P16 国文学研究資料館蔵
(読み)
「一 川べ川徒いの本そ起けふりの
ひとつべっついのほそきけむりの
いとをも川てろめいをつ奈ぐハ
いとをもってろめいをつなぐは
千 ごくづミのふ年をきぬ
せんごくぶねのふねをきぬ
いとでつ奈ぐよりも
いとでつなぐよりも
奈本あやうし
なおあやうし
「おれハ奈可゛\゛/
おれはなが なが
のらう尓んも
のろうにんも
のでハ奈以
のではない
な可゛いきの
なが いきの
ごう尓んもの多゛
ごうにんものだ
露命(ろめい)越つ奈ぐ
ろめい をつなぐ
(大意)
造り付けの竈(かまど)からの糸のように細い煙で露命をつなぐことは、千石船の船を絹糸でつないでおくことよりも、いっそう危ぶまれることである。
「おれはずっと浪人者であったのではない。長生きの厄介者だ。
[露命をつなぐ]
(補足)
「一川べ川徒い」、こんな単語は辞書にあるまいとおもって調べるとありました。
『ひとつべっつい ―べつつひ【一つ竈】
① ただ一つだけ,造り設けたへっつい。
② 歌舞伎の鬘(かずら)の一。剃髪(ていはつ)した者が再び髪を伸ばし始めてまだ髷(まげ)が結えないときの髪形で,月代(さかやき)と額だけを剃(そ)ったもの』
「ごう尓ん」、『ごうにん ごふ―【業人】
① 前世の悪業の報いをうける人間。また,悪業を行う人。
② 人をののしっていう語。業さらし。「やいここな運命つきの―め」〈浄瑠璃・用明天皇職人鑑〉』。ここでは浪人者にひっかけた洒落。
「露」のくずし字を調べてみると、ここのとはちょっと違っていました。
浪人者の住居としては、造り付けの竃(見るからに立派)に薪もふんだんにあり、お茶碗や桶もあって、そこそこの生活をしていそう。団扇はあっても火吹き竹が見当たりません。
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