2024年5月7日火曜日

延命長尺御誂染長壽小紋 その41

P15 国文学研究資料館蔵

(読み)

[からき命  を拾(ひろ)ふ]

 からきいのちを  ひろ う


「ひり里と

 ひりりと


からい可゛さん

からいが さん


志よのこひよろ

しょのこひょろ


りと奈可゛いハ多

りとなが いはた


し可尓人 のあ

しかにひとのあ


しであんべい

しであんべい


これハ七 いろ

これはなないろ


とう可゛らし

とうが らし


でハ奈く

ではなく


て奈まへ

てなまえ


のごうさらし多゛

のごうさらしだ


「あゝあぶ内(奈い)といふや川こ

 あああぶ  ない というやっこ


さんさけ尓よ川多と

さんさけによったと


ミへるハへ

みえるわえ


「から多゛ハ志ずむ命  ハむ可し者゛奈し能

 からだ はしずむいのちはむかしば なしの


もゝのやうに

もものように


奈可゛れて

なが れて


ゆく

ゆく

(大意)

「ひりりと辛いが山椒の粉(こ)、ひょろりと長いは、たしかに人の足であんべい。これは七色唐辛子ではなくて、名前の業さらしだ(みっともないことだ)。

「あぁ、あぶない、というやっこさん、酒に酔ったとみえるわい。

「からだは沈む、命は昔話の桃のように流れてゆく。

(補足)

 唐辛子売が川端を売り声調子良く「ひりりと辛いが山椒の粉、」と言いながら、川の中を見ると「ひょろりと長いは、たしかに人の足」と続ける。命は流れてゆくが、辛き命はかろうじて救われる。

 「名前の業さらし」は「七色唐辛子」の音をなぞっている洒落か?

 

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