2024年5月9日木曜日

延命長尺御誂染長壽小紋 その43

P16 国文学研究資料館蔵

(読み)

「一 川べ川徒いの本そ起けふりの

 ひとつべっついのほそきけむりの


いとをも川てろめいをつ奈ぐハ

いとをもってろめいをつなぐは


千 ごくづミのふ年をきぬ

せんごくぶねのふねをきぬ


いとでつ奈ぐよりも

いとでつなぐよりも


奈本あやうし

なおあやうし


「おれハ奈可゛\゛/

 おれはなが なが


のらう尓んも

のろうにんも


のでハ奈以

のではない


な可゛いきの

なが いきの


ごう尓んもの多゛

ごうにんものだ


露命(ろめい)越つ奈ぐ

   ろめい をつなぐ

(大意)

 造り付けの竈(かまど)からの糸のように細い煙で露命をつなぐことは、千石船の船を絹糸でつないでおくことよりも、いっそう危ぶまれることである。

「おれはずっと浪人者であったのではない。長生きの厄介者だ。

[露命をつなぐ]

(補足)

「一川べ川徒い」、こんな単語は辞書にあるまいとおもって調べるとありました。

『ひとつべっつい ―べつつひ【一つ竈】

① ただ一つだけ,造り設けたへっつい。

② 歌舞伎の鬘(かずら)の一。剃髪(ていはつ)した者が再び髪を伸ばし始めてまだ髷(まげ)が結えないときの髪形で,月代(さかやき)と額だけを剃(そ)ったもの』

「ごう尓ん」、『ごうにん ごふ―【業人】

① 前世の悪業の報いをうける人間。また,悪業を行う人。

② 人をののしっていう語。業さらし。「やいここな運命つきの―め」〈浄瑠璃・用明天皇職人鑑〉』。ここでは浪人者にひっかけた洒落。

「露」のくずし字を調べてみると、ここのとはちょっと違っていました。

 浪人者の住居としては、造り付けの竃(見るからに立派)に薪もふんだんにあり、お茶碗や桶もあって、そこそこの生活をしていそう。団扇はあっても火吹き竹が見当たりません。

 

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