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2021年3月15日月曜日

豆本 朝比奈萬國めぐり その15

奥付

裏表紙

(読み)

御届明治十八年六月一日

編輯

画工兼出板人

定價壹銭五厘

東京日本橋區

馬喰町二町目七番地

佐藤新太郎

(大意)

(補足)

 明治十三年十二月十日御届で「朝比奈嶋めぐり」が画工竹内栄久・出版人宮田幸助により販売されています。この豆本の約5年前になります。また明治十五年五月廿二日出版御届で編輯兼出版人勝木吉勝が「朝日奈嶋逥り」を販売しています。竹内版の約2年後でその3年後にこの豆本という流れになります。国立国会図書館デジタルアーカイブで朝比奈シリーズの豆本はこの3冊を読むことができますが、もしかしたら他にもあるかもしれません。内容はどれも奇想天外な滑稽本みたいなもので似たりよったりであります。

 次回は残り一冊勝木版を読むことにします。

うっかりです。もう一冊ありました。鎌田在明が明治廿一年十月廿二日出版・著作印刷兼発行してました。なお「幕末明治の豆本総解説加藤康子」P286解説で朝比奈シリーズの詳しい研究内容を読むことができます。


 

2021年3月14日日曜日

豆本 朝比奈萬國めぐり その14

P12

(読み)

志満\゛/

しまじ ま


をめぐり

をめぐり


王可゛志る

わが しる


もとへ

もとへ


可へり

かへり


けり

けり


めで多し

めでたし


\/\/\/\/\/\/\/\/\/

(大意)

島々をめぐり

我が知る元の国へ

帰ってきたのでした。

めでたしめでたし。


(補足)

最後はめでたし\/の大安売り。天狗の鼻をもち、羽根の生えている人の手にしているのは、左手はお酒?、右手は大福帳?、何でしょうね。

 

2021年3月13日土曜日

豆本 朝比奈萬國めぐり その13

P10P11見開き

P10P11竹内版

(読み)

ひとつの志満

ひとつのしま


尓うつり

にうつり


このく尓の

このくにの


ひとハ

ひとは


者年可゛

はねが


者へ

はえ


す起

すき


志゛やう尓

じ ゆうに


志゛ざひ

じ ざい


奈り

なり


それ

それ


より

より


者んこくへ

ばんこくへ


王多り

わたり


(大意)

ひとつの島に移りました。

この国の人は羽根が生え

(すきじょうに)自在でした。

それから万国へ渡り


(補足)

 この頁の絵は女人島。他の頁に比べると文字も画も比較的鮮明です。建物もビシッと描かれています。色使いもにぎやか。

変体仮名「年」(ね)は「Q」のように◯に丶。

大意のところで括弧書きにしたところが不明です。羽根が生えて自由自在に空を飛べるということなんですけど。

 

2021年3月12日金曜日

豆本 朝比奈萬國めぐり その12

P8P9見開き

(読み)

あさひ

あさひ


奈ハ

なは


ごくの

ごくの


おん奈

おんな


きらい

きらい


奈れバ

なれば


そう\/

そうそう


このく尓

このくに


を多ち

をたち


のき

のき


また

また


(大意)

朝比奈は極めて女嫌いなので

はやばやとこの国を立ち退きました。

また、

(補足)

「ごく」を「極めて」と理解しましたが、さて?

4人の穴あき人間、一番右側は穴の向こうの海の青を色忘れしてしまいました。腹に穴が空いていると、腹に据えかねたり、腹の読まれたり、腹が立ったり、腹の中を読み合ったり、腹の虫がおさまらなかったり、腹を痛めたり・・・がなくて平和な国かもしれません。

 

2021年3月11日木曜日

豆本 朝比奈萬國めぐり その11

P7

P6P7見開き

(読み)

おとこめづら

おとこめずら


志くおもひ

しくおもい


奈可゛らこの

な がらこの


く尓者おとこ

くにはおとこ


のたねをのこ

のたねをのこ


さんとあさ

さんとあさ


ひ奈をひき

ひなをひき


とゞめる

とどめる


(大意)

男が珍しくおもいながら

この国に男の種を残そうと

朝比奈を引きとどめました。


(補足)

 この頁は竹内版のほうが読みにくい。

「このく尓者おとこ」、変体仮名「者」(ハ)だとはおもうのですが・・・

当時の火消しの様子がわかります。水をかける竜吐水というポンプみたいのが江戸後期にはありましたが、ほとんど役に立つことはなく、火消しは延焼を防ぐため家を壊すのが役割でした。ここでも水はでてきません。なんかのほほんとして愉快な画です。

 

2021年3月10日水曜日

豆本 朝比奈萬國めぐり その10

P6

P6P7竹内版

(読み)

阿奈の奈可へ

あなのなかへ


本゛うをとふし

ぼ うをとうし


可つぎあるく

かつぎあるく


ま多可ひもの

またかいもの


奈ど尓ハミ奈

などにはみな


あ奈の奈可へ

あなのなかへ


い連あるく

いれあるく


あさひ奈ハ

あさひなは


おん奈

おんな


志゛満へ

し゛まへ


つ起け連バ

つきければ


おん奈ども

おんなども


(大意)

穴の中へ棒を通し

かつぎ歩いていました。

また、買い物などには皆、穴の中へ

入れて歩いていました。

朝比奈は女島へつき

女たちは


(補足)

この頁の文章は佐藤新太郎版でも一部かすれはありますが読むことができます。ここの画は小人島のできごと。

「阿奈」、「あ奈」、変体仮名か平仮名か、どちらをつかうかは気分次第。

右下家屋の屋根部分が佐藤新太郎版では線の本数が少ないのに気づきました。左側の窓枠も異なっています。どうやら竹内版豆本を正確に写しとったものであるようです。同じ版木ではありませんでした。

 

2021年3月9日火曜日

豆本 朝比奈萬國めぐり その9


P5

P4P5竹内版

(読み)

ひとハ

ひとは


者ら尓

はらに


あ奈可゛

あなが


あり

あり


(大意)

人は腹に

穴があり

(補足)

 腹に穴がある人の国の画は次の次の頁になります。

脚が長く手の長さは普通の人が手が長く脚の長さは普通の人をおんぶして魚をとっています。両方長い人はいなさそうです。両方普通の長さなら普通の人と同じ国になってしまうし・・・

 

2021年3月8日月曜日

豆本 朝比奈萬國めぐり その8

P4

P4P5竹内版

(読み)

ところへ志り

ところへしり


を可けた者こ

をかけたばこ


を春ひ

をすい


い多ると起

いたるとき


このく尓

このくに


のひと

のひと


けむりを

けむりを


ミてくハし

みてか じ


とおもひ

とおもい


ミ奈\/

みなみな


多ちさハぐ

たちさわぐ


このく尓の

このくにの


(大意)

ところへ腰掛け

煙草を吸い始めましたところ

この国の人は(煙草の)煙を見て

火事だとおもい

大勢で騒ぎ立てました。

この国の


(補足)

 この頁の画は前頁の手長国のものです。そしてこの頁の文章は次頁の小人の国。

「志りをかけた者こ」、平仮名「か」「た」があり、変体仮名「者」(は)があります。

「ミてくハし゛とおもひ」、前後をとって「くハし゛」だけだと?です。

 

2021年3月7日日曜日

豆本 朝比奈萬國めぐり その7

P3下段

P2P3竹内版

(読み)

●尓とう里う

  にとうりゅう


奈しま多ふね

なしまたふね


尓のり

にのり


こびと

こびと


志満へ王多里

しまへわたり


志者゛らく

しば らく


けんふつ奈し

けんぶつなし


あしを

あしを


や春めんとこ多゛可

やすめんとこだ か



(大意)

(この島)に逗留しました。

再び船に乗り小人(こびと)島へ渡り

しばらく見物しました。

脚を休めようと小高い


(補足)

竹内版の文字が硬筆で書いたようにみえるので、くずし方がよくわかります。

読みづらいところはなさそうです。

 

2021年3月6日土曜日

豆本 朝比奈萬國めぐり その6

P3上段

P2P3竹内版

(読み)

ひとての奈可゛き

ひとてのなが き


ひとをせ本い

ひとをせおい


おゝかハ尓

おおかわに


いり

いり


さ可奈を

さかなを


とるこれ

とるこれ


そて奈可

ぞてなが


志満あし奈可゛

しまあしなが


じ満

じま


奈り

なり


あさ

あさ


い奈

ひな


この志満●

このしま


(大意)

(脚の長い)人は手の長い人を背負い

大川に入って魚を採っていました。

これぞ手長島脚長島でありました。

朝比奈はこの島(に)


(補足)

変体仮名「可」(か)が意外とやっかいです。小さい「つ」や小さい「り」にみえたり、「う」のようなときもあります。

「じま」、ここの「じ」は16部音符のよう。

「あさいな」、「ひ」と彫るつもりが「い」としてしまったか?

この頁の画は前頁の頭が犬の国のはなしです。

画は弟子の又その弟子が描いたようで稚拙。

 

2021年3月5日金曜日

豆本 朝比奈萬國めぐり その5

P2

P2竹内版

(読み)

ま多\/ふ年尓

またまたふねに


のり志とつの(しとつの?)

のりしとつの


志満尓王多り

しまにわたり


ミれバ

みれば


この

この


く尓の

くにの


ひと

ひと


あしの

あしの


奈可゛き

なが き


こと尓

ことに


志やうあ満り

しょうあまり


ま多里んごくの

またりんごくの


ひとハミ奈ふねの●

ひとはみなふねの


●奈可ささん个゛ん

  ながささんげ ん


あ満りあしの

あまりあしの


な可゛き

なが き


(大意)

ふたたび船に乗り

ひとつの島に渡りましたところ、

ここの国の人の脚の長さは二丈あまりありました。

また隣国の人はみな船の長さが三間あまりあり、

脚の長い(人は)


(補足)

 佐藤新太郎版は読みにくいので竹内版を読みます。

「ふ年尓」、変体仮名「年」(ね)は古文書でもここの形が標準です。◯に右側or右下に丶です。

「志とつの」、文章のつながりから「ひとつの」と読みました。間違っているかもしれません。竹内栄久はしとひの区別がつかない江戸っ子だったとしても文章にしてまでもそうするかなぁ。

「あしの」、やたらにでかい「し」もあれば、ここのように上からつながってちいさい「し」もあります。わかりずらい。

「尓志やうあ満り」、読みは「二ショウ」で間違いないはずですが、これは体積の単位です。なので濁点がないのはよくあることなので「二丈」、一丈は十尺です。このあとにも「ふねの奈可ささん个゛んあ満り」と「三間」という長さの単位がでてきます。一間は六尺。

 朝比奈の表情は竹内版では男前美男で理知的にも見えますが、佐藤新太郎版ではひょうきんでちょっと間が抜けたような感じになってしまっています。歌舞伎の化粧と装束そのままです。

 

2021年3月4日木曜日

豆本 朝比奈萬國めぐり その4

P1下段

P1竹内版

(読み)

かしらハいぬ

かしらはいぬ


のごとくもの

のごとくもの


いふこと王可ら

いうことわから


春゛王れ

ず われ


くん

こん


王く

わく


奈り

なり


(大意)

頭は犬のようで

しゃべる言葉はわからず

われわれは困惑しました。

(補足)

 竹内版の鮮明な画があったので読むことができました。

「かしらハ」、平仮名「か」の右の部分が「し」に流れているのでわかりずらい。

変体仮名「王」(わ)が3箇所あります。「已」のような形。

「くん王く」、「く」は「こ」にも見えなくはないですが、その前の行の「こ」と比べると、にていません。

 この話の内容の画は次の頁になります。

 

2021年3月3日水曜日

豆本 朝比奈萬國めぐり その3

P1上段

P1竹内版

(読み)

こゝ尓

ここに


こ者゛

こば


やしの

やしの


あさひ

あさひ


なの者゛ん

なのば ん


こくを

こくを


ミんと

みんと


ふね尓のり多いようを

ふねにのりたいようを


王多りつい尓ひとつの

わたりついにひとつの


志ま尓つきこの

しまにつきこの


ところハ

ところは


奈尓志満と

なにしまと


とへどいつこう

とへどいっこう


ひとのごとく尓て

ひとのごとくにて


(大意)

ここに小林の朝比奈というものが、

万国を見ようと船に乗り大洋を渡り

ついにひとつの島に着きました。

ここは何島というのかと聞いても

少しも答えません。

(かれらは)人のようにみえ


(補足)

 文章はかすれがそこそこあり、読みにくいです。竹内版も参考にして読みます。

変体仮名「者」(は)は平仮名「む」の「丶」をとったもののようにみえます。濁点「゛」がつくと「む」ににてます。

「いつこう」は上から続くのか、下にかかるのかわかりません。

 この豆本も前回「金太郎一代記」と同じで、竹内版の版木をそのまま流用したのか重ねて写したのかはわかりませんがほとんど同一です。版木はふつう出版してしまうと次の作品のために削ってしまいますので、5年間も版木がそのままであったとは考えづらいことです。

船には表紙の朝比奈の着物にあった家紋と同じ、丸に三つ引きがあります。背景の島や空が3色で彩られそれなりに工夫のあとがあります。

 

2021年3月2日火曜日

豆本 朝比奈萬國めぐり その2

見返し

(読み)

朝 比奈 者゛ん古く免ぐり

あさひ奈

あさひな ば んこくめぐり


明治十九年十二月十四日内務省交付1942

東京図書館印

TKIO LIBRARY

(大意)

(補足)

 朝日新聞が本日で1879(明治12)年1月25日の創刊から5万号となったそうです。3号からは1部1銭とありました。この豆本が1銭5厘です。現在の価格で約300円〜500円前後ですから、当時新聞がそれなりに高価なものであったような気がします。

 この見返しはいいですねぇ。遠くにとがった険しい山、沖には帆船が2艘。手前の青と赤色は煙管と煙草入れに見えます。紺色の長いものは刀かそれとも遠眼鏡?

 浜の岩に腰掛け、沖ゆく船を眺めながら、若かりし頃諸国を訪れた国々を思い出しながらのんびり一服でもしているといった趣。

 

2021年3月1日月曜日

豆本 朝比奈萬國めぐり その1

表紙

(読み)

朝比奈萬国めぐり

あさひなばんこくめぐり

(大意)

(補足)

 お伽噺のなかでもちょっと雰囲気の変わったものを読みます。異人変人の国々の旅行記です。これも前回と同じで、出版人宮田幸助・竹内栄久画の「朝比奈嶋めぐり」の版権を買ったとおもわれるものです。2冊を並べてすすめます。

 左手に扇、右手の手のひらには小人をのせて、驚きの表情、手にも顔にも歌舞伎役者のように隈取っています。扇子の白抜きが文字のように見えます。回転させたり反転させたりしましたが読めそうでだめでした。家紋は丸に三つ引き両紋で吉川家(吉川元春(きっかわもとはる))の家紋とありました。

 正月の新本販売日、棚に並べてお客さんの目をひかなければなりません。この表紙なら手にとってくれそうです。といっても正月発売は江戸時代、明治のこの頃はどうだったのでしょうか。