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2020年5月1日金曜日

豆本 きつねの嫁入 その13




 奥付

(読み)
定價 壹錢
御届明治十八年四月丗日 吉川町
編輯出板人  堤吉兵衛


(大意)



(補足)
 江戸時代からの版画の流れは、(多色摺)木版画・銅版画・石版画など時代が下るにつれその方法は多岐にわたるようになりました。

 この明治18年の豆本は色鮮やかで発色もよく、またどの頁にも色ズレがありません。
豆本の木版の場合はどこかに必ずといってよいほど色ズレがあるものなのですが、この豆本には認められません。木版摺りではないのかもしれません。

 定価は1銭でこれ以前に出版されていた木版摺りだろうとおもわれる豆本は1銭5厘でしたから、値下げになっています。物価は上がっているのに安価で手に入るようになっています。印刷工程の変化によるためではないかとも推察されます。

 お玉の初恋が成就し、玉のような男子を授かり、一家親類栄えるという
誠にめでたいお噺でありました。


裏表紙。






2020年4月30日木曜日

豆本 きつねの嫁入 その12




 P.10

(読み)
たまのよふなるなんし
たまのようなるだんし

多んじやう阿り
たんじょうあり

於やこともむしけ
おやこともむしけ

ちにミちのうれ
ちのみちのうれ

いなく春こ
いなくすこ

やか尓ひたち
やかにひだち

个る由へそのよろこび?ふ
けるゆえそのよろこび?う

か多なら春゛一 家しんるいさ可い
かたならず いっかしんるいさかい

个るこそめで多しゝゝ
けるこそめでたしめでたしめでたし



(大意)
玉のような男子が誕生しました。
親子ともに(赤ちゃんには)虫家や
(母親には)血の道の心配はなく
健やかに(産後の)肥立ちも心配はありませんでしたので
その喜びようは大変なものでありました。
一家親類栄えることこそ、めでたしめでたしめでたし



(補足)
 最後のページはめでたしめでたしめでたしで終わるのがお決まりですが、
ここはなんと読むのだろうとちっともめでたくはありません。

一行目のふたつの「な」は現在とほとんど同じ。「なんし」と読めても意味が不明ですが、読み進めると「男子」だろうとわかります。4行目の「な」も現在と同じ。

「たまのよふなる」では平仮名「た」ですが、その左側では変体仮名「多」です。
そして「多んじやう」の次が「た」にも「な」にも見えますが「阿」(あ)でした。

「おやことも」の出だしも悩みます。変体仮名「於」のようにみえます。

「むしけ」(虫家)、「む」がこれまた悩む。

「そのよろこび?ふか多なら春゛」、ここが一番悩みました。
「か多なら春゛」は「一方(ひとかた)ならず」の「一」が省略されていると荒っぽく判断すれば意味は通じます。そうすると「?」は「や」としたいのですが、そうは読めません。
変体仮名「个」にも似てますが、この豆本で出てきた「个」はたいてい「个る」の例が多く、また字体も小さい。うーん、わかりませんでした。

「一家」(いっか)、これは漢字。平仮名ばかりで悩んでいるところへいきなり漢字が出てくるとこれまた一瞬悩むんです。

「しんるい」、「るい」が「ゑ」に見えてしまいます。
「さ可い个る」、「さ」の一画目「一」が弱いので「と」のようにも見えてしまう。
「めで多し」、「め」の一画目の逆「ノ」があるかないかですが、最後のお約束言葉なので「め」。


 新婚さんホヤホヤだからでしょうか、お玉さんは振り袖です。
表は渋い青で落ち着きさを、でも内側は赤と黄色で若さをと粋ですね。





2020年4月29日水曜日

豆本 きつねの嫁入 その11




 P.9

(読み)
里やうしん
りょうしん

うひまごの
ういまごの

か本ミること
かおみること

をたのしミ
をたのしみ

し尓者や
しにはや

りん个゛つ
りんげ つ 

となり
となり

志ゆひ
しゅび

よく
よく



(大意)
両親は初孫(ういまご)の顔を見ることを
楽しみにしていたところ、
早くも臨月となり、首尾よく



(補足)
「里やうしん」、この「里」は以前にも出てきました。
「か本ミること」(かお)、いつもなら「か」は例外なく「可」なのですが。「こ」の真ん中に
「丶」があって「ミ」に見えますが、その上の「ミ」を見ると、「そ」のようにつながってます。
「者や」(はや)、「は」が小さいのでちょっと悩みます。
「志ゆひよく」、その前の「りん个゛つとなり」につながり「なり志ゆひ」(なりしゆへ)のように読んでしまいそうです。

 文章全体の筆跡は今までと特に変わることはないのですが、めでたい婚礼の席のせいか、女性が書いたような感じの手跡です。



P8P9見開き。



 絵全体の色合いがやさしく渋くもありほんのりと明るくもありめでたい席にぴったりです。
屏風で丸く囲って、四角が基本の和室の対比でおしゃれです。

松の盆栽もその台の脚が凝ってます。

白無垢姿のお玉さん、おもいかなって三三九度の盃が・・・。よかったよかった。
白無垢なので白一色、描きにくいとおもうのですが輪郭線を水色で際立たせています。



2020年4月28日火曜日

豆本 きつねの嫁入 その10




 P.8

(読み)
者やの??
はやの??

のいわ多 又
のいわた

又 ?び?春
  おび?す

きた
きた

れバ
れば


(大意)
早くも(望みの)岩田帯を
巻く頃となり


(補足)
一行目、見た目どおりは「者やのつこく」ですが、「のつこく」が、資料によれば「のそみ」と読めるのだそうです。いろいろ調べてみてもわかりません。お手上げであります。降参。

「いわ多」、いままでは「わ」は変体仮名「王」でしたが、この「わ」は「和」のようです。

「又」は記号「☓」の上に「一」です。

「於び」(おび)、くずし字辞書で「於」を調べても、あまり似てません。
この直後の「山」に見える字が「も」なのだそうですが、「も」のいろいろな変体仮名を調べ尽くしても「山」のようなものはありませんでした。

 たった4,5行に手も足もでません。

読めなかったときは、わかるところだけをつないでいって、あとは類推するしかありません。


2020年4月27日月曜日

豆本 きつねの嫁入 その9




 P.7

(読み)
おたまハ
おたまは

そう者らめ
そうはらめ

ミとなりし
みとなりし

由い里やう
ゆいりょう

しんハ
しんは

さらなり
さらなり

可ないのものも
かないのものも

おふき尓よろ
おうきによろ

こびふうふの
こびふうふの

中 もむつましく
なかもむつまじく



(大意)
お玉はすぐに身ごもりましたので
両親はもとより家内の者たちも
大変に喜びました。
夫婦の仲も睦まじいものでありました。



(補足)
 一行目はとても読みやすくこのままスラスラすすめるかとおもいきや、なかなかやっかいです。

「そう者らめ」、読めませんでした。「そ」と変体仮名「者」(は)がほとんど同じ形です。「そ」の一画目の逆「く」の部分が左に傾いていてわかりずらい。「た」に見えます。

「由い」、(ゆへ)ですが、「ゆい」ともいうのでしょうか、わかりません。
「里やうしん」、「里」が読めませんでした。
「可ないのものも」、二番目の「の」がすぐ左側の「よ」とほとんど同じ形です。
「おふき尓」、この「尓」は筆記体の「y」。
「むつましく」、「む」が難。

 先頭の提灯の家紋がどこかでみたようなと前をたどってみると、表紙の錦絵の男の右胸にある白い紋所と同じようです。宝珠の紋でしょうか?


P6P7見開き



 見開きで眺めると一層華やかです。
婚礼輿入れの慶事にケチをつけてはひんしゅくですが、
雨がちょっと降りすぎかなぁ・・・
これじゃぁきつねの嫁入りじゃなくなっちゃいます。

 籠横にお供をする女性の着物姿、腰から下をゆるい「く」の字に描いています。
和服着物姿の女性を描くときの定石でしょう。



2020年4月26日日曜日

豆本 きつねの嫁入 その8




 P.6

(読み)
さんゝ
さんさん

くど尓
くどに

さ可つき
さかつき

ことも
ことも

すミ
すみ

なこふ
なこう

どハよひの
どはよいの

うちと者や
うちとはや

おひらきと
おひらきと

なり尓个る
なりにける



(大意)
三三九度に盃事も済み、
仲人は宵の内にと早くも
お開きとなりました。


(補足)
 まさにきつねの嫁入り、
質素ながらも青畳のような蓬色の品のある籠にお供の者たちのなんと幸せそうな顔かおカオ・・・

 天気雨や、晴れの中にさぁ〜っと通りすぎるような雨を「きつねの嫁入り」と呼びますが、この雨の描き方もいいですねぇ。

 浮世絵には雨の情景を描いた名作がたくさんありますが、この豆本の雨もいけてます。
雨を描くなんて、その表現描写に恐れ入ります。
青と黒で降り落ちる軌跡を並行にしないところがミソかな。
ちょっと降りすぎているような気がしないでもないけど。

 前頁の終わりの文章は「さんゝ」でしたが、この頁ではその「さんゝ」をもう一度繰り返しています。慶事の婚姻なので「さんゝ」と「九度」を離してしまっては、縁起でもないので再度繰り返しているのでしょう。


「くど尓」、「と」と「尓」がつながっています。
「ことも」、この「こと」は合字になっていて、これで一文字扱い。


2020年4月25日土曜日

豆本 きつねの嫁入 その7




 P.5

(読み)
由いのふ
ゆいのう

おとり 可ハし
おとり かわし

大 吉 日 を
だいきちじつを

ゑらひ
えらひ

古しいれ
こしいれ

ありてさんゝ
ありてさんさん


(大意)
結納を取り交わし、
大吉日を選んで輿入れをしました。
三々(九度)


(補足)
「おとり可ハし」、「と」の一画目の右側に「丶」があり、そのために「ハ」に見えてしまいました。「可」が「め」に見えて、読めません。

「古しいれ」、久しぶりに変体仮名「古」、悩みます。

 白兵衛とお供の者も正装です。
お供の肩に掛けているものは、婚礼祝定番の鰹節でしょうか。


 P4P5見開き。



 障子の赤い部分は堅桟(たてさん)下桟(しもさん)中桟(なかさん)の名称があるようですが、ここはきっと赤漆でしょう。黄色い部分は腰板(こしいた)、部材はなんでしょう?

 特に派手なこともないお祝いの訪いの光景ですが、隅々まで丁寧に描きこまれています。


2020年4月24日金曜日

豆本 きつねの嫁入 その6




 P.4

(読み)
志可らハ
しからば

さつそく
さっそく

たまゑも
たまえも

んの可多へ
んおかたへ

こんいん
こんいん

のそうだん
のそうだん

せんと☓
せんと


☓ひと
 ひと

もつて
もって

いゝいれ
いいいれ

し尓さつ
しにさっ

そくそう
そくそう

だんとゝの
だんととの

い吉 日 を
いきちじつを

いらミて
いらみて

そう者う
そうほう


(大意)
ならばと早速に、玉右衛門方へ婚姻の相談を
人を介して行いましたところ、すぐに相談が整い
吉日を選んで双方


(補足)
 特に込み入ったお話ではないのですが、字面ばかりに注意を向けていると、
それに登場人物?が狐ばかりで、顔が皆同じで区別がつきません。
その上、衣装も上等で皆似ています。

 尻尾玉右衛門には息子に白太郎がいます。
また、白狐屋白兵衛には16になる娘お玉がいます。
このお玉があるとき白太郎を見初めます。
白兵衛は娘お玉の気持ちを察し、人を介して玉右衛門宅に婚姻の相談を遣わせます。
というのが、ここまでの内容になります。


「志可らハ」、「ハ」は問題なくわかりますが、「可」が通常より大きくて「ら」とのつながりがわかりずらく、「ら」もとらえにく。

「んの可多へ」、「可多へ」の区切りが悩みます。変体仮名「多」は「さ」の横棒を除いた形ですが、左にカーブしているところが左下に傾いてしまって、パッと見た目は「くく」です。

「いゝいれ」、(つゝいれ)ではありません。
「いらミて」、(えらみて)。「えらむ」は「選みて」。


 白兵衛の使者を迎えているのは玉右衛門、婚礼のことなので羽織袴姿で上機嫌です。
上がり框とその部屋への壁の板や障子の桟には黒線で立体感を出しています。




2020年4月23日木曜日

豆本 きつねの嫁入 その5




 P.3

(読み)
そと尓
そとに

阿らハ
あらわ

礼个る
れける

志ろ
しろ

べいも
べいも

ひそ
ひぞ

うむ
うむ

春め
すめ

のこと由へ大 き
のことゆえおおき

尓こゝろを?[上へ]
にこころを

[下ゟ]
いためだんゝ
いためだんだん

このやふ春を
このようすを

さぐりしりて
さぐりしりて



(大意)
外目(そとめ)にもあらわれてきました。
白兵衛も秘蔵娘のことなので大いに心を痛め
少しずつ(娘の)様子を調べ知ることができました。


(補足)
 読みにくいところがたくさん出てきてしまいました。

「阿らハ」、「阿」(あ)はよくでてきます。

三行目行頭の「?个る」、「れ」のはずですが、変体仮名「連」「礼」「麗」などのうちどれでしょうか。アレコレしらべても判然としません。
普段出てくる「連」のような気もしますが、ここは「礼」としました。

「志ろべいも」、「志」も「も」もわかりずらい。

「ひそうむ春め」、「う」「可」「ら」は注意が必要。「春」は「十」+「て」のような形。

「こゝろを?」、「こゝろ」のつながりが難しい。

「?」部分は、拡大してみると、この狭い部分に「上へ」と記入しようとしたものの無理なので
横書き[上へ]としたのではないでしょうか。なお「上へ」は一行一文字なので右から左へ読みます。

[下ゟ]、拡大すると、「ゟ」のように見えます。

「だんゝ」、変体仮名「多゛」ではなく、「だ」になっているのが新鮮。
「やふ春」、様子。

 渋い襖の向こうに頭に赤いリボンなどつけちゃって、ニコニコ顔の娘さん、恥ずかしそうに体をよじっている感じ(ニジニジ感)が心憎い。隠れている左手の指先は畳の目を数えていそう。

 襖の手前、あちらにいる娘がと左手で指ししめしている狐さんは濃紺羽織の正装。


P2P3見開き。



 床の間上座で火箸に両手をのせくつろぎの様子の旦那さん狐、朗らかな笑顔です。
この火鉢は木製のようです。
炭が赤くなっているのも描かれています。
お金持ちのお座敷です。


2020年4月22日水曜日

豆本 きつねの嫁入 その4




 P.2下段

(読み)
□しろたろふと
  しろたろうと

いふをミそめお
いうをみそめお

なことうまれ
なごとうまれ

し可ひある
しかひある

ならあ
ならあ

阿いふとの
あいうとの

ごとそいた
ごとそいた

いとこゝろ
いとこころ

尓王春るゝ
にわするる

ひまもなくそのいろ
ひまもなくそのいろ



(大意)
白太郎という(若者)を見初めて、
おなごと生まれたからには、あのような殿御に
添いとげたいと、心に忘れる時もありませんでした。
そのためその様子が、


(補足)
 下段の方は上段よりまぁ読みやすい。

「しろたろふ」、同じ「ろ」でも違って見えます。あとの「ろ」は「ら」かともおもってしまいますが、5行目の「ら」と比べると明らかに異なってます。
「いふ」、一文字のように見えますが、「いふ」です。
「あ阿いふとのごと」、「あ阿」の変体仮名の使い方の妙。
「こゝろ尓」、「こ」の中に「丶」が入ってしまっていて、何の文字かと悩む。
「尓王春るゝ」、「るゝ」はこれだけだとわかりませんが、前後のつながりで読めました。

前回「ひ」で悩んだことを書きました。
ここでも「ひ」が4行目と最後の行に出てきてますが、現在と同じ「ひ」です。

 ふと思い出したことがあり、調べてみるとやはりそうでした。
東京に鳥料理、特に軍鶏料理で有名な老舗「玉ひで」というお店があります。
看板は「玉飛天゛」なのですが、この「飛」が変体仮名でかかれています。



天に向かって飛ぶとは儲かりそうで縁起がいい。

 街には変体仮名で書かれた看板が意外とたくさんあります。
お蕎麦屋さんも、「楚盤」が変体仮名になってますし、他にも探してみるのも面白そうです。

2020年4月21日火曜日

豆本 きつねの嫁入 その3




 P.2上段

(読み)
飛や こや
ひゃっこや

志ろべいと
しろべいと

いふものゝ
いうものの

武春め尓
むすめに

お多まと
おたまと

いふへつぴ
いうべっぴ

んとしハ
んとしは

ニハの者な
にはちのはな

ざ可りいつし可□
ざかりいつしか□



(大意)
白狐屋(ひゃっこや)白兵衛(しろべえ)という者の
娘にお玉という別嬪(べっぴん)がいました。
年は二八の花盛り。いつしか


(補足)
 スラスラ読めるかとおもうと、つっかえつっかえ確かめながらでないと
先にすすめないところがたくさん出てきます。

本当に当時(この豆本は明治18年刊)、若年層の方々は誰にも頼ることなく
読むことができたのでしょうか。
それとも、そばの兄弟や大人に「ここはなんてよむの」ときき、楽しんだのでしょうか。

「飛やこや」、出だしからはたと目が点になってしまいました。
出だしは「ひ」に似ているけど、一画目が違います。調べると変体仮名「飛」でした。
読めたとしても「ひやこや」って何だ?
次の行に「志ろべい」(しろべい)と続くので、どうやら人の名前?と理解して、
ようやく「白狐屋白兵衛」だろうとたどりついた次第。

次の難題は4行目。
一文字目が一行目の「ひ」に似ているけど、どうも違う。
二文字目は 「十」+「て」 のようなので「す」(春)でしょう。
続けて読むと「ひすめに」となって変です。
「む」ではないかと推理して、変体仮名を調べるとありました、「武」です。

で、次は6行目、7行目。
「いふへつぴん」、「いふ」は「言う」として、「へつぴん」って何だ?
「ひ」に半濁点の○がついて「pi」の発音になりますが、半濁点は珍しい。
「へ」の濁点「゛」が省略されることはよくあるので、
これも次の行に読みすすめてみると「別嬪」(べっぴん)だろうことが
やっとわかったつもりになりました。

「としハ二八の者なざ可り」、「とし」がそれほどかすれているわけでもないのに、読みづらい。
この部分は、落語などに出てくる決まり文句だな。「二」✕「八」で十六歳ってわけだ。
落語じゃ二八蕎麦の方が頻繁に出てきます。
これはうどん粉そば粉の割合ですが、当時のかけそばの値段十六文にひっかけてそう。

行末の□は、同じ頁内で文章が飛ぶときの行き先を示す記号で○☓△などいろいろあります。

 機嫌よく娘の縁談についてお話の様子ですが、たった九行を読むのにヒーヒーでした。


2020年4月20日月曜日

豆本 きつねの嫁入 その2




 P.1

(読み)
こゝ尓
ここに

ミめ
みめ




りの
りの

志りを
しりを

たまゑもんといふもの
たまえもんというもの

あり そのせ可゛れに
あり そのせが れに

志ろたろふといふ
しろたろうという

もの阿り こゝに本と
ものあり ここにほど

とふからぬ水 じん
とうからぬすいじん

かもり尓な多゛可き
がもりになだ かき



(大意)
ここ三囲(みめぐり)に尻尾玉右衛門(しりおたまえもん)
という者がおりました。
その倅(せがれ)に白太郎というものがおりました。
ここから程遠くない水神が森に名高い



(補足)
「ミめぐりの」と読めてもサッパリ?
辞書で調べると「三囲神社」が東京都墨田区向島にあることがわかりました。
ネットでさらに調べると、神社のいわれのなかに、「白狐がどこからともなくあらわれ3回回って死んだ」とあり、神社名の由来となったとあります。
ようするに、三囲神社付近に住んでいるところにということ。

 話が始まったばかりのなので、話にでてくる尻尾玉右衛門と白太郎が左下の人なのかどうなのかわかりません。

右上はお嬢さんにお供の女中さんでしょうが、左下の床几に腰掛け右の下駄をぬいでくつろぎ
お嬢さんに見とれているのが白太郎でしょうか。

 扇に和傘はやはり装飾品としては不可欠なようです。


「たまゑもん」、「た」が変体仮名になってません。
「阿り」、「あ」の変体仮名「阿」。

「本と」の次に「へ」のような記号?がありますが、これはなんでしょうか。

「本ととふからぬ」の「ふ」は「う」ですが、「しろたろふ」でも「ふ」が「う」です。旧仮名遣いではこうでしたっけ?

「水神可もり」、この「可」は読めません。



2020年4月19日日曜日

豆本 きつねの嫁入 その1




 表紙

(読み)
きつね能嫁 入
きつねのよめいり


(大意)
きつねの嫁入り


(補足)
 明治18年4月30日。作画者は堤吉兵衛編集、版元も同じ。定価1銭。
同名の「きつねの嫁入り」は前回の村井静馬版もあるのですが、それは後日。

表紙は錦絵摺り付け。
きつねの嫁入りとはあまり関係ない扇を持った男女の構図です。
背景は木の枝ぶりが梅のようなので、上部の丸いものは梅の花でしょうか。
さらにその背景には白線格子模様。
余白がありません。

見返しはなく、「東京図書館蔵」のでかい角印があるのみ。


 いやぁ〜、申し分のない錦絵であります。
男の濃紫の羽織、右袖からは裏生地の赤がのぞいています。紐の色は女の着物と同色。
着物が紺縦縞で、摺るときに上下で濃淡をつけたのか、かすれた具合がこれまたよい。

 豆本レベルでこのできなのですから、当時の画工・作画者の腕、恐るべしであります。

「きつね能」、「の」の変体仮名は「乃」「能」があります。

 毎回のことですが、こんなところにラベルを貼った係員は首です。

表紙と色見本定規。