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2020年2月12日水曜日

豆本 浦島物がたり その17




 奥付

(読み)
御届明治十三年十二月十日
おとどけめいじじゅうさんねんじゅうにがつとおか

價壹錢五厘
かいっせんごりん

画工 竹内栄久
がこう たけうちえいきゅう

本所區亀沢町壱丁目廿一番地
ほんしょくかめさわまちいっちょうめにじゅういちばんち

出版人 宮田幸助
しゅっぱんにん みやたこうすけ


(大意)


(補足)
「竹内栄久」をネットで調べるといろいろ出てきます。
四世歌川国政の名をもつ画家。
嘉永元年(1848年)江戸日本橋生まれ、大正9年(1920年)没。
多数の子ども向け「草双紙」を書いた。

 わたしの父は大正3年生まれ、母は大正9年生まれです。父は竹内栄久と同時代を生きてますが草双紙を手にして読んだのかなぁ、聞いておけばよかった。

「價」(か)としましたが、(あたい)かも。
「本所區」、「所」は「町」ではありません。


裏表紙の柄は麻の葉を図案化したもの



 この当時、和綴じは手作業だったはずです。
部数が増えると、大変な作業だったろうとおもいます。


2020年2月11日火曜日

豆本 浦島物がたり その16




 P.12

(読み)
ごと起
ごとき

もののミ
もののみ

尓て奈尓も
にてなにも

奈したらうハ
なしたろうは

多ちまち志ら可゛
たちまちしらが

と奈りらう志゛んの
となりろうじ んの

こと
こと

とも奈りしとぞ
ともなりしとぞ

のちうら志満
のちうらしま

多゛い女う 志゛んと
だ いみょうじ んと

いふ女で多し
いうめでたし

くくく
めでたしめでたしめでたし


(大意)
ようなものだけしかなく他にはなにも入っていませんでした。
太郎はたちまち白髪になってしまい老人の姿になってもしまいました。
のちに(長寿をめでて)浦島大明神と呼ばれました。めでたし、
めでたし、めでたし、めでたし。


(補足)
 最後の頁は赤や明るい色はなく地味ではありますが、絵は丁寧に引き締まって描かれています。
太郎の表情もよいですが、この頁の手のひらで驚きようがよく表現されています。
中盤の絵がどことなく雑でしたが、最後のこの頁でしっかりとまとめました。

 文章は、はっきりと摺られていて全文がスラスラと読めます。
この頁以前の補足で記したことに注意すれば、難しいところはありません。


2020年2月10日月曜日

豆本 浦島物がたり その15




 P.11

(読み)
●このうら尓
 このうらに

春まひ
すまい

さんぜん
さんぜん

ねん
ねん




よハひてたるを
よわいてたるを

多満て者゛この奈可
たまてばこのなか

をミ多くおもひし由へ
をみたきおもいしゆえ

ふ多をくりミれハ奈尓
ふたをくりみればなに

も奈したゞ
もなしただ

けむりの
けむりの


(大意)
(太郎は)この浦に住みました。
(あるとき)三千年の齢(よわい)を経ている(と言われている)
玉手箱の中を見てみたいと思い
蓋を開けてみれば、何も入ってなく
ただ煙の


(補足)
 背景が砂浜の色だからだけでなく、この部分の摺りは明確に読むことができます。

「よハひてたるを」、どのように現代文になおすか、難しいところです。「よハひ」は「齢」なので、単純に(三千年の齢を経ている)としました。

「多満て者゛こ」、変体仮名で書かれると、何かしらの力が入っているような気がしてきます。

「ふ多をくりミれハ奈尓」、(蓋を繰り見れば)でしょうか。綱や糸などを巻き取る、紙や布などを順にめくる。現在ではあまり用いないかもしれません。「尓」が行末でつぶれて難しい、文章をベタに書いているのですから、単純に次の行頭にもっていけばとおもうのですが。

「も奈したゞ」、変体仮名ではない「た」です。


 P10P11見開きです。



 畑の手入れをしている人物、あまりの手抜きに笑えます。
空の赤(明治赤絵)、海の青は両頁同じですが、どうして砂浜の色だけがことなるのでしょう。
300年の経過を示すため?
なにか訳があるとおもうのですが、おもいつきません。

2020年2月9日日曜日

豆本 浦島物がたり その14




 P.11

(読み)
尓たつね
にたずね

とへバさん
とえばさん

びやくねんを
びゃくねんを

春ぎし
すぎし

こと奈れバ
ことなれば

おもハ春゛
おもわず

せんきゆ
せんきょう

のこ
のこ

とぶ
とぶ

きを
きを

よろ
よろ

こひ
こび

それより●
それより


(大意)
に尋ねたところ
三百年が過ぎていたことがわかりました。
浦島太郎はおもわず、乙姫と過ごした仙境での幸せな生活を思い出し喜び懐かしみました。
その後、


(補足)
この部分は背景が暗い赤で、文字が読みづらい。

「尓たつね」、「尓」がよくわかりません。「た」が平仮名になっていて珍しい。「ね」は3行目に「びやくねんを」にある「ね」とまったく異なります。書き間違えだとしても何の字なのでしょう。

「せんきゆ」「のこ」「とぶ」「きを」「よろ」「こひ」、一行二文字が続くとどこが切れ目かわからなくなります。(仙境の寿を喜び)。仙境(せんきょう)は、仙人の住む土地、俗界を離れた清浄な土地。

 乙姫と仙境での生活は3年間でしたが、故郷に戻ってみると300年!
光速の乗り物にのっていると、時間の進み方が遅くなりますが、それにしても100倍とは。
亀の泳ぎが光速で龍宮城では時の経つのが遅いのですね。

 背景は銭湯の壁絵みたい。
村の人の身なりは整っていて、応対も親切そうです。
顔や右腕部分の白抜きがずれてしまってます。左手があっちですよと指さしてますがそこも青色がかぶってしまってます。

 豆本だからと手抜きではないでしょうが、色刷りがどこか大雑把です。


2020年2月8日土曜日

豆本 浦島物がたり その13




 P.10

(読み)
うら志満ハ
うらしまは

ミとせ
みとせ

あと
あと




わ可
わが

うち
うち

くさ起おい
くさきおい

志げりま
しげりま

多ハ志る
たはしる

ひとも
ひとも

つい尓
ついに

いぬ
いぬ

由へふしん尓
ゆえひしんに

おもいと
おもいと

ころの人
ころのひと


(大意)
浦島太郎は三年後の我が家のはずなのに
草木が生い茂り、また、知る人もとうとう見つけることはできませんでした。
どうしたことかと不審に思い、土地の人に


(補足)
「わが」「うち」、(我が家)。「わ」は何度も出てきてますが、やはりわかりにくい。
「由へふしん尓」、「ふ」が「み」に見えてしまいますし、次の「し」も小さくてわかりずらい。

 太郎、あわてて帰国したわけでもないのに、わらじも履かず白足袋です。


2020年2月7日金曜日

豆本 浦島物がたり その12




 P.10

(読み)
む由へ
むゆえ

おとひめも
おとひめも

ぜひ奈く多満
ぜひなくたま

て者゛こを
てば こを

やりわ可れを
やりわかれを

つけ可尓
つけかに

おくり
おくい

者゛んしうへ
ば んしゅうへ

可へし
かえし

けれ者゛
ければ


(大意)
乙姫はしかたなく玉手箱をやって別れることにしました。
(来たときと同じように)亀に送られて播州へ帰ったところ


(補足)
「やりわ可れを」、「や」が「ゆ」に見えますが、変体仮名「也」です。またここで切れます。
「わ」がやはりわかりにく。

「つけ可尓」「おくり」、「尓」は「め」の間違いだと思うのですが、もしかしたら帰りは「蟹」の背中に乗って送られたのかもしれません。

 玉手箱を小脇に抱えて、久しぶりの故郷に帰り、うれしそうな太郎です。
ちゃんと釣り竿も持ち帰りました。腰蓑は忘れてきたようです。

 背景は漁師町の浜の風景、網が干してあり、沖には白帆が数隻。


2020年2月6日木曜日

豆本 浦島物がたり その11




 P.9

(読み)
まい
まい

可んらく
かんらく

をもよふ
をもよう

つい
つい

尓●


●おとひめ▲
  おとひめ

▲のむこと奈る
 のむことなる

さんねん女尓わ可゛
さんねんめにわが

こきゆうのこいしく奈り
こきょうのこいしくなり

し満へ可へらんことをのぞ(むゆへ)
しまへかえらんことをのぞ(むゆへ)



(大意)
舞い、歓楽のもてなしをしました。
そしてついに乙姫の婿となりました。
(しかし)3年目に我が故郷が恋しくなり
島へ帰ることを望んだので


(補足)
「をもよふ」、「よ」は変体仮名「与」?
「さんねん女尓わ可゛」、「わ」がこれ一文字だったら読むのは無理です。

 いやぁ、宴会真っ盛り、タコはやはり鉢巻が基本だったのがわかり嬉しいです。それに扇も8枚あってフル回転。
三味線を弾いているのはP6に出てきた赤い服の家来に似ています。ナマズに見えますけどフグかな?

P8P9見開きです。



 赤を多用してますが、寂しい赤です。頁をまたいでいる扇子、色を忘れてます。
鯛の活き造りののっているお膳の他のお料理にも賑やかな色がほしいところでした。



2020年2月5日水曜日

豆本 浦島物がたり その10




 P.8

(読み)
むくひ尓
むくいに

この多ひ奴しを
このたびぬしを

た春けつれこと
たすけつれこと

いふさけさ可奈
いうさけさかな

だい可い
だいかい

のちん
のちん

ミを
みを

つくし
つくし

またハ
または

あ満多の
あまたの

さ可奈
さかな

多ちきやく
たちきゃく

をそゝりし
をそそりし

おどり
おどり


(大意)
お礼にこのたびあなたを助けて連れて来たのですと言いました。
酒肴に大海の珍味を尽くし
またはたくさんの魚たちがお客の心が浮き立つような踊りを


(補足)
 大宴会です。
太郎は着物はそのままで袴は宴会用に着替えたようです。
浦島太郎は漁師だったはずですが、宴会で正装してお侍さんのよう。
乙姫は、海藻のカジメのフリルをまとってます。

 鯛の活き造り、箸が何本も壺に入れられてます。
その手前の魚の頭は家来でしょう。
「酒肴大海の珍味を尽くし」とありますので、料理されてしまう家来もたくさんいたに違いありません。

「むくひ尓」、「く」の最後が左下に流れてます。次の文字につなげるため?
「この多ひ奴しを」、(此の度、主を)とすれば理解できますが、初見では悩みます。
「いふさけさ可奈」、「いふ」で切れます。前後を読みながら読み進めないと、どこで切るか難しい。
「だい可い」、「い」を「ハ」と間違えそう。「大海の」としてくれればすぐにわかるんですけど。
「ま多ハ」、この「ハ」なんて、先程の「い」にそっくりです。


「多ちきやく」、かすれていてよく見えませんが、拡大してジッとみても?


2020年2月4日火曜日

豆本 浦島物がたり その9




 P.7

(読み)
連いを奈し
れいをなし

王がけん
わがけん

ぞくの
ぞくの

可めを●
かめを

●いつそや
 いつぞや

た春け
たすけ

多満ひ
たまい





(大意)
太郎に礼を述べ
わたしの家来の亀をいつぞや助けてくれた


(補足)
「連いを奈し」、「れ」のところがかすれていてよくわかりません。変体仮名「礼」かも?
「王がけん」、同じく「わ」が不明瞭。

「た春け」「多満ひ」、平仮名の「た」、変体仮名の「多」の使い分けがやはりわかりません。
ここの「ひ」は変体仮名「比」としてもよいかも。

 乙姫の部屋ですが、どこか雑然としてます。
姫の頭の飾り付けがかすれていてよく見えませんが、しっかりみてみるとやはり丁寧に描いているとは言えません。着ているものも海藻のカジメのような色、まぁ表情が笑顔で穏やかのが救い。

 下部もちとひどい。
右側は河童のような頭。ここは海の中だから河童はいないはずなんだけど。
その左側、赤線で頭部の輪郭線を描いてますが、魚?。

P6P7見開き。



 背景の海は大荒れです。
桃太郎のひきしまった表情がこの見開きではポイントのようです。


2020年2月3日月曜日

豆本 浦島物がたり その8




 P.6

(読み)
らうかく
ろうかく

たらうハ
たろうは

めづらしく
めずらしく

おもひ
おもい

その
その

うち●
うち

●多可き
  たかき

ところの
ところの

ミ春をあげ
みすをあげ

おとひ女
おとひめ

い春尓
いすに

かゝり
かかり


(大意)
楼閣があり、
太郎は珍しくおもいました。
そのうち、高いところの御簾(みす)があがり
乙姫が椅子に寄りかかって


(補足)
 太郎が正装をして乙姫様に拝謁しているところ、右の袖の紋に白を忘れてます。
裃(かみしも)袴(はかま)の描写が直線でまとめられてますが、絵ではなくとも実際の衣装が直線的であることに気付かされます。
表情がキリッとひきしまり月代(さかやき)がうす青く剃りたてホヤホヤなのでしょう。

 右側のカーテンみたいなのが御簾(みす)なのでしょうが、どうみても海外から入ってきたばかりのカーテンです。うーん、10歩ゆずって舞台の緞帳?

 正座でかしこまっている家来はナマズみたいですが、なんでしょう?


「たらうハ」、「た」が変体仮名「多」ではありません。P4のでは「うらしま多らう」でした。
「多可き」、(たりき)では意味がおかしいので、(たかき)。変体仮名「可」は「り」や「う」ににてます。
「ミ春をあげ」「い春尓」、「す」の変体仮名「春」。「す」+「て」のような感じ。

「おもひ」「おとひ女」「ミ春をあげ」、「お」と「あ」の違いはおおざっぱに、右側に「丶」があるかないかだけ。


2020年2月2日日曜日

豆本 浦島物がたり その7




 P.5

(読み)
ときうち
ときうち

よりひこくの
よりひこくの

さ可奈あん奈いを
さかなあんないを

奈しおくでんへゆく
なしおくでんへゆく

そのけつこうさんごじ由きゝのたぐいびをつくせし
そのけっこうさんごじゅきぎのたぐいびをつくせし



(大意)
このとき、この中からある魚が案内に出てきて
奥殿(おくでん)へ連れて行かれました。
その建物の構えは、珊瑚樹や木々の類、また美を尽くした


(補足)
「うちよりひこくのさ可奈」、(内より此国の魚)。「此国」ははじめての言葉。この国、ここの国。変体仮名「可」が右隣行の「り」にそっくり、「う」にも似ていて、読み間違いに注意。

「けつこう」、(結構)なのですが、現代で使われる「すばらしい、満足してる様、それ以上必要としない様など」の意味ではなく「構造物などの構造、組み立て、構え」の意です。
「さんごじ由きゝ」、「じゆ」だけだと、読めません。


 P4P5見開き



 竜宮城の奥殿に案内されているというより、どこか怪しい海底妖怪殿みたいな感じです。
亀の左手左足?は色つけ忘れ。
また亀の甲羅うしろのいびつなものは、何なのかと考えたのですが、どうやら珊瑚の赤色を塗り忘れたみたいです。
奥殿への途中の怪しい廊下なのかもしれませんが、少々雑な感は否めません。


2020年2月1日土曜日

豆本 浦島物がたり その6




 P.5

(読み)
こうらの
こうらの

うへ尓のせ
うえにのせ

里う ぐう
りゅうぐう

ぜ うへつれ由く
じょうへつれゆく

あ満多の
あまたの

さ可奈多ち
さかなたち

む可ひ尓
むかいに

いづるこの
いずるこの


(大意)
甲羅の上に乗せて
竜宮城へ連れてゆくました。
たくさんの魚たちが迎えに出ていました。
このとき


(補足)
 浦島太郎、亀の背中に乗って、竜宮城へやってきました。
子どもの頃の絵本では、龍宮城や迎えに出ている魚たちは、それはそれは賑やか大小色とりどりで、竜宮城の建物もきらびやかだったようにおもいます。
でもこの豆本ではとても地味。

「里うぐう」「ぜうへつれ由く」、(りゅうぐうじょうへつれてゆく)。
「さ可奈多ち」、ここの変体仮名「奈」はひらがなの「な」に近いかも。

 この頁の文章、とてもキレがよく読みやすい。
絵の線も同様で、しっかりして色ズレもそれほど目立ちません。

 太郎はこのようなときも釣り竿も腰蓑(こしみの)も手放しません。
足はあきらかに手抜き。

 大きな亀の裏側が正面を向いてます。
書き手も困ってそうなのがありありで、なんかわけのわからない生き物になってます。
でも、きっと亀。

2020年1月31日金曜日

豆本 浦島物がたり その5




 P.4

(読み)
者いを奈し
はいをなし

奈ミの
なみの

うちへ
うちへ

いり尓
いりに

个り
けり

うらしま
うらしま

多らう
たろう

あやまつて
あやまって

うミ尓
うみに

おちいり
おちいり

しと起
しとき

多ちまち
たちまち

おゝき奈る
おおきなる

可めあらわれ
かめあらわれ



(大意)
(感謝の)お辞儀をして
波の中に入っていきました。
(あるとき)浦島太郎が誤って海に落ちてしまったとき
たちまち大きな亀があらわれ


(補足)
 まるで半魚人!顔?頭?は魚でしょうけど、どこがどうなっているのか、黒と朱で輪郭線が描いてありますが、なんとも不気味です。

 朱色の珊瑚樹はわかりますが、背景の3つは何でしょうか。六角形の柄のは壺みたい。

「者いを奈し」、拝(はい)をなし。頭を下げて敬意を表すこと、拝(おが)むこと。
「奈ミの」、「うミ尓」、「み」は徹底して「ミ」です。
「た」も徹底して変体仮名「多」(「さ」の横棒がないもの)です。
「な」についても同様で、変体仮名「奈」。

 人物(半魚人)以外は、なんとなく雑です・・・


2020年1月30日木曜日

豆本 浦島物がたり その4




 P.3

(読み)
者奈し
はなし




里け連バ
りければ

可女ハ
かめは

うれし
うれし

可゛りミ
が りみ

多び
たび



(大意)
放してやったところ
亀は喜び
三度


(補足)
「者奈し」、「は」の変体仮名「者」は「す」+「て」のような感じ。
「可女ハ」、「め」を変体仮名「女」にしましたが、ほとんど「め」です。「尓」にちょっとにてます。

 P2P3見開きです。



 ちょっと雑な感はまぬがれません。空がつながってない、竜宮がどこか寂しく旗の赤色がずれている、竿をもう少しつなげてほしい、波が雑、・・・など。

 しかし、亀の表情や甲羅の描き方は良いし、亀の尾も量感質感ともにふさふさ。
これを中心にしたので、他は手抜きだったのかもしれません。


2020年1月29日水曜日

豆本 浦島物がたり その3




 P.2

(読み)
どりの可へり
どりのかえり

さとのひとおゝ
さとのひとおお

き奈る可女を
きなるかめを

とらへうちころ
とらへうちころ

さんと奈せしを
さんとなせしを

ぜ尓越
ぜにを

毛つてこれ
もってこれ

をつく
をつく

のい
のい


(大意)
(漁の)帰りに、里の人が大きな亀を捕らえ
打ち殺そうとしているところに出会いました。
銭を出してこの亀を買い取り、


(補足)
 画面の半分近くをしめる、薄茶色のものは何でしょうか?
浦島太郎の腰箕?、亀の尾?

「き奈る可女を」、「る」は今までたくさん出てきました。一画目の横棒がないような形ですが「つ」の最後をくるっと丸くした形としても似ています。

浦島太郎の後ろ姿、どの輪郭も直線でまとめられています。

「つくのい」→「つぐのふ」→「つぐなう(償う)」、埋め合わせをする。弁償する。


2020年1月28日火曜日

豆本 浦島物がたり その2




 P1

(読み)
こゝ尓
ここに

者゛ん
ば ん

志う
しう

た可
たか

さご
さご

のうら
のうら




多らう
たろう

といふ▲
という


▲里やうし
 りょうし

あり
あり

あるひ
あるひ

春奈(どりの)
すな



(大意)
播州高砂の浦に太郎という漁師がいました。
ある日、漁の


(補足)
 この豆本の摺りは全般に色が薄く、かすれたような色合いです。
木版ですので、あとになればなるほど、版木が疲れてきてかすれてきてしまいます。

 また、この絵師(竹内栄久(たけうちえいきゅう))のこの豆本での特徴は、輪郭線が直線的なことがあげられます。

 でだしから、悩んでしまいました。「こゝ尓」と書いてあるのでした。
「者゛ん」「志う」、ばんしゅうです。
「多らう」、たろう。
「里やうし」、りょうし。
「春奈どり」、漁る。訓読みにすると(すなど)る、(いさ)る、(あさ)る、となります。
「すなどる」は現在ではほとんど見も聞きもしない言葉になりました。

 播州高砂というと、まずはじめにあたまにうかぶのは、謡(うたい)や能(のう)の「高砂」です。結婚式などで〽た〜か〜さ〜ご〜やぁ〜〽というあれです。
歌詞の内容は、長寿や夫婦愛をめで人世を言祝ぐ、大変に目出度いものです。
この浦島物がたりも目出度い部類に属するお話となります。

 沖に見える4,5本の白いものは白帆
ふたりとも足がなんか妙です。漁師の前掛け、現在では鵜飼の漁師がしてます。
また両人とも肌色の目の隈取があります。それに顔の描写が単純です。
亀をいじめている人の右の手のひらと石?は色付けの失敗か手抜きかもしれません。

 砂浜の黄色、海の青、空が赤、この赤は「明治赤絵」の影響でしょう。
今まで高価だった赤の顔料が、開国して外国から安く入ってきて盛んに用いられるようになりました。



2020年1月27日月曜日

豆本 浦島物がたり その1




 表紙

(読み)
浦 島 物 可゛た里
うらしまものが たり

(大意)



(補足)
 知らぬ人はいないだろう浦島太郎のはなし。
竜宮の乙姫、見上げる浦島太郎。
乙姫は軍配のような扇を持ち、髪の毛は龍のしっぽのよう、豪華な赤珊瑚のかんざし。
太郎は口をムの字に引き結び、釣り竿を肩に、二人の目の形は全く同じです。

 ラベルを豆本の題名にかぶせて貼ってしまうなんて最低。もう1cm左にずらせればよかったのに。

「が」は変体仮名「可」に「゛」。
「た」がよく使われる『「さ」の横棒なし』ではなく、ひらがな「た」になってます。
「り」が変体仮名「里」。

 大きさは11.8cm✕7.6cmで手のひらサイズです。
明治13年12月10日刊。

参考に色見本です。