2026年10月19日月曜日

手品獨稽古その1

表紙 同志社大学デジタルコレクション所蔵

見返し

(読み)

表紙

手品 獨    稽  古

てじ奈ひと(り)けい(こ)


見返し

手品 獨  稽 古

てじ奈ひとりげいこ


一 寿 斎 芳 晴 画

いちじゅさいよしはるが


(大意)

略

(補足)

 手品獨稽古の出版年は江戸時代後期幕末頃とされています。著者は楳亭漁父(梅亭漁夫)(ばいていぎょふ)、絵師は一寿斎芳晴(いちじゅさいよしはる)で、かれらの活躍した年代からの推測です。

 この本の翻刻や出版物はたくさんあって、わたしのこのBlogでは変体仮名の勉強のためですから、新しい視点での読み方はいっさいありませんので、ご承知おきください。

「稽古」の「禾」が偏になってなくて、「尤」と対になって上にいってしまっています。古文書を読んでいるとよくあることで、偏や旁など漢字の部品の位置は自由だったようです。

 表紙絵は四角い井桁の箱から鳥(鳩)を出しているところのようです。手品師の目線は眼の前の飛び立つ鳩を見つめています。おや⁉️もしかしたら鳩を出すのは当たり前すぎるから、出した鳩を元の箱に呼び戻して消そうとしているのかもしれません。

 見返しのにじませたような絵柄がなんかモヤモヤっとしていかにも手品っぽい。

ここの画がなにかわからなかったので、AIにきいてみました。少し長いですが全回答です。

『描かれているものは、日本の伝統的な手品(和妻・わづま)の演目である「如意独楽(にょいごま)」に使用される「如意棒(にょいぼう)」(または「独楽の道中(どうちゅう)」に使う棒・道具)です。

💡 描かれている道具と手品の背景

• 如意独楽(にょいごま)の棒:

中央の黄色い軸と黒い持ち手を持つ棒は、和妻でよく使われる道具です。この棒の上で、回転する大きな独楽(こま)を器用に滑らせたり、綱渡りのように渡らせたりするアクロバティックな伝統手品に使用されます。

• 房付きの紐(飾り紐):

棒の両端から伸びている房付きの長い紐は、独楽を巻き付けて回すための紐、あるいは演技を華やかに見せるための飾り紐(タッセル)です。

『手品独稽古』は、梅亭漁夫の序文や一寿斎芳晴(歌川芳春)の挿絵などで知られる、当時の大衆向けの手品ダネ明かし・解説本です。見返しにこのような「花形の演目道具」をあしらうことで、本を開いた読者に「これから面白い手品の数々が始まる」というワクワク感を与える意図があったと考えられます』。

 手品より驚きました‼️見事な回答です。

 

2026年10月18日日曜日

大日本物産圖會その119

P119 「福岡市博物館所蔵」

P119_1

(読み)

同 神樂 棧 尓て引 揚 図

どうかぐらさんにてひきあげず


数多(アマタ)の予宗(モリ)尓つきふせら

   あまた の   もり につきふせら


連痛手(イタテ)尓くるしミ吽(ウメ)く

れ   いたで にくるしみ  うめ く


声(コエ)さもあハれ尓きこへる

  こえ さもあわれにきこえる


加くて漁 夫ハ大綱(ツナ)を以 て

かくてぎょふはおお つな をもって


海底(カイテイ)尓くゝ里入りくじらの

   かいてい にくくりいりくじらの


胴(ドウ)尓綱 を可け神樂(カグラ)さん

  どう につなをかけ   かぐら さん


尓て磯辺(イソベ)尓引 あげ肉 を

にて   いそべ にひきあげにくを


剖(カ)き油  をとり尾ひれの間  の

  か きあぶらをとりおひれのあいだの


皮 と咽(ノド)の下 奈るお左とハ

かわと  のど のしたなるおさとは


もろ\/の細工(サイク)もの尓用 由俗(ソク)

もろもろの   さいく ものにもちゆ  ぞく


尓鯨  一 尾とれバ七 浦 賑(ニギハ)ふと

にくじらいちびとればななうら  にぎわ うと


宜(ムベ)奈る可那

  むべ なるかな

(大意)

略

(補足)

 赤付箋「可ぐら左゛ん」(かぐらざん)とあります。なんとも大仕掛けで頑丈そうな轆轤(ろくろ)です。

 11人での力仕事で交代要員は音頭取りで大変です。沖の漁師たちとも連携しなければなりませんから、ただの力仕事ではなく危険で困難な仕事です。鯨が最後の力を振り絞ってこの神樂棧を海に引きずり込むようなこともあったのだろうなぁ。

 神樂桟の枠のむこうに母娘が沖の鯨を眺めています。赤い半纏がきいてますね。

 今回で「大日本物産圖會」はおしまいです。全国各地の様々な物産など読み眺めながらの楽しく興味深い旅をしてきました。図会の画像の利用にあたっては博物館・図書館など諸公共施設蔵のもを使わせていただき心よりお礼を申し上げます。ありがとうございました。(了)


 

2026年10月17日土曜日

大日本物産圖會その118

P118 「福岡市博物館所蔵」

P118_1

(読み)

壱岐 國 鯨  漁  之圖

いきのくにくじらりょうのず


鯨(クジラ)ハ多 く西 海 道 尓漁  す先

  くじら はおおくさいかいどうにりょうすまず


山 上  尓櫓(ヤクラ)を立 鯨  の潮(ウジホ)を吹

さんじょうに  やぐら をたてくじらの  うしお をふく


を見麾(サイ)をふりて船 へ知ら

をみ  さい をふりてふねへしら


す是 尓応(オウ)じて鯨  舟 十  六 艘

すこれに  おう じてくじらふねじゅうろくそう


合 魚予宗(モリ)を数 十 本 そ奈へ我

あい    もり をすうじっぽんそなへわれ


さ起尓とこぎ出し一 のもり

さきにとこぎだしいちのもり


を突(ツキ)多る舟 ハの本゛りの外

を  つき たるふねはのぼ りのほか


尓吹 奈可゛しを立 るを例(レイ)と須

にふきなが しをたてるを  れい とす


鯨  疵(テ)を痛(オヒ)て動揺(トウヨウ)すること

くじら  て を  おい て   どうよう すること


うし本の沸(ワク)可如 く三 五里の

うじおの  わく がごとくさんごりの


間  狂(クル)ひ廻 りて又 原々(もと\/)の所

あいだ  くる いまわりてまた   もともと のところ


尓來(キ)て死するといへり

に  き てしするといえり

(大意)

略

(補足)

「壱岐国」、いき 【壱岐】① 旧国名の一。壱岐全島にあたる。② 長崎県北部,玄界灘にある島。

「西海道」、『さいかいどう ―だう 【西海道】律令制における七道の一。今の九州地方,すなわち筑前・筑後・豊前(ぶぜん)・豊後(ぶんご)・肥前・肥後・日向(ひゆうが)・大隅・薩摩の九国と壱岐・対馬の二島。また,そこを通る幹線道路をいう』。

「モリ」の「予」+「宗」の漢字はなさそうです。

「死」のくずし字を楷書にしたような、「ト」+「ク」+「ヒ」の形になっています。

 鯨について、古文書を読んでいて、一番印象に残っているのは司馬江漢の西遊日記です。鯨の画や漁の道具も多数あります。わたしのこのBlogにもアップ済です。

 青い切れ長の鯨の目、真上に拭き上げる潮吹き、でも目が釘付けになってしまうのは七重八重と荒れる浪々、その間を縫うように銛をかざす漁師たち、よく見てみると鯨に二本銛が刺さってました。

 

2026年10月16日金曜日

大日本物産圖會その117

P117 「船橋市西図書館所蔵」「画像の無断ダウンロード禁止」

P117_1

(読み)

肥前 伊万里陶 器造  図二

ひぜんいまりとうきづくりずに


凡  噐(ウツハ)を造(ツク)る尓形 押 円 噐の両

およそ  うつわ を  つく るにかたおしえんきのりょう


種 ありといへとも円 器を㐧 一 の

しゅありといえどもえんきをだいいちの


用 品 とす先 土中  尓三 尺  程 乃

ようひんとすまずどちゅうにさんじゃくほどの


穴 を堀り中 尓車  を仕可けて車  の真 中

あなをほりなかにくるまをしかけてくるまのまんなか


尓土 を置 車  ハ足 尓て廻 し両  手を

につちをおきくるまはあしにてまわしりょうてを


以 て上 の土 を押(オシ)棒(サ)け指 尓て心  の

もってうえのつちを  おし   さ げゆびにてこころの


侭 尓噐  を作 り陰干(カゲホシ)尓して素焼

ままにうつわをつくり   かげぼし にしてすやき


の釜 尓入 薪 を用 ゐて度量(ドリヤウ)を

のかまにいれまきをもちいて   どりょう を


さつし火をけしてそのまゝさ

さっしひをけしてそのままさ


し取 い多゛して水 尓てあらひ

しとりいだ してみずにてあらい


書 画を可きて本 釜 へ入 て焼 奈り

しょがをかきてほんがまへいれてやくなり

(大意)

略

(補足)

 右より赤付箋「スヤキ釜ノ図」、黄付箋「クスリヲ掛タルヲエ図」、赤付箋「ヌノニテミカク」、黄付箋「画ヲカク図」。

 詞書きで円器について3行目からはじまっている説明はこの画の中にはなくて、昨日の画の左側の二人の轆轤(ろくろ)作業になります。

「真中」、「真」のくずし字を「土」と読んでしまいました。まだまだ初心者です。

 この画の中に出てくる赤絵の絵付け作業以外のところ素焼きの噐は、すべて輪郭線が薄青の色で縁取られています。籠の中の器までみなそうなっています。素焼き独特の質感をあらわしたのでしょう。

 赤の絵付けは、明治赤とよばれているもので、それまでは赤は天然の紅花やベンガラで大変に高価でした。しかし万延年間(1860〜1861年)頃から国外よりアニリンという化学染料が輸入されはじめて、いっきに広まりました。それより約30年前にはこの画の広重一派の初代広重が愛用したプルシアンブルー(ベロ藍(輸入品の化学顔料))の透き通って鮮やかな青がありました。

 素焼きを運ぶ職人さんの半纏の背中の意匠がふたつあります。下側はよく出てくる広重の「ヒロ」で、その上の印は、わかりそうでわからないう〜ん🤔・・・なんでしょうか?

 

2026年10月15日木曜日

大日本物産圖會その116

P116 「船橋市西図書館所蔵」「画像の無断ダウンロード禁止」

P116_1

(読み)

肥前 伊万里陶 器造  図一

ひぜんいまりとうきづくりずいち


肥前  國 伊万里焼 ハ本 朝  ニ尤   上

ひぜんのくにいまりやきはほんちょうにもっともじょう


品 と須就中   大河内  三河内 より

ひんとすなかんずくおおかわちみかわちより


出る物 上  等 也 此 焼 物 尓用  る土 を

でるものじょうとうなりこのやきものにもちいるつちを


志ら土 と云 て泉  山 より出て其 性 甚  多゛

しらつちといいていずみやまよりでてそのせいはなはだ


堅し擧(ゲン)のふを以 て打 可き金 杵

かたし げん のうをもってうちかきかねきね


尓て是 をつ起末 粉 と奈して他 の土

にてこれをつきすえこなとなしてほかのつち


二三 種 合 せて溜 池 尓漂(ヒタ)しよく

にさんしゅあわせてためいけに  ひた しよく


和し多るを飯籬(イガキ)尓てこし外 の溜

わしたるを   いがき にてこしそとのため


池 尓うつしよく澄(スミ)て浮(ウキ)多るものを

いけにうつしよく  すみ て  うき たるものを


揚(アゲ)て素(ス)やきの釜 尓ぬりて乾(カハカ)し

  あげ て  す やきのかまにぬりて  かわか し


再  び清 水 尓調和(テウクワ)し粘和(コネ)て工 人

ふたたびせいすいに   ちょうわ し   こね てこうじん


尓与(アタ)ふ是 まで婦人 の所為(シワサ)也

に  あた うこれまでふじんの   しわざ なり

(大意)

略

(補足)

「肥前」、『佐賀県と壱岐(いき)・対馬を除く長崎県に当たる』。

付箋が3枚、右から「シラ土ヲ溜池ニ入ル」、「澄シタル土ヲ揚る図」、「土ヲコネル図」、「円噐ヲ拵ル図」。

「飯籬」は辞書にありませんでしたが「籬」はあって『まがき【籬】① 竹・柴などを粗く編んで作った垣。ませ。ませがき。② 遊郭で,見世(みせ)と入り口の落ち間とのあいだにある格子戸』。

 左端の轆轤(ろくろ)を使っている職人さん、ボタン付きのYシャツ姿、明治です。

奥の部屋では商談がすすんでいるよう。

 働く御婦人たち、鉢巻あり、泥棒かぶりあり、頬かむりありといろいろでおもしろい。

 

2026年10月14日水曜日

大日本物産圖會その115

P115 「船橋市西図書館所蔵」「画像の無断ダウンロード禁止」

P115_1

(読み)

筑 前  國 鮪  漁  之圖

ちくぜんのくにまぐろりょうのず


鮪(シビ)ハ當 國 宗像(ムナカタ)にて多 く

  しび はとうごく   むなかた にておおく


漁  す王鮪(ワウシビ)叔鮪(メクロ)鮥子(メンロ)等 の

りょうす   おうしび    めくろ    めんろ とうの


名あり秋 の彼岸(ヒガン)与り取

なありあきの   ひがん よりとり


始 め網 の目八 寸 計 里尓して

はじめあみのめはっすんばかりにして


二十 丁  余  なり底(ソコ)ありて形

にじっちょうあまりなり  そこ ありてかたち


箕(ミ)の如 し常 尓海底(カイテイ)尓沈(シツ)め置

  み のごとしつねに   かいてい に  しづ めおき


て䋄 の両  端(ハシ)を二艘(ソウ)の舩 尓結(ムス)ぶ

てあみのりょう  はし をに  そう のふねに  むす ぶ


また山頂(サンテ ウ)尓櫓(ヤクラ)を可満へて魚 の集  る

また   さんちょう に  やぐら をかまえてうおのあつまる


を伺  ひ麾(ザイ)をふりて指令(サシツ)を奈せ

をうかがい  さい をふりて   さしず をなせ


バ数艘(スソウ)の小船 飛 可゛如 く尓出て

ば   すそう のこぶねとぶが ごとくにでて


網 を曳 打 可ぎ尓て採(トリ)入る奈り

あみをひきうちかぎにて  とり いるなり

(大意)

略

(補足)

「米」+「又」の漢字はないので「叔」で代用。

「丁」、『ちょう ちやう【町】一町は約109.09メートル』。

 山なりの波の様子とその色合いの濃淡の変化が力強くきれい。紫と青緑の漁師の配置、全員腰蓑は同色の黄土色、考えてますね。中央に飛び上がった鮪一疋が主役です。

 山頂の櫓で采を振るところ、拡大してみると人の形をしていて彫師泣かでしょうか。沖には白い帆をいっぱいに張っている帆掛舟が二艘みえます。

 大漁❗️大漁‼️大漁❗️❗️❗️

 

2026年10月13日火曜日

大日本物産圖會その114

P114 「船橋市西図書館所蔵」「画像の無断ダウンロード禁止」

P114_1

(読み)

筑 前  國 博 多織 之圖

ちくぜんのくにはかたおりのず


博多織(ハカタオリ)ハ當 國 博 多尓て

    はかたおり はとうごくはかたにて


産 春故 尓此 名あり有名(イウメイ)の織

さんすゆえにこのなあり   ゆうめい のおり


物 尓して其 精良(ヨキ)奈ること海 内

ものにしてその   よき なることかいない


無双(ブソウ)奈り五色 及 ひ茶 鼠

   むそう なりごしきおよびちゃねずみ


替 り縞 独古(シマトツコ)等(トウ)種 々 織

かわりじま   しまどっこ   とい しゅしゅおり


出す堅(ダイ)剛久尓耐(ナガクモツ)一艶色(ツヤ)最(モツトモ)

だす  


美麗(ビレイ)なるを以 て多 く男

   びれい なるをもっておおくだん


女 の帯 尓縫(ヌヒ)製 し衆

じょのおびに  ぬい せいししゅう


人 こぞつて賞用(シヤウヨウ)す

じんこぞって   しょうよう す

(大意)

略

(補足)

「堅(ダイ)剛久尓耐(ナガクモツ)一いちに艶色(ツヤ)最(モツトモ)美麗(ビレイ)なる」が振り仮名も不明確で、意味は理解できますが、読みをなんとかしたいとおもい、AIに頼りました。「(漢文の訓読スタイルでは、「堅剛(けんごう)久(ひさ)しきに耐(た)え、一艶色(いちえんしょく)最(もっとも)も美麗(びれい)なり」となります)」との回答がなかなかの読みです。なんかスッキリです。振り仮名「ナガク」の上に「フ」or「ツ」とありますが、読みがつながりません。

 ガラス窓をとおして庭木がみえる板壁に囲まれた庭は桜も咲き出して早春のよう。囲いの上にはどろぼうよけの返しがついてます。縁側では子どもが大きな猫をじゃらして部屋のにぎやかさとはことなる世界。ふすまの引手はひょうたんでおしゃれ。豊かな商家の一室での楽しい博多織の帯えらびはいつまで続くことやら・・・帯の入れ物籠には「博多」「本場」とありまして、なんとか買ってもらおうと勧める商人の表情が切羽詰まった渋い顔です。