2022年6月5日日曜日

猫鼠合戦 その10

P7下段 国立国会図書館蔵

(読み)

(やつら)多ハへ

     だわえ


あゝ里や

あありゃ



\/ \/

りゃうりゃう


かへせ

かえせ


\/ \/

かえせかえせ


いやかへる

いやかえる


にをよ

におよ


者゛ぬ

ば ぬ


にけろ

にげろ


\/ \/ \/ \/

にげろにげろにげろにげろ


「これでハ

 これでは


ちう の

ちゅうの


ねもで

ねもで


ぬにけ

ぬにげ


ろ\/ \/

ろにげろにげろ


白 めし ぶち 黒

しろ      くろ


(大意)

(やつら)だ。

あぁりゃう、りゃうりゃう。

戻ってこい、戻ってこい、戻れ。

いや、返すものか。逃げろ。

逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ。


これではチュウの

音(ね)も出ぬ。

逃げろ逃げろ逃げろ。


(補足)

「多ハへ」、これだけでは読みが不安ですが、見開きの前頁からつながっているので、語尾につく言葉です。

「あゝ里やう」、変体仮名「里」(り)の「田」が上の「ゝ」にくっついてみてしまうと読みを悩んでしまいます。鼠勢を追い立てる喚声だとはおもうのですが、よくわかりません。

「かへせ」は返せで、戻って正々堂々と戦えということだとおもいます。

「ちうのねもでぬ」、「ぬ」の部分は拡大しても「ね」になっています。「をよ者゛ぬ」のところはちゃんと「ぬ」になってます。彫り間違いでしょうね。

 黒鼠の全体像が白とぶちに重なってわかりずらくなってますが、いじわるく拡大して確かめてみるとちゃんと描かれていました。

 

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