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2023年3月6日月曜日

かち\/山(小森宗次郎)その13

P10 国立国会図書館蔵

(読み)

[次 ゟ]

 つぎより


子うさぎを

こうさぎを


王可゛この

わが この


ごとく

ごとく


奈し

なし



ちやう

ちょう


あひ奈春

あいなす


こと

こと


可ぎり

かぎり


奈し

なし


めでだき者るを

めでたきはるを


む可へけること

むかへけること


めでたし\/\/

めでたしめでたしめでたし


明治廿一年七月十日印刷同年廿(二)日出版

日本橋區馬喰町三丁目十番地

印刷兼発行者 小森宗次郎


(大意)

子うさぎを我が子のように育て

とてもかわいがりました。

めでたい春を迎えることができ

めでたいことであります。


(補足)

「王可゛このごとく」、「王可゛この」がなんとなくわかりにくい。「ごとく」も出だしが悩むところ。

 裃袴姿の正装でなかなか立派であります。格子縞の腹巻きの親分のような衣装はなんというものなのでしょうか。

扇の持ち方を何度も記してきましたが、ここでも要(かなめ)のほうをもつのではなく反対側をつまむように持っています。どうやらこれが正しい扇の持ち方のようです。

 このあとに裏表紙があるのですが無地の丁合ですので省略します。

 

2023年3月5日日曜日

かち\/山(小森宗次郎)その12

P9 国立国会図書館蔵

P8P9見開き

(読み)

か多きを

かたきを


うちとり

うちとり


ぢゞ尓

じじに


者奈し

はなし


け連バ

ければ


ぢゞハ

じじは


よろ

よろ


古び

こび


いく

いく


者゛くぞ

ば くぞ


それより

それより


[次へ]


(大意)

かたきを討ち果たしました。

爺に伝えると

爺の喜びはどれほどのものであったか。

それから


(補足)

 豆本は小さいので見開きの2頁で1つの絵になるようにしているのがほとんどです。しかしこの見開きはP8とP9のそれぞれできあがったものを2つ並べたような感じです。荒れる波と水平線はつながっています。P8にはたぬきの脚が見えていますが、うち叩かれ溺れるたぬきの態勢がどうなっているものやらよくわかりません。

 と、文句ばかり書き連ねておりますが、にっくきたぬき討ち取ったり〜の雰囲気はでています。

 

2023年3月4日土曜日

かち\/山(小森宗次郎)その11

P8 国立国会図書館蔵

(読み)

[次ゟ]

志連と可ひを

しれとかいを


もつてさん\゛/

もってさんざ ん


尓うち

にうち


たゝき

たたき


うミへ

うみへ


うち

うち


古ミ

こみ


とふ

とう


とう

とう


(大意)

(思い)知れと櫂(かい)をもって

さんざんに打ちたたき

海へうち落とし

ついに


(補足)

 一番の見せ場ですが、うさぎの立ち姿がいまひとつ。左腕がなんだか変です。船が一番よく描けているとおもいます。

 

2023年3月3日金曜日

かち\/山(小森宗次郎)その10

P7 国立国会図書館蔵

(読み)

だん\/と由く

だんだんとゆく


あとにうさぎの

あとにうさぎの


ふねハきふね

ふねはきふね


たぬきのふねハ

たぬきのふねは


つちふね□

つちふね


由へ

ゆえ


だん\/

だんだん


くづれ可ゝ里

くずれかかり


け連バうさ起゛

ければうさぎ


ハよろこび

はよろこび


ひごろのあく

ひごろのあく


じおもひ[次 へ]

じおもい つぎへ


(大意)

漕ぎすすめてゆくと

うさぎの船は木舟で

たぬきの船は土船のため

少しづつくずれてきてしまったので

うさぎは喜び

日頃の悪事思い(知れ)


(補足)

「あとに」、「あ」が変体仮名「古」(こ)のかたちとほとんど同じです。上段の「あくじ」では「あ」のかたちになってます。

 どの頁でも、どうして赤だけがはみ出してしまっているのかが気になります。

 

2023年3月2日木曜日

かち\/山(小森宗次郎)その9

P6 国立国会図書館蔵

(読み)

[次 ゟ]

 つぎより


たぬき尓奈春

たぬきになす


連バなを\/

ればなおなお


なやミ

なやみ


くるしミける可゛

くるしみけるが


うさぎ

うさぎ


ふねを

ふねを


つくり

つくり


たぬ

たに



尓◯


春ゝ

すす



つちふねを

つちふねを


つくらせふ多り

つくらせふたり


志てうミへのりだし

してうみへのりだし


(大意)

たぬきになすりつけると

なおいっそう

やけどに苦しみましたが

うさぎは船をつくり

たぬきにもすすめ

土船をつくらせ

二人して沖へ乗り出し


(補足)

「奈春連バ」、変体仮名三つ、少々悩むところです。

「なやミ」、「なやむ」だけで病気という意味があると辞書にありました。なのでここは「やけど」。

「くるしミ」、平仮名「く」が「ム」のようになっていますが、このかたちも多いです。

「春ゝめ」、変体仮名「春」(す)がわかりずらい。

「つくらせ」、「ら」は「ち」ではありません。

「うミへ」、「ミ」が上下にくっついているのでわかりずらい。

 どの頁もなぜか赤色の置き方が乱暴でほとんどはみ出しています。摺師がいまひとつだったのか。

うさぎが手にしているのは火打ち道具。

 

2023年3月1日水曜日

かち\/山(小森宗次郎)その8

P5 国立国会図書館蔵

P4P5見開き

(読み)

ける

ける


うち尓

うちに


もへ

もえ


あ可゛り

あが り


大 やけどゝ

おおやけど


なりうさぎ

なりうさぎ


きゝてよろこび

ききてよろこび


ミまいな可゛ら

みないなが ら


とうがらし

とうがらし


みそもち由き

みそもちゆき


[次へ]


(大意)

うちに、燃え上がり

大やけどとなりました。

うさぎはこれをきいて喜び

見舞いに

唐辛子味噌をもってゆき


(補足)

「大やけどゝ」、同じ文字を連続して書く(重ね字)のでここの「ゝ」は「ど」のようにもおもえますが、そのようなときは「ゞ」となるようです。なのでここの「ゝ」は「と」でしょうけど、他の文章でにたような使い方をおもいだすと、いい加減というかゆるい規則のようにおもいます。

 P4P5を見開きで見ると、P4とP5の仕上がりに差があるのがわかります。地面の色がことなっているのは以前の頁(床の色)にもありました。

 P4では家の造作の線がなぞっているようで地震ですぐつぶれてしまいそう。P5のおじいさんの全体の線はまとまっていて安心感がありますが、P4のうさぎはなんとなく雑です。

 気のせいかもしれませんが二つの絵をながめているとやはりなんか違うなと感じてしまいます。

 

2023年2月28日火曜日

かち\/山(小森宗次郎)その7

P4 国立国会図書館蔵

(読み)

[次 ゟ]

 つぎより


古ゝハ

ここは


かち\/

かちかち


や満

やま


奈りと

なりと


いゝ◯

いい


(大意)

ここは

かちかち山であると言う


(補足)

「古ゝハ」、変体仮名「古」(こ)は何度も出てきています。小さい「十」+「い」のようなかたち。

「や満」、この二文字でひとつの文字のようにみえます。

 うさぎの着物の柄がくねくねと大変に細かい。この柄に合わせて色を置くのが億劫になったのか、青紺を適当に配色した感じです。

 

2023年2月27日月曜日

かち\/山(小森宗次郎)その6

P3後半 国立国会図書館蔵

P2P3

(読み)

□か多きをとつて志ん

 かたきをとってしん


ぜませ うとうさぎたぬ

ぜましょうとうさぎたぬ


きのや満へ由きたぬき尓

きのやまへゆきたぬきに


志者゛をせをハせうしろ

しば をせおわせうしろ


よりかち\/ひをうち可

よりかちかちひをうちか


け連ハたぬきいまの△

ければたぬきいまの


△おとハ

 おとは


なんのおと

なんおおと


奈りときけバ[次 へ]

なりときけば つぎへ


(大意)

かたきをとってしんぜましょうと

うさぎはたぬきのいる山へ行き

たぬきに柴(しば)を背負わせ

うしろから火を打ち掛けると

たぬきが「いまの音は何の音か」と

きくと


(補足)

「ひをうち可け」、変体仮名「可」(か)は平仮名「う」とかたちがそっくりなのがわかります。

 P2P3見開きにすると床の色が異なってしまっています。こんなに大きいところの色おきなのにとあきれてしまいますが、豆本を見ているとこれもまたよくあることです。摺師との連絡が不十分だったのかしてなかったのか・・・おもいっきり色違いになってしまいましたが、摺りそのものはまぁまぁです。

 

2023年2月26日日曜日

かち\/山(小森宗次郎)その5

P3前半 国立国会図書館蔵

(読み)

[一 ゟ] 

 いちより 


尓げさりけりぢゞ王

にげさりけりじじは


おとろき可なしみいたる

おどろきかなしみいたる


ところへうさぎ起たり

ところへうさぎきたり


志じ うをきゝ

しじゅうをきき


王たくし可゛□

わたくしが


(大意)

逃げ去りました。ジジは

驚き悲しんでいる

ところへうさぎが来て

事の経緯をきき

わたくしが


(補足)

「可なしみ」、変体仮名「可」がかすれていて「つ」にみえてしまいます。

「志じう」、最初「事情」かとおもったのですが(それでも意味は通じるので)、「じじょう」を「志じう」と表すのもおかしいので、あっそうかと「始終」と気づきました。お恥ずかしい。

 爺の赤の縞柄はどうみてもやっつけ仕事。淡黄色の着物はしっかり描いているのに・・・

 

2023年2月25日土曜日

かち\/山(小森宗次郎)その4

P2 国立国会図書館蔵

(読み)

[次 ゟ]

 つぎより


といてやれバ由だ

といてやればゆだ


んをみ春まし者゛ゞを

んをみすましば ばを


しめころし者゛ゞ尓春

しめころしば ばにす


可゛たをへんじて志る

が たをへんじてしる


をこしらへいるところ

をこしらえいるところ


へぢゞ王かへりかの志る

へじじはかえりかのしる


をく王せ者゛ゞあくつた

をくわせば ばあくった


ぢゞいだ奈可゛しの本

じじいだなが しのほ


ねをみろといゝ

ねをみろといい


つゝたぬきと

つつたぬきと


奈つて[二へ]

なって にへ


(大意)

(縄を)といてやると油断を

見きわめて、ババを絞め殺し

ババに姿を変えてしまいました。

汁をこしらえているところへ

ジジが帰り、あの汁を食わせ

「ババアを食ったジジイだ。

流しの下の骨を見てみろ」と

言いつつ、たぬきとなって


(補足)

 文章の背景が半分赤く読みづらいこともありますが、文章じたいも数度目を上に下にしないと読めません。

 なぜかこれだけの長さの文章なのに、変体仮名「多」(た)は使われてなくすべて平仮名「た」。

「ぢゞ王かへり」、「王」は「ハ」でしょうけど、まぁまぁあることです。

 ババは着物の裾を引きずるような着こなしです。当時家の中ではご婦人たちは着物を引きずるように着るのが普通だったようです。また帯の閉め方も前帯が多かったとあります。そして立膝になっています。これも当時の家の中での絵などを見ると男性は胡座でしたがご婦人たちはこのような立膝で座ることもあったようです。

 

2023年2月24日金曜日

かち\/山(小森宗次郎)その3

P1後半 国立国会図書館蔵

(読み)

者゛ゞにむ可い

ば ばにむかい


むぎをつくてつ

むぎをつくてつ


だいをいた春可らハ

だいをいたすからは


な王をといてくださいと

なわをといてくださいと


たのみけれバ者゛ゞハ

たのみければば ばは


な王を[次 へ]

なわを つぎへ


(大意)

ババにむかって

麦を搗(つ)く手伝いをしますから

縄をほどいて下さいと

頼むのでババは

縄を


(補足)

 土壁の表面のむらが本物のようで上手。文字も見やすい。

「むぎをつくてつだいを」、「く」の下半分の一部が欠けているのでその下の「て」とつながり変体仮名「者」のように見えてしまいます。よくわからないときは前後を繰り返し読むしかありません。

変体仮名「多」は使われずにすべて平仮名「た」です。

 たぬきの色がぼんやりして顔の部分を拡大するとババに話しかけているようです。

ババの右手といい、裸足の右脚といい、妙にリアルです。襟や帯は紺色で塗りつぶれてしまいそうですが模様がきちんと描かれています。

 

2023年2月23日木曜日

かち\/山(小森宗次郎)その2

P1前半 国立国会図書館蔵

(読み)

「む可し\/ ぢゞと者゛ゞと

 むかしむかしじじとば ばと


ありしときたぬ

ありしときたぬ


きを尓王尓志者゛りおき

きをにわにしば りおき


者゛ん尓志るに志ろと

ば んにしるにしろと


いゝつけてやまへ

いいつけてやまへ


由きけるあと

ゆきけるあと


尓てたぬきハ

にてたぬきは


(大意)

昔むかしジジとババが

暮らしていたときのことです。

たぬきを庭に縛りおいて

晩に汁にしてくれと

言いつけ山へ行ってしまいました。

その後、たぬきは


(補足)

 いつもながら、背景が赤だと文字が読みにくい。

「尓王尓志者゛り」、変体仮名だらけです。「者゛ん尓志るに志ろ」もですが、平仮名「に」もあります。

 絵はよく描けているとおもうのですが、摺師のうっかりが目立ちます。杵の上半分が背景の赤になっていたり、家の土壁の上の柵の青がいまひとつです。

 

2023年2月22日水曜日

かち\/山(小森宗次郎)その1

表紙 国立国会図書館蔵

見返し

(読み)

かち\/山

かちかちやま


東京圖書館印 TOKIO LIBRARY

明治二一・七・三0・内交・


(大意)

(補足)

「か」は平仮名だとおもっていたのですが、よく見ると変体仮名「加」のようです。

 この表紙も実に手がこんでいます。衣装は縞柄などの単純なものではなく、いろいろな文様が細かく描かれています。うさぎのはちまきにも背景の白の点々がついでとばかりにおかれています。

 豆本をアップしだした数年前は右側の色見本と定規もこのようにいっしょに画像にしていたのですが、久しぶりに横に添えてみました。縦横120mm×80mmとこんなに小さいのです。

 手にしてその大きさを実際に感じたく、和紙に印字して豆本の複製を制作しました。綴じも和綴じです。手のひらにスッポリ収まってしまうくらいに小さく、お話の文章の文字もこんなに小さいのかと驚く一方、それを彫った彫師にもうなりました。

 見返しファンですので、赤い丸印二つは悲しい限り・・・