2021年2月28日日曜日

豆本 金太郎一代記 その15

奥付

奥付竹内版

(読み)

御届明治十八年六月一日

編輯

画工兼出板人

東京日本橋區 定價壹銭五厘

馬喰町二町目七番地

佐藤新太郎


御届明治十三年十二月十日 價壹銭五厘

画工 竹内栄久

本所區亀沢町壱丁目廿一番地

出版人 宮田幸助

(大意)

(補足)

 面白いことに佐藤新太郎版は本文の方は画がつぶれたり文字がかすれたりでしたが奥付に関しては竹内版より明瞭にみえます。ここだけはあらたに摺ったものだからでしょうか。

 値段はともに1銭5厘で同じです。明治初期の5年の差は物価の変動がそれなりに激しいのではと考えるのですが、もうけなどわずかなものだったはずです。

裏表紙

裏表紙竹内版

特に特徴はありません。

 

2021年2月27日土曜日

豆本 金太郎一代記 その14

P12

P12竹内版

(読み)

志るところ

しるところ


奈り

なり


めで●

めで


●多し

 たし


\/\/

めでたしめでたし


\/\/

めでたしめでたし


(大意)

しるところと

なりました。

めでたしめでたし


(補足)

 金太郎生みの親山姥が雲上で金太郎を褒め称え寿ぐ舞をしているところでしょう。

 佐藤新太郎版では最後の頁はやや力を込めたようで、着物柄や色に原画にない工夫をこらしています。

 竹内版では扇の赤が背景と重なってしまったのは残念、山姥はあっさりした色の取り合わせが美しい。雲の濃淡も工夫したのでしょうか。また左手の指が袖からちらりとのぞいていますが、これは袖を握っている仕草を細かく描いたものです。凝ってますね。

 

2021年2月26日金曜日

豆本 金太郎一代記 その13

P11

P10P11竹内版見開き

(読み)

そ連

それ


より

より


志よ\/

しょしょ


のいくさ

のいくさ


尓てぐん

にてぐん


こうを

こうを


あらハし

あらわし


その本まれ

そのほまれ


志よ尓んの

しょにんの


(大意)

それから

数々の戦で軍功を揚げ

その誉れは多くの人(諸人)の


(補足)

「そ連」は変体仮名「連」(れ)、「その本まれ」の「れ」は平仮名or変体仮名「礼」のようにもみえます。

 竹内版に比べると全体の色使いや衣裳の柄を凝ったりして引き立てています。しかし元絵と見比べると・・・うーん残念。

 

2021年2月25日木曜日

豆本 金太郎一代記 その12

P10

P10P11竹内版見開き

(読み)

をミ

をみ


い多し

いだし


可んしん

かんしん


奈しつれ

なしつれ


可へるきん

かえるきん


多らうの

たろうの


奈さ可多

なさかた


のきん

のきん


と起と

ときと


あら

あら


多め

ため


(大意)

(怪童丸)を見い出し

気に入って連れ帰りました。

金太郎の名は

坂田の金時とあらため


(補足)

「可んしん」、辞書では「感信」「感心」がありましたがどちらでも意味は通じます。

「つれ」、「れ」には見えませんが、これは変体仮名「礼」でしょうか。

 ふたつの画を比べてみると、佐藤新太郎版の絵の潰れ方がひどく、よくもまぁ販売したなという気になります。店で手にした人は買わないんじゃないかな。竹内版のほうは申し分なし。

 

2021年2月24日水曜日

豆本 金太郎一代記 その11

P9

P8P9竹内版見開き

(読み)

たち

たち


まち

まち


とつて

とって


おさへ

おさえ


さるのこを

さるのこを


とり

とり


可へし

かえし


その

その


まゝ

まま


尓可゛

にが


しやり

しやり


けり

けり


こゝ尓

ここに


ミ奈もと

みなもと


のよりミつこう

のよりみつこう


このところへ

このところへ


き多りくハひ

きたりか い


とうまる

どうまる


(大意)

たちまち、捕まえて押さえつけ

猿の子を取り返し

そのまま逃してやりました。

ここに源頼光公が

このところへやって来ました。

怪童丸

(補足)

竹内版の文章を頼ります。

平仮名「た」が出てくる頻度が多くなりました。

「ミ奈もと」、「もと」だけがこの形で出てきたら「のく」と読んでしまいそうですが、前後のつながりがあるので類推できます。

 金太郎はまずは雷から太鼓を取り上げ、雷の力を大きくそぎました。そして雷の背中をどうだまいったかと押さえつけ降参させています。

 猿や太鼓の右側ふたつと輪っかなどは色忘れでしょう。クルクル巻いた雷雲とカクカク直線で稲妻を表現しています。稲妻がなかなかのデザインで上手ですね。佐藤新太郎版ではあまり威力を感じませんが竹内版では赤が偶然ずれたのか意識的にそうしたのかは不明ですけど、立体的に見えておもしろい。こんな稲妻は見たことがありません。

 

2021年2月23日火曜日

豆本 金太郎一代記 その10

P8

P8P9竹内版見開き

(読み)

尓らミたち

にらみたち


春り者やく

すりはやく


\/と

はやくと



▲やま

 やま


ざれや

ざれや


とよ者゛ハ

とよば わ


れバこの

ればこの


とき

とき


らい下

らいした


尓おち

におち


(大意)

(空を)にらみ

立ち上がって

はやくはやく、

山から去れと叫びました。

まさにそのとき

雷(かみなり)が下に

落ち、


(補足)

 どうも文章の情景がはっきりしないのですが、獣たちが空でゴロゴロやっている鬼を恐れているので、金太郎はすっと背を伸ばして立ち空をにらみ、はやく立ち去れと空の鬼にむかって叫んだところ、鬼が怖じ気ついたのか、雷(かみなりor鬼)が落ちてきた、というようなことでしょうか。

 佐藤新太郎版の文章はかすれて判読が難しいので竹内版を頼ります。こちらは大変に明瞭です。

「尓らミ」の「ミ」が赤の色に重なってよくわかりませんが、あるように見えます。

「たち春り」(たちすり)は背を伸ばすような仕草でしょうか。

「者やく\/と」しましたが、どうも納得してません。また合印●と▲がありますがもう一方はどこにあるのかわかりません。

「らい下」は「下」が「T」になってますが、まぁこれで意味は通じます。


 

2021年2月22日月曜日

豆本 金太郎一代記 その9

P7

P6P7見開き竹内版

(読み)

たち

たち


まち

まち


らいの

らいの


とゞろき

とどろき


けんぞくの

けんぞくの


さるく満とも

さるくまども


をちおそ連

おちおそれ


る由へきん多らうハそらを

るゆえきんたろうはそらを


(大意)

たちまち雷(かみなり)がとどろき

従者の猿や熊どもは落雷を恐れるので

金太郎は空を


(補足)

竹内版P6P7見開きも並べましたが、P7の背景は次頁P8の摺りの都合のためか色がおかしくなっています。P7とP8は四丁で摺りとしては同じ用紙になりそれを折ってます。

 見開きにして頁をまたいでいた大蛇の口が金太郎に裂けんばかりにされているのがわかります。

バンザイしている熊の頭or顔がなんか変・・・・

 

2021年2月21日日曜日

豆本 金太郎一代記 その8

P6

P6竹内版

(読み)

てん尓ハ

てんにわ


可尓くもり

かにくもり


あめしや

あめしゃ


志゛くを

じ くを


奈可春可゛

ながすが


ごとく

ごとく


ふりい多゛し

ふりいだ し


(大意)

天にわかに曇り

雨が車軸を流すがごとく

降り始めました。


(補足)

 竹内版と並べてみると、佐藤版はピンぼけの写真をみているよう。金太郎の髪の毛は河童のようですけど竹内版では一本一本くっきり。背中の部分もはっきりしませんが、金太郎はまさかりを背中にしょっている様子がわかります。また金太郎の左足が何かグジャグジャしたものを押さえつけているようですが、これは大蛇の下顎の歯のところを足で踏んづけているのでした。

 文章に読みにくいところはありません。

 

2021年2月20日土曜日

豆本 金太郎一代記 その7

P5

P4P5見開き竹内版

(読み)

このきのうら尓

このきのうらに


おゝき奈るうハ者゛ミ

おおきなるうわば み


さるのこをとりて

さるのこをとりて


くら王んとくちを

くらわんとくちを


あきしたを

あきしたを


のそミつる由へ

のそみつるゆへ


きん多ろうハ

きんたろうは


者やくこ連を

はやくこれを


ミまつを多をし▲

みまつをたおし


▲うハ者゛ミの

 うはば みの


くち尓

くちに


てを可け

てをかけ


ひ起さ起

ひきさき


けり

けり


(大意)

この木の後ろに大きな大蛇(うわばみ)が

猿の子をつかまえて食おうと口を開け

舌をのぞかせていたので

金太郎はこれを見て素早く松を倒し

大蛇の口に手をかけて引き裂きました。


(補足)

この頁も文章が読みづらいので、竹内版を参考にします。

平仮名「た」と変体仮名「多」のようにいくつかの文字が混在していますが、

「尓」(に)と「ミ」(み)はゆらぎません。

佐藤版の兎の表情がいまひとつ、脚もどことなくか細く頼りない。竹内版のほうが凛々しくってこれぞお供という感じです。佐藤版ではまさかりや背景の山々もボケてしまっています。


 

2021年2月19日金曜日

豆本 金太郎一代記 その6

P4

P4P5見開き竹内版

(読み)

ゆき

ゆき


よう

よう


く王い

か い


へん

へん



を加り

をかり


多゛しや満

だ しやま


のう連ひを

のうれいを


のぞく

のぞく


あるひきん

あるひきん


志゛やう尓

じ ょうに


まつの多い本くあり

まつのたいぼくあり


(大意)

(山の上に)行き、妖怪変化を狩り出し

山の不安を取り除きました。

ある日、近くに

松の大木がありました。


(補足)

 文章がかすれているところが多いので、竹内栄久版も見ましょう。

「ようく王いへんげ」は妖怪変化でしょうけど、最後の方の「きん志゛やう尓」は近所にと読むのかどうか不安です。近場もありますけどこの読みは「ちかば」でしょう。

 金太郎はまさかりの柄を馬に見立てまたがって遊んでいるようです。画全体が暗いですね。

金太郎の表情が竹内版では朗らか柔和ですが、佐藤版ではなんか楽しくなさそう・・・

お供の熊の表情も同じです。

 

2021年2月18日木曜日

豆本 金太郎一代記 その5

P3

P2P3見開き

(読み)

あ可ごをうめり

あかごをうめり


奈をかいどう

なをかいどう


まると

まると


いふ

いう


ち加ら

ちから


あくまてつよく

あくまでつよく


つね尓志ゝく満

つねにししくま


さるうさ起゛

さるうさぎ


のたぐいを

のたぐいを


あつめ春もふを

あつめすもうを


とりあそび

とりあそび


ま多ハや満のうへ尓

またはやまのうえに


(大意)

赤ん坊を生みました。

名を怪童丸といいました。

力はどこまでも強く

いつも猪・熊・猿・兎などを集めては

相撲をして遊んでいました。

または山の上に


(補足)

 この頁はかすれもなく普通に読むことができます。

「あ可ご」は変体仮名「可」、「かいどうまる」は平仮名「か」、「ち加ら」は変体仮名「加」。

「ま」も「た」も平仮名と変体仮名が混在しています。

竹内栄久版P2P3見開き

こちらのほうが線にキレがあることがよくわかります。

また土俵上の兎の右足脇に4つの点があります。佐藤新太郎版でも同じ位置にあり、どうやら絵を写し取ったのではなく、版木をそのまま版権と一緒に譲り受けたのかもしれません。


 

2021年2月17日水曜日

豆本 金太郎一代記 その4

P2

(読み)

阿る

ある



由め

ゆめ


尓あ可き里うと

にあかきりゅうと


ちぎる

ちぎる


こと由め

ことゆめ


ミてつい

みてつい


尓ミごも

にみごも


るつき

るつき


ミちて

みちて


ひとりの

ひとりの


(大意)

ある日夢に赤い竜と契る夢を見て

とうとう身ごもりました。

月が満ちてひとりの


(補足)

竹内栄久版ものせます。

出だし「阿るひ」としましたが「之」(し)でしょうか、わかりません。

「里うと」は「と」が「を」にも見えます。

「ことゆめ」、合字の「こと」としましたがこれも?。

文字の彫りについてですが、下部の金太郎の股下に3つの点があります。ふたつの頁を比べるとこの点の位置が全く同位置にあり、版木が同じものではないかと想像させます。


 

2021年2月16日火曜日

豆本 金太郎一代記 その3

P1

(読み)

こゝ尓

ここに


王ら

わら


ゑり

えり


阿し

あし


から

がら


や満の

やまの


をく尓

おくに


ひとり

ひとり


のや満うバ

のやまうば


あり

あり


(大意)

ここに微笑んでいる

足柄山の奥に

ひとりの

山姥がおりました。


(補足)

 彫りも摺りもだいぶくたびれていて鮮明さにかけます。この豆本は明治十八年六月一日が御届になっています。豆本は同じ題名で異なる画工が出版していますから、国立国会図書館デジタルアーカイブで「金太郎一代記」を検索してみました。いくつかありましたが、驚くことにほぼ同じものを見つけました。これです。

 こちらは「御届明治十三年十二月十日 画工竹内栄久 出版人宮田幸助」ですので、佐藤新太郎のものより約5年はやく出版されています。比較すると、色や絵柄は変えていますが、構図はほぼ重なるくらいに同一で文章はまったくおなじです。竹内版をもとに薄い和紙を重ねて写しとったものでしょう。江戸時代の出版業界では編集人が版権を売って草双紙などを引き続き発行し続けることはよく行われていたようですから、この豆本も佐藤新太郎が出版人宮田幸助から版権を購入して出版したとしか考えられません。また佐藤新太郎はこの豆本を出版したとき(明治十八年六月一日)に同時に約10冊も出版しているのです。すでに出版されている豆本の版権を購入して出版するのならば同時に10冊近くもの出版をすることも可能だったかもしれません。佐藤新太郎としては復刻の気持ちが強かったのでしょうか、たった約5年後とはいえ、このときにはもう腕の良い画工・彫師・摺師がみつけられなかったのか、ふたつの豆本の質の差は歴然です。


変体仮名「王」(わ)は「已」のような形。

「ゑ」は変体仮名「志」(し)にそっくりです。

「阿しからや満」、「か」と「や」がにています。

竹内版の山姥の横座りの佇まいの品の良いこと、そして妖しさがなんとも・・・

後ろの黒雲にのる赤き龍は・・・

 

2021年2月15日月曜日

豆本 金太郎一代記 その2

見返し

(読み)

金太郎

きん多らう

いちだ以幾

明治十九年十二月十四日内務省交付1928

東京図書館印 TOKIO LIBRARY

(大意)

(補足)

「郎」の旁「良」が广(まだれ)のようになり、中に阝が入るような形になっています。

「だ」は平仮名、変体仮名「以」(い)、「き」は変体仮名「幾」でしょうけど、平仮名の「き」がその形の中にみてとれます。

なんとなく老練さを感じさせます。鉞(まさかり)の使い込んであるような様子が少し暗い全体になじんでいます。

 

2021年2月14日日曜日

豆本 金太郎一代記 その1

表紙

(読み)

金太郎

きん多らう


一代記

いちだいき


(大意)

(補足)

「多らう」は変体仮名、「いちだいき」では平仮名。

山姥が風車で金太郎をあやし、金太郎は奴凧のような格好。表紙は普通、書店で目を引くために丁寧に描かれるものですが、これは荒い。画工・彫師・摺師の腕がいまひとつ以下です。


 

2021年2月13日土曜日

豆本 金太郎山めぐり その15

奥付

裏表紙

(読み)

御届明治十八年六月一日

編輯

画工兼出板人 定價壹銭五厘

東京日本橋區

馬喰町二町目七番地

佐藤新太郎

(大意)

(補足)

 御届日付と同じ日付で佐藤新太郎は豆本を10冊前後出版しており、そのうち「金太郎一代記」「金太郎山めぐり」「金太郎咄し」と似たような内容で3冊もシリーズ化しています。前回の記事でも示しましたが、最終頁などはほとんど同じ構図になってます。なぜ一気に10冊前後の豆本を出版したのか、それらを開いてみると出来具合はそろってなく、出来不出来の差が激しいのです。不出来のものは出版しなければよいのに、よほどの理由があったのかもしれません。とても気になります。

 

2021年2月12日金曜日

豆本 金太郎山めぐり その14

P12

(読み)

あら多めそのこう

あらためそのこう


ひとの志る

ひとのしる


ところ

ところ


奈り

なり


めで多し\/\/

めでたしめでたしめでたし


(大意)

あらため、その功(績)は

人の知るところとなりました。


(補足)

 金太郎は坂田金時(さかたのきんとき)、頼光の四天王のひとりとなって出世してめでたしめでたしめでたしとなりました。足柄山の山姥も天上より喜びの舞をしてその功をたたえています。

 左手は袖をつまみ、右手には扇(その扇もすべてを描かずに端をきる構図は定番)、体をゆるくくの字にひねり、後ろ髪を風になびかせています。最後の頁は手抜きもなく親方、佐藤新太郎が描いたようです。

 同時期に出版した「金太郎一代記」の最終頁はこれとほとんど同じです。

一見しただけでその違いは明らかです。

2,3行目のちょうど同じ2文字目に「と」と「こ」が並んでいます。「こ」と「と」は似ているので注意です。

 

2021年2月11日木曜日

豆本 金太郎山めぐり その13

P11

(読み)

[つゞき]

お本

おお


多こを

たこを


者りて古れを

はりてこれを


あげて奈ぐ

あげてなぐ


さむのち

さむのち


より

より


ミつ可

みつこ


うの

うの


可しん

かしん


と奈り

となり


きん

きん


ときと

ときと


(大意)

大凧を張って、これを揚げて楽しみました。

その後、頼光公の家臣となり

金時と


(補足)

 絵がやはり稚拙です。弟子にしてもちょっと下手すぎます。凧の下部の足なんて適当。大凧の絵も子どもの落書きのよう。

「者りて」、変体仮名「者」(は)は「十」+「て」のような形ですが、「む」の後半が下に流れている形のようなこともあります。「張る」は凧の糸をピンと張っているのか大凧をしっかりたわまないように張っているのかどちらかでしょう。

「古れを」、変体仮「古」(こ)。

「よりミつ可うの」、「可」が小さすぎてわかりにく。もう少し大きくしたのが2行あとの「可しん」。

 

2021年2月10日水曜日

豆本 金太郎山めぐり その12

P10

(読み)

▲お本き

 おおき


奈るこひ

なるこい


を多゛起●

をだ き


●とむる

 とむる


あるひ大

あるひおお


可ぜふきし[つぎへ]

かぜふきし


(大意)

大きな鯉

を抱き止めました。

ある日、大風が吹き


(補足)

 金太郎の描き方がちと乱暴です、スネや足は下書き以下。鯉を描いて疲れてしまったのか。糸のような紐のようなものをたぐってます。足元には紐を入れるザルがあります。

P10P11見開き

凧揚げでした。絵は稚拙とはいえ、遠近を考えた構図は手抜きがないようです。

 

2021年2月9日火曜日

豆本 金太郎山めぐり その11

P9

(読み)

[つゞき]

ま多

また


たき

たき


つ本゛尓

つぼ に


いりて

いりて


きん多らう▲

きんたろう


(大意)

また、滝壺に入って

金太郎は


(補足)

ここでも変体仮名「多」と平仮名「た」があります。

P8P9見開き

 五月の節句に鯉幟や鍾馗様や兜も良いですけど、この絵一枚額に入れるなり表装するなりして飾りたい。子どもが大きな鯉と一緒に元気に育ちそう。それにジジイには元気がもらえそう。

 大鯉の眼はパッチリ、金太郎を視野に入れながらも周囲に警戒怠らず、行くぞ金太郎しっかりつかまれっ!とはっぱをかけているみたい。

 

2021年2月8日月曜日

豆本 金太郎山めぐり その10

P8

(読み)

きん多らう

きんたろう


ハたゝひ

はただひ


とこ

とこ


ぶし○☓

ぶし


(大意)

金太郎は

たったの一撃で


(補足)

文章よりもなによりも絵がすごい。

P8P9見開きです。

 たくさんの豆本の中でも特筆に値する描写です。金太郎が主役のはずですが、どっこい、滝壺の主(あるじ)大きな鯉なのであります。金太郎の下半身は鯉の胴体と一体化して鯉にしがみつき一緒に遊んでいるよう。鯉全体を描くことはせず尾の部分はヒレを少し見せるにとどめています。その構図も勢いがいやまして推進力を感じさせます。真上からではなくいくらか手前に視点をもってきているところもかえってその不安定さが滝壺の中を泳ぎ回っているよう。うろこは金と朱でキラキラきらめくよう。胸ビレ背びれ尾びれも金と朱でまぶしい。頭の二つの丸い斑点がチャーミング。それにしても金太郎をのせ水をかき分け猛進する水流の描写もすごい。いやぁ素晴らしい!!

金太郎はすっかり引き立て役になってしまいました。


「たゝひとこぶし」、一読しても?。一拳(ひとこぶし)がわかって「た」のつぎが悩みますが「ゝ」とすれば意味が通じます。平仮名「た」も少しずつ多くなっているような気がします。この部分は前頁へ戻って続きます、(たったの一撃で猪を打ち殺してしまった)。「と」と「こ」は区別がつかないこともあるのですが、やはりちょっとにています。


 

2021年2月7日日曜日

豆本 金太郎山めぐり その9

P7

(読み)

[つゞき]

あ連

あれ


い多゛し

いだ し


けれバ

ければ


さるうさ起゛

さるうさぎ


奈どおそ連

などおそれ


尓げまどふを

にげまどうを


○☓尓うち

 にうち


ころせし

ころせし


とぞ[つぎへ]

とぞ


(大意)

(が)暴れまわったので

猿兎などは恐れ逃げまどい

ました。

○☓に打ち殺してしまった

とのことでした。

(補足)

変体仮名「連」(れ)が2ヶ所、平仮名の「れ」もあります。「おそ連」、「そ」の下がかすれて「ユ」にみえます。

合印◯☓は次頁からの続きです。

P6P7見開き

大イノシシの首から下も迫力満点、太くて荒い毛が鱗のようにも見えますがやはり獣の身体であります。見開きで見ると迫力倍増。猪のひずめの青が印象的です。猪と金太郎が動ならば左下の赤く紅葉したもみじは静。まわりにも散らばっています。

 

2021年2月6日土曜日

豆本 金太郎山めぐり その8

P6

(読み)

けりこのや満尓

けりこのやまに


としふ可く

としふかく


春む

すむ


いの志ゝ

いのしし


(大意)

(追い散らしま)した。この山に

長年住む猪(いのしし)


(補足)

 鬼退治の次は山の主のような大猪。金太郎に首根っこを押さえつけられて目をむいています。猪の荒く太い針のような毛並みがとてもリアルです。金太郎の後には黄色くなったもみじの葉があります。

「春む」、変体仮名「春」(す)は「十」+「て」or「す」+「て」のような形。

「いの志ゝ」、変体仮名「志」(し)、平仮名「し」との使い分けは気分次第の感じです。

 

2021年2月5日金曜日

豆本 金太郎山めぐり その7

P5

(読み)

[つゞき]

あま多の

あまたの


けものを

けものを


奈やませ

なやませ


志可バ△

しかば


△きん多らう

 きんたろう


たゞひとり

ただひとり


尓てさん\゛/尓

にてさんざ んに


おいちらし

おいちらし


(大意)

たくさんの獣(けもの)を苦しめたので

金太郎はただひとりで

ひどい目にあわせ追い散らしました。


(補足)

変体仮名「多」(た)が常用ですが平仮名「た」もあります。

「きん多らう」、ここの「ら」と「う」のようにはっきり見分けられればよいのですが、「おいちらし」の「ら」となると「う」にも見えます。まぁここは文章の流れで「ら」とすぐわかりますけど。

P4P5見開き

輪郭線がはっきりしています。佐藤新太郎の豆本は輪郭線が明瞭なのと、ササッとなぞった感じのがあります。お弟子さん達の癖で異なるのかもしれません。P4の根方の色は忘れてしまったよう。

逃げる化け物たちのの視線は全員金太郎に集中しています。金太郎の体からは覇気が発散、戦いの声がきこえてきそうです。

 

2021年2月4日木曜日

豆本 金太郎山めぐり その6

P4

(読み)

○●あるひ

 あるひ


や満をくへ

やまおくへ


さ満\/の

さまざまの


者゛けものいでて[つぎへ]

ば けものいでて


(大意)

ある日、山奥に

様々な化け物が出て


(補足)

 顔が紅潮するとはいいますが、全身マッカッカの金太郎、力士であります。

 

2021年2月3日水曜日

豆本 金太郎山めぐり その5

P3

(読み)

[つゞき]

けものを

けものを


あつめいろ\/

あつめいろいろ


のたハ

のたわ


む連を

むれを


奈して

なして


あそび

あそび


ける◯●

ける


(大意)

獣(けもの)を集め

いろいろな遊びをして

過ごしました。


(補足)

 怪力無双だけあってムキムキマッチョ怖いものなしの金太郎。

「たハむ連」、平仮名「た」は珍しく、ほとんどは変体仮名「多」(た)です。変体仮名「連」(れ)はよくでてきます。

P2P3見開き

 山の中のこんな場面をちょっとのぞいてみたい。