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2021年7月7日水曜日

豆本 昔咄し婦゛んぶく茶釡 その13

P13

(読み)

あ可め本こらを

あがめほこらを


多ていと多いせつ尓

たていとたいせつに


とうとミ个る

とうとみける


めで多し\/\/

めでたしめでたしめでたし


御届明治一九年九月廿九日

日本橋區馬喰町二丁目十四バンチ

編輯兼

出版人 綱島亀吉

定價弐銭

(大意)

崇(あが)め祠(ほこら)を

建て大変に大切に

敬って大事にしました。

めでたしめでたしめでたし

以下略

(補足)

当時の平仮名「あ」は現在のものと形が少し異なって「お」の「ヽ」をとったような形です。

「とうとミ」、2行前の「本こらを」の「こ」と、ここのふたつの「と」がまぎらわしい。「尊ぶ」(とうとぶ)とは、最初気づきませんでした。

 漢字は象形文字から出発していますから、さらに進んで意匠化しやすくここでも「文福大明神」は好き勝手に変形されています。

P12P13見開き

 山の千両箱を背に抱えることができれば、誰でも日に何度も手を合わせるとおもいます。幸せそう。

裏表紙

これは茶釜を上からみたところの意匠でしょう。おしゃれです。

 

2021年7月6日火曜日

豆本 昔咄し婦゛んぶく茶釡 その12

P12

(読み)

[つゞき]くら奈ぞ

 つづき くらなぞ


めて多くさ

めてたくさ


可へちや可゛満

かえちゃが ま


をぶんふく

をぶんふく


多゛いめ与うし゛んと

だいみょう じ んと


(大意)

[つづき]蔵など(たてて)

めでたく栄え

茶釜を文福大明神と

(補足)

 夫婦で文福大明神茶釜に手を合わせ感謝しているの図。背後には千両箱が山なりです。床がぬけそう。文章に難しいところはなさそうです。

 

2021年7月5日月曜日

豆本 昔咄し婦゛んぶく茶釡 その11

P11

(読み)

◇まい日\/

 まいにちまいにち


ゑいとう\/

えいとうえいとう


大いり くんじ由

おおいりぐんしゅう


奈し个るま多

なしけるまた


大 めう 可゛多尓めされ

だいみょうが たにめされ


奈ぞしてお本起尓

なぞしておおきに


可年もうけを

かねもうけを


奈しりつ者゜に

なしりっぱ に


ふしんをし

ふしんをし


[つゞく]


(大意)

毎日毎日

見物人が大勢つめかけ

大入りとなり賑わいました。

また大名がたにお招きなったりして

大いに金儲けをして

立派に普請をし

(補足)

「ゑいとう」、辞書には『興行などで,見物人が大勢つめかけるさま。また,劇場などで,大入りを願う口上の言葉。「東西東西,―,―」「四季に絶せぬ見物は―,―又―」〈洒落本・当世気とり草〉』とありました。

「くんじ由」、群衆(ぐんしゅう)のことだとおもうのですが読み間違いかも。

「可年」、「子」のようにみえるのは変体仮名「年」(ね)。くずし字は「◯」に「ヽ」のようなかたち。「もうけを」、ここでは平仮名「け」、変体仮名「个留」(ける)は習慣で以前の表記のままなのでしょう。

「りつ者゜」、半濁音の「◯」がとてもはっきり立派であります。

P10P11見開き

 ここの場面は舞台ではないので、大名家にお招きになったときの座でしょう。髪型はきっと大名家の奥方のもでしょうし、着物柄も一人ひとりことなっています。

 

2021年7月4日日曜日

豆本 昔咄し婦゛んぶく茶釡 その10

P10

P10P11見開き

(読み)

[つゞき]

やしハその

やしはその


ちや可゛満をミせ

ちゃが まをみせ


もの尓多゛し个る尓

ものにだ しけるに


江戸ぢ うの

えどじゅうの


ひやう者゛んと

ひょうば んと


奈り个る尓◇

なりけるに


(大意)

つづき

香具師(やし)はその

茶釜を見世物に出したところ

江戸中の評判となりました。

(補足)

「(や)しハ」「ひ(や)う者゛ん」、「ち(や)可゛満を」、「や」のかたちに注意です。

変体仮名「个」(け)は「々」のようなかたち。

最後の手裏剣のような印は「合印」(あいいん)、同じ印のところへつづきます。

 猿回しならぬたぬき回し。右手に指示棒、左手にリード、右脇には小太鼓があります。猿回しでは芸のつなぎで胸を張って直立姿勢をとるところがありますが、この場面も同じです。たぬきは精一杯胸を張りからだをそらしきっています。その背には古めかしい茶釜、これが主役でしょう。尻尾が愛らしい。

 今回はP11ものせました。頑張って読んでみてください。


2021年7月3日土曜日

豆本 昔咄し婦゛んぶく茶釡 その9

P9

(読み)

与りきん志与のやしを

よりきんじょのやしを


与びそのちや可゛満を

よびそのちゃが まを


うり

うり


者ら

はら


ひし可゛

いしが


[つぎへ]

 つぎへ


(大意)

その後、近所の香具師(やし)を

呼び、その茶釜を

売り払いました。

(補足)

 近所(きんじょ)を「きん志与」と変体仮名にして、香具師(やし)を「や志」としない、使い分けがいつものことながらわかりません。

綱渡りしているたぬきは貴族の衣装、緑色の衣服を「袍(ほう)」というらしいですが、柄は茶釜のようです。

P8P9見開き

 たぬきはなんと下駄で綱渡りしています。綱渡りに扇と傘は必需品。見開き中央を斜めに綱が横切り、左上に主役のたぬき、右下に口上を述べる香具師と観客と上手い構図です。傘は裏を少し見せるだけ。たぬきの尻尾がのぞいています。

 

2021年7月2日金曜日

豆本 昔咄し婦゛んぶく茶釡 その8

P8

(読み)

[つゞき]

可い

かい


とりしちや

とりしちゃ


可゛満尓て

が まにて


あし可゛者へる

あしが はえる


尓きもを

にきもを


つぶしそれ

つぶしそれ

(大意)

買取った

茶釜に

脚が生えているのに

肝をつぶし

(補足)

 文章に難しいところはなさそうです。

舞台で香具師(やし)がたぬきの綱渡りの口上をしているところ。扇を逆さに持って指示棒代わりにするんですね。

 

2021年7月1日木曜日

豆本 昔咄し婦゛んぶく茶釡 その7

P7

(読み)

まくらもと尓

まくらもとに


ものをこ春る□

ものをこする


□由へめを

 ゆえめを


さ満してミれ

さましてみれ


バもりんじ尓て[つぎへ]

ばもりんじにて

(大意)

枕元に

物をこする(音がする)

ので目を

覚ましてみれ

ば茂林寺で

(補足)

 屑屋のいなせな兄さん、寝床から太腿あらわに寝乱れた姿を生々しく描くところがこれまたうまい。行灯も前後の上げ下げする部分がいかにも普段使っているままにしてあるところがこれまた細かい。ついたての破れ具合やふすまの傷み傷なども描いて生活感がにじみ出ています。

P6P7見開き

 夜中に目が覚め、何だこりゃと驚いて見つめる先には夢遊病者のように両手を水平にして歩くたぬき、背中に茶釜をしょってます。夜中ですけど色調は明るい。

 

2021年6月30日水曜日

豆本 昔咄し婦゛んぶく茶釡 その6

P6

(読み)

[つゞき]

 つづき


く春やを

くずやを


与び一 者尓

よびいっぱに


うり王多し

うりわたし


それより

それより


く春゛やうちへ

くず やうちへ


もどりて

もどりて


禰多る

ねたる


ところ

ところ


与奈可

よなか


ごろ尓

ごろに


(大意)

屑屋を

呼び真っ先に

売り渡し

それから

屑屋は家へ

戻って

寝たのですが

夜中頃に


(補足)

「一者」がわかりません。いちはな(一端)が「いっぱ」と読めなくもありません。文章のながれから、「すぐに」「真っ先に」ですので、このようにしましたが、さて?

文章はくっきりはっきりでかすれもなく読みやすい。

当時の屑屋さんはこんなに長細い籠をかついでいたようです。担ぎ棒の端にちゃんと籠紐を止める出っ張りがあります、細かいですね。

 

2021年6月29日火曜日

豆本 昔咄し婦゛んぶく茶釡 その5

P4

P5

P4P5パノラマ

(読み)

P4

ぶんふく

ぶんふく


ちや可満

ちゃがま


てあし可゛

てあしが


者へ可けい

はえかけい


多゛し多る尓

だ したるに


ぢ奈いおゝ

じないおお


さ王起゛

さわぎ


(大意)

ぶんぶく茶釜

手足が生えかけ出てきて

寺内大騒ぎ

(補足)

 いやいや「寺内大騒ぎ」であります。箒をもったお弟子さんは腰巻きスカート(裙子)振り乱し太腿があらわ。どの登場人物も同じ動きがありません。読者はキャァキャァ大騒ぎしたでしょう。逃げ回るたぬきは茶釜が前掛けのよう。

 

2021年6月28日月曜日

豆本 昔咄し婦゛んぶく茶釡 その4

P3

(読み)

与びミせ个れバ

よびみせければ


お本起尓おどろ

おおきにおどろ


き者やく

きはやく


うり

うり


者ら

はら


者んと

はんと


でいり

でいり


の[つぎへ]


(大意)

呼び見せたところ

ひどく驚き

早く売り払おうと

出入りの


(補足)

「个れバ」、変体仮名「个」(け)は「々」のような形。

「者やく」「者ら者んと」、変体仮名「者」(は)が続きます。

棒をもって構えているお坊さんの黒いミニスカート(一休さんの衣装)みたいのは調べてみたら、腰衣(こしごろも)とあり裙子(くんし)ともありました。

P2P3見開き

 P2の棒手振りのお兄さんは屑屋(くずや)さんのようでした。白衣(はくえ)を着ている坊さんの右手をよく見ると、こっちへと人差し指で示しているようです。お寺の塀の中の樹木を大雑把に描いているのは簡単そうだけど腕の見せ所?両ページの地面の色が違ってしまいましたけど、気にしてないようです。

 

2021年6月27日日曜日

豆本 昔咄し婦゛んぶく茶釡 その3

P2

(読み)

せんとうの

せんとうの


ちや可満

ちゃがま


をいろり尓●

をいろりに


●可けおく尓

 かけおくに


ちや可゛満

ちゃが ま


尓志つ

にしっ


本可゛者へ※

ぽが はえ


※たる

 たる


尓お志やう

におしょう


おどろ起そ

おどろきそ


れ与りでしを

れよりでしを


(大意)

せんとうの茶釜

を囲炉裏に

かけておいたところ

茶釜に尻尾がはえたので

和尚は驚いて

すぐに弟子を


(補足)

「せんとうの」の意味がわかりません。読みを間違えた?

 棒手振りのおにいさんいなせだねぇって声をかけられたのかニコニコ顔。縦長のザルが目新しい。前の籠から細長い棒が見えるのは天秤か。「棒手振り 籠」で検索すると江戸時代後期や明治時代の写真がたくさん見つかります。わたしも子どものころ包丁研ぎやさんやら金魚売りやら魚屋さんなど棒手振りを日常に見て育ちました。

 

2021年6月26日土曜日

豆本 昔咄し婦゛んぶく茶釡 その2

P1

(読み)

明治十九年十一月廿四日内務省交付1653

む可し\/ もりんじ尓

むかしむかしもりんじに


と志ふるちや可゛満

としふるちゃが ま


あり个る?可゛ある

ありける?が ある


と起ぢ うし

ときじゅうじ


ちやの由を

ちゃのゆを


(大意)

昔々茂林寺に

古めかしい茶釜

がありました。?ある

とき住職が

茶の湯を

(補足)

 背景の青に重なっている部分がよくわかりません。この手のでだしは「むかし\/」ときまっているので、先頭の文字はかすれてよくわからないのですが、「む」の片鱗があります。

「も」のここの筆順は漢数字の「五」のくずし字とにています。

「ぢうし」、住持。「じ」は「寺」かとおもいきや「持」、もっとも「寺」が入ってますけど。

「ちやの由を」、3行前の「や」とこの「由」を比べると、にていてよく間違えてしまいます。「由」のほうは、中の縦棒がぐにゃぐにゃと曲がります。

 たぬきが熱くって変身中、住職はなぜか朗らかに笑顔。柱を画面のど真ん中に配置しているのは浮世絵や錦絵でもおなじみの構図。そのうしろには柿がたわわに実っています。

 

2021年6月25日金曜日

豆本 昔咄し婦゛んぶく茶釡 その1

表紙

見返し部分(表紙裏)

(読み)

昔  咄 し婦゛んぶく茶 釜

むかしばなしぶ んぶくちゃがま


綱 島 藏 版

つなしまぞうはん


東 京  図書 館 印 TOKIO LIBRARY

とうきょうとしょかんいん

(大意)

(補足)

 わたしの日本語変換では「話」も「噺」もでるのですが「咄」は(はなし)では出てくれません。(とっさ)で変換すると「咄嗟」と目当ての漢字がでました。「ふ」が変体仮名「婦」となっています。

たぬきは舞台衣装の様子、その隣も指示棒と綱をもっています。何色もの縦横縞の着物が目立ちます。さぁこれから出番だぞっ、気合が入った一場面。

表紙裏(見返し部分)はこのシリーズは何もないのが残念です。朱の印鑑があるのみ。