奥付 国立国会図書館蔵
(読み)
明治十八年六月一日
編輯
画工兼出板人
定價壹銭五厘
東京日本橋區
馬喰町二町目七番地
佐藤新太郎
(大意)
略
(補足)
非常に鮮明な文字なので、刷り上がったばかりの初刷を提出したもののようです。本文の絵も鮮やかで当時の技術の高さがわかります。
裏表紙はよくみられる縞柄です。
もしかしたら弟子が直線彫りの練習のためにしたものをそのまま使ったのかもしれません、そんなことないか・・・
奥付 国立国会図書館蔵
(読み)
明治十八年六月一日
編輯
画工兼出板人
定價壹銭五厘
東京日本橋區
馬喰町二町目七番地
佐藤新太郎
(大意)
略
(補足)
非常に鮮明な文字なので、刷り上がったばかりの初刷を提出したもののようです。本文の絵も鮮やかで当時の技術の高さがわかります。
裏表紙はよくみられる縞柄です。
もしかしたら弟子が直線彫りの練習のためにしたものをそのまま使ったのかもしれません、そんなことないか・・・
P12 国立国会図書館蔵
(読み)加賀見山
「志゛びようの
じ びょうの
志やく尓
しゃくに
このま多ゝび
このまたたび
「こども
こども
にやあ
にゃぁ
尓くら志い
にくらしい
(大意)
「持病の癪(しゃく)には
このマタタビを
「こどもには
にくらしい
(補足)
加賀見山の有名な場面、岩藤が自分が履いていた草履で尾上を散々に殴る、ところです。
岩藤の背景の金泥が岩藤を中心に円状になってますが、意識的にしたのでしょうか?
尾上の着物柄が茶色ぶちの子猫のようにもみえます。
岩藤の言葉はよいとして、尾上の「尓くら志い」がわかりません。子どもにはもったいないか?
P10P11 国立国会図書館蔵
(読み)義経千本桜狐忠信
P10
者つ
はつ
尓や
にゃ
おやの
おやの
つゞミ
つづみ
つ可ハ春
つかわす
うへハ
うえは
P11
「このつゞみを
このつづみを
い多ゞくうへハ
いただくうえは
いくさのとき尓
いくさのときに
志本うを
しほうを
尓やもり
にゃもり
(大意)
初音(はつニャ)
親のつづみをつかわす上は
「このつづみをいただく上は
戦のときに
四方を守り(ニャもり)
(補足)
鼓を与えようとしているのが静御前。御前につかえるのが狐忠信で狐が化けています。その狐忠信の父母は捕らえられて鼓の皮にされてしまいました。その鼓が初音の鼓です。
狐忠信の猫のかしこまっている丸まり具合がちょっとユーモラスです。縁側の黒と金の手すりが見事ですけど他のところも丁寧に描きこんでいます。
P8P9 国立国会図書館蔵
(読み)熊谷陣屋
P8
かくもふ春
かくもうす
それ可゛しハ
それが しは
む尓やしの
むにゃしの
く尓やの
くにゃの
志゛う
じゅう
尓ん
にん
P9
くま尓やこの
くまにゃこの
くろねこ
くろねこ
にやぞ△
にゃぞ
△ざ?年
ざ?ね
奈り
なり
しよバ
しよば
王連る
われる
(大意)
かく申すそれがしは
武蔵の国の
住人
熊谷の
黒猫だぞ
???
呼ばわれる
(補足)
P9△のあと「ざ?年奈りし」がわかりません。「ざ年」なら熊谷直実の「ざね」ですけど、「なお」がみあたりません。さて?
左上白幕の柄は源氏の鳩にみえます。
P6P7 国立国会図書館蔵
(読み)義経千本桜道行
可つ
かつ
うをゝ
お を
ひき
ひき
うけ多
うけた
P7
「このくろぶち
このくろぶち
と連る奈ら
とれるなら
とつてミろ
とってみろ
「尓やんと
にゃんと
きひ多り
きいたり
さくらまる
さくらまる
(大意)
カツオを引き受けた
「このくろぶち、
とれるなら
とってみろ
「ニャンときいたり
桜丸
(補足)
「可つうを」は猫の好物、鰹(カツオ)であっているのでしょうか。違っていたら大笑い・・・
言葉の掛け合いのがよく理解できません。歌舞伎に詳しかったらピンとくるのかもしれませんが。
P4P5 国立国会図書館蔵
(読み)鳴神
P4
「ぶち尓ぞ
ぶちにぞ
ぶち
ぶち
ぬ連
ぬれ
つ者゛め
つばめ
きやう
きょう
まちの
まちの
P5
めねこ
めねこ
可よひ
かよい
くるハの
くるわの
おゝ
おお
もんを
もんを
尓やう\/
にゃあにゃあ
おふ多り
おふたり
ま多志やんせい奈ア
またしゃんせいなぁ
(大意)
「ぶち(ねこ)だからってぇ
しっぽり濡れつばめってぇわけかぁ
京町のめ猫にかよい来るは(郭)の
大門を
にゃぁにゃぁ
お二人
またしておくんなさいなぁ
(補足)
左端、竜が滝のぼりをしているようなのが、鳴神のはなしに出てくる、池に封印されていた呪術をがとけ、竜神空にかけのぼるやいなや、一天にわかにかき曇り、大雨となる、水神様でしょうか。
大意は適当です。
「ぶち尓ぞ」、「尓」と「ぞ」のあいだに、「ハ」があるようにみえますけど、よくわかりません。
左の雲の絶間姫(くものたえまひめ)に色仕掛けにしてやられた中央の鳴神上人(なるかみしょうにん)の呪術がとかれてしまい、怒って斬りかかる場面のようです。なかなかにぎやかな絵になっています。
P3 国立国会図書館蔵
P2P3
(読み)
尓やへ
にゃえ
もんどの
もんどの
あハびるけへ
あはびるけへ
い多ゝ起ますべゝ
いただきますべえ
(大意)
にゃ右衛門殿
????家へ
いただきましょう。
(補足)
「あハびるけへ」が?「る」ではなく「奈」ならば、朝比奈家にその子(猫)をもらいましょう、という解釈?よくわかりません。
左の家臣の袴の柄が目を引きます。何を意匠にしたものでしょうか?
背景の壁は金箔貼りのような感じ、天井は青白の格子柄でどちらも手がこんでいます。
P2 国立国会図書館蔵
P2P3
(読み)曽我物
「おやねこ
おやねこ
奈くとも
なくとも
こハ
こは
そ多つ
そだつ
か尓やう
かにゃ
らずそゝう
らずそそう
の奈い
おない
よう尓
ように
(大意)
「親猫なくとも子は育つ
かにゃらず
そそうのないように
(補足)
それぞれの場面が何の狂言なのかサッパリです。「幕末明治の豆本総解説加藤康子」という本があって、そこの解説から引用させてもらっています。
隅から隅までいやらしくあら捜しをしましたが、手抜きなど一切なく実に丁寧な仕事をしています。色ずれはなし。青紫の羽織の紐の結びも細かく描いています。3人(匹)の構図もきまっています。
P1 国立国会図書館蔵
(読み)
P1口上
「きやうげん
きょうげん
尓やう多゛い
にゃ だ い
ま多たび
またたび
とう
とう
志゛やう
じ ょう
さよう
さよう
ちよん
ちょん
\/ \/
ちょんちょん
(大意)
「狂言名題(なだい)
股旅登場
左様
チョンチョンチョン
(補足)
まずは狂言で上演される題名の口上です。マタタビは猫をデレンデレンにしてしまいますが、ここでは股旅ものをやるということでしょうか。それではと拍子木がなります。
「名題」(なだい)は猫風に「にゃ」で、当時の表現では「尓やう」とひっかけたのか。
舞台の客席側に小さな出っ張りがふたつあります。蝋燭台でしょうか。
左下隅に洒落た西洋ハット(パナマ帽子)をかぶったお客さんがいます。この当時のはやりだったのかもしれません。
舞台背景の白抜き文字がわかりません。なんでしょう?
見返し 国立国会図書館蔵
(読み)
明治十九年十二月十四日内務省交付1951
東京圖書館印 TOKIO LIBRARY
(大意)
略
(補足)
色は四色、水彩のタッチです。見返しの絵は不思議です。ひと目見て、はなしの内容とかかわっているな、とおもうものは少なくて、どこか超然とした雰囲気のものが多いです。わたしはそんな見返しのファンです。見返しだけを集めた一冊を作って、Blogにアップしたい。
この絵もなんかつかみどころなさが妙。赤い雲のように見えるのは、神社の軒に飾りで付いているなんていう部材であるかは忘れましたが、それっぽい。そして鈴、これは賽銭箱の上にあるのが落ちてしまったのか。まぁそれじゃ、縁起でもないから違うでしょうけど。
表紙 国立国会図書館蔵
(読み)
猫 の狂 言 づ具し
ねこのきょうげんづくし
(大意)
略
(補足)
国立国会図書館デジタルアーカイブには猫の芝居・狂言ものでは「猫の芝居」(明治18年堤吉兵衛版と明治20年版、明治21年版)、「猫の狂言づくし」(明治18年佐藤新太郎版、明治20年沢久次郎版)「猫のしばい」(明治21年小森宗次郎版)がありダウンロードできます。このBlogでもすでにいくつかアップしていて、まだのものはこれからアップする予定です。
変体仮名「具」(く)はあまり使われることがないような感じですけど、かたちから読むことは難しくなさそう。
表紙は豆本の命ですからもっとしっかりしてなければなりませんが、上辺がかすれて傷んでいるのは持ち主が愛用したためか、しかし摺りもどこかモワーっとして力強さにかけます。しかし本文のほうの絵もにたような摺りあがりで、このような仕上がりで販売されたのかもしれません。