2024年5月20日月曜日

延命長尺御誂染長壽小紋 その54

P21 国文学研究資料館蔵

(読み)

「まんいちぐハんの可奈ハぬと起ハ

 まんいちが んのかなわぬときは


可ハゝやぶれ本年ハミちん尓奈る

かわはやぶれほねはみじんになる


可ら可さ尓ハふる本゛年可ひもある可゛命の

からかさにはふるぼ ねかいもあるが いのちの


古(ふる)本゛年ハ何(奈ん)尓も奈らぬ

  ふる ぼ ねは  なん にもならぬ

(大意)

 万一、願がかなわぬときは、皮はやぶれ骨は微塵(みじん)になる。傘(からかさ)には古骨買いもあるが、命の古骨は何にもならぬ。

(補足)

「可奈ハぬと起ハ」、「ぬと」が不明瞭でかたちがよくわかりません。

「ふる本゛年可ひ」、古傘骨買いのこと。江戸時代はほぼすべての品物の再利用が徹底していました。

 鈴木春信の錦絵に「清水の舞台より飛ぶ美人」(明和二(1765)年)がありました。

京伝のこの本が享和二(1802)年ですから、春信のこの錦絵を参考にした可能性は大です。

 

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