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2022年8月22日月曜日

花咲ぢヾい(木村文三郎) その16

P12後半 国立国会図書館蔵

P12拡大

(読み)

王るきことハせぬもの奈り

わるきことはせぬものなり


こどもし 由ハせ うぢ起ぢゞい

こどもしゅうはしょうじきじじい


のま年を奈さいましといひ

のまねをなさいましといい


まし多めで多し\/  \/  \/

ましためでたしめでたしめでたしめでたし


(大意)

悪いことはしないことです。

子どもたちは正直爺さんの

まねをするのですよと

言いました。

めでたしめでたし

めでたしめでたし


(補足)

「王るきこと」、変体仮名「王」(わ)は「已」のようなかたちで、変体仮名を学ばないと読めない字のひとつです。ただかたちが特徴的なので一度おぼえてしまうとまず読み間違えません。「こと」は合字。

「せぬもの奈りこどもし由ハ」、かたちの異なる「も」が使われています。どちらを使うかは使われる熟語か文章の流れかそれとも気分次第。「し由」は悩みますが「衆」と気がつけばなるほどと。

同じように使われるおきまりの言い回しは「おこさまたちは」というのがあります。

 褒美はよく三方(さんぼう、さんぽう、三宝)にのせてあたえられますが、ここのものはその特大版です。

 「定價三銭」は木印に朱肉をつけてペタンと押した感じがします。


2022年7月20日水曜日

婦゛んぶく茶釜(木村文三郎) その19

裏表紙 国立国会図書館蔵

(読み)

なし

(大意)

なし

(補足)

 浴衣生地の柄にしてもよさそうです。鼓の腹に見えるのは茶釜を上から見たものでしょうか。綱に見えるのは舞台で人気だった綱渡りのもの?背景は野原ですけど、分類シートの下側に椅子の脚みたいのがみえて気になります。

 

2022年7月19日火曜日

婦゛んぶく茶釜(木村文三郎) その18

奥付 国立国会図書館蔵

(読み)

明治十五年七月十一日御届

東京日本橋区馬喰町二丁目一番地

編輯兼出版人 木村文三郎


(大意)

(補足)

 前回「祢づミの嫁入(木村文三郎)」では広告文の「算法新書」をとりあげました。今回もどれかをとおもったのですが、他3つの広告文が読めそうで読めません。しかし勉強のためはじめのひとつに挑戦。

刑法片カナ付き廿五銭

治罪法    三十銭

同字引     十銭

此書ハ先般中御頒布ニ相成候刑法治罪法へ解安きやう両可゛奈を以て?訓

せし書奈れ者゛初学者ニもすみや可尓讀る珠書奈り

なかなか難しい。

 

2022年7月18日月曜日

婦゛んぶく茶釜(木村文三郎) その17

P12後半 国立国会図書館蔵

P12文章拡大

(読み)

个いの人 ゝ ま春\/くん

けいのひとびとますますくん


じ由奈せしと可やいま

じゅなせしとかやいま


のよまでもおこさ満可゛多

のよまでもおこさまが た


のおとぎ者゛奈し尓つ

のおとぎば なしにつ


多へのこ連りめで多し\/  \/

たえのこれりめでたしめでたしめでたし


定價三銭


(大意)

(参)詣の人々はますます

集まり賑わったとのこと。

今の世までもお子様方の

おとぎ話に伝え残って

めでたいことでありました。


(補足)

「くんじ由」、P9の4行目にも出てきました。群集。

「おこさ満可゛多の」、豆本や草双紙によく出てくるわたしのお気に入りの言い回し。

 

2022年7月17日日曜日

婦゛んぶく茶釜(木村文三郎) その16

P12前半 国立国会図書館蔵

P12拡大

(読み)

とり多てぶんぶく大

とりたてぶんぶくだい


め うじんとあ可゛め多れ

みょうじんとあが めたれ


者゛志よ尓んきゝおよび

ば しょにんききおよび


ふくろくえんめいをいの

ふくろくえんめいをいの


り个る尓その里やく

りけるにそのりやく


いち志゛るし个れバさん

いちじ るしければさん


(大意)

(祠を)建て、ぶんぶく大明神

と崇めました。人々はそれを聞き及び

福禄延命を祈願すると

その御利益は著しく参(詣)


(補足)

 ぶんぶく大明神が座す金とん雲のようなものの尻尾は空の奥、天上へと吸い込まれています。

右脇には鳥居がありその先には茅葺きの建物が、これが祠(ほこら)でしょうか。

 

2022年7月16日土曜日

婦゛んぶく茶釜(木村文三郎) その15

 

P10後半 国立国会図書館蔵

P10文章拡大

P11

(読み)

可゛満をへんのうい多しま

が まをへんのういたしま


春可らおてらのぢう

すからおてらのじゅう


もつ尓奈しく多゛されと金 百

もつになしくだ されときんひゃく


りやうをそへて本うのう

りょうをそえてほうのう


し多りぢ うぢもきいの

したりじゅうじもきいの


おもひを奈し本こらを□

おもいをなしほこらを


(大意)

(茶)釜を返納いたします

からお寺の重物にしてください」と

金百両をそえて奉納

しました。住待もありがたいことと

感謝し祠(ほこら)を


(補足)

「ぢうぢもきいのおもひを奈し」、「きい」を調べると奇偉奇異忌諱紀伊貴威貴意などがありました。さてここの文脈からどれだろうと・・・。

 P11もこれまた描けるところはすべて精緻に細かく刻んでいます。執念!襖絵は鶴でしょうか。庭の石筒のようなもののそばにある植物は万年青(おもと)?住持の衣装と座布団の立派なこと、大僧正であります。


2022年7月15日金曜日

婦゛んぶく茶釜(木村文三郎) その14

P10前半 国立国会図書館蔵

P10文章拡大

P11

(読み)

多て者゛やしも里んじ尓

たてば やしもりんじに


い多りおせ う尓多いめん

いたりおしょうにたいめん


奈しこれまでの事 をくハ

なしこれまでのことをくわ


しく可多り王多くしもあん

しくかたりわたくしもあん


多いのミのうへとあい奈り

たいのみのうえとあいなり


あり可゛多起由へこのちや

ありがたきゆえこのちゃがま


(大意)

館林茂林寺に

でかけ、和尚に面会

しました。これまでのことをくわ

しく語り、「わたくしも安泰

の身の上とあいなり、ありがたいことです。

ですので、この茶(釜を)


(補足)

「多て者゛やし」「あり可゛多起由へ」、変体仮名「由」(ゆ)は右回りにクルッとまわってそのまま中に縦棒となりますが、それがグニャリとまがります。「や」も筆順は同じですが曲がりません。

「あい奈りあり可゛多起」、「あ」は「お」の点がないかたちです。

 古かね買いの主人は衣装も佇まいもすっかり富貴の身の上。

お寺のお庭もきれいです。

 

2022年7月14日木曜日

婦゛んぶく茶釜(木村文三郎) その13

P9後半 国立国会図書館蔵

P9文章拡大

(読み)

うち尓ふる可年ハ大 可゛年まふ

うちにふるかねはおおが ねもう


けを奈しふうきの身のうへ

けをなしふうきのみのうえ


と奈り多りこ連ハまつ多くぶん

となりたりこれはまったくぶん


ぶくちや可゛満のお可げ奈りとて△

ぶくちゃが まのおかげなりとて


(大意)

うちに古かね買いは大儲けを

して、財産を持ち身分の高い身の上と

なりました。これはすべて

ぶんぶく茶釜のおかげであるので


(補足)

 浅草の奥山に小屋をかけたとありますが

どうやら野外のようで、中央に大きな木があり

背景は野山にたくさんの屋根が見えます

 文章は読みやすい。

 

2022年7月13日水曜日

婦゛んぶく茶釜(木村文三郎) その12

P9前半 国立国会図書館蔵

P9文章拡大

(読み)

个゛んぶんぶくちや可゛満のげいづく

げ んぶんぶくちゃが まのげいづく


しといふ可ん者゛んを可け多連バ

しというかんば んをかけたれば


大 ひやう者゛んと奈りあさ可ら

だいひょうば んとなりあさから


个んぶつくんじ 由奈し春こしの

けんぶつくんじ ゅなしすこしの


(大意)

(「新狂)言ぶんぶく茶釜の芸づくし」

という看板をかけたところ

大評判となり朝から

見物のため人が集まり、わずかの


(補足)

 ぶんぶく茶釜の綱渡り。和傘と扇はおきまりの道具。掛け声と鳴り物の音が聞こえてきそうです。

筒くぐりの編み目の描き方がもう一息でした。

「くんじ由」、「群衆・群集」の読みに「くんじゅorぐんじゅ」というのがあるのが知りませんでした。お恥ずかしい。

 

2022年7月12日火曜日

婦゛んぶく茶釜(木村文三郎) その11

P8 国立国会図書館蔵

P8文章拡大

(読み)

%そのよくじつふる可年可ひハ

 そのよくじつふるかねかいは


おもひついてあさくきのおく山 へ

おもいついてあさくさのおくやまへ


大 き奈こやを可け可の可満を

おおきなこやをかけかのかまを


ミせもの尓い多゛し志んきやう

みせものにいだ ししんきょう


(大意)

その翌日、古かね買いは

おもいついて浅草の奥山へ

大きな小屋をかけ、例の釜を

見世物に出しました。「新狂言


(補足)

 こんな小屋がかかったら、見てみたいもの。

大繁盛だったでしょうね。

舞台手前、画面の右下にあるコの字の物はなんでしょうか。気になります。

 

2022年7月11日月曜日

婦゛んぶく茶釜(木村文三郎) その10

P6 国立国会図書館蔵

P7後半

P7文章拡大

(読み)

いでゝミれバふしぎやもとのごと

いでてみればふしぎやもとのごと


く奈り多りこれハよ尓めづらしき

くなりたりこれはよにめずらしき


ぶんぶくちや可゛満とて奈りもの

ぶんぶくちゃが まとてなりもの


尓つれおどりを奈し志よ个゛いを

につれおどりをなししょげ いを


春ること多けざハとうじも奈可

することたけざわとうじもなか


\/可奈王ぬくらゐ奈りさて%

なかかなわぬくらいなりさて


(大意)

てみると、不思議なことにもとのように

なっていました。これは世に珍しい

ぶんぶく茶釜ではと、鳴り物

にあわせて踊りをし諸芸を

すること竹沢藤治(幕末の曲独楽師)もなか

なかかなわぬくらいのものだという。さて


(補足)

「もとのごとく」「志よ个゛いを春ること」、「ごと」「こと」は合字。

「くらゐ」、この部分なかなか読めませんでした。このようなときは読みすすめたり戻ったりして文脈の流れをつかみます。また似たようなかたちの部分を探します。そうしたら見つけました。3行目「まくらもと」の「くら」が同じ形です。「ゐ」はよめてましたから「くらゐ」と判明。意味も通じます。よし!

 ぶんぶく茶釜が何か訴えるような優しい表情なのが印象的。

 

2022年7月10日日曜日

婦゛んぶく茶釜(木村文三郎) その9


P6 国立国会図書館蔵

P7前半

P7文章拡大

(読み)

▲大 もうけを奈しう満いさけでも

 おおもうけをなしうまいさけでも


の満んとそのよハい年多りよ

のまんとそのよはいねたりよ


奈可尓まくらもと尓て奈尓可

なかにまくらもとにてなにか


さハ可゛し个れバめをさ満しこ連

さわが しければめをさましこれ


をミる尓个 ふおてら尓て可ひ多る

をみるにきょうおてらにてかいたる


可満へてあし可゛者へて多ぬきと

かまへてあしが はえてたぬきと


奈つ多る奈りきもをつぶしお起

なつたるなりきもをつぶしおき


(大意)

大儲けをしてうまい酒でも

飲もうとその夜は床につきました。

夜中に枕元で何か

騒がしくて目を覚まして

確かめてみると、今日お寺で買った

釜に手足がはえてたぬきと

なっていました。肝をつぶし起きて


(補足)

 文章はやや読みづらいところもありますが文脈から判断がつきます。

古かね買い屋さんのあわてようは滑稽ですが、当時ほんとうにこんなふうに夫婦で寝ていたのでしょうか。う〜ん・・・

 枕屏風の柄がなんとも幾何学的現代的、よくこんな意匠をおもいつくものです。

 箱枕が気になり、拡大してみました。頭(or首)をのせる部分に数枚の(多分)紙が束ねてあるのに気がつきました。ふたつともそうなっています。鬢付け油で汚れてしまうので、汚れたら一枚ずつ抜き取って使うようです。はじめて知りました。

 

2022年7月9日土曜日

婦゛んぶく茶釜(木村文三郎) その8

P4前半 国立国会図書館蔵

P4文章拡大

P5

(読み)

可ひ尓ミせ个連バ十 せん尓可ハん

かいにみせければじっせんにかはん


といへ者゛うり者らひ多りふる可年

といえば うりはらいたりふるかね


可ひハこ連を可ひとり王可゛やへもち

かいはこれをかいとりわが やへもち


可へりあし多ハどこへ可うりつけて▲

かえりあしたはどこへかうりつけて


(大意)

(古かね)買いに見せると十銭で買う

と云うので売り払いました。古かね

買いはこれを買取我が家へ持ち

帰り、明日はどこかへ売りつけて


(補足)

変体仮名「可」(か)と「う」はそっくりなので文脈から読むのが一番です。文末の「どこへ可うりつけて」の「可う」もなやましい。

 P5はこれまた精緻に刻まれています。細かく何度も同じような模様を繰り返し刻むのが快感なのではと感じます。板の間は同じような調子を繰り返していますが、奥の竹垣は節の位置を変化させています。さらに縁側の腰壁の板は下部の白い部分の模様をすべて変えています。住職の着物柄もこれまた凝ってます。

 

2022年7月8日金曜日

婦゛んぶく茶釜(木村文三郎) その7

P4前半 国立国会図書館蔵

P4文章拡大

P5

(読み)

◯そのゆふ可゛多ふる可年可ひき多れバ

 そのゆうが たふるかねかいきたれば


可つて春こし尓てもぜ尓ゝ奈さんとて

かってすこしにてもぜにになさんとて


可の者この奈可をこ王\゛/尓あら

かのはこのなかをこわご わにあら


多めミる尓ちや可゛満ハもとのごとく奈

ためみるにちゃが まはもとのごとくな


連バ奈尓くハん可本尓てふる可年

ればなにくわんかおにてふるかね


(大意)

その夕方、古かね買いが来たので

以前少しでも銭にしようとしたことがあったため

れいの箱の中をこわごわあら

ためてみると、茶釜はもとのまま

だったので何くわぬ顔で古かね(買いに)


(補足)

「ごとく」、「ごと」は合字。二文字を一文字に合体しています。

全体に文字は読みやすいです。

 豆本に出てくる(漆喰or土)壁はたいていひび割れて地肌の竹の下地がのぞきます。そのほうが絵になるからでしょう。縁側や板壁の描き方も同じようで柾目で年輪の幅を変化させています。庭の井戸の作りも丁寧に描いています。古かね買いは膝に接ぎのある股引でおもりの分銅と棒の先に鈎がついた棒ばかりがいかにもそれらしい。

 この商売わたしが子どもの頃にも独特の掛け声を出しながらやってきていました。たまに鋳掛け屋もきて近所の空き地で鍋などなおしていました。

 

2022年7月7日木曜日

婦゛んぶく茶釜(木村文三郎) その6

P2 国立国会図書館蔵

P3後半

P3文章拡大

(読み)

おさへんと奈せどもとびめぐりて尓およバ

おさえんとなせどもとびめぐりてにおとば


ぬをやう\/多ゝきふせもとの者この奈可へ

ぬをようようたたきふせもとのはこのなかへ


おさめいづ連へ可すてさせんとせし可゛◯

おさめいずれへかすてさせんとせしが


(大意)

(取り)押さえようとしましたが飛び跳ね逃げ回り、手に負え

ませんでしたが、ようやく叩き伏せてもとの箱の中へ

おさめ、どこかへ捨てさせようとしました。しかし


(補足)

 大口をあけて悔しがるどころかバカ笑いしている小坊主、髪の毛を描けないはらいせか、すね毛腿のけ、股のはみ出し毛と悪ノリしている感じです。それも一本一本丁寧に。しかしたぬきの毛並みはそれ以上に細かく精緻に刻んで尻尾の先などのフサフサ感は描いた本人も満足していそう。

隅から隅まで見事であります。

 

2022年7月6日水曜日

婦゛んぶく茶釜(木村文三郎) その5

P2 国立国会図書館蔵

P3前半

P3文章拡大

(読み)

▲奈し多連バふしぎやちや

なしたればふしぎやちゃ


可゛満ハ多ちまち多ぬきとへんじ多りおせ うハ

が まはたちまちたぬきとへんじたりおしょうは


おどろ起志よけ多ちをよびてこれをとり

おどろきしょけたちをよびてこれをとり


(大意)

すると不思議なことに茶釜

はたちまちたぬきに化けてしまいました。

和尚は驚いて弟子の坊主たちをよび

これを取り(押さえようと)


(補足)

「ふしぎや」、短い「し」で読みとばしそう。

「多ちまち」、「ま」の一画目がかさなってます。

 P2P3も実に丁寧に描かれています。ドタバタの最中あやまって箒に突っ込まれた八っつぁんふうの御仁は、はちまきを落とし六尺棒もうっちゃっりのけぞって、両の手のひらと右足の指先の突っ張りまで見事であります。

 顔が左腕にかくれてしまっていますが、眉間と眉毛と目だけで「うわっ〜」感が表現してあってうまい。画面中央にもってきた箒は必ず目がいくところなので意識したのかこれまた丁寧。

 縁側の柾目板も上手。4本ずつ板を固定してある釘は竹釘かもしれません。背景の2本の木、手前の木は上の方に細かい葉をひとつひとつ描いています。うしろの松は扇状の松の葉一本一本をどれも手を抜くことなく刻んでいます。

 

2022年7月5日火曜日

婦゛んぶく茶釜(木村文三郎) その4

P1後半 国立国会図書館蔵

P1文章拡大

(読み)

そのころのぢ うぢ可゛いふ尓ハ可う

そのころのじゅうじが いうにはこう


しておくのハむえき奈りとてとり

しておくのはむえきなりとてとり


い多゛しゐろりへ可けてゆを王可さんと▲

いだ しいろりへかけてゆをわかさんと


(大意)

その頃の住持(僧侶)が言うには

こうしておくのはもったいないので取り

出して囲炉裏へかけて湯を沸かそうと


(補足)

変体仮名「可」(か)、ひらがな「ら」、「う」、たまに「ろ」はどれもにていますので文意から読むことが多いです。

変体仮名「由」(ゆ)は中の縦棒がグニャリと曲がるのが特徴です。

 P1の右の頁は見返しでちょっと陰鬱な雰囲気でした。それを意識したのかそれとも最初の頁でつかみが必要だったのか、この頁は力を入れているのがよくわかります。

住職は驚きつつもうれしそう。襟巻き、着物、帯、座布団のどれも柄を工夫し同じものがありません。

囲炉裏の茶釜、たぬきの毛並みと尻尾、囲炉裏の木の囲いと灰、これらもタッチを変えています。

右の障子の桟、板目の柄、縁側の柾目も幅を変えています。

庭木のどこを見ても同じような刻み方はせず、すべて異なるタッチです。

見事というしかありません。

 

2022年7月4日月曜日

婦゛んぶく茶釜(木村文三郎) その3

P1前半 国立国会図書館蔵

P1文章拡大

(読み)

む可し\/ じやうし う多て者゛やし尓

むかしむかしじょうしゅうたてば やしに


も里んじといふてらありこゝ尓ふる

もりんじというてらありここにふる


きちや可゛満の志゛うもつありてつ年尓

きちゃが まのじゅうもつありてつねに


志まひおきてつ可ハざりし可゛ある日

しまいおきてつかわざりすが あるひ


(大意)

昔々上州館林に

茂林寺という寺がありました。ここに古い

茶釜で貴重なものがあり、つねに

しまわれていて使われていませんでした。ある日


(補足)

 硬筆のくずし字は毛筆のものと比べてかすれや上下のつながりがあまりないので、わたしのような初学者にとってはわかりやすくて学ぶ教材としてはありがたいものです。

「し」が出だしの「む可し」以外は縦棒のようになっていて、かたちが特徴的です。

「も」のかたちが二種類あります。二行目行頭の「も」は現在のものと同じようなかたちです。三行目中央「志゛うもつ」では、縦棒の最下部で「S」を下から上がってゆくようなかたちになってます。

「あ」は「お」の点がないようなかたち。

「ふるき」、変体仮名「留」(る)のかたちは「る」の下半分丸っこい部分だけです。

「ちや可゛満」、変体仮名「満」(ま)は「○」+「α」。

「つ年尓」、変体仮名「年」(ね)は古文書では「Q」のような「○」に「ヽ」ですけど、ここではそのくずれたかたち。

 

2022年7月3日日曜日

婦゛んぶく茶釜(木村文三郎) その2

見返し 国立国会図書館蔵

(読み)

なし

(大意)

なし

(補足)

 全体が沈んで暗く静寂さとはことなった雰囲気です。茶釜の炭も熾きていません。木の背景は池だとおもいますが、右端に色があるべきところと石灯籠は色があってはいけないのに、ミス。まぁ豆本では色ズレなどあたりまえにありますけど・・・ウ~ン、空も暗い。

 

2022年7月2日土曜日

婦゛んぶく茶釜(木村文三郎) その1

表紙 国立国会図書館蔵

(読み)

婦゛んぶく茶釜

     ちや可゛ま

ぶ んぶくちゃが ま


(大意)

(補足)

 前回と同じく銅版画豆本です。発色が悪いのは年月の経過によるものなのか保存状態なのかは不明です。色はともかく線は鋭く精緻に刻まれています。

「ねぇ、異人さん。これが家に伝わる茶釜よ。これたぬきなの。た、ぬ、き。ほら、ここにしっぽが、ねっ。うふふ。」

「ひぇ〜〜〜」

 背景に白い西洋館があります。窓や柵を拡大してみるとその格子はかなりいい加減です。なぜかホッとします。