2026年6月15日月曜日

日本山海名物圖繪巻之五 その16

P30P31 国文学研究資料館蔵

(読み)

鯨  突 舩

くじらつきふ年

くじらつきふね


くじらつき舟 十  六 艘 舟 ごと尓一 のもり三 本  数 もり

            そう     いち     本゛ん可ず

くじらつきふねじゅうろくそうふねごとにいちのもりさんぼ んかずもり


十  二本 大 もり五本 けん壱 挺  徒ゝ阿り一 の毛りを

                 て う

じゅうにほんおおもりごほんけんいっちょうずつありいちのもりを


徒き多る舟 ハの本゛りの外 尓ふきぬきを立 る也 鯨  手をおひて

            本可

つきたるふねはのぼ りのほかにふきぬきをたてるなりくじらてをおいて


則   動 揺 春ること夥   しく五三 里可間  も

す奈ハちどうやう    おび多ゝ     り あい多

すなわちどうようすることおびただしくごさんりがあいだも


者年まハるといへ共 次㐧  尓

          し多゛い

はねまわるといえどもしだ いに


よハりて死春る時 尓至 りてハもと能手をおひ多る所  へ

    し  とき い多            ところ

よわりてしするときにいたりてはもとのてをおいたるところへ


立 可へ里て死春ると也

たちかえりてしするとなり

(大意)

(補足)

「けん」は「剣」でとどめの剣。

「五三里可間」、五里、三里の間も。あちらこちらの意味でしょう。

 

2026年6月14日日曜日

日本山海名物圖繪巻之五 その15

P28P29 国文学研究資料館蔵

(読み)

鯨  置 網

くじらおき阿ミ

くじらおきあみ


くじら鯨  鯢 の字を用 由るハ誤   也 海 編 と書 可゛正 字也 

                あやまり

くじらくじらげいのじをもちゆるはあやまりなりうみへんとかくが せいじなり


くじら大 奈る

くじらだいなる


舟 をものむ也 日に光  尓其 鰭 をひらめ可するハ旗 をふる可゛古゛とく

ふ年        ひ可り そのひれ        者多

ふねをものむなりひにひかりにそのひれをひらめかするははたをふるが ご とく


沫 を吹けハ雨 のごとし其 海 上  尓あらハるゝ時ハ

あハ ふ  あめ      可いしやう      とき

あわをふけばあめのごとしそのかいじょうにあらわるるときは


あ多可も山 のごとし往来 の舟

    やま    ゆきゝ

あたかもやまのごとしゆききのふね


これ尓あへハ必    さい奈んあり鯨  の口 の下 あご尓

      可奈ら須゛          くち

これにあえばかならず さいなんありくじらのくちのしたあごに


大 鰭 阿り椶   木の皮 尓似て小松 を

  ひ連  し由ろのき 可ハ   こまつ

おおひれありしゅろのきのかわににてこまつを


植 奈らべ多るごとく尓見由る也 網 舟 十  二艘 人 数 十  五人 づゝ

うえ              あミ      そう

うえならべたるごときにみゆるなりあみぶねじゅうにそうにんずうじゅうごにんずつ


是 ハ先 へまハりて網 を

これ さき

これはさきへまわりてあみを


おろし置 也 くじら此 あミ尓さま多げられてよハる也

   於く

おろしおくなりくじらこのあみにさまたげられてよわるなり


舟 ハ何 れも平 徒゛くり川 御座能可多ち也

   いづ  ひら    可ハござ

ふねはいずれもひらづ くりかわござのかたちなり

(大意)

(補足)

「海?」、?は魚+鬲でしょうか。一日おいて間違いに気づきました。「海」編(正しくは偏)でしょうね。

「川御座」、『かわござぶね かは―【川御座船】① 江戸時代,幕府や諸大名が河川で使用した豪華な大形の屋形船。② 町方の船遊山などに賃貸しする屋形つきの川船。大坂界隈での呼称で,江戸では町御座船・借御座船がこれに相当する』

 網の周囲には浮として比較的大きな樽がいくつも結びつけられています。。

鯨の髭は現在では貴重品となってしまっていますが、工芸品やバネなどいろいろ使われているようです。

 

2026年6月13日土曜日

日本山海名物圖繪巻之五 その14

P26P27 国文学研究資料館蔵

(読み)

鯨  吹 レ氣 図

くしらふく きをつ

くじらきをふくず


鯨  潮 を吹 をけを吹 と云 也 是 を遠 見より見つけて相 図の

くしらし本 ふく             とをみ      あいづ

くじらしおをふくをけをふくというなりこれをとおみよりみつけてあいずの


志らせ阿れバ鯨  つき舟 を出してもり尓て突 とむる也 もりに

                     つき

しらせあればくじらつきふねをだしてもりにてつきとむるなりもりに


両  刃阿り一 方 ハ短  く一 方 ハ長 し上 へむけて奈ぐる時

里やう者                            とき

りょうばありいっぽうはみじかくいっぽうはながしうえへむけてなぐるとき


下 へ於ちさ満尓鯨  尓阿多る

したへおちざまにくじらにあたる


也 鯨  驚  きて者袮まハる尓従  ひてもりハ深 く者いると也

     おとろ        し多可     ふ可

なりくじらおどろきてはねまわるにしたがいてもりはふかくはいるとなり


鯨  舟 十  六 艘 頭  舟

          そう可しらふね

くじらふねじゅうろくそうかしらふね


二そう先 尓立 也 舟 一 艘 尓人 数 十  四人 づゝ頭  を於き

にそうさきにたつなりふねいっそうににんずうじゅうよにんずつかしらをおき


やいと云 もりつきを者多゛しと云

やいというもりつきをはだ しという


舟 一 そう尓ともろ一 丁  王きろ一 丁  其 外 一 方 に

ふねいっそうにともろいっちょうわきろいっちょうそのほかいっぽうに


三 丁  徒゛ゝ以上  八 丁  一 丁  尓二 人可ゝり也

さんちょうず ついじょうはっちょういっちょうにふたりがかりなり

(大意)

(補足)

 表題の「吹」と「氣」の間にある「レ」はレ点。

鯨のお目々がかわいらしい。潮吹きの画は見事!そのまま植木鉢に入れれば何か植物の画にもなりそうです。

 以前、米国のサンノゼからすぐのところモンレーの港で、ホエールウオッチングツアーに参加したことがります。ツアー前日まで数日間嵐で、当日は絶好のツアー日和。ブルーホエール(シロナガスクジラ)を何頭も間近で見ることができました。なにしろデカイ!ちょうど25mプールくらいの長さがあります。そして潮吹きの迫力がこれまたすごかった。あたりに悪臭とまではいかないけど、磯の匂いが腐ったような臭気が当たり一面に漂いました。あんな巨大な生き物を小型舟と銛でしとめるのだから、命がいくつあってもたりません。

 

2026年6月12日金曜日

日本山海名物圖繪巻之五 その13

P24P25 国文学研究資料館蔵

(読み)

鯨   遠 見

くしらのとを見

くじらのとおみ


古来 より絵尓書 来 るくじらハ本 式 尓阿ら須゛今 図する

こらい  ゑ          本んしき     いまづ

こらいよりえにかききたるくじらはほんしきにあらず いまづする


所  ハ画 工 長谷川 光 信 海 邊尓て真  の鯨  を見天

ところ ぐハこうハせ可ハミ川のぶうミべ  まこと くしら

ところはが こうはせがわみつのぶうみべにてまことのくじらをみて


其 躰  をう川せり尤   正  とすべしくじら取 ハ山 の手尓小屋をつくり

その可多ち         せ う

そのかたちをうつせりもっともしょうとすべしくじらとるはやまのてにこやをつくり


遠 目鏡 にて塩 をふくを見て采 をふり舟 手へ志ら春る也 くじら尓

とをめ可年  し本      ざい

とおめがねにてしおをふくをみてさいをふりふなでへしらするなりくじらに


五種 有 。ざとう。小くじら。ま川こう。せミ。奈可゛せと云 奈可゛せハ鯨  の

ごし由                                くじら

ごしゅあり ざとう こくじら まっこう せみ なが せというなが せはくじらの


㐧 一 尓て三 十  三 尋 有 此 くじらハ見つけてもとらぬ可゛

             ひろ阿り

だいいちにてさんじゅうさんひろありこのくじらはみつけてもとらぬが


鯨  取 能作法 也

      さ本う

くじらとりのさほうなり

(大意)

(補足)

「遠見」、「見」のフリガナが「ミ」でも「み」でもなくなぜか「見」です。

この頁から最後まですべて鯨の項目となります。司馬江漢「西遊旅譚」に生月島の鯨漁について詳しい話が記されています。しかしこの本はそれよりも約百年前の出版です。

 遠眼鏡を使っているひとの奥にやかんを乗せた火鉢があります。火鉢というと現在はほとんどが七輪やボール状のものになってしまっています。ここのように手前をくりとったものは見かけなくなりました。

 

2026年6月11日木曜日

日本山海名物圖繪巻之五 その12

 

P22P23 国文学研究資料館蔵

(読み)

赤 鱏(ゑきれ)

あ可ゑい

あかえいえきれ


これを取 尓ハ漁 人 舟 尓のりて舟 者゛らを多ゝけバゑい

       ぎよじん

これをとるにはぎょじんふねにのりてふなば らをたたけばえい


多 くう起出る也 これをもり尓てつき取 奈りゑいの

おおくうきでるなりこれをもりにつきてとるなりえいの


尾尓て人 をさせ者゛即 時尓人 死春といへりこれ尓樟  脳 を付 てよし

を         そくじ   し        せ うのう

おにてひとをさせば そくじにひとしすといへりこれにしょうのうをつけてよし


海 参

奈まこ

なまこ


奈まこ虎 子共 云 漁 人 これを取 尓ハくじらの油  をちょくに

   とらごともいふ               あぶら

なまことらごともいうぎょじんこれをとるにはくじらのあぶらをちょくに


いれてこより尓徒けて海 へ入るれハ海 水 そこま天゛見え

いれてこよりにつけてうみへいるればかいすいそこまで みえ


春くなり其 時 長 きかい多゛ま尓て春くひ取 也 かい多゛満ハ

すくなりそのときながきかいだ まにてすくいとるなりかいだ まは


柄の付 多る小網 也

ゑ      あミ

えのつきたるこあみなり

(大意)

(補足)

「ゑきれ」、エイヒレのこと。

磯に近い岩場での漁なので、危険と隣り合わせです。

 

2026年6月10日水曜日

日本山海名物圖繪巻之五 その11

P20P21 国文学研究資料館蔵

(読み)

鰮  網

いハしあミ

いわしあみ


い者しあミハ大 小  二網 奈り大 をま可せと云 

                       いふ

いわしあみはだいしょうにあみなりだいをまかせという


小  を者ちだと云 此 二

          この

しょうをはちだというこのに


あミを一里四方 へ引 也 其 うけをあ者゛と云 うけづ奈の中 程 尓

   ちりよ本う ひく  その              奈可本と

あみをちりしほうへひきなりそのうけをあば といううけづなのなかほどに


舟 二そうつけてあミの一 所 へよりぬやう尓

ふねにそうつけてあみのいっしょへよりぬように


両  方 へかぎ尓て引 也 網 舩 の

里やう本う         あミふ年

りょうほうへかぎにてひくなりあみふねの


先 尓立 舟 ハまあミさ可阿ミとて二艘 也 其 舟 尓けん保゛うとていハしを

さき 多川             そう

さきにたつふねはまあみさかあみとてにそうなりそのふねにけんぼ うとていわしを


ぬけぬやう尓後 へ追 者 四五人 有 ◯伊与の宇和嶋 い王し多 し関  東

      あと おふ毛の          う王しま      くハんとう

ぬけぬようにあとへおうものしごにんあり いよのうわしまいわしおおしか んとう


尓てハ総 州  銚 子浦  より多 く出る丹 後より出るいハし

        て うしうら

にてはそうしゅうちょうしうらよりおおくでるたんごよりでるいわし


名 物 也 風 味よし

      ふうミ

めいぶつなりふうみよし

(大意)

(補足)

「けん保゛う」、『つきんぼう ―ばう【突きん棒】海面を泳いでいるマグロ・カジキなど大形の魚を銛(もり)で突き刺してとる漁法。また,それに用いる銛をつけた棒。「―漁」』のことではないかとおもいます。

 2艘の舟の艫(とも)に鳥居の形に似たものがありますが、どんなふうにつかったのでしょう?

 ちょうどイワシのうまい時期になってきました。入梅いわしなどといわれてます。脂がのって身がふっくらとして、刺身を生姜醤油で食べます。

 

2026年6月9日火曜日

日本山海名物圖繪巻之五 その10

P18P19 国文学研究資料館蔵

(読み)

梭 魚兒

可ますこ

かますこ


かま須といふ魚 の子也 又 ハい可奈ご共 云 

      うを こ         ともいふ

かますといううおのこなりまたはいかなごともいう


摂 州 尼  崎 兵  庫

せつしうあまがさきひやうご


の浦 尓て多 く取 也 是 を取 網 ハ春べあミと云 外 まハり

 うら              あミ        そと

のうらにておおくとるなりこれをとるあみはすべあみというそとまわり


ハ索 尓てあミ其 次 ハ藁 蕊 尓てあミ真 中 ハ苧網 也 徒奈十  四筋

 奈ハ         王らしべ    まん奈可 を          すじ

はなわにてあみそのつぎはわらしべにてあみまんなかはおあみなりつなじゅうしすじ


人 数 十  四人 まあミさ可阿ミとて綱 舟

にんずうじゅうよにんまあみさかあみとてつなぶね


二艘 あり外 尓舟 二そう付

 そう  本可      つくる

にそうありほかにふねにそうつくる


也 四 艘 の舟 にもやいをつけ四方 取 まハして綱 を入るゝ也 かま須

                し本うとり

なりよんそうのふねにもやいをつけしほうとりまわしてつなをいるるなりかます


ごを煎 じ油  を取 其 せんじがらを市 へ出してかますごとて賣 也

  せん あぶら           いち だ        うる

ごをせんじあぶらをとりそのせんじがらをいちへだしてかますごとてうるなり

(大意)

(補足)

「可ますこ」、『かますご【叺子】〔関西で叺に入れて出荷するからとも,魳(かます)の子に似ているからともいう〕いかなご。こおなご』。『かます【叺】わらむしろを二つ折りにして作った袋。穀物・塩・石灰・肥料などを入れる。かまけ。』

「王らしべ」、『わらしべ【藁稭】稲の穂の芯(しん)。わらすじ。わらすべ。みご。また,わらのくず』。ついでに『わらしべちょうじゃ ―ちやう― 【藁稭長者】昔話の一。一本のわらしべから次々と価値の高いものに交換して,ついに長者になるという話。「今昔物語集」や「宇治拾遺物語」にも収められており,全国に類似の話が残っている』

「苧」、『お を 【麻・苧】① アサの古名。「―の畠あり」〈宇治拾遺物語•12〉② アサやカラムシの繊維を紡いだ糸。「―をよりて」〈土左日記〉』

「四艘の舟にもやいをつけ」、『もやいぶね もやひ―【舫い船】互いにつなぎとめた船。また,岸につなぎとめた船。むやい船』。『もやいづな もやひ―【舫い綱】船と船,あるいは船を岸につなぐ綱。遣手(やりて)。手安綱(てやすづな)。もやい』

 なかなかの大作です。漁の様子がよくわかります。おしむらくは、網の目を通して透けるように刷ってほしかった。とても残念😢

 すべ網を全部細かい麻糸や木綿糸で編んで部屋に吊るせばかや『【《蚊帳》 ・蚊屋】蚊を防ぐために寝床を覆う寝具。目の粗い麻・木綿などの布で作り,四隅をつって覆う。かちょう。「―を吊(つ)る」季夏「起きて見つ寝て見つ―の広さかな」浮橋』になります。