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2023年5月7日日曜日

THE OLD MAN & THE DEVILS その17

裏表紙 個人蔵

(読み)

なし

(大意)

なし

(補足)

 蜘蛛の巣に落ち葉が2枚つかまってしまったように見えます。本文とは関係なさそうですけど。

 蜘蛛の巣のように丸く同心円状になってないので違うかも。葉っぱは2枚とも葉脈や葉柄まで丁寧に描いてあり濃淡もほどこしています。このまま植物図鑑にのせても大丈夫そうです。

 これまでに「KACHI-KACHI MOUNTAIN」「THE TONGUE CUT SPARROW」「The Wonderful Tea-Kettle」と今回の「THE OLD MAN & THE DEVILS」で4つの約100年前の英文に翻訳した日本昔ばなしをアップしてきました。当時の日本語の文章より英文のほうが読みやすくわかりやすいというのもなんだかおかしなことであります。

 チリメン本を手にしたときのあの感触、そして文面や挿絵に独特の奥深さと立体感をあたえる細かな凹凸やシワ、なんともいえぬ感動がからだじゅうにはしります。

 

2023年5月6日土曜日

THE OLD MAN & THE DEVILS その16

P18P19 個人蔵

(読み)P18

now let us see him dance" This old

man was awkward and did not dance

as well as the other. So the devils

cried out, "You dance badly, and are

getting worse and worse, we will

give you back the lump which we

took from you as a pledge." Upon

this one of the devils brought the

lump and stuck it on the other side

of his face; so the old man returned

home with a lump on each side of

his face.

(大意)

「さぁ、老人の踊りを見ようじゃないか」この年寄の

動きはぎこちなく、あの老人の踊りと同じように踊れませんでした。

そのため、悪鬼たちはどなりました。「おまえの踊りはひどいぞ、それにどんどん下手く

そな踊りになっている。老人から質としてとった瘤を返してやる。」するとすぐに悪鬼た

ちのうちのひとりがあの瘤を持ってきてそれを年寄りのもう片方の頬にひっつけてしまい

ました。そうして年寄は両方の頬に瘤をつけて家に帰ったのでした。

(補足)

 両頬に瘤を付けた年寄りは渋面になっています。腰に挿しているのは煙管ではなく小刀でした。足元は前頁では草鞋でしたがなぜかサンダルになっています。

 背景のぼかしが入念です。地面は薄草色で、空は薄空色、その境目は薄っすらと日の出前の明かりになっています。立木や草なども写実的に描いています。摺師の技と熱意が伝わってくる最終頁です。

 

2023年5月5日金曜日

THE OLD MAN & THE DEVILS その15

P16P17 個人蔵

(読み)P17

the old man had got rid of his lump,

he determined that he would also

try the same plan to get rid of his

lump. So he went and crept into the

hollow tree and waited for the devils

to come. Sure enough, they came

just as he was told. They sat down,

drank wine and made merry just as

they did before. The old man afraid

and trembling crept out of the hol-

low tree. The devils welcomed

him saying, "the old man has come,

(大意)

老人が(どうやって)頬の瘤をとったのかという(話を詳しく聞いて)、年寄りは自分も瘤をとるために老人と同じようにしてみようとこころに決めました。

そうして年寄りはその場所に行き、例の木の洞(うろ)にはいずりこみ、悪鬼が来るのを待ちました。果たして、彼らは老人が言ったとおりやってきました。悪鬼たちは座って酒を飲み、以前に彼らがしたように陽気に騒ぎはじめました。年寄りは恐ろしくふるえながら洞からはい出ました。悪鬼たちは「老人がやってきたぞ」と言いながら喜んで迎えました。

(補足)

 挿絵のあるところはほとんど背景に薄青色やここのように薄灰青色の濃淡をほどこしています。このひとてまでぐっと挿絵あるの空間に広がりが出て絵を引き立たせています。

 

2023年5月4日木曜日

THE OLD MAN & THE DEVILS その14

P16P17 個人蔵

(読み)P16

Now among the neighbours there

was another old man who had a big

lump on the left side of his face.

Hearing all about how

(大意)

さてご近所のなかに、左頬に大きな瘤がある別の年寄りが

おりました。(老人がどうやって頬の瘤をとったのかという)

話を詳しく聞いて

(補足)

 瘤のある老人の左腰に小刀のようなものがささっていますが、きっと煙管でしょう。左の緑は笹の生け垣か藪でしょうか。また瘤の老人はわらじをはいていますが、瘤なし爺さんのはサンダルのような形にみえます。

 

2023年5月3日水曜日

THE OLD MAN & THE DEVILS その13

P14P15 個人蔵

(読み)P15

happened to you". So he told her

all that had befallen him.

(大意)

どうしたのですか!」。そして老人は自分におきた

一部始終を説明しました。

(補足)

 年寄りたちの着物の色のシックなこと。いいですねぇ。

 

2023年5月2日火曜日

THE OLD MAN & THE DEVILS その12

P14P15 個人蔵

(読み)P14

So the devils laid hold of it, twisting

and pulling, and took it off without

giving him any pain, and put it

away as a pledge that he would

come back. Just then the day began

to dawn and the birds to sing, so the

devils hurried away.

 The old man felt his face and

found it quite smooth and not a

trace of the lump left. He forgot

all about cutting wood, and hasten-

ed home. His wife seeing him, ex-

claimed in great surprise "what has

(大意)

そして悪鬼は瘤をつかみひねって引っぱり取りました。

老人には痛みもありませんでした。悪鬼は老人が戻ってくる

あかしとして取った瘤を取り置きました。

 老人は顔をさわってみると、左側の頬にあった瘤があとかたもなくなくなって

とてもなめらかになっているのに気づきました。木を伐りに来たことをすっかり忘れてい

て急ぎ家へ帰りました。妻は夫を見てひどく驚いて叫び声をあげ「

(補足)

 前頁にもありましたが悪鬼たちが手にしていた松明、宴会のときの焚き火、そしてこの囲炉裏、燃える火のゆらめきの濃淡やそれが立ち上る煙に溶けこんでゆく様がとても印象的です。

 煙管一式はどんなときでもてばなさず、またそれが描いてあると絵になります。

 

2023年5月1日月曜日

THE OLD MAN & THE DEVILS その11

P12P13 個人蔵

(読み)P13

"I have had this lump many years

and would not without good reason

part with it; but you may have it,

or an eye or my nose either if

you wish".

(大意)

「わしは何年もこの瘤と暮らしてきました。わけなくこれと

はなれることなんてできやしません。ですからどうしても

これを取ると言うなら目でも鼻でもどちらでもいいからもっていってください。」

(補足)

 ここの赤鬼青鬼ふうの悪鬼たちはの服は、豆本などに出てくる鬼ヶ島の鬼たちと同じように、中国や韓国の様式を連想させるものとなっています。やはり当時は外国といえばお隣の国々だったからでしょう。赤鬼の薄茶色の巻きスカートはなかなか素敵、青鬼のズボンの薄紫色がきれいです。

 

2023年4月30日日曜日

THE OLD MAN & THE DEVILS その10

 

P12P13 個人蔵

(読み)P12

So the devils consulted together and

agreeing that the lump on his face,

which was a token of wealth, was

what he valued most highly, demand-

ed that it should be taken. The old

man replied,

(大意)

そうして悪鬼たちはみんなで相談し次のようにしました。

老人の頬の瘤は富のしるしだが、老人がもっとも大事にしているものである。

それをとってしまうことを要求しよう。

老人は応えました。

(補足)

 爺さんは瘤をとられて、喜んでいるのか悲しんでいるのか茫然自失の表情です。こんなときでも貴重な斧は腰の後ろに帯紐にさしたままでした。

 ここの部分、わたしの記憶にある瘤取りジジイの噺にはなかった展開です。


2023年4月29日土曜日

THE OLD MAN & THE DEVILS その9

P10P11 個人蔵

(読み)P10

but for fear you might not

come you must give us a

pledge that you will".

(大意)

「だが恐ろしくておまえは来ぬかもしれぬから、おまえは

何か大事なものをここにおいていけ。」

(補足)

 もうすぐ夜明けなのか、明けの三日月が山の少し上に上がってきました。空のなんとも微妙な夜明け前の色がきれいですし、その表現力がたいしたものです。

 まだ飛行機のない時代、爺さんは両手を飛行機のように広げて焚き火の周りを動き回って踊っている様子が楽しそうです。悪鬼たちも身なりや見てくれはぎょっとしますが、かれらの目をひとりひとり確かめてみると驚き楽しんでいる表情になっています。爺さんほんとに楽しそう♪

 

2023年4月28日金曜日

THE OLD MAN & THE DEVILS その8

P8P9 個人蔵

(読み)P9

for it I will have a dance too", crept

out of the hollow tree, and with his

cap slipped over his nose and his

axe sticking in his belt began to

dance. The devils in great surprise

jumped up saying, "Who is this";

but the old man advancing and re-

ceeding, swaying to and fro, and

posturing this way and that way,

the whole crowd laughed and en-

joyed the fun, saying, "how well

the old man dances, you must al-

ways come and join us in our sport:

(大意)

「わしも踊るのだ。」木の洞(うろ)からはい出てくると、

かぶっていた帽子は鼻までずり落ち、腰紐に斧をさしたまま踊り始めました。

悪鬼たちは大いに驚き跳び上がって「こいつは何者だ」と言いましたが、

老人はかまわずに前に進んだり後ろに下がったり、フラフラとあちらこちらへ行ったり

勝手かまわず動き回りました。悪鬼どもたちは皆大笑いで楽しみました。

「おい老人、おまえの踊りはなんてうまいんだ、おまえはいつも来てくれ、一緒に

宴会を楽しもうじゃないか」と言うのでした。

(補足)

 この見開きに挿絵はなかった分、次の頁の挿絵はどんなものか楽しみです♪

 

2023年4月27日木曜日

THE OLD MAN & THE DEVILS その7

P8P9 個人蔵

(読み)P8

and began to drink wine and make

merry just like human beings. They

passed the winecup around so often

that many of them became very drunk.

One of the young devils got up and

began to sing a merry song and to

dance; so also many others; some

danced well, others badly. One said,

we have had uncommon fun to-night,

but I would like to see something

new". The old man losing all fear,

thought he would like to dance, and

saying "let come what will, if I die

(大意)

酒を飲み始め、人間たちのように陽気に騒ぐのでした。

彼らは酒を何度も回し飲みしたのでほとんどの悪鬼たちは

ひどく酔ってしまいました。若い悪鬼たちのひとりが立ち上がり

陽気な歌を歌い始めそして踊りだしました。まわりのたくさんの悪鬼たちも

上手に踊るものもいれば、不格好に踊るものもいました。ひとりの悪鬼が

「今夜は久しぶりに楽しかったけど、おれは何か新しいものを見てみたいぞ」と言いました。

老人は恐怖はすっかりなくなっていて、自分も踊りたいとおもっていました。そして

「死んだっていいから、したいようにするぞ」

(補足)

 挿絵のないページはやはりさみしいですね。活字がほんとに鮮明です。

 

2023年4月26日水曜日

THE OLD MAN & THE DEVILS その6

P6P7 個人蔵

(読み)P7

They kindled a fire,

so that it became as

light as day.They

sat own in two

cross rows,

(大意)

彼らは薪に火をつけたので、あたりは昼間のように明るくなりました。

そして二重に車座になって座り、

(補足)

 薪に照らされ空に向かって明かりがさすので悪鬼たちの表情が生き生きと下からの光でスポットライトをあび、なんとも入念な仕上げの顔になっています。日本は古くから妖怪天国でこれくらいの人数?だったらわけのないことでしょう。中央で踊っている悪鬼のスカートにも濃淡をつけていて生地が翻る感じがよくでています。

 

2023年4月25日火曜日

THE OLD MAN & THE DEVILS その5

P4P5 個人蔵

(読み)P4

crowd of strange looking beings. Some

were red aud dressed in green clothes;

others were black and dressed in red

clothes; some had only one eye;

others had no mouth: indeed it is

quite impossible to des-

cribe their varied

and strange

looks.

(大意)

奇妙ないでたちをした生き物の大群衆を(見たのでした。)

あるものは赤いからだに緑色の衣をまとい、他の者たちは

黒いからだに赤い衣をまとってました。そして何人かはひとつ目で

口がない者もおりました。風変わりで珍妙な彼らの容姿はとても

伝えきれるものでなかったのです。

(補足)

 闇夜にうかぶ文章が不気味ですが、背景のあやしい暗闇の濃淡と悪鬼たちの松明でぼんやりとみえる森の樹々がいっそう怖さを深めています。

 森や悪鬼たちの背景の濃淡やぼかしの表現がここでは不気味で怖いようなものになっていますが、いっぽうではさわやかなすぅ~と胸に入ってくるような表現もあります。摺師の技は奥が深いものだと感じ入ります。

 

2023年4月24日月曜日

THE OLD MAN & THE DEVILS その4

P2P3 個人蔵

(読み)P3

to cut wood, when the rain began to

pour and the wind to blow so very

hard, that finding it impossible to

return home, and filled with fear, he

took refuge in the hollow of an old

tree. While sitting there doubled up

and unable to sleep, he heard the con-

fused sound of many voices in the

distance gradually approaching to

where he was. He said to himself,

"how strange! I thought I was all

alone in the mountain but I hear the

voices of many people"; so taking cour-

rage he peeped out, and saw a great

(大意)

(老人は)木を伐かり(に山へ行きましたが)、雨が降り始め

風も強く吹きだしはじめました。帰り道がわからなくなって、

不安がつのり、老人は一本の古木の洞(うろ)に避難しました。

その中に体を二つに折って身をひそめ眠ることもできずにいると、なんだかみょうな大勢の

声が聞こえてきました。それらは少しずつ老人の方へと近づいてくるのでした。

老人はひとりつぶやきました。「なんてこった!山の中でひとりだとおもっていたのに、

大勢の声が聞こえるぞ」。勇気をふりしぼって洞からのぞいてみると、

(奇妙ないでたちをした生き物の大群衆を)見たのでした。

(補足)

 洞の中の老人の表情は雨風から避難できたためかホッとして柔和です。外は大雨ですがちりめん本だとその雨も本物の雨のような表情に見えます。「doubled up」今で言う体育座りですが、なるほど両膝を両手で抱え込み窮屈そう。古い大木とその洞は丁寧に描かれています。

 

2023年4月23日日曜日

THE OLD MAN & THE DEVILS その3

P1 個人蔵

(読み)

THE OLD MAN & THE DEVILS

A long time ago there was an

old man who had a big

lump on the right side of his face.

One day he went into the mountain

(大意)

老人と悪鬼たち

昔むかし、あるひとりの年よりがいました。老人は右の頬に大きな瘤がありました。

ある日のこと、老人は木を伐(か)りに山へ行きましたが、

(補足)

 切通のような山道を登ってゆく老人がとても小さく描かれています。話の出だしとしては鬱蒼とした森に入っていくような風景がよいようにおもわれますけど、岩場のようなところをこえると森がまっているのでしょうか。

 

2023年4月22日土曜日

THE OLD MAN & THE DEVILS その2

見返し 個人蔵

(読み)

版権所有

日本昔噺第七號

瘤取

明治十九年四月廿七日版権免許

六月一日出版

譯述者 ドクトルヘボン

發行者 東京市四谷區本村町丗八番地

    長谷川武次郎

Published by T.HASEGAYA, 38 Yotsuya Hommura, TOKYO.

(大意)

(補足)

 挿絵は斧と小枝の束。里山や家や村を囲む風よけの防風林は風が吹くと小枝が必ず落ちます。かまど時代の人々はそれらを拾って火付けのために使っていました。里山などはきれいになるし火付けにも使えて一挙両得であったわけです。火付けには小枝がなければなりませんでしたから、江戸時代小枝を束にして商っている人たちが大勢いました。江戸城に納入している業者は多摩川などで上流の村々から運ばれてきてました。

 斧の刃の部分の青さがよく切れそうな感じで光って見えます。

 ドクトルヘボンとあるのは、かのヘボン式ローマ字のヘボンです。オードリー・ヘップバーンという俳優さんがいますが、あのヘップバーンはHepburnで、明治時代の人たちはこれをヘボンと発音しました。実際、ヘボンのほうが発音としてヘップバーンよりよいように聞こえます。

 綴じ部分は残念ながら傷んで切れてしまっています。

 

2023年4月21日金曜日

THE OLD MAN & THE DEVILS その1

表紙 個人蔵

(読み)

JAPANESE FAIRY TALE SERIES, NO.7

THE OLD MAN & THE DEVILS.

(大意)

日本お伽噺集第七号

老人と悪鬼たち

(補足)

 「老人と悪鬼たち」は直訳そのものですが、お話は誰でも知っている「こぶとり爺さん」です。

 表紙の絵がいいですねぇ。夜中の森の雰囲気がひんやりした空気とともに伝わってきます。ウロに隠れる爺さんは恐怖のためか我を忘れてしまって微笑んでいるように見えます。そのウロのある大木をねんいりに描いていて上の方の葉っぱが表題にからんでるところなど、なんともにくい演出です。

 悪鬼たちの松明の火の濃淡がこれまたきれい。