2026年11月1日日曜日

手品獨稽古その14

P9_1 同志社大学デジタルコレクション所蔵

(読み)

 ◯火(ひ)婦き多゛るま能傳

    ひ ふきだ るまのでん


かやの可王共(とも)尓志ん尓て外(そと)をバ

かやのかわ  とも にしんにて  そと をば


お可゛くず尓てよくねり可多めくち尓

おが くずにてよくねりかためくちに


すこしあ奈をあけ志りをやけバ

すこしあなをあけしりをやけば


けふりを吹(ふく)その先(さ起)へ火をともすべし

くむりを  ふく その  さき へひをともすべし

(大意)

 ○火吹達磨の方法

茅の皮と共に芯を入れその外側を

おがくずでよく練り固め、口に

少し穴を開けて、尻を焼けば

煙を吹く。その先へ火をともすとよい。

(補足)

 何度も読んだのですが、どうもこの仕掛けがよく理解できません。頭がすっかり固くなってしまったジジイ、両手でもみしだきます。そうしたらハッと、まさかとはおもいましたが、煙管に仕掛けがあるのではなく、だるま自体が仕掛けなのだろうと、それしかありえぬ、と気づきました。

 こういうことでしょうか。だるまを練り固めたおがくずでこしらえて、口に少し穴をあけ、だるまの尻を焼くと、穴から煙がでてくるので、そこへ煙管をさしてその先っちょへ火をつける。うん、これならなんとなく手品らしい。だるまそっくりを作るのだと思います。

 ところで、この達磨、(その4)で手品師が左手に持ち上げているのがこれでした。「達磨尓煙越婦可世類」とありました。

 

2026年10月31日土曜日

手品獨稽古その13

P8_2 同志社大学デジタルコレクション所蔵

(読み)

 ◯茶(ちや)王ん尓水 をい連

    ちゃ わんにみずをいれ


  手ぬぐい尓つゝむ傳

  てぬぐいにつつむでん


ちや王んのふち尓

ちゃわんのふちに


白(者く)らうをぬりて

  はく ろうをぬりて


ミづ越い連

みずをいれ


多いら尓よく

たいらによく


津ゝむべし

つつむべし


水 こ本゛流ゝ

みずこぼ るる


事(こと)なし

  こと なし

(大意)

略

(補足)

「水こ本゛流ゝ」、変体仮名「流」(る)。

 コップに水を満杯にして、ボールや下敷き、ティッシュペーパーでも大丈夫、で蓋をする。そしてエイッと逆さにすると、あら不思議⁉️水はこぼれません。楽しい科学実験です。これは江戸時代のもの、理屈はわかっていても不思議です。

 

2026年10月30日金曜日

手品獨稽古その12

P8_1 同志社大学デジタルコレクション所蔵

(読み)

 ◯紙 かん奈べの傳

  かみかんなべのでん


古ん尓やく多゛満をのり尓してせん

こんにゃくだ まをのりにしてせん


可のかミにひくべし酒(さけ)の可ん又

かのかみにひくべし  さけ のかんまた


やさいものを煮(尓)る尓よ起もの也

やさいものを  に るによきものなり


つ年尓く王い

つねにか い


ち う春べし

ちゅうすべし

(大意)

 ◯紙燗鍋の方法

蒟蒻玉を糊にして、

仙貨紙にひく。酒の燗または

野菜ものを煮るのに便利である。

常に持ち歩くとよい。

(補足)

「せん可のかミ」、『泉貨紙 / 仙貨紙(せんかし)— 伝統的な高級和紙

 歴史的には、戦国時代末期の天正年間に伊予国(現在の愛媛県西予市)の武士、兵頭太郎左衛門(法名:泉貨)が考案した強靭な手漉き和紙を指します。

• 特徴: 楮(こうぞ)を原料とし、2枚のまだ乾いていない生紙(きがみ)を重ね合わせて1枚に仕上げる特殊な製法で作られます。そのため非常に分厚く、破れにくいのが特徴です。

• 用途: 江戸時代には宇和島藩の専売品となり、大坂の蔵屋敷などで帳簿、大福帳、傘や合羽の地紙、袋物などに広く使われました。現在は国の無形文化財に選択され、愛媛県や高知県の限られた地域で伝統が守られています』、以上AIによる概要でした。

「く王いちう」、懐中でしょうか?

 この紙の鍋は現在では旅館やホテルで特別なものとしてではなく当たり前に使われています。紙は燃えるのが普通で、それを火の上にのせるのですから、手品になったのでしょう。でもきっと、同じようなことをして燃やしてしまって、驚いた人たちもたくさんいたとおもいます♫

 火鉢なんてもうすっかり目にしなくなりました。


2026年10月29日木曜日

手品獨稽古その11

P7_2 同志社大学デジタルコレクション所蔵

(読み)

 ◯王ら人形(尓んぎやう)手(て)の

  わら   にんぎょう   て の


     ひらに多つ傳

     ひらにたつでん


人(尓ん)ぎやうのあしの奈可へ者りを

  にん ぎょうのあしのなかへはりを


まげさしおきてつ可へバ多つ

まげさしおきてつかえばたつ


なり

なり

(大意)

略

(補足)

 わずか4、5行ですが、変体仮名の学習をしてないと、最初の「己」でつまずいてしまいます。

 

2026年10月28日水曜日

手品獨稽古その10

P7_1 同志社大学デジタルコレクション所蔵

(読み)

 ◯蝋燭(らうそく)中天(ち うてん)尓つるす傳

     ろうそく    ちゅうてん につるすでん


らう楚く中(ち う)につる尓ハ志ら可゛

ろうそく  ちゅう につるにはしらが


者り可゛年ち うへ横(よこ)尓引(ひき)そ連へ

はりが ねちゅうへ  よこ に  ひき それへ


よこ尓き連こますべし上  下

よこにきれこますべしじょうげ


を者らひミせる可゛よし

をはらいみせるが よし

(大意)

 ◯蝋燭を空中につるす方法

蝋燭を空中に吊るすには、白髪針金を空中に横に張っておき、それに

蝋燭を横に切れ込ませる。その上下

をはらって(種も仕掛けもないことを)見せることが肝心。

(補足)

「志ら可゛者り可゛年」、白髪(しらが)のように細くしなやかな針金。

 昨日と同じ人物が手品の仕方を演じています。でも、着物が昨日は横縞、今日は縦縞、やはり気を使っているようです。

 

2026年10月27日火曜日

手品獨稽古その9

P6_2 同志社大学デジタルコレクション所蔵

(読み)

 ◯水 中  より火(ひ)を出す傳

  すいちゅうより  ひ をだすでん


どんぶり尓水 をつ起゛そのふち尓

どんぶりにみずをつぎ そのふちに


ろうにてせん可うをつけ火(ひ)を

ろうにてせんこうをつけ  ひ を


つけおきかミの者し尓い王う

つけおきかみのはしにいおう


を付(つけ)せん可うの火を

を  つけ せんこうのひを


うつすべし

うつすべし

(大意)

 ◯水中より火を出す方法

どんぶりに水をつぎ、そのふちに

線香を蝋で付け、火をつけておく。

紙の端に硫黄を塗っておき、

線香の火をうつす。

(補足)

 マッチが一瞬で炎があがるのと同じで、水をはったどんぶりの中で、一瞬にして大きな炎が立ち上がるという手品というか芸のようです。

 手品は一瞬芸が多いですが、これもそのようです。水芸でもやりそう。

 

2026年10月26日月曜日

手品獨稽古その8

P6_1 同志社大学デジタルコレクション所蔵

(読み)

 ◯子持(こもち)達磨(多゛るま)の傳

     こもち    だ るま のでん


むそうそこぬけ者゛こ尓入 とり

むそうそこぬけば こにいれとり


い多゛しか春゛の子多゛るまをとり

いだ しかず のこだ るまをとり


出しミせるなり

だしみせるなり


多゛るまのうしろ尓あ奈をあけ子

だ るまのうしろにあなをあけこ


多゛るまをい連おくなり

だ るまをいれおくなり

(大意)

 ◯子持ち達磨の方法

仕掛けをほどこした箱に入れ取り出し、

たくさんの子だるまを取り出して見せるものである。

だるまのうしろに穴をあけ、

子だるまをいれておく。

(補足)

 「子持ち達磨 江戸時代」で検索したAIによる概要では、

『「子持ち達磨(こもちだるま)」は、江戸時代から伝わる日本の伝統的な手品(和妻・奇術)の演目の一つです。

子持ち達磨の概要

• 歴史: 江戸時代の元禄期頃から盛んになった手品・奇術の古典演目として記録されています。

• 内容: 大きな達磨(のだるま)の中から、次々と小さないくつもの子どもの達磨が出現する(または入れ子構造を活かした)仕掛けや手順を行う演目です。』

とありました。

「むそう」も「手品 むそう箱 むそう底」で調べたAIの概要によると、

『主に道具の底面や構造に仕掛けを施した日本の伝統的な手品道具(和妻・古典奇術)の技法・仕組みを指します。漢字では「無双箱」「無双底」と書かれることが一般的です。「無双(表裏がない、二つとない)」という名の通り、観客に底を見せても怪しいところがないように巧妙に作られています』。

「か春゛の子多゛るま」、『かず【数】

③ 数量の多いこと。古語では多く「かずの」の形で使われる。「―をこなす」「―ある作品中の名作」「今我等―の仏を見奉りつ」〈栄花物語•鳥の舞〉』。

 この手品は種も仕掛けも観客はわかっていて、手品師の芸を楽しむのでしょうけど、そのことは手品師にも十分わかっているので、親達磨から次々と子達磨を出してゆくのですが、その数がどうやったらこの親達磨の中に入っているのかと思わせるほどで、観客は驚くという手品なのではないかとおもいます。その方法はさすがにこの本でも内緒となっています。