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2021年2月28日日曜日

豆本 金太郎一代記 その15

奥付

奥付竹内版

(読み)

御届明治十八年六月一日

編輯

画工兼出板人

東京日本橋區 定價壹銭五厘

馬喰町二町目七番地

佐藤新太郎


御届明治十三年十二月十日 價壹銭五厘

画工 竹内栄久

本所區亀沢町壱丁目廿一番地

出版人 宮田幸助

(大意)

(補足)

 面白いことに佐藤新太郎版は本文の方は画がつぶれたり文字がかすれたりでしたが奥付に関しては竹内版より明瞭にみえます。ここだけはあらたに摺ったものだからでしょうか。

 値段はともに1銭5厘で同じです。明治初期の5年の差は物価の変動がそれなりに激しいのではと考えるのですが、もうけなどわずかなものだったはずです。

裏表紙

裏表紙竹内版

特に特徴はありません。

 

2021年2月27日土曜日

豆本 金太郎一代記 その14

P12

P12竹内版

(読み)

志るところ

しるところ


奈り

なり


めで●

めで


●多し

 たし


\/\/

めでたしめでたし


\/\/

めでたしめでたし


(大意)

しるところと

なりました。

めでたしめでたし


(補足)

 金太郎生みの親山姥が雲上で金太郎を褒め称え寿ぐ舞をしているところでしょう。

 佐藤新太郎版では最後の頁はやや力を込めたようで、着物柄や色に原画にない工夫をこらしています。

 竹内版では扇の赤が背景と重なってしまったのは残念、山姥はあっさりした色の取り合わせが美しい。雲の濃淡も工夫したのでしょうか。また左手の指が袖からちらりとのぞいていますが、これは袖を握っている仕草を細かく描いたものです。凝ってますね。

 

2021年2月26日金曜日

豆本 金太郎一代記 その13

P11

P10P11竹内版見開き

(読み)

そ連

それ


より

より


志よ\/

しょしょ


のいくさ

のいくさ


尓てぐん

にてぐん


こうを

こうを


あらハし

あらわし


その本まれ

そのほまれ


志よ尓んの

しょにんの


(大意)

それから

数々の戦で軍功を揚げ

その誉れは多くの人(諸人)の


(補足)

「そ連」は変体仮名「連」(れ)、「その本まれ」の「れ」は平仮名or変体仮名「礼」のようにもみえます。

 竹内版に比べると全体の色使いや衣裳の柄を凝ったりして引き立てています。しかし元絵と見比べると・・・うーん残念。

 

2021年2月25日木曜日

豆本 金太郎一代記 その12

P10

P10P11竹内版見開き

(読み)

をミ

をみ


い多し

いだし


可んしん

かんしん


奈しつれ

なしつれ


可へるきん

かえるきん


多らうの

たろうの


奈さ可多

なさかた


のきん

のきん


と起と

ときと


あら

あら


多め

ため


(大意)

(怪童丸)を見い出し

気に入って連れ帰りました。

金太郎の名は

坂田の金時とあらため


(補足)

「可んしん」、辞書では「感信」「感心」がありましたがどちらでも意味は通じます。

「つれ」、「れ」には見えませんが、これは変体仮名「礼」でしょうか。

 ふたつの画を比べてみると、佐藤新太郎版の絵の潰れ方がひどく、よくもまぁ販売したなという気になります。店で手にした人は買わないんじゃないかな。竹内版のほうは申し分なし。

 

2021年2月24日水曜日

豆本 金太郎一代記 その11

P9

P8P9竹内版見開き

(読み)

たち

たち


まち

まち


とつて

とって


おさへ

おさえ


さるのこを

さるのこを


とり

とり


可へし

かえし


その

その


まゝ

まま


尓可゛

にが


しやり

しやり


けり

けり


こゝ尓

ここに


ミ奈もと

みなもと


のよりミつこう

のよりみつこう


このところへ

このところへ


き多りくハひ

きたりか い


とうまる

どうまる


(大意)

たちまち、捕まえて押さえつけ

猿の子を取り返し

そのまま逃してやりました。

ここに源頼光公が

このところへやって来ました。

怪童丸

(補足)

竹内版の文章を頼ります。

平仮名「た」が出てくる頻度が多くなりました。

「ミ奈もと」、「もと」だけがこの形で出てきたら「のく」と読んでしまいそうですが、前後のつながりがあるので類推できます。

 金太郎はまずは雷から太鼓を取り上げ、雷の力を大きくそぎました。そして雷の背中をどうだまいったかと押さえつけ降参させています。

 猿や太鼓の右側ふたつと輪っかなどは色忘れでしょう。クルクル巻いた雷雲とカクカク直線で稲妻を表現しています。稲妻がなかなかのデザインで上手ですね。佐藤新太郎版ではあまり威力を感じませんが竹内版では赤が偶然ずれたのか意識的にそうしたのかは不明ですけど、立体的に見えておもしろい。こんな稲妻は見たことがありません。

 

2021年2月23日火曜日

豆本 金太郎一代記 その10

P8

P8P9竹内版見開き

(読み)

尓らミたち

にらみたち


春り者やく

すりはやく


\/と

はやくと



▲やま

 やま


ざれや

ざれや


とよ者゛ハ

とよば わ


れバこの

ればこの


とき

とき


らい下

らいした


尓おち

におち


(大意)

(空を)にらみ

立ち上がって

はやくはやく、

山から去れと叫びました。

まさにそのとき

雷(かみなり)が下に

落ち、


(補足)

 どうも文章の情景がはっきりしないのですが、獣たちが空でゴロゴロやっている鬼を恐れているので、金太郎はすっと背を伸ばして立ち空をにらみ、はやく立ち去れと空の鬼にむかって叫んだところ、鬼が怖じ気ついたのか、雷(かみなりor鬼)が落ちてきた、というようなことでしょうか。

 佐藤新太郎版の文章はかすれて判読が難しいので竹内版を頼ります。こちらは大変に明瞭です。

「尓らミ」の「ミ」が赤の色に重なってよくわかりませんが、あるように見えます。

「たち春り」(たちすり)は背を伸ばすような仕草でしょうか。

「者やく\/と」しましたが、どうも納得してません。また合印●と▲がありますがもう一方はどこにあるのかわかりません。

「らい下」は「下」が「T」になってますが、まぁこれで意味は通じます。


 

2021年2月22日月曜日

豆本 金太郎一代記 その9

P7

P6P7見開き竹内版

(読み)

たち

たち


まち

まち


らいの

らいの


とゞろき

とどろき


けんぞくの

けんぞくの


さるく満とも

さるくまども


をちおそ連

おちおそれ


る由へきん多らうハそらを

るゆえきんたろうはそらを


(大意)

たちまち雷(かみなり)がとどろき

従者の猿や熊どもは落雷を恐れるので

金太郎は空を


(補足)

竹内版P6P7見開きも並べましたが、P7の背景は次頁P8の摺りの都合のためか色がおかしくなっています。P7とP8は四丁で摺りとしては同じ用紙になりそれを折ってます。

 見開きにして頁をまたいでいた大蛇の口が金太郎に裂けんばかりにされているのがわかります。

バンザイしている熊の頭or顔がなんか変・・・・

 

2021年2月21日日曜日

豆本 金太郎一代記 その8

P6

P6竹内版

(読み)

てん尓ハ

てんにわ


可尓くもり

かにくもり


あめしや

あめしゃ


志゛くを

じ くを


奈可春可゛

ながすが


ごとく

ごとく


ふりい多゛し

ふりいだ し


(大意)

天にわかに曇り

雨が車軸を流すがごとく

降り始めました。


(補足)

 竹内版と並べてみると、佐藤版はピンぼけの写真をみているよう。金太郎の髪の毛は河童のようですけど竹内版では一本一本くっきり。背中の部分もはっきりしませんが、金太郎はまさかりを背中にしょっている様子がわかります。また金太郎の左足が何かグジャグジャしたものを押さえつけているようですが、これは大蛇の下顎の歯のところを足で踏んづけているのでした。

 文章に読みにくいところはありません。

 

2021年2月20日土曜日

豆本 金太郎一代記 その7

P5

P4P5見開き竹内版

(読み)

このきのうら尓

このきのうらに


おゝき奈るうハ者゛ミ

おおきなるうわば み


さるのこをとりて

さるのこをとりて


くら王んとくちを

くらわんとくちを


あきしたを

あきしたを


のそミつる由へ

のそみつるゆへ


きん多ろうハ

きんたろうは


者やくこ連を

はやくこれを


ミまつを多をし▲

みまつをたおし


▲うハ者゛ミの

 うはば みの


くち尓

くちに


てを可け

てをかけ


ひ起さ起

ひきさき


けり

けり


(大意)

この木の後ろに大きな大蛇(うわばみ)が

猿の子をつかまえて食おうと口を開け

舌をのぞかせていたので

金太郎はこれを見て素早く松を倒し

大蛇の口に手をかけて引き裂きました。


(補足)

この頁も文章が読みづらいので、竹内版を参考にします。

平仮名「た」と変体仮名「多」のようにいくつかの文字が混在していますが、

「尓」(に)と「ミ」(み)はゆらぎません。

佐藤版の兎の表情がいまひとつ、脚もどことなくか細く頼りない。竹内版のほうが凛々しくってこれぞお供という感じです。佐藤版ではまさかりや背景の山々もボケてしまっています。


 

2021年2月19日金曜日

豆本 金太郎一代記 その6

P4

P4P5見開き竹内版

(読み)

ゆき

ゆき


よう

よう


く王い

か い


へん

へん



を加り

をかり


多゛しや満

だ しやま


のう連ひを

のうれいを


のぞく

のぞく


あるひきん

あるひきん


志゛やう尓

じ ょうに


まつの多い本くあり

まつのたいぼくあり


(大意)

(山の上に)行き、妖怪変化を狩り出し

山の不安を取り除きました。

ある日、近くに

松の大木がありました。


(補足)

 文章がかすれているところが多いので、竹内栄久版も見ましょう。

「ようく王いへんげ」は妖怪変化でしょうけど、最後の方の「きん志゛やう尓」は近所にと読むのかどうか不安です。近場もありますけどこの読みは「ちかば」でしょう。

 金太郎はまさかりの柄を馬に見立てまたがって遊んでいるようです。画全体が暗いですね。

金太郎の表情が竹内版では朗らか柔和ですが、佐藤版ではなんか楽しくなさそう・・・

お供の熊の表情も同じです。

 

2021年2月18日木曜日

豆本 金太郎一代記 その5

P3

P2P3見開き

(読み)

あ可ごをうめり

あかごをうめり


奈をかいどう

なをかいどう


まると

まると


いふ

いう


ち加ら

ちから


あくまてつよく

あくまでつよく


つね尓志ゝく満

つねにししくま


さるうさ起゛

さるうさぎ


のたぐいを

のたぐいを


あつめ春もふを

あつめすもうを


とりあそび

とりあそび


ま多ハや満のうへ尓

またはやまのうえに


(大意)

赤ん坊を生みました。

名を怪童丸といいました。

力はどこまでも強く

いつも猪・熊・猿・兎などを集めては

相撲をして遊んでいました。

または山の上に


(補足)

 この頁はかすれもなく普通に読むことができます。

「あ可ご」は変体仮名「可」、「かいどうまる」は平仮名「か」、「ち加ら」は変体仮名「加」。

「ま」も「た」も平仮名と変体仮名が混在しています。

竹内栄久版P2P3見開き

こちらのほうが線にキレがあることがよくわかります。

また土俵上の兎の右足脇に4つの点があります。佐藤新太郎版でも同じ位置にあり、どうやら絵を写し取ったのではなく、版木をそのまま版権と一緒に譲り受けたのかもしれません。


 

2021年2月17日水曜日

豆本 金太郎一代記 その4

P2

(読み)

阿る

ある



由め

ゆめ


尓あ可き里うと

にあかきりゅうと


ちぎる

ちぎる


こと由め

ことゆめ


ミてつい

みてつい


尓ミごも

にみごも


るつき

るつき


ミちて

みちて


ひとりの

ひとりの


(大意)

ある日夢に赤い竜と契る夢を見て

とうとう身ごもりました。

月が満ちてひとりの


(補足)

竹内栄久版ものせます。

出だし「阿るひ」としましたが「之」(し)でしょうか、わかりません。

「里うと」は「と」が「を」にも見えます。

「ことゆめ」、合字の「こと」としましたがこれも?。

文字の彫りについてですが、下部の金太郎の股下に3つの点があります。ふたつの頁を比べるとこの点の位置が全く同位置にあり、版木が同じものではないかと想像させます。


 

2021年2月16日火曜日

豆本 金太郎一代記 その3

P1

(読み)

こゝ尓

ここに


王ら

わら


ゑり

えり


阿し

あし


から

がら


や満の

やまの


をく尓

おくに


ひとり

ひとり


のや満うバ

のやまうば


あり

あり


(大意)

ここに微笑んでいる

足柄山の奥に

ひとりの

山姥がおりました。


(補足)

 彫りも摺りもだいぶくたびれていて鮮明さにかけます。この豆本は明治十八年六月一日が御届になっています。豆本は同じ題名で異なる画工が出版していますから、国立国会図書館デジタルアーカイブで「金太郎一代記」を検索してみました。いくつかありましたが、驚くことにほぼ同じものを見つけました。これです。

 こちらは「御届明治十三年十二月十日 画工竹内栄久 出版人宮田幸助」ですので、佐藤新太郎のものより約5年はやく出版されています。比較すると、色や絵柄は変えていますが、構図はほぼ重なるくらいに同一で文章はまったくおなじです。竹内版をもとに薄い和紙を重ねて写しとったものでしょう。江戸時代の出版業界では編集人が版権を売って草双紙などを引き続き発行し続けることはよく行われていたようですから、この豆本も佐藤新太郎が出版人宮田幸助から版権を購入して出版したとしか考えられません。また佐藤新太郎はこの豆本を出版したとき(明治十八年六月一日)に同時に約10冊も出版しているのです。すでに出版されている豆本の版権を購入して出版するのならば同時に10冊近くもの出版をすることも可能だったかもしれません。佐藤新太郎としては復刻の気持ちが強かったのでしょうか、たった約5年後とはいえ、このときにはもう腕の良い画工・彫師・摺師がみつけられなかったのか、ふたつの豆本の質の差は歴然です。


変体仮名「王」(わ)は「已」のような形。

「ゑ」は変体仮名「志」(し)にそっくりです。

「阿しからや満」、「か」と「や」がにています。

竹内版の山姥の横座りの佇まいの品の良いこと、そして妖しさがなんとも・・・

後ろの黒雲にのる赤き龍は・・・

 

2021年2月15日月曜日

豆本 金太郎一代記 その2

見返し

(読み)

金太郎

きん多らう

いちだ以幾

明治十九年十二月十四日内務省交付1928

東京図書館印 TOKIO LIBRARY

(大意)

(補足)

「郎」の旁「良」が广(まだれ)のようになり、中に阝が入るような形になっています。

「だ」は平仮名、変体仮名「以」(い)、「き」は変体仮名「幾」でしょうけど、平仮名の「き」がその形の中にみてとれます。

なんとなく老練さを感じさせます。鉞(まさかり)の使い込んであるような様子が少し暗い全体になじんでいます。

 

2021年2月14日日曜日

豆本 金太郎一代記 その1

表紙

(読み)

金太郎

きん多らう


一代記

いちだいき


(大意)

(補足)

「多らう」は変体仮名、「いちだいき」では平仮名。

山姥が風車で金太郎をあやし、金太郎は奴凧のような格好。表紙は普通、書店で目を引くために丁寧に描かれるものですが、これは荒い。画工・彫師・摺師の腕がいまひとつ以下です。