P4P5 国文学研究資料館蔵
(読み)
黐 製 方
とりもちのせい者う
とりもちのせいほう
細葉冬青樹と云 木の皮 をけづりて池 水 尓徒け置
奈ゝミのき
ななみのきというきのかわをけずりていけみずにつけおき
久 しくして取 出し湯尓たきて黐 と春る也 本 薬
とりもち
ひさしくしてとりだしゆにたきてとりもちとするなりほんやく
必 読 尓其 事 見え多り紀州 熊 野山 尓此 木お本し土人 取 てとり
ひつとく
ひつどくにそのことみえたりきしゅうくまのさんにこのきおおしどじんとりてとり
もちを製 し家 業 と春る也 其 木の者細 柔 にして青 く其 実ハ赤
せい 可 けう 本そくやハら可 ミ
もちをせいしかぎょうとするなりそのきのはほそくやわらかにしてあおくそのみはあか
くして南 天 の子尓似多り木立 うるハしくして籬 奈ど尓して見事 也
ミ こ多ち 可き
くしてなんてんのみににたりこだちうるわしくしてかきなどにしてみごとなり
木の皮 を者ぐ所 とりもちの木池 尓つける所
きのかわをはぐところ とりもちのきいけにつけるところ
(大意)
略
(補足)
「黐」、『とりもちのき【鳥黐の木】① モチノキの別名。② ヤマグルマの別名』『とりもち【鳥黐】小鳥や昆虫を捕らえるため竿の先などに塗って用いる粘り気の強いもの。モチノキ・クロガネモチ・ヤマグルマなどの樹皮から採る』
「熊野山」、ここの「野」は「埜」になっています。
「籬」、『まがき【籬】① 竹・柴などを粗く編んで作った垣。ませ。ませがき』
小学校6年生の時の思い出です。学年中いや学校中から嫌われている中年の女の音楽教師の授業のこと。歌の練習のとき(卒業式で歌う歌の練習だったようにおもいます)、ピアノの上においてある指揮棒を必ず使うのが癖でした。
指揮棒の端をとって振ろうとしたそのとき、なんかおかしいことに先生は気づきました。反対の手で指揮棒の先をつかんで、もう一方の握っている手から指揮棒をはなそうとするのですが、とれません。だんだん取り乱してきて激しく振るようにして指揮棒がはなれたのはいいものの、右手のネバネバが今度はとれません。
先生いらいらして、振り乱れた髪の毛をすくためにその右手をつい使ってしまいました。髪の毛から右手をはなそうとするのですが、離れるわけがありません。手ぐしのようにして髪の毛のなかに指を突っ込んでしまっているのですから。
大声で何かわめきながら音楽室を出ていってしまいました。われら悪童たちは大声で気持ちよく卒業式で歌う歌を自分たちだけで歌ったのでした。
とりもちというと、このことをどうしても思い出してしまいます。わたしの世代がとりもちを子どもの頃に使ったのが最後であるような気がします。蝉とりや、他の昆虫・小鳥など捕まえるのによく使いました。
とりもちを産業として生産者がいたことに驚いています。使う人がそのたびに自分で作るものだとおもっていました。






