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2023年11月20日月曜日

THE MOUSE'S WEDDING その20

裏表紙 個人蔵

(読み)

?? 華邨画

(大意)

(補足)

 もう数ヶ月も悩んでいるのですが、「??」部分が読めそうで読めません。う〜〜〜ん。

ねずみがのっているのは打出の小槌。そのまわりにいろいろちらばっている中に蔵の鍵のようなものもあります。なにかを暗示しているとおもうのですが、こちらもう〜ん。

 屏風の縁の角や中央に錺金具(かざりかなぐ)が光っています。

 屏風のまわりの無地の部分が経年変化で変色してしまったのか、このような薄い色をはじめからつけていたのか、屏風の余白の白さとくらべても、どうなのでしょうか。屏風のほうは白い色を塗っているとはおもえませんし、さて・・・

 なお、ちりめん本について最近の研究成果をまとまったかたちで読むことができる資料を下記にあげておきます。

 「寄  稿

弘文社のちりめん本『欧文日本昔噺』 シリーズ誕生の背景― 長谷川武次郎・デイビッド・タムソン・小林永濯の協働 尾崎 るみ」

「寄  稿

弘文社のちりめん本『欧文日本昔噺』シリーズの形成と『西洋昔噺』シリーズの開始

尾崎 るみ」

「寄  稿

長谷川武次郎のちりめん本出版活動の展開 ――『欧文日本昔噺』シリーズが20冊に達するまで

尾崎 るみ」

 

2023年11月19日日曜日

THE MOUSE'S WEDDING その19

P19広告 個人蔵

(読み)

The Kobunsha's

Japanese Fairy Tale Series.


1.Momotaro or Little Peachling.

2.The Tongue Cut Sparrow.

3.The Battle of the Monkey and the Crab.

4.The Old Man who made the Dead Trees Blossom.

5.Kachi-Kachi Mountain.

6.The Mouses' Wedding.

7.The Old Man and the Devils.

8.Urashima, the Fisher boy.

9.The Eight-Headed Serpent.

10.The Matsuyama Mirror.

11.The Hare of Inaba.

12.The Cub's Triumph.

13.The Silly Jelly-Fish

14.The Princes Fire-Flash and Fire-Fade.

15.My Lord Bag-o'-Rice.

16.The Wooden Bowl.


Copyright Reserved.

(大意)

弘文社

日本昔噺

1.桃太郎

2.舌切雀

3.猿蟹合戦

4.花咲爺

5.カチカチ山

6.鼠の嫁入り

7.瘤取り

8.浦島太郎

9.八頭の大蛇

10.松山鏡

11.因幡の白兎

12.野干の手柄

13.海月

14.彦火火出見尊

15.俵藤太

16.鉢かづき

(補足)

 屏風に広告、おしゃれです。そして屏風の折り目をそのまま裏表紙にまわすという念の入れよう。

 この広告の内容については「国際出版の曙ー明治の欧文草双紙 アン・ヘリング」(https://www.lib.fussa.tokyo.jp/digital/digital_data/literature/pdf/0608/0001/0006.pdf)に詳しい。

  

2023年11月18日土曜日

THE MOUSE'S WEDDING その18

P18奥付 個人蔵

(読み)

明治十八年九月十八日版權免許

同   年十二月  出版御届

同 十九年九 月十日添題御届

同 廿一年八 月一日再版御届

 出版人 弘文社

     東京々橋區南佐柄

     木町二番地

     右社主東京府平民

     長谷川武次郎

     右同所

 譯述者 米國人 ダビド タムソン

     東京々橋區築地居

     留地二十三番

 印刷人 中尾獣次

     仝京橋區山下町廿

     二番地桑原活版所

(大意)

(補足)

 奥付が、すみっこにおいやられてしまったようになってしまいました。といってもこれはまだまともな奥付です。六曲一隻の屏風の四扇に広告をいれたものとそれを折り返してつづきになる裏表紙の一、二、三扇とするようにしたかったのかもしれません。

 東京女子大学比較文化研究所にちりめん本が多数あり閲覧もダウンロードもできるようになっています。ここの奥付とまったく同じ日付の出版の「鼠の嫁入り」があります。

 訳者はおなじなのですが、印刷人印刷者がことなっていておなじ版木を使っているようですがことなる摺師に摺らせたようです。

 長谷川武次郎自身が語っていることですが、当時米国から百万部もの注文があってもそれにこたえることは不可能で、米国から出版所を見学させてほしいとたのまれても、とてもじゃないけど恥ずかしくて見せることはできなかったといいます。せいぜいがんばっても二千から三千部が限度だったということです。

 こんな感じだったのだとおもいます。

 これは摺師での仕事風景ですが、ちりめん本はさらにもうひと手間掛けるわけでなおさらのこと部数を増やすことはできなかったのでしょう。

 これだけの手間ひまかけたちりめん本一冊が十銭前後で販売されていたのですから、驚かざるをえません。

 

2023年11月17日金曜日

THE MOUSE'S WEDDING その17


P18P19 個人蔵

P18

(読み)

Shortly afterwards the bride,

her husband, and his parents

visited her home. In the evening

the bride returned home with

her husband and his parents with

whom she lived in harmony,

contented, prosperous and happy,

and much to be congratulated.

(大意)

 その後まもなく、新婦と夫、彼の両親は新婦の実家を訪れました。

夕方、新婦は夫と義父母と一緒に婚家に帰りました。新婦は新しい家族とともに和やかに

満たされ豊かに幸せに暮らし、とても祝福されました。

(補足)

 右の頁に広告を一面にのせるために、奥付が本文の下段にきてしまっています。

結婚式の後に、新婦の実家に帰って無事済んだことを報告するというのは、知りませんでした。

 

2023年11月16日木曜日

THE MOUSE'S WEDDING その16

P16P17 個人蔵

P16

P17

(読み)

the bride in token of good

will and thus the union was

consummated.

(大意)

(一同は)花嫁の幸福を願い、(盃を交わしました。)

このようにして、結婚式はおひらきになりました。

(補足)

 ふすまの縁(堅縁(ドブ))に文字が重なってしまうので、consum-mated とハイフンでつなげたようです。最初 consume mated だと意味がよくわかららず、困りました。

 長谷川武次郎のちりめん本には異なる版がたくさんありそれらを調べてわかりました。

式のあとは披露宴の宴会、三味線にあわせて舞い踊り、にぎやかそうです。

 床の間の花と花瓶が、全体として鶴のように見えるのは気のせいでしょうか。

またその左側違い棚の下の飾り物は、布袋様のようにもみえますがさてさて・・・

 

2023年11月15日水曜日

THE MOUSE'S WEDDING その15

P14P15 個人蔵

P14

P15

(読み)

When this ceremony,

the "three times three"

was ended. the guest

exchanged cups with

(大意)

三々九度の儀式がおわると、一同は

(花嫁の幸福を願い、)盃を交わしました。

(補足)

 花嫁はまさにいま三々九度中・・・注いでいる首の長いものは「長柄銚子(ながえのてうし)」というのだそうです。これが提子(ひさげ)になって銚子(ちょうし)になったのでしょうか。

 襖絵は鶴、床の間には七福神の福禄寿、その左側には違い棚に婚礼の品々、地袋には富士山、と何から何までめでたずくしであります。

 一同は花嫁花婿、その両親、仲人さん。ところで花婿さんはどなたでしょうか?

 

2023年11月14日火曜日

THE MOUSE'S WEDDING その14

 

P12P13 個人蔵

P13

(読み)

Kanemochi went out as far as

the gate to meet her, and ushered

her into the parlor.

 At a signal from the go-between

the bride and bridegroom to

confirm the marriage bond, ex-

changed between themselves three

cups of sake,

drinking

three times

from

each cup

in turns.

(大意)

 カネモチは花嫁を門口までいそぎ出迎えに立ち、客間に案内しました。仲人の一声で新郎新婦は婚姻の契をかわすために三々九度の儀をとりおこないました。

(補足)

 この昔噺の訳者の「米國人 ダビド タムソン」は三々九度の内容をexchanged以下わかりやすく訳しています。その部分の挿絵は次頁。

 提灯の家紋部分を拡大すると打出の小槌みたいのがあったりしますが、ほかはわかりませんでした。緑色の箱ふたつは唐草模様の風呂敷でくるまれているようです。

 従者の列は隣に話しかけていたりよそをみていたりとチュウチュウ(忠)と声が聞こえてきそう。


2023年11月13日月曜日

THE MOUSE'S WEDDING その13

P12P13 個人蔵

P12

(読み)

Soon the bride

came

in her pal-

anquin with her

boxes carried before her,

and a long train

of

attendants

following her.

(大意)

 まもなく花嫁は輿にのってやってきました。

輿の前には長もちがあり、後ろには従者の長い列を従えていました。

(補足)

 こんな行列を見るとやはり拡大して後ろの方を確かめたくなってしまいます。身体の肉部分が少しずつ削ぎ落とされていって骨格だけになっていきますけど、行列の一員の雰囲気がのこっているのがおもしろい。

 また、色は薄いものの姿が判別しにくくなるところまでほどこしているのがすごい。

行列で印象的なのはこのあとの第7号「瘤取(THE OLD MAN & THE DEVILS)」の森の奥からあらわれる鬼の行列です。

 絵師・彫師・摺師は細かくなるところほど腕をふるいたくなるようです。

 

2023年11月12日日曜日

THE MOUSE'S WEDDING その12

P10P11 個人蔵

P10

(読み)

that she must obey her husband,

be dutiful to her father-in-law,

and love her mother-in-law.

 Kanemochi on his part cleaned

up his house inside and out,

made preparation for the marriage

ceremony and feast, assembled his

relatives and friends, and sent out

many of his servants to meet the

bride on her way, and to give

notice of her approach, that

all might be prepared for her

reception.

(大意)

 それはハツカが夫の言うことをよくきき、義父にしっかりとつかえ、

また義母を愛しなさいということでした。

 カネモチの方では、家の外も内もすっかりきれいにし、

親類や友人を招き、婚礼と披露宴の支度を整えました。

そして多くの召使いを新婦の迎えに向かわせ、新婦の到着を知らせました。

これで新婦を受け入れる準備はすべて整ったようであります。

(補足)

 鏡をのせお化粧道具の入っている道具箱は拡大してみると、きれいに全面に飾りが彫られています。ハツカが手にしている鏡も同様です。

 着物や帯の柄にしても、細かい什器にしても、とことん描けるものは描くという絵師のこだわりを感じます。

 

2023年11月11日土曜日

THE MOUSE'S WEDDING その11

P10P11 個人蔵

P10

(読み)

The parents made their

daughter Hatsuka blacken her

teeth as a sign that she would

not marry a second husband;

they also carefully taught her

(大意)

 両親は彼らの娘であるハツカの歯を黒く塗らせました。

それはハツカが再び嫁ぐことのないようにというしるしでした。

両親はまたハツカに丁寧に諭しました。

(補足)

 歯を黒くするのはもちろんお歯黒のことですが、残念ながら時代劇や映画では

やはり見栄えが悪いのでそこまではしないことのほうが多いようです。お歯黒を忠実に施した映画などもありますが、現在の感覚からしたらギョッとしてしまいます。

お歯黒は臭いもあって、見た目も臭いも明治の外国人たちにはとても不評でした。

 挿絵はハツカが母親からそのお歯黒の方法を教わっているところでしょうか。

 

2023年11月10日金曜日

THE MOUSE'S WEDDING その10

P8P9 個人蔵

P9

(読み)

a linen kami-shimo, dried bonito,

dried cuttle-fish, white flax,

sea-weed, fish, and sake;

thus confirming the marriage

promise.

 A lucky day was then chosen,

and every thing prepared for

the bride's removal to her new

home, her clothes were cut out

and made, and needed articles

purchased. So Chudayu was

kept busy preparing for the

wedding.

(大意)

それらは、麻の裃、鰹節、スルメ、白い亜麻、昆布、魚、酒で、

このようにして結納の儀はとりおこなわれました。

そして大安の日が選ばれ、新婦の新居へ向かうためのあらゆる準備が整い、

新婦の衣類は手入れをされ、必要な品々は購入しました。

そのようなことで忠太夫は婚礼の準備で忙しく過ごしました。

(補足)

 紫色の着物は、お見合いの日にハツカが着ていた振り袖のように見えます。母親が右側に裁縫箱を置き、着物の繕いをしています。その左側にあるのはなんだろうと、拡大してみたのですけどよくわからないながら、火熨斗(ひのし)、今でいうアイロンでしょうか?

 隣の間ではハツカの父親忠太夫と仲人さんが相談をしています。

 

2023年11月9日木曜日

THE MOUSE'S WEDDING その9

P6P7 個人蔵

P7

(読み)

an obi or belt, silk cotton,

dried bonito, dried cuttle fish,

white flax, sea-weed, and sake

or rice wine. The bride sent

the bridegroom in like manner:

(大意)

それらは帯(すなわちベルト)、反物、鰹節、スルメ

白い亜麻、海藻、そして酒(つまり米のワイン)でした。

花嫁方は花婿方に同様の品々を贈りました。

(補足)

「silk cotton」は反物だろうとおもいます。太物(綿織物・麻織物など)かもしれません。縁側に三段重ねになっている反物です。

 赤い樽はこの頁で大きく描かれていて、さらに拡大してみるとどうやら日本酒のようでした。角樽でないこのような背丈の低い樽もあったようです。

 日本のお祝いごとの品々はお正月の鏡餅のお飾りとおなじように、ほとんどがその品物の名前にひっかけたものですから、これらの品物にもなにか目出度いこととかかわりがあるはずです。でもここには鯛がありませんね。

 ほかの品々がありますが、なんなのか気になるところです。

 

2023年11月8日水曜日

THE MOUSE'S WEDDING その8

P6P7 個人蔵

P6

(読み)

The bridegroom sent the bride

the usual articles:

(大意)

新郎方は新婦方に日常の品々を贈りました。

(補足)

 昔噺「鼠の嫁入り」は子ども向けに婚礼の儀礼や流れを教え伝えるという側面もありました。典型的なその儀式を海外向けに紹介しているのがこのちりめん本でもあります。

 縁側では次から次へと品物が運び込まれています。

赤い桶は日本酒の入れ物ではありませんし、さて、醤油?味噌?何でしょうか?

 部屋や板戸の上部のぼかしは空間の広がりをあたえて、日本の基本的な技法です。

 

2023年11月7日火曜日

THE MOUSE'S WEDDING その7

P4P5 個人蔵

P5

(読み)

marriage.

When the young folks

were allowed to see each other,

neither party objected, and so

presents were exchanged.

(大意)

若い二人が会うことを許されたとき、どこからも反対の声はあがらず、

そうして、贈り物が交換されました。

(補足)

 ハツカの振り袖の紫色がきれいです。裏地の赤もはえてますし。目も耳も。

仲人の奥様「ハツカさん、あちらの茶屋に腰掛けている黒羽織の方が福太郎さんですよ」。

 うしろの梅の木、木札に「華邨梅」とあります。この本の絵師鈴木華邨です。華邨は著名な絵師でありながら、こうした日常の大衆的なちりめん本や料理本の口絵、各種読み物の挿絵など、こだわりなく描いた絵師でもありました。

 めでたく紅白梅にしたいところを白梅だけにして、茶屋の提灯を紅くしたのがおしゃれです。

 

2023年11月6日月曜日

THE MOUSE'S WEDDING その6

P4P5 個人蔵

P4

(読み)

with

Chudayu

respecting

the

(大意)

婚姻に向けて忠太夫と(相談をするために仲人をたてました。)

(補足)

 わずか4つの語句、それも1行1語句という体裁。隣の頁にまわす余裕は十分にあるのに、何のこだわりかわからないけれども、なんらかのこだわりがあってのことだとおもいます、う〜ん・・・

「福太郎さん、あの梅の木の下にいるのがハツカじゃ」と指差すのが仲人でしょうか。お二方ともに素敵な着物です。すぐ後ろのお茶を飲む御婦人は背中に荷物をくくりつけています、なんとも筆の細かいことです。緋毛氈の赤もきれい。

 

2023年11月5日日曜日

THE MOUSE'S WEDDING その5

P2P3 個人蔵

P3

(読み)

a lovely daughter called Hatsuka.

Accordingly a go-between

was employed

to enter into

negotiations

(大意)

 愛らしい娘ハツカがおりました。それではと、

(婚姻に向けて忠太夫との)相談をするために仲人をたてました。

(補足)

 お三方の御召し物、日本伝統の色や柄であります。仲人さんと奥方はちょっと鮫肌っぽい柄です。渋茶や紺鼠・藍鼠など「四十八茶百鼠(しじゅうはっちゃひゃくねずみ)」といわれるくらい何百とありました。江戸後期から明治初期に日本を訪れた外国人をひどくうならせました。それらの素晴らしさが彼ら日本の旅行記など随所に記されています。

 仲人さんとご主人の前には煙管一式とお膳があって、赤いお盆はお料理で取り箸があります。奥方はお銚子でおひとつどうぞとすすめているところ、膝の前にはお銚子のはかまがあります。そっとのぞきみる娘の目はほんのり赤く、名前通りのはつかネズミ。

 

2023年11月4日土曜日

THE MOUSE'S WEDDING その4

P2P3 個人蔵

(読み)

his wife were very discreet. Never

in the day time nor even at night

did they venture into the parlor

or kitchen, and so they lived in

tranquility free from danger of

meeting the cat. Their only son

Fukutaro also was of a gentle

disposition. When he was old

enough to take a wife, his parents

concluded to get him one, transfer

their property to him, and seek

retirement. Fortunately, one of

their relatives named Chudayu had

(大意)

(カネモチと)妻はとても思慮深い慎重な夫婦でした。

日中はおろか夜でさえも台所を出歩きうろつくなどということは決してなく

とても静かに生活していたために猫と出会う危険の心配はありませんでした。

夫婦の一人息子福太郎もまた優しい性格でした。

 息子が妻を迎えるによい年頃になり、両親は息子に妻をめとらせ、家督を息子に継がせ、夫婦は隠居することとしました。

 幸運なことに、親類のひとりである忠太夫に

(補足)

 ふすまを少し開けてのぞいているのは、きっと娘のハツカ。自分のことなのでドキドキ。

左の扇子を手にしている方が仲人さんで、右側二人が忠太夫と奥様でしょうか。

 壁の薄い濃淡や畳のような淡いイグサの色合いがきれいです。

 

2023年11月3日金曜日

THE MOUSE'S WEDDING その3

見返しP1 個人蔵

P1

(読み)

THE MOUSE'S WEDDING.

A LONG time ago there was a

white mouse called Kane-

mochi,servant of Daikoku, the

God of Wealth. His wife's name

was Onaga. Both Kanemochi and

(大意)

鼠の嫁入り

 昔むかしカネモチという白鼠がおりました。大店の大黒屋の使用人でした。

妻の名をオナガといいました。カネモチと(妻はとても慎重な夫婦でした。)

(補足)

 枠に綱を引っ掛けているのが愉快です。月にはちまきでもしようとしているのかしら。文字は極めて鮮明。飾り文字の「A」を拡大してみると、執拗に装飾が彫り込まれています。

 

2023年11月2日木曜日

THE MOUSE'S WEDDING その2

見返しP1 個人蔵

見返し

(読み)

日本 昔  噺   第 六 号

にほんむかしばなし だいろくごう


ねずみ乃よめいり

ねずみのよめいり

(大意)

(補足)

 ねずみたちがかわいらしい。よいしょよいしょという掛け声がきこえてきそうです。ときたまやすんでふぅ〜っていうため息も。薄青の濃淡がとてもきれいです。

 ねずみを一匹一匹拡大鏡でのぞいてみると、その精緻なことに驚かされます。まさに絵師・彫師・摺師の三位一体の技。

 

2023年11月1日水曜日

THE MOUSE'S WEDDING その1

表紙 個人蔵

(読み)

JAPANESE FAIRY TALE SERIES No6

THE MOUSE'S WEDDING.

(大意)

日本昔噺 第六号

ねずみのよめいり

(補足)

 11月初日になりました。前回は白黒でしたので今回は色彩のあるものがほしくなりました。手持ちのちりめん本から「ねずみのよめいり」を、このBlogは変体仮名に親しみ読めるようにするのが目的なのでしたが、とりあげます。

 表紙はどの本にとっても命です。この表紙もこの大きさのなかに精緻を極め、画家のもてる力をいかんなく発揮しています。原本を見るときは拡大鏡でくまなく鑑賞し楽しみます。PCでは簡単に画像を拡大することができますので、それ以上に隅から隅までなめまわすようにその精緻さを眺め感嘆しため息をもらしています。

 着物の柄や駕籠(乗物)の外側の意匠など詳しい方がいらっしゃるはずで、ぜひともいろいろお聞きしたい。駕籠の竿にまで、螺鈿のような蒔絵のような意匠があって、もちろん漆塗り。駕籠から出ようとしている新婦の手をとっている御婦人の着物の薄青の濃淡が美しい。新婦の左袖か着物の裾か、駕籠の縁にかかっています。手の仕草、駕籠の縁にかかっている着物が動きをつたえます。駕籠の中も丁寧に描かれています。駕籠のうしろのお付のもの二名の着物の色が落ち着いた色合いで上品です。

 本の二箇所の大和綴じがほつれることなく綴じ糸の色艶がのこっています。