P15 国文学研究資料館蔵
(読み)
[からき命 を拾(ひろ)ふ]
からきいのちを ひろ う
「ひり里と
ひりりと
からい可゛さん
からいが さん
志よのこひよろ
しょのこひょろ
りと奈可゛いハ多
りとなが いはた
し可尓人 のあ
しかにひとのあ
しであんべい
しであんべい
これハ七 いろ
これはなないろ
とう可゛らし
とうが らし
でハ奈く
ではなく
て奈まへ
てなまえ
のごうさらし多゛
のごうさらしだ
「あゝあぶ内(奈い)といふや川こ
あああぶ ない というやっこ
さんさけ尓よ川多と
さんさけによったと
ミへるハへ
みえるわえ
「から多゛ハ志ずむ命 ハむ可し者゛奈し能
からだ はしずむいのちはむかしば なしの
もゝのやうに
もものように
奈可゛れて
なが れて
ゆく
ゆく
(大意)
「ひりりと辛いが山椒の粉(こ)、ひょろりと長いは、たしかに人の足であんべい。これは七色唐辛子ではなくて、名前の業さらしだ(みっともないことだ)。
「あぁ、あぶない、というやっこさん、酒に酔ったとみえるわい。
「からだは沈む、命は昔話の桃のように流れてゆく。
(補足)
唐辛子売が川端を売り声調子良く「ひりりと辛いが山椒の粉、」と言いながら、川の中を見ると「ひょろりと長いは、たしかに人の足」と続ける。命は流れてゆくが、辛き命はかろうじて救われる。
「名前の業さらし」は「七色唐辛子」の音をなぞっている洒落か?
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