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2022年6月14日火曜日

猫鼠合戦 その19

P16 国立国会図書館蔵

(読み)

加奈い

かない


あんぜん

あんぜん


まもせ給 ふ

まもせたまう


めで多し

めでたし


\/\/


芳 寅 画

よしとらが


(大意)

「家内安全」

守ってくださる(大黒天)

めでたし

\/\/


(補足)

 金豚雲にのってあらわれたのは大黒天、右手の打ち出の小槌からご利益光線が放射されています。

「給う」のくずし字は特徴的で目が回りそうです。筆を右回りに2周させます。元の字のかけらもありません。

ここの「画」のくずし字は、いろいろ調べてみても似たものはありませんでした。署名なので自分流のものなのでしょう。

 

2022年6月13日月曜日

猫鼠合戦 その18

P15 国立国会図書館蔵

(読み)

にたゝか以

にたたかい


すでに

すでに


あやうき

あやうき


と古

とこ


ろへ

ろへ


大 古くてん

だいこくてん


あらハれ

あらわれ


いでそう

いでそう


本うわ本く

ほうわぼく


ぞ奈せける

ぞなせける


めぜ多志

めぜたし


\/\/

\/\/\/



(大意)

(さんざん)に戦い

すでに両軍入り乱れているところへ

大黒天が現れでて

双方の和睦をしたのでありました。

めでたし。

\/\/

\/\/\/


(補足)

 前頁で猫又が左を注視し、この頁では鼠大将も同様にしています。頁を横切る線は大黒天の後光です。鼠の眼は筆先をそっとおいただけのようですが表情があって上手です。

「めぜ多志」、あきらかに「ぜ」は「で」の間違いですけど、とくに似ていないのになんでこんな間違いをしたのかちょっと不思議です。

 ロシアのウクライナ侵略侵攻がやみませんが、大黒天が現れる気配はありません・・・

 

2022年6月12日日曜日

猫鼠合戦 その17

P14 国立国会図書館蔵

(読み)

たい

たい


しやうね

しょうね


古またやあ

こまたやあ


も乃とも

ものども


おそれる奈

おそれるな


いぬ者里古

いぬはりこ


奈るそようつて

なるぞようって


かゝれといへ者゛

かかれといえば


あまたの

あまたの


ね古とつて

ねことって


かへ志さん

かへしさん


\/

ざん


家内 安 全

かないあんぜん


火乃用 心

ひのようじん


(大意)

大将の猫又(が叫びます)

「やぁ者ども、恐れるな。

あれは犬の張り子であるぞ。討ってかかれ」というと

たくさんの猫はとって返し

さんざんに


(補足)

 文章の区切りがわかりずらくて読み下すのにタジタジです。

旗の「家内安全」も「火乃用心」も達筆でないところが好もしい。

大将猫又の顔のアップ、子どもの頃はじめて飼った野良猫のボス猫にそっくりです。懐かしい。喧嘩して勝ったものの尻尾の付け根に負傷して化膿しぐったり弱っていたところを抗生薬で治療してあげました。それからというもの我が家に住みついて家のボスにおさまりました。

 

2022年6月11日土曜日

猫鼠合戦 その16

P13 国立国会図書館蔵

(読み)

「あゝ里やう

 あぁりゃ


\/\/

りゃりゃ


「奈んと

 なんと


き毛加つふ

きもがつぶ


れよふ

れよう


米 ひつ とを志ん

こめびつ とおしん


(大意)

「ありゃう、りゃりゃ

「なんと、肝がつぶれるだろう


(補足)

 米びつは鼠が米を食うでしょうからよいとして、灯心は油をなめたのでしょうか。

張り子の車を竿で回しています。引っ張るならわかりますけど、テコの原理で動くことは動くでしょうけど・・・

 

2022年6月10日金曜日

猫鼠合戦 その15

P12 国立国会図書館蔵

(読み)

古ゝを

ここを


たいじ

だいじ


とねつミ

とねずみ


者か里古とを

はかりごとを


もうけおふき奈る

もうけおおきなる


いぬ者里古を

いぬはりこを


さきへを志い多゛せ

さきへおしいだ せ


者゛さす可゛の

ば さすが の


猫 もをそれ

ねこもおそれ


ける

ける


あ里

あり


「犬 とわを

 いぬとはお


それる

それる


\/  \/

おそれるおそれる


「にけろ

 にげろ


\/ \/

にげろにげろ


さか奈 むきみ 大 根

さかな むきみ だいこん


(大意)

ここを大事と鼠(軍)は一計を案じ

大きな犬の張りこを先陣に出すと

さすがの猫も恐れました。

ありゃ

「犬とは恐れいった。

恐れいった恐れいった。

「逃げろ逃げろ逃げろ


(補足)

変体仮名と平仮名が混在していますが、やはり変体仮名「尓」(に)だけは使わずに平仮名「に」です。

旗のお飾りは「タコ」「魚」ときて「むきみ」は貝殻のかたちをしています。大根はなぜかとても丁寧に描かれています。

 

2022年6月9日木曜日

猫鼠合戦 その14

P11 国立国会図書館蔵

(読み)

にハさん\゛/にまけ

にはさんざ んにまけ


む年んとを毛い

むねんとおもい


いわミぎんさんの

いわみぎんざんの


可せい古い

かせいこい


いつてと奈り

いってとなり


せめけるねつミ

せめけるねずみ


と里にをそれ

とりにおそれ


本う\/に

ほうぼうに


にけ

にげ


ける

ける


「おふらきんもつ\/

 おふらきんもつきんもつ


どぶ 奈んきん 廿日

どぶ なんきん はつか


(大意)

に散々にまけて

くやしくおもい

石見銀山の加勢を請い

一手となって攻めました。

ネズミ捕りに恐れ

鼠軍はほうぼうに退散しました。


「お(あ)ふら禁物禁物


(補足)

平仮名「に」が4箇所でてきます。変体仮名「尓」は意地でも使わぬという決心か。

「いつてと奈り」、解釈に悩むところです。「行って隣」or「一手となり」さてはて?

「おふら」、「お」は「あ」でしょうか。

 

2022年6月8日水曜日

猫鼠合戦 その13

P10 国立国会図書館蔵

(読み)

かち本古

かちほこ


たる猫 かんぶくろ

たるねこかんぶくろ


「やれ\/たまらぬ\/

 やれやれたまらぬたまらぬ


みづ乃よふひ

みずのようい


鼠  と里 石 見銀 山  い多春゛ら物 ハい奈い可\/   とんからし

ねずみとり いわみぎんざん いたず らものはいないかいないか とんからし


鼠  菜(よな)

ねずみな


(大意)

勝ちほこっていた

猫は紙袋


「これはたまらぬたまらぬ。水の用意、用意。


(補足)

幟の上にはそれぞれのお飾りがついています。ネズミ捕りは鼠が入るとパタンと蓋が閉じる仕掛けの箱。石見銀山は毒入り茶碗。とんからしはとうがらしそのもの。いた春゛ら云々はなんでしょう?

その左隣は不明。鼠菜(よな)はわからないながらも当てずっぽう、お飾りは枡?

「みづ乃」、「み」はほぼすべてカタカナ「ミ」ですがここでは平仮名です。

 

2022年6月7日火曜日

猫鼠合戦 その12

P9 国立国会図書館蔵

(読み)

かちた

かちた


るね

るね



ともかんぶくろ

どもかんぶくろ


かふせ

かぶせ


られあ

られあ


と志゛さ里

とじ さり


奈せけり

なせけり


「奈んと

 なんと


きめ う

きみょう


多゛ろやう

だ ろやう


「志め古のうさ

 しめこのうさ


きで奈くね

きでなくね


古多゛

こだ


\/

ねこだ


奈んきん

なんきん


はつか

はつか


古まゝわし

こままわし


あぶら

あぶら


(大意)

勝っていた猫どもは

紙袋をかぶせられ

後退させられました。


「なんと奇妙だろう

「〆られたうさぎではなくねこだねこだ


なんきん はつか こままわし あぶら


(補足)

「ね」の比較です。「かちたるね古」と「志め古のうさきで奈くね古」、後者は「ぬ」と間違えてるようにみえます。2つの違いは左下が尖っている(ね)か丸まっている(ぬ)かの違いだけです。

「さ」の比較です。「あと志゛さ里」と「志め古のうさきで奈くね古」、後者は変体仮名「尓」(に)になっています。

「あと志゛さ里」、変体仮名「里」がわかりずらい。

「はつか」、変体仮名ではなく平仮名「は」が使われています。

「あぶら」旗の上のお飾りは油さしでしょうか。

 

2022年6月6日月曜日

猫鼠合戦 その11

P8 国立国会図書館蔵

(読み)

ふく鼠  かねて

ふくねずみかねて


者か里を

はかりお


きし

きし


さをのさ

さおのさ


きかん

きかん


ぶくろ

ぶくろ


つけ

つけ


奈んきん

なんきん


はつ可

はつか


奈どち

などち


いさけれ

いさけれ


ど者し

どはし


古けれ者゛

こければ


めい\/にを

めいめいにお


つとり

つとり


さしもに

さしもに


「どつ古い

 どっこい


志く志゛多

しくじった


春るめ

するめ


とら


(大意)

福鼠はかねてより準備していた

竿の先に紙袋をつけた武器を

南京鼠・二十日鼠など

小さいけれどはしっこい鼠が

それぞれ急いで手にしました。

さすがに


「どっこい

しくじった


(補足)

 何度も同じことの繰り返しで恐縮ですが、変体仮名「可」(か)、「者」(は)は両方使われています。しかし「古」(こ)はよく出てくる一方、「尓」(に)はありません。変体仮名と平仮名の使い分けはやはりかなり適当なようです。

「をつとり」、「押っとり」でしょうか。ここでは「いそいで手に取る」の意味にしました。

 猫を子どもの頃飼っていたことがあります。じゃらしたりして遊びます。またここに出てくる紙袋をかぶせてあたふたする猫をみて大笑いしたこともあります。紙袋ではなく紙を筒状にして猫の頭にはめるということもしました。猫は先しか見えなくてコソコソこそっと前進してどこかにぶつかるのです。バックはしないのです。その動きが愉快でよくした遊びです。しかし猫はからかわれ遊ばれたのに、筒をはずしてやると、自分からまたその筒を覗き込みます。好奇心というか習性というかおかしな動物です。100年以上前でも同じようなことをやっていたのでしょう。これまた愉快であります。

 その竿の先についた紙袋、どうみても捕虫網そっくり。ついでに「春るめ」旗のさきのお飾りのいかの剣先が四角ですけど三角のほうがともおもったけどかえって目について新鮮か?

 

2022年6月5日日曜日

猫鼠合戦 その10

P7下段 国立国会図書館蔵

(読み)

(やつら)多ハへ

     だわえ


あゝ里や

あありゃ



\/ \/

りゃうりゃう


かへせ

かえせ


\/ \/

かえせかえせ


いやかへる

いやかえる


にをよ

におよ


者゛ぬ

ば ぬ


にけろ

にげろ


\/ \/ \/ \/

にげろにげろにげろにげろ


「これでハ

 これでは


ちう の

ちゅうの


ねもで

ねもで


ぬにけ

ぬにげ


ろ\/ \/

ろにげろにげろ


白 めし ぶち 黒

しろ      くろ


(大意)

(やつら)だ。

あぁりゃう、りゃうりゃう。

戻ってこい、戻ってこい、戻れ。

いや、返すものか。逃げろ。

逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ。


これではチュウの

音(ね)も出ぬ。

逃げろ逃げろ逃げろ。


(補足)

「多ハへ」、これだけでは読みが不安ですが、見開きの前頁からつながっているので、語尾につく言葉です。

「あゝ里やう」、変体仮名「里」(り)の「田」が上の「ゝ」にくっついてみてしまうと読みを悩んでしまいます。鼠勢を追い立てる喚声だとはおもうのですが、よくわかりません。

「かへせ」は返せで、戻って正々堂々と戦えということだとおもいます。

「ちうのねもでぬ」、「ぬ」の部分は拡大しても「ね」になっています。「をよ者゛ぬ」のところはちゃんと「ぬ」になってます。彫り間違いでしょうね。

 黒鼠の全体像が白とぶちに重なってわかりずらくなってますが、いじわるく拡大して確かめてみるとちゃんと描かれていました。

 

2022年6月4日土曜日

猫鼠合戦 その9

P7上段 国立国会図書館蔵

(読み)

まち事 うけし

まちごとうけし


鼠  ぜい本う\/

ねずみぜいほうほう


に者い本゛く

にはいぼ く


奈せ里

なせり


ける

ける


「いやこれ

 いやこれ


ハたまらぬ

はたまらぬ


\/  \/

たまらぬたまらぬ


(大意)

準備万端待ち受けたものの

鼠勢はほうほうの体で逃げ去り

敗北してしまいました。


「いや

これはたまらぬ

たまらぬたまらぬ


(補足)

「奈せ里」、「里」がわかりにくい。「つ」や「る」に読み間違えそうです。

「これハたまらぬ」、「こ」は「と」にみえるし、「ハ」は「つ」にもみえます。「たま」はどこできれているものか悩みました。

 「めし」の旗の上の飾りは籠のようなものでしょうか。透けて見えるように彫っているのに感心します。

 

2022年6月3日金曜日

猫鼠合戦 その8

P6 国立国会図書館蔵

(読み)

あんにた可゛わづ

あんにたが わず


ね古又 を志きたる

ねこまたをしきたる


さう本うたゝ可い志可

そうほうたたかいしが


ね古又 ぜいくつけ う

ねこまたぜいくっきょう


のいてをすく里ねづミ

のいてをすぐりねずみ


と里のたけのゆミを者り

とりのたけのゆみをはり


さん\゛/にいたてける

さんざん にいたてける


「にやんの古と

 にゃんのこと


もねへやつら

もねえやつら


どぜ う

どじょう


う奈ぎ

うなぎ


に志ん

にしん


加つぶし

かつぶし


(大意)

 予想していたとおり

猫又を大将に猫軍が押し寄せ

双方戦いましたが

猫又勢は屈強の射手をそろえ

鼠捕りの竹の弓で

さんざんに射掛けました。


「ニャンのこと

もねえやつら


(補足)

うなぎ・どじょう・にしん・かつぶしの旗はどれも猫の好物です。

「いてをすく里」、何だろうとおもったら平仮名の「す」でした。「選る」(すぐる)。

 

2022年6月2日木曜日

猫鼠合戦 その7

P5 国立国会図書館蔵

(読み)

者つ可鼡

はつかねずみ


古まゝハし鼡

こままわしねずみ


どぶ

どぶ


鼡  奈どといふ

ねずみなどという


いつきとふせん

いっきとうせん


の鼡  奈り

のねずみなり


猫 ををそ

ねこをおそ


志とまち

しとまち


个る

ける


「奈んと

 なんと


\/ \/

なんとなんと


(大意)

二十日(はつか)鼠

駒回し鼠

どぶ鼠などという

一騎当千の鼠たちです。

猫軍をおそしと

待ちうけます。


「なんとなんとなんと


(補足)

 俵の旗を背負っている鼠は何鼠なのでしょう?

読みにくいところはありません。

 

2022年6月1日水曜日

猫鼠合戦 その6

P4後半 国立国会図書館蔵

(読み)

それ古そいち

それこそいち


たいぢ奈里

だいじなり


とあま多の

とあまたの


鼠  をあつむる

ねずみをあつむる


奈可にも白 鼠

なかにもしろねずみ


赤 鼠  ぶち鼠

あかねずみぶちねずみ


奈んきん

なんきん


ねずみ


「ち う志ん\/

 ちゅうしんちゅうしん


といふとよ

というとよ


ろいねづ

ろいねず


ミだけ

みだけ


ち う\/

チュウチュウ


(大意)

「それこそ一大事だ」と

たくさんの鼠を集めました。

なかにも、白鼠

赤鼠、ぶち鼠、南京鼠


(白鼠)「注進(チュウしん)、注進(チュウしん)というと

よろい鼠だけ

チュウチュウ


(補足)

 注進のチュウはもちろんしゃれ。なぜよろい鼠だけがチュウなのかは不明です。

大将の福鼠にご注進している白鼠の右腕が妙な角度で後ろ向きになってます。攻めてくる猫軍を指差しています。

「いふやつせ可いの」「たいぢ奈里」、「い」と「つ」がにていてまぎらわしい。

「ねつミ」、「あつむる」の「つ」は間違えようのない「つ」。

 

2022年5月31日火曜日

猫鼠合戦 その5


P4前半 国立国会図書館蔵

(読み)

さてまたこゝにふく鼠

さてまたここにふくねずみ


といふもあ里て志多

というもありてした


の志ろねつミいふ丹

のしろねずみいうに


古んど猫 又 と

こんどねこまたと


いふやつせ可いの

いうやつせかいの


鼠  をからんと

ねずみをからんと


あまたのね古を

あまたのねこを


あつめを志よせる

あつめおしよせる


ゆふをふくねつミ

ゆうをふくねずみ


(大意)

さてこちらには福鼠という(大将)鼠がいました。手下の

白鼠が言うには

「今度猫又というやつが

世界の鼠を滅ぼそうと

たくさんの猫を

集めて押し寄せてくる」

と言うや、福鼠


(補足)

 変体仮名の使い方が興味深いです。変体仮名「尓」(に)を使わずに平仮名「に」を使い、かとおもうとあまり使われない変体仮名「丹」(に)を用いています。変体仮名「多」(た)は使われているものの平仮名「た」もあります。また変体仮名「毛」(も)がありますが、あまり見ない形です。

「せ可いの」、変体仮名「可」は現在の平仮名「ろ」そっくり。左の行には平仮名「か」があります。

 

2022年5月30日月曜日

猫鼠合戦 その4

P3 国立国会図書館蔵

(読み)

をあつめよに

をあつめよに


いふよふ国 にとう

いうようくににとう


ぞくいへに鼠  といふ

ぞくいえにねずみという


ねづミおふく

ねずみおうく


者び古る

はびこる


ね古奈き可゛

ねこなきが


古゛とく奈里

ご とくなり


よの鼠  を

よのねずみを


本ろ本゛さん

ほろぼ さん



者か里ける

はかりける


「さよう\/

 さようさよう


\/ \/

さようさよう



可くに

かくに


あるぞ

あるぞ


よ可゛つて

よが って




(大意)

(猫)を集め、「世に言われている

『国に盗賊、家に鼠』というのがある。

鼠が多くはびこり、猫はなきがごとくである。

世の鼠を滅ぼさんと力をあわせようではないか」


「そうだ。そうだ。そうだ」


「(俺が言うこ)と斯く斯くしかじかであるぞよ。

合点か


(補足)

変体仮名「尓」(に)がなく意識的なのか平仮名「に」だけになっています。また「ね古」では変体仮名「古」が、なにかこだわりがあるのか執拗にでてきます。

 鎧一式に身を固めて戦闘モードです。でもなんとなくさっぱり感があってとげとげしくありません。

 

2022年5月29日日曜日

猫鼠合戦 その3

P2 国立国会図書館蔵

(読み)

猫 又 といふもの

ねこまたというもの


あ里本ふ\゛/

ありほうぼ う


のね古を

のねこを


かたらい

かたらい


奈かにも

なかにも


ぶちね古

ぶちねこ


くろ

くろ


あか

あか


ミけ

みけ


きじ志ろ

きじしろ


とらね古

とらねこ


奈そと

なそと


いふごう

いうごう


ね古

ねこ


ま多ゝび

またたび


家内 安 全

かないあんぜん


「おれ可

 おれが


いふ古

いうこ


(大意)

猫又という猫がおりました。

あちこちの猫に声をかけ、なかでも

ぶち猫、黒猫、赤猫、三毛猫、きじ猫、白猫、虎猫などという

強く勇ましい猫(を集め)


「俺が言うこ(と)


家内安全

マタタビ


(補足)

 変体仮名のほうが少なく平仮名が目立ちます。

大将の背中にさしてあるのは鰹節でしょう。

 

2022年5月28日土曜日

猫鼠合戦 その2

見返し 国立国会図書館蔵

(読み)

や満又 者ん

やままたはん


者る志ん者゜ん

はるしんぱ ん


(大意)

やま又

春新版


(補足)

 やま又は版元の名前。春新版は春に出版したばかりの新版(たいていは正月三が日に出版)。

丸朱印は『 帝國圖書館印 IMP.LIBRARY. 既決・明治三六・七・二四・ 圖 』

「江戸絵本とジャポニズム」HPによると、猫と鼠の人形はともにおもちゃだそうです。昔からある素朴な玩具とありましたが見たことがありません。

 猫の方は睨みをきかしただるまのようなものが猫の人形にかぶせてあり、ややそっている羽子板みたいなものをたたくと反りが戻ってポンとだるまの頭がはねとんで猫があらわわれるのでしょう。

 鼠の方は、これは書いているうちになんとなく思い出しました。こんな玩具がありました。遊んだ記憶もあります。鼠の人形は最初細い棒の手元にあって、この手元部分を小刻みにたたくと振動でなぜか上に鼠が登ってゆくのです。最後はてっぺんの唐辛子に到着。

 豆本の見返しはほとんど表紙裏につまり表紙と同じ版木に彫られているのですが、ここでは表紙裏は白紙です。見返しはいつもながらこの部分だけをとりだし額装して飾りたくなるくらい味があります。

 

2022年5月27日金曜日

猫鼠合戦 その1

表紙 国立国会図書館蔵

(読み)

猫鼠合戦

ねこねずみかっせん


(大意)


(補足)

豆本です。作画者は歌川芳寅。版元はやま又。刊行年は文政〜安政頃?(1840〜1860)。

表紙の絵の通り猫と鼠が鎧に身を固め、戦うというお話。

朱の背景に白抜きの鈴があります。