P3P4 同志社大学デジタルコレクション所蔵
(読み)
P3
楳 亭
ばいてい
時 那らぬ
とき
ときならぬ
花 越座敷
者奈 ざしき
はなをざしき
尓
に
左可世
さかせ
P4
希理
けり
面白
おもしろ
おもしろ
多へ
たへ
尓
に
雪 越
ゆきを
婦ら
ふら
せ天
せて
(大意)
略
(補足)
「左可世希理」、この変体仮名をスラスラッと読めたら、初心者脱出です。また変体仮名「左」と変体仮名「世」の違いがよくわかります。
少々長くなりますが、この和歌をGoogleで検索したAIによる概要です。
①和歌だけの場合
この和歌(または連歌・俳諧の連)は、冬の座敷の中で、まるで時季外れの美しい花を咲かせたかのように見事に雪が降る様子を(あるいは白布などを花に見立てて)面白く表現した優雅な一首です。
これは江戸時代初期の著名な文化人・文人である本阿弥光悦(ほんあみこうえつ)、あるいはその周辺の風流人が、座敷での連歌や茶の湯などの遊び(あるいは特定の趣向)において詠んだもの、もしくはその情景を描いたものと考えられます。
【歌の解釈と見どころ】
• 時ならぬ花を座敷に咲かせけり
・「時ならぬ花」とは、季節外れに咲く花のことです。ここでは、外に降る「雪」を美しい「白い花」に見立てています。あるいは、座敷の中に白布や紙吹雪などを散らして雪を演出した、室内での風流な「見立て」の遊びを指しているとも解釈できます。
• 面白たへに雪を降らせて
・「面白(おもしろ)たへに」の「たへ(妙・妙に)」は、非常に趣深く、素晴らしいという意味です。しんしんと、あるいは見事に降る雪の風情を「なんと素晴らしいことか」と深く賞賛しています。
【背景にある文化】
当時(安土桃山時代〜江戸初期)の風流人たちは、実際の自然を愛でるだけでなく、座敷という限られた空間の中に自然の美(雪・月・花)をいかに取り込むかという趣向を凝らしました。
• 庭に降る雪を座敷から眺めながら、それを「花」に見立てて座を盛り上げる。
• あるいは、茶会や連歌の席で、主人が客人を喜ばせるために特別な演出(見立て)を行った。
まさに、当時の「数寄(すき)」の精神や、遊び心が詰まった非常に粋で美しい表現です。
②手品独稽古+和歌の場合
この粋な短歌は、江戸時代の代表的な手品書(奇術書)である『手品独稽古(てじなひとりげいこ)』の一節、あるいはその世界観を詠んだものですね。
「部屋の中に季節外れの桜を咲かせ、見事な趣向で雪を降らせてみせよう」という意味になり、当時の手品(奇術)が単なるトリックの披露にとどまらず、風流で幻想的なエンターテインメントとして楽しまれていた様子が鮮やかに伝わってきます。
江戸時代、18世紀後半から19世紀にかけては『手品独稽古』をはじめとする多くの手品解説書が出版され、庶民の間でちょっとした手品ブームが起こりました。
• 時ならぬ花を座敷に咲かせけり:紙から作った花を一瞬で出現させたり、枯れ木に花を咲かせるように見せる「紙変化(かみへんげ)」などの奇術を連想させます。
• 面白たへに雪を降らせて:現代でもお馴染みの、和紙を細かくちぎって扇子で仰ぎ、まるで吹雪のように見せる伝統奇術「和妻(わづま)」の「胡蝶の舞」や「紙吹雪」の演出を思わせます。
①②ともになかなか興味深い結果であります。
前回の「達磨に煙管をふかせる」とは違って、お客さんの注目を集めていて、手品師はちょっと得意げ。