙の部分をみるとよくわかりますが、縦横斜めにしわしわが入っているのがわかります。着物などの縮緬ににているのでちりめん本といわれています。シワはシボともいいますが、和紙平紙に木版摺りしたものをこのように加工するのでもとの大きさの8割くらいの大きさになってしまうそうです。絵に立体感や細かな陰影や奥行きがでて、味わい深いものになっています。
うさぎとたぬきが板の上にのっています。ひっぱるとカタカタと音がするようなおもちゃでしょうか。臼のような茶碗のような人の顔がかかれたものがありますけど、これはなんでしょう。おもちゃの道具かもしれません。きれいな色合いです。
この絵本では見返しに奥付に書かれるような内容のものがいっしょになっています。
表紙 個人蔵
(読み)
Japanese Fairy Tale Series No.5.
KACHI-KACHI
MOUNTAIN
勝々山
日本昔噺第五号
やけど
かう屋く
(大意)
略
(補足)
これまで「かちかち山」は何人かの編集者のものをいくつかアップしてきました。似たようなものではあきてしまうので、ちょっとかわった絵本を取り上げます。
ちりめん本といわれるものでネットで調べるとたくさんヒットします。またたくさんの大学や研究所・博物館の図書館などでデジタル公開されてもいますので、一冊ずつ中身を読むことも可能です。
このちりめん本日本昔噺第五号勝々山はわたしが最近手に入れました。大和綴じの部分も中身もそれほど傷んでいませんでした。
このうさぎとたぬきの二者の構図は研究寄稿などでも取り上げられていてロイテマン画『兎と針鼠の競争』(ベルリン国立図書館(Staatsbibliothek-berlin)所蔵)をみた絵師が模倣したものと言われています。
なるほどそうかもしれませんが、二者の視線が斜めに交わるような構図は豆本の表紙のほとんどにみられますし、浮世絵などでも定番の構図です。絵師がロイテマンの絵をみて心を動かされたのは、絵師のこころ深くにこの日本の伝統的といっても良い構図が埋め込まれていたためであろうとおもうのであります。
明るい色はとうがらしが二本交差している幟だけであとはほとんど地味な色でまとめています。偉そうにして、たぬきを見下している雰囲気が体中からあふれています。
旗の「やけど」はすぐに読めましたが、次が恥ずかしながら何度も拡大したりして少々、いやもっと、悩みました。うさぎの左耳のところにうすく「く」があるのに気づいて、「かう屋く」とわかった次第。とうがらしがあるので「う」を「ら」に読み間違えたりもしそうです。