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2021年4月30日金曜日

改算塵劫記P42たち木の間を徒も流事 その3

P42たち木の間を徒も流事

(読み)

木の根まて七 間 あ連ハま多

きのねまでしちけんあればまた


居多けを半 尓入連木すへ

いたけをはんにいれきすえ


迄 七 間 半 と志る奈り

までしちけんはんとしるなり


うちま多

うちまた


より

より


木のすへを

きのすえを


見る

みる


てい

てい


こ連より

これより


木の

きの


もと

もと


まで

まで


七 間 半 と

しちけんはんと


いふなり

いうなり


(大意)

木の根元まで7間あり、また

座っているときの高さを半間いれて

木の先端まで7間半と知る。


内股より木の先端を

見ている様子


これより

木の根元まで

7間半とわかる


(補足)

 読みすすめてくると、目も慣れてきて読みづらいところはなさそうです。

 木の高さを測る例として、樹木を描くなら杉や檜のような針葉樹で真っ直ぐな幹に適当な枝ぶりのものを描きそうな気がするのですが、それでは絵師の誇りが許さなかったのか、見栄えのよい盆栽的なものになっているところが感心感心。

 

2021年4月29日木曜日

改算塵劫記P42たち木の間を徒も流事 その2

P42たち木の間を徒も流事

(読み)

法 尓者奈可ミを四可く尓折

ほうにはながみをしかくにおり


て又 すミと\/と越をりて

てまたすみとすみとをおりて


志多のすミにいと尓天小

したのすみにいとにてこ


石 尓てもおもりを徒け天

いしにてもおもりをつけて


かくのことく下 能すミよ里

かくのごとくしたのすみより


上 の春ミまて見と越し天

うえのすみまでみとおして


木のすゑを見扨 そ連より

きのすえをみさてそれより


(大意)

このような方法もある。鼻紙を四角に折り

次に隅と隅とを重ねる。下側の隅に糸の下に

小石でおもりをつけたものを図のように、

下の隅より上の隅までを見とおして

木の先端を見る。そのようにすれば、


(補足)

 鼻紙を使っての簡便測量術。これもこじつけでしょう。おもしろいけど。だって職人ならぱっとみて高さなどすぐにわかりますし、わからなければ職人じゃありません。

「尓」(に)、くずしてもほぼ「尓」です。このあと「小石尓て」のところでは英小文字「y」のような形も多い。

「者奈可ミ」、変体仮名「者」(は)は「む」の後半が下に流れる感じ。「ミ」は平仮名「み」がつかわれることはほとんどみません。

「すミと\/と越をりて」、変体仮名「越」(を)。その次に平仮名「を」があります。

「志多のすミにいと尓天」、平仮名「に」は珍しく、この時代ではよく使われていたのかもしれません。変体仮名「天」(て)、「く」の頭に飾りがありますので見分けられます。

「尓てもおもり」、ふたつの「も」の筆順がことなっていることに注意です。

「徒け天」、変体仮名「徒」(つ)。

「かくのことく下能すミよ里」、平仮名「か」も珍しく、たいていは変体仮名「可」(か)です。「こと」は合字。変体仮名「能」(の)の上には平仮名「の」があります。変体仮名「里」(り)。

 「を」「て」「に」「か」「の」など変体仮名と平仮名が混在して使われています。使い分けのきまりが特にあるわけではなさそうで、文章の流れなど気分次第といった感じがします。

 

2021年4月28日水曜日

改算塵劫記P42たち木の間を徒も流事 その1

P42たち木の間を徒も流事

(読み)

◯たち木の間  を徒も流事

 たちきのあいだをつもること


◯古連ハそ満奈とかくのことくうちま多より木

 これはそまなどかくのごとくうちまたよりき


の春縁を見と越し候   てさてそ連より木のもと

のすえをみとおしそうろうてさてそれよりきのもと


まてうち天奈可さをな尓

までうちてながさをなに


本とゝいふ「此 木七 間 半 と云

ほどという「このきしちけんはんといい


(大意)

◯立木の長さを測る事

◯この方法は杣(そま)などが絵図のように内股より

木の末(すえ)を見通します。さてそれから木の元(もと)

までの長さはどれくらいになるか(測る)。

「この木の高さは7間半である


(補足)

「改算塵劫記」は国立教育政策研究所教育図書館貴重資料デジタルコレクションよりダウンロードしたものです。そこのHP解説に「安永2(1773)年に菊屋七良兵衛により刊行された『塵劫記』で,下河辺拾水が挿絵を入れています。目次を見ると,吉田光由『新編塵劫記』を基に作成されたものであることが分かります。」とあります。

 初心者の私には読むのに時間がかかりました。塵劫記の書物はたくさんあり、翻刻もされています。しかし原文と対応のものはなかなかありません。

「たち木の間」、間(あいだ)のくずし字がわかりにくですがよくでてきます。

「徒も流事」、変体仮名「徒」(つ)、変体仮名「流」(る)。「積もる」は見積もるのと同意。

「古連ハ」、変体仮名「古」(こ)、変体仮名「連」(れ)。

「そ満」、変体仮名「満」(ま)、杣(そま)、きこり。

「ことく」、「こと」が一文字になっています。合字といいます。「ゟ」(より)はフォントがるのですが、「こと」はありません。

木の先端を「春縁」(すえ)(末)、根元を「もと」(元)といいます。変体仮名「春」(す)、「え」は変体仮名「縁」だとおもいます。あまりみたことがありません。

「見と越し候」、変体仮名「越」(を)。「候」は頻繁にでてきます。

「うち天」、変体仮名「天」(て)。「うつ」は杣のところから木の根元まで縄を(うって)測るということでしょうか。

「七間」、「間」が表題の「たち木の間」と同じくずし字です。「門」(もんがまえ)がかんむりのように上部の部品になって、中の「日」が下部の部品のように上下2つになる感じ。

 ほんとにこんなふうにして木の高さを測ったのかどうかは疑問です。木こりなら見ただけでおおよその高さはわかるはずですから。それに木の重さなども。