2026年10月25日日曜日

手品獨稽古その7

P5_2 同志社大学デジタルコレクション所蔵

(読み)

 ◯茶(ちや)王ん水 上(あげ)の傳

    ちゃ わんみず  あげ のでん


磁器(ちや王ん)のそこ尓あ奈をあけて図(づ)の

   ちゃわん のそこにあなをあけて  ず の


ごとくミつぶくろより水 をかよ王

ごとくみずぶくろよりみずをかよわ


春るなり水 を出す尓ハ

するなりみずをだすには


袋(ふくろ)を足(あし)尓てふむべし

  ふくろ を  あし にてふむべし


ふくろハふぐの可ハ可゛

ふくろはふぐのかわが


よし

よい

(大意)

 ◯茶碗水上げの方法

茶碗の底に穴をあけて図のように、水袋より水を通すようにする。

水を出すには袋を足で踏む。袋はフグの皮がよろしい。

(補足)

「磁器(ちや王ん)」、「磁」のくずし字はなんとなく「磁」とわかりました。「器」のほうは「磁」ときたら、瀬戸物でその後に続く漢字の筆頭は「器」ですから、それをくずし字辞典で調べると、🎯。

 フグの皮を布のようにして巾着袋みたいにこしらえたのでしょうね。 

2026年10月24日土曜日

手品獨稽古その6

P5_1 同志社大学デジタルコレクション所蔵

(読み)

 ◯水 の上 尓文字を浮 す傳

        もじ う可

  みずのうえにもじをうかすでん


白 さゝ起゛越こま可尓して

志ろ

しろささぎ をこまかにして


明  者゛ん春こし入 かミをぬらし

め う

みょうば んすこしいれかみをぬらし


右 能くすりを

ミき

みぎのくすりを


ぬりうへ尓

ぬりうえに


文字を書

もじ 可き

もじをかき


古連を水 の

これをみずの


奈可へ入 紙 を

     可ミ

なかへいれかみを


也うじ尓て

ようじにて


志多へぬきとるべし

したへぬきとるべし

(大意)

 ◯水の上に文字を浮かす方法

白ささぎを細かくして、明礬を少し入れる。紙をぬらし右の薬を塗り、上に文字を書き、

これを水の中へ入れる。紙を楊枝で下へ抜き取る。

(補足)

「白さゝ起゛」、『白ささぎ(白いんげん豆の一種や白ささげ)は、クセが少なく、ほくほくした食感が特徴の白い豆です。煮豆、白あん、サラダ、洋風の煮込み料理など幅広く使われる』。

「ゝ」「可」「う」など形が似てます。前後の流れから判断するしかありません。

「書」のくずし字はよくでてきて、形もいろいろ。ここのは「少」+「ム」を合体させたような形。

「也うじ」、変体仮名「也」(や)だとおもいます。

 種明かしに従っての結果が茶碗の中に「天照大神」(あまてらすおおかみ/てんしょうだいじん)という文字を浮かべています。絵はなんとも稚拙です。弟子に描かせたのでしょうかね。

 ささげも明礬(みょうばん)も簡単に安く手に入るので、やってみよう。とおもったのですが、「水の上に文字を浮かべる」で検索すると、ホワイトボードマーカー(百均)を使っておなじことをやっている科学実験のYouTubeがありました。面白いですよ♫

 

2026年10月23日金曜日

手品獨稽古その5

P3P4 同志社大学デジタルコレクション所蔵

(読み)

P3

楳 亭

ばいてい


時 那らぬ

とき

ときならぬ


花 越座敷

者奈 ざしき

はなをざしき


尓

に


左可世

さかせ


P4

希理

けり


面白

おもしろ

おもしろ


多へ

たへ


尓

に


雪 越

ゆきを


婦ら

ふら


せ天

せて

(大意)

略

(補足)

「左可世希理」、この変体仮名をスラスラッと読めたら、初心者脱出です。また変体仮名「左」と変体仮名「世」の違いがよくわかります。

少々長くなりますが、この和歌をGoogleで検索したAIによる概要です。

①和歌だけの場合

この和歌(または連歌・俳諧の連)は、冬の座敷の中で、まるで時季外れの美しい花を咲かせたかのように見事に雪が降る様子を(あるいは白布などを花に見立てて)面白く表現した優雅な一首です。

これは江戸時代初期の著名な文化人・文人である本阿弥光悦(ほんあみこうえつ)、あるいはその周辺の風流人が、座敷での連歌や茶の湯などの遊び(あるいは特定の趣向)において詠んだもの、もしくはその情景を描いたものと考えられます。

【歌の解釈と見どころ】

• 時ならぬ花を座敷に咲かせけり

・「時ならぬ花」とは、季節外れに咲く花のことです。ここでは、外に降る「雪」を美しい「白い花」に見立てています。あるいは、座敷の中に白布や紙吹雪などを散らして雪を演出した、室内での風流な「見立て」の遊びを指しているとも解釈できます。

• 面白たへに雪を降らせて

・「面白(おもしろ)たへに」の「たへ(妙・妙に)」は、非常に趣深く、素晴らしいという意味です。しんしんと、あるいは見事に降る雪の風情を「なんと素晴らしいことか」と深く賞賛しています。

【背景にある文化】

当時(安土桃山時代〜江戸初期)の風流人たちは、実際の自然を愛でるだけでなく、座敷という限られた空間の中に自然の美(雪・月・花)をいかに取り込むかという趣向を凝らしました。

• 庭に降る雪を座敷から眺めながら、それを「花」に見立てて座を盛り上げる。

• あるいは、茶会や連歌の席で、主人が客人を喜ばせるために特別な演出(見立て)を行った。

まさに、当時の「数寄(すき)」の精神や、遊び心が詰まった非常に粋で美しい表現です。

②手品独稽古+和歌の場合

 この粋な短歌は、江戸時代の代表的な手品書(奇術書)である『手品独稽古(てじなひとりげいこ)』の一節、あるいはその世界観を詠んだものですね。

「部屋の中に季節外れの桜を咲かせ、見事な趣向で雪を降らせてみせよう」という意味になり、当時の手品(奇術)が単なるトリックの披露にとどまらず、風流で幻想的なエンターテインメントとして楽しまれていた様子が鮮やかに伝わってきます。

 江戸時代、18世紀後半から19世紀にかけては『手品独稽古』をはじめとする多くの手品解説書が出版され、庶民の間でちょっとした手品ブームが起こりました。

• 時ならぬ花を座敷に咲かせけり:紙から作った花を一瞬で出現させたり、枯れ木に花を咲かせるように見せる「紙変化(かみへんげ)」などの奇術を連想させます。

• 面白たへに雪を降らせて:現代でもお馴染みの、和紙を細かくちぎって扇子で仰ぎ、まるで吹雪のように見せる伝統奇術「和妻(わづま)」の「胡蝶の舞」や「紙吹雪」の演出を思わせます。

 ①②ともになかなか興味深い結果であります。

 前回の「達磨に煙管をふかせる」とは違って、お客さんの注目を集めていて、手品師はちょっと得意げ。

 

2026年10月22日木曜日

手品獨稽古その4

P1P2 同志社大学デジタルコレクション所蔵

(読み)

志ん氣

  き

しんき


左尓

さに


ま多は知

またはち


巻

ま起

まき


毛

も

P2

左を倦 天

  あき

さをあきて


棚 能

多奈

たなの


達 磨

多るま

だるま


尓

に


煙 越

けむ

けむを


婦可世類

ふかせる

?兆

一 寿 斎 芳 晴 画

いちじゅさいよしはるが

(大意)AIによる概要

『ご提示の歌詞(「あまり辛気臭さに、棚の達磨さんをちょいと下ろし、鉢巻ォさせたり」)が含まれる江戸の流行小唄(端唄・俗曲)『棚のだるまさん』は、特定の作詞者・作曲者が明確に記録されていない不詳(作者不詳の民俗的な流行歌・巷間流布の唄)です。

幕末から明治初期にかけて、市井の人々の間で自然発生的に、あるいは無名の市井の作者によって作られ、歌い継がれてきた「はやり唄」の一つとされています。

この唄について

• 曲名: 『棚のだるまさん』(または『棚の達磨』)

• 背景: 恋しい人を待ちわびるやるせない退屈さ(辛気臭さ)や、思い通りにいかない世の中の憂さを晴らすため、棚にあるダルマを引っ張り出して鉢巻をさせたり転がしたりして一人でもてあそぶ、当時の庶民(主に女性)のユーモラスで少し切ない心情が描かれています。

• 主な音源: 昭和期には、著名なうた手である藤本二三吉(ふじもと ふみきち)らによってレコードに吹き込まれ、端唄・俗曲の名曲として広く知られるようになりました』。

(補足)

 歌詞で検索すると、上記のような説明が得られました。なんとなくなるほどと。なのでそのまま貼り付けました。

 歌詞の最後「置兆」のようにも読めますが、不明です。

「左を倦(あき)天」、『「その状況や物事にすっかり飽きてしまい」「嫌気がさして」という意味を持つ表現です。

それぞれの言葉を分解すると、次のような意味と成り立ちになります。

• さ:直前の文脈や事柄を指す言葉(「そのように」「そういう状態」)です』。

 変体仮名「左」(さ)と変体仮名「世」(せ)があります。平仮名「を」に近いほうが変体仮名「せ」。

 手品師は誰も見てくれないので、情けない泣きそうなおももちであります。男二人、女三人、それぞれ世間話で手品なんかどうでもよさそう。着物柄をみなかえていて、彫線も鮮明で、文字も引き締まっています。

 初版に近い摺りなのでしょう。

 

2026年10月21日水曜日

手品獨稽古その3

序文 同志社大学デジタルコレクション所蔵

(読み)後半

空 耳轟  具雷 電 能。手 段  盤山 も海 登那る。楚能種 々 の傳

そら とゞろ 奈る可ミ  し由多゛ん    うミ      いろ\/ でん

そらにとどろくなるかみの しゅだ んはやまもうみとなる そのいろいろのでん


法 越。毛ら左須゛残 左須゛阿希゛多連者。何 天毛自在 の此 小 冊

本ふ       のこ              じさい   せ うさつ

ぽうを もらさず のこさず あげ たれば なんでもじざいのこのしょうさつ


於子左満可゛多能御蔵 書 尓盤。是 尓増 多るも能あ羅じ。と

        ござうしよ   これ まし

おこさまが たのごぞうしょには これにましたるものあらじ と


自  ら誇  天加具能ごとし

ミつか 本こつ

みずからほこってかくのごとし


楳 亭 漁 父誌

ばいていりょふしるす

(大意)

 空に轟く雷も、手品の仕掛けで山も海となる。それらいろいろ伝わる種明かし、もらさず残さずご覧に入れよう。さすれば何でも自在にできようぞ。この小冊子、お子様方のご蔵書に、これにまさるものはあるまいと、自らこのように自慢している次第。

楳亭漁父誌

(補足)

 毛筆でというより、硬筆でくずし字をスラスラっと書いたようで、とても読みやすいし、くずし字のかたちもよくわかります。彫師も腕がよいのでしょうね。字がきりりとひきしまっています。

 名前の最後の一文字、「傘」のような「金」の縦棒を長くしような印はさて?縦棒の左右に「可本」「ゐ」と読めますが、これもさて?花押。それとも「全(まったし)」?

う〜ん🤔・・・

 

2026年10月20日火曜日

手品獨稽古その2

序文 同志社大学デジタルコレクション所蔵

(読み)前半

腊  昔  ?老父左満可゛。枯 木尓花 越咲 世しより。世上 

む可し\/  ぢゞ     可れき    さ可       

むかしむかし?ぢぢさまが  かれきにはなをさかせしより せじょう


一 般 流  行 能

いつ者んり う可う

いっぱんりゅうこうの


手品 尓一寸  懐中  能紙 越捻 ツ天霍 と那し。雲 井遥  尓乗 阿る具

てじ奈 ちよつとふところ    ひ年  つる    くもゐ者る可 のり

てじなにちょっとふところのかみをひねってつるとなし くもいはるかにのりあるく


駒 を小 左奈瓢  可ら。小諸 ふし尓て引 出し能。徳 利ハ忽  地

こま     ふくべ   こもろ          とくり 多ちまち

こまをちいさなふくべから こもろぶしにてひきだしの とくりはたちまち


傘   と。か者る盤

可ら可さ

からかさと かわるは


もの可ハ三 伏 能。夏 の朝 尓雪 越降ら世寒 サ尓堪へぬ冬 能日毛

    さんぷく  奈つ あさ ゆき    さむ  多

ものかわさんぷくの なつのあさにゆきをふらせさむさにたえぬふゆのひも

(大意)

 むかし昔のこと、花咲爺様が花咲かせたときより、今は流行りの手品だが、ふところ紙をちょいとちぎって投げ出せば鶴となる。遥か彼方の大空を、小諸馬子唄節にして、小さな瓢箪(ひょうたん)から馬を出す。徳利たちまち傘となり、こりゃーびっくりだ。盛夏の朝に雪降らせ、寒さに震える冬の日も、

(補足)

 出だしの一文字目「む可し」と振り仮名があります。調べるとこんな漢字「腊 」がありました。説明に『腊 (らく / しゃく):乾し肉の意味や声符として「昔」と通じる・関連する字』とあって、きっとこの漢字だとおもいます。

 「腊昔」の次の文字が不明です。「に」の変体仮名を調べても該当するものは見つかりませんでした。

「老父左満可゛」、変体仮名「左」(さ)がこの文章で多用されています。その数文字下「咲世しより」の変体仮名「世」(せ)と形がそっくりです。ひらがなの「を」に近いほうが変体仮名「世」です。

「乗阿る具」、変体仮名「具」(く)もこの文章にたくさん使われています。普通は変体仮名「久」(く)です。

「三伏」、『さんぷく【三伏】初伏(夏至後の三度目の庚(かのえ)の日)・中伏(四度目の庚の日)・末伏(立秋後初めての庚の日)の総称。最も暑い時期。季夏「―の候」』。

 読点「、」のような涙型「💧」の点が右側に何箇所もあります。音読すると節回しのような息継ぎのような講談師が調子をとるような感じで記しているみたい。大意もそんな感じにしてみました。

 

2026年10月19日月曜日

手品獨稽古その1

表紙 同志社大学デジタルコレクション所蔵

見返し

(読み)

表紙

手品 獨    稽  古

てじ奈ひと(り)けい(こ)


見返し

手品 獨  稽 古

てじ奈ひとりげいこ


一 寿 斎 芳 晴 画

いちじゅさいよしはるが


(大意)

略

(補足)

 手品獨稽古の出版年は江戸時代後期幕末頃とされています。著者は楳亭漁父(梅亭漁夫)(ばいていぎょふ)、絵師は一寿斎芳晴(いちじゅさいよしはる)で、かれらの活躍した年代からの推測です。

 この本の翻刻や出版物はたくさんあって、わたしのこのBlogでは変体仮名の勉強のためですから、新しい視点での読み方はいっさいありませんので、ご承知おきください。

「稽古」の「禾」が偏になってなくて、「尤」と対になって上にいってしまっています。古文書を読んでいるとよくあることで、偏や旁など漢字の部品の位置は自由だったようです。

 表紙絵は四角い井桁の箱から鳥(鳩)を出しているところのようです。手品師の目線は眼の前の飛び立つ鳩を見つめています。おや⁉️もしかしたら鳩を出すのは当たり前すぎるから、出した鳩を元の箱に呼び戻して消そうとしているのかもしれません。

 見返しのにじませたような絵柄がなんかモヤモヤっとしていかにも手品っぽい。

ここの画がなにかわからなかったので、AIにきいてみました。少し長いですが全回答です。

『描かれているものは、日本の伝統的な手品(和妻・わづま)の演目である「如意独楽(にょいごま)」に使用される「如意棒(にょいぼう)」(または「独楽の道中(どうちゅう)」に使う棒・道具)です。

💡 描かれている道具と手品の背景

• 如意独楽(にょいごま)の棒:

中央の黄色い軸と黒い持ち手を持つ棒は、和妻でよく使われる道具です。この棒の上で、回転する大きな独楽(こま)を器用に滑らせたり、綱渡りのように渡らせたりするアクロバティックな伝統手品に使用されます。

• 房付きの紐(飾り紐):

棒の両端から伸びている房付きの長い紐は、独楽を巻き付けて回すための紐、あるいは演技を華やかに見せるための飾り紐(タッセル)です。

『手品独稽古』は、梅亭漁夫の序文や一寿斎芳晴(歌川芳春)の挿絵などで知られる、当時の大衆向けの手品ダネ明かし・解説本です。見返しにこのような「花形の演目道具」をあしらうことで、本を開いた読者に「これから面白い手品の数々が始まる」というワクワク感を与える意図があったと考えられます』。

 手品より驚きました‼️見事な回答です。