P8P9 個人蔵
(読み)P8
derisively it escaped out of doors
and disappeared. The old man
threw down his chop-sticks and
cried long and bitterly.Now in
the same mountain there lived an
old rabbit.Hearing the voice of
(大意)
悪態をつき(嘲笑しながら)屋外に
逃げ去ってしまいました。ジジイは
箸を放り投げ、長いことひどく泣きました。
さて同じ山には年とったうさぎが住んでおりました。
ジジイの泣き声を聞きつけ、
(補足)
長谷川武次郎のちりめん本Japanese Fairy Tale Series、かちかち山は同じ訳者でも異なった版があり、また訳者を変えての版違いもあります。どの版も噺の内容は同じですが、文章の版組や木版画の挿絵も細かいところで異なっています。
このジェームス夫人の版では話の内容にあるとおり、爺さんが箸を投げ出し茶碗がひっくり返って中身が飛び散っている様や取り乱し悲しみ溢れる涙を手ぬぐいで拭っている様子が描かれています。ついさっきまで箱膳にごちそうがととのえられていて幸せだったそのときとの対比が残酷さと悲しさをより一層表現しているようにおもわれます。うさぎは爺さんを慰めつつ、逃げ去るたぬきを見返しています。
この挿絵の背景は、かすかに濃淡をつけた薄青緑色(畳の葦草(いぐさ)の薄い色)になっています。なんと手のこんだことをするのかと感心してしまいます。
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