2021年1月31日日曜日

豆本 金太郎山めぐり その2

見返し

(読み)

金太郎山めぐり

きんたろうやまめぐり


國政ゑ加゛久

くにまさえがく


明治十九年十二月十四日内務省交付1943

東京図書館印 TOKIO LIBRARY


(大意)

(補足)

 犬猿の仲の赤と青の半被(はっぴ)羽織った2匹、どこか寂しそうだけど穏やかな様子。猿は桃の実を猫背にしてながめ、犬はボンヤリ下むいてます。豆本の見返しには気の利いたものが多いですがこれも飾りたくなる一枚。

國の中が龜や繩の画数の多い部分に似ていますけどわかりません。政は正と攵が左右ですがくずし字などでは上下に書いたものも多い。変体仮名「加」(か)。変体仮名「久」(く)。 

2021年1月30日土曜日

豆本 金太郎山めぐり その1

表紙

(読み)

金太郎山めぐり

きんたろうやまめぐり

(大意)

(補足)

 前回も「金太郎咄し」でしたが今回も金太郎シリーズです。佐藤新太郎はもうひとつ「金太郎一代記」も出版しています。これは次回の予定。この表紙の中では赤い目の真っ白な兎に目がゆきますが、わたしは大きな鉞(まさかり)の刃の色合いと赤い金の字のほうを見入ってしまいます。じっと見ていると刃の先の白いところが光っていそうな気がしてきます。金太郎は子どもの代表的な前髪パッツン一直線の坊ちゃん刈り(前髪の上は剃っています)、わたしも子どものときは同じでした(上は剃ってません)。


 

2021年1月29日金曜日

豆本 金太郎咄し その14

奥付

裏表紙

(読み)

奥付

御届明治十八年六月一日

編輯

画工兼出板人

東京日本橋區

馬喰町二町目七番地

佐藤新太郎

(大意)

(補足)

 御届の明治十八年六月一日の日付で佐藤新太郎は11冊の豆本を出版しています!そして内務省交付の日付も明治十九年十二月十四日で11冊みな同じです。江戸時代後期娯楽本は正月に発売されるのが恒例でした。内務省交付の日付が正月をずっとすぎてしまっているのがよくわかりませんが。11冊もの豆本をまとめての出版、どんな事情があったのか興味のあるところです。裏表紙は横縞柄。

 

2021年1月28日木曜日

豆本 金太郎咄し その13

P12

(読み)

めでたし

めでたし


\/\/

\/\/


(大意)

めでたい


(補足)

 金太郎は表紙からこの場面までずっとマッカッカでありました。赤の色は貴重でしたが明治になって外国から安く輸入できたため爆発的に赤が多用されるようになり、明治赤といわれています。しかしこの豆本の出版は明治18年、いい加減そんな状況も落ち着いたとおもわれますが、赤へのこだわりはすてがたかったようです。

 幕の家紋は清和源氏の代表的な笹竜胆(ささりんどう)。金太郎は頼光公より固めの杯を頂戴してるのかも。金太郎の着物柄は白地に赤と青の方形模様に◯、おもしろいです。

佐藤新太郎はこの「金太郎咄し」以外にも「金太郎一代記」「金太郎山めぐり」も出版しています。売れ筋だったのか新太郎が好きだったのかはわかりません。

 

2021年1月27日水曜日

豆本 金太郎咄し その12

P10P11見開き

(読み)

P10

志てんのうの[つぎへ]

してんのうの


P11

いち尓ん

いちにん


と奈り

となり


志とそ

しとそ


(大意)

四天王のひとりと

なったとのことです。


(補足)

 鬼退治の場面は大蛇退治の迫力に比べると絵全体の雰囲気がサラッとしています。金太郎の奥の白い家来は猿?狐?兎はウワバミにのまれちゃったはずだし。投げつけられた岩石の下敷きになっている鬼の手足がどうなっているのかよくわかりません。その岩石の表面の凸凹の表情の絵柄がなんとなく不気味。

変体仮名「志」(し)が旧仮名遣い平仮名「ゑ」とにているので注意です。

 

2021年1月26日火曜日

豆本 金太郎咄し その11

P8P9見開き

(読み)

◯可バ

 かば


きん多ろう[つぎへ]

きんたろう


[つゞき]

ひとり

ひとり


尓て

にて


を尓を

おにを


ミな

みな


ごろし尓

ごろしに


奈すよ里ミつこう

なすよりみつこう


のけらいと奈り

のけらいとなり


て奈をさ可多

てなをさかた


のきん

のきん


ときとあらため

ときとあらため


(大意)

(襲った)ので、金太郎は

ひとりで鬼を皆殺しにしました。

頼光公の家来となり

名を坂田の金時とあらため


(補足)

 この頁では鬼ではなくうわばみ(大蛇)退治のところです。金太郎の両脚の描き方が佐藤新太郎らしさが出ています。まさかりの大きいこと、また柄と刃の接合部分まで細かく描き、手元部分もしっかり描いています。うわばみの背の鱗(うろこ)、腹の紅白、顔もおどろおどろしい。

「よ里ミつこう」、里とミがつながって読みづらい、話の内容を知っていたので読めました。

最後の行に平仮名「た」があります。

 

2021年1月25日月曜日

豆本 金太郎咄し その10

P7

(読み)

[つゞき]

まさ加りを

まさかりを


もつてうハ者゛ミを多いじ

もってうわば みをたいじ


奈すや満

なすやま


をくへハ

をくへは


お尓可゛

おにが


いでゝけ多゛

いでてけだ


ものを

ものを


あらせし◯

あらせし


(大意)

まさかりを

持って大蛇(うわばみ)を退治

しました。山奥では

鬼が出て、獣(けだもの)たちを

襲って


(補足)

「まさ加りを」、平仮名の「か」とおもいましたがよく見ると変体仮名「加」のようです。

「もつて」、平仮名「も」にみえませんが、「し」のようにかきだして下端で急カーブで左上に上がりすぐに右回りにまわってそのまま下へながします。最後から2行目「ものを」のほうが「も」らしくみえます。

「や満」、変体仮名「満」(ま)があるので「や」とわかります。これだけだったら「つ」にもみえてしまう。

P6P7見開き

この見開きも色ズレはなく摺りは完璧です。5つの提灯の背景はちゃんと青ですが、花火の赤と黄色の炎の背景は彫りがわずらわしかったのか手抜きしてしまったようです。提灯の上の箱には足柄山?が描かれています。花火の支柱に紅白の帯まであります。狐の笑顔がほほえましい。

 

2021年1月24日日曜日

豆本 金太郎咄し その9

 

P6

(読み)

△きん多らう

 きんたろう


お本き尓

おほきに


者らを

はらを


(たち)

(たち)

[つぎへ]


(大意)

金太郎は

非常に腹をたて


(補足)

「者らを」のあとが汚れで読めません。文章の流れから類推すると「腹を(たて)or(たち)」でしょうか。

絵は花火を楽しんでいるところ。縦横縞の浴衣のような単衣をきて、はちきれんばかりの健康優良児であります。


2021年1月23日土曜日

豆本 金太郎咄し その8

P5

P4P5見開き

(読み)

[つゞき]奈るうハ

     なるうわ


者゛ミ可゛いでゝ

ば みがいでて


けらいのうさ起゛

けらいのうさぎ


のまれ志可バ△

のまれしかば


(大意)

(大きな)大蛇があらわれて

家来のうさぎが

のまれたときには


(補足)

最初「可ハ者゛ミ」と読んでしまい、辞書で調べてもないし変だなと。「可」ではなく「う」でありました。「可」はこのあと「者゛ミ可゛」「志可バ」に、「う」は「うさ起゛」にあります。

絵を縦にしたなら、文章も右に90度回転させればよかったのにとおもうのですが、なにかできない理由でもあったのでしょうか。彫りの作業で何かしらの制限があったのかもしれません。

木の幹の幅広の黒の柄は細い線まで描かれています。また落下中の鳥の尾羽根も同様です。色ズレはなく完璧な仕上がりになってます。

 

2021年1月22日金曜日

豆本 金太郎咄し その7

P4

(読み)

奈つのよハ

なつのよは


者奈びを

はなびを


つくりて

つくりて


あげ多のしミける●

あげたのしみける


●ち可き

 ちかき


た尓ゝ

たにに


お本き△[つぎへ]

おほき


(大意)

夏の夜は

花火を作って

あげ楽しみました

近くの谷に

大きな


(補足)

 P4だけを見ると絵がちょっと変です。

P4P5見開きを縦にすると納得。

金太郎が木の幹をかかえて揺すり、てっぺんの巣から卵を落としました。卵が割れて、ひなが飛び出し、それを地面で白い狐が取り押さえ捕まえています。金太郎の表情は優しそう。

 

2021年1月21日木曜日

豆本 金太郎咄し その6

P.3

P2P3見開き

(読み)

[つゞき]

多まごをうミし△

たまごをうみし


△をふり

 をふり


おとして

おとして


つかまい

つかまい


けるま多

けるまた


(大意)

生んだ卵を振り落として

つかまえました。

また、


(補足)

「つかまい」、の「か」が算用数字「5」に見えます。「か」でないとしたらなんでしょう。この頁の文章の絵は次頁になり、卵からかえったばかりのひなをつかまえているところの絵があります。

 童謡にあるように「熊にまたがりお馬の稽古」の図。手綱は風呂敷を絞ったような感じ。猿と兎はその両脇に、先頭は毛槍か幟をもつ犬と狐。この豆本の出版は明治18年ですから、この当時、本物の大名行列を見た人はたくさんいたでしょう。子どもに読み聞かせているときに大人がその話をしたかもしれません。


 

2021年1月20日水曜日

豆本 金太郎咄し その5

P.2

(読み)

きん多らうといふ

きんたろうという


つよいこ可゛あつ多とさ△

つよいこが あったとさ


きへてんぐの春をつくり[つぎへ]

きへてんぐのすをつくり


(大意)

金太郎という

強い児があったとさ。

木へ天狗の巣をつくり[つぎへ]


(補足)

 前頁からの続きは右下の文章ですけど、上部のはつぶやきみたいなものか?

金太郎の顔・手足・着物柄・など摺りがずれています。またがっているのは黒い牛ではなく熊。

 

2021年1月19日火曜日

豆本 金太郎咄し その4

P.1後半

(読み)

五あつめてぎやう連つ

 あつめてぎょうれつ


奈ぞしてあそびける

なぞしてあそびける


あるひをくや満の春ぎの

あるひおくやまのすぎの


(大意)

集めて行列

など遊んでいました。

ある日奥山の杉の


(補足)

 佐藤新太郎の豆本は国立国会図書館デジタルアーカイブに11点あります。この「金太郎咄し」はまだ読むことができますが、他のものは版を重ねたもののためか読み難いところが多くあります。さらに佐藤新太郎のものは摺りが比較的サラッとしたものなので、さらに読みづらくなってしまっています。 

2021年1月18日月曜日

豆本 金太郎咄し その3

P.1前半

(読み)

む可し\/

むかしむかし


阿しがらや満

あしがらやま


尓春む

にすむ


やま◯

やま


◯う者゛のこ尓

 うばのこに


△まいにち\/◯

 まいにちまいにち


◯くまや

 くまや


さる奈どを五

さるなどを


(大意)

むかしむかし

足柄山(あしがらやま)

に住む

山姥(やまうば)の子に

毎日毎日

熊や猿などを


(補足)

 山姥の着物柄が表紙の扇子を手に舞っている女のひとのものと同じです。天女ではなく山姥でした。山姥のお尻に見えるのは尻尾ではなく長い髪の毛の端。

「阿しがらや満」、変体仮名「阿」の出だしが「√」記号のよう。続く「し」が小さい。変体仮名ではなく平仮名「が」。「ゆ」とまぎらわしい「や」が使われているかとおもえば、現在の「や」と同じものが混在しています。「ま」についても同様です。

佐藤新太郎のものは絵全体の印象がどこかサラッと淡白な感じがします。

 

2021年1月17日日曜日

豆本 金太郎咄し その2

見返し

(読み)

崟太郎者゛奈し

きんたろうばなし


国政ゑ可゛く

くにまさえがく


明治十九年十二月十四日内務省交付1930

(大意)

(補足)

「金」の字に山冠「山」が付いています。フォントにないとおもったらありました。ぎん、みね、たかいなどと読むようです。「郎」のくずし字は古文書の人名が出てくるものには必ずあるのでおなじみです。偏と旁は部品が左右にわかれますが、それが上下になったような感じになります。

 松の枝に釣り竿ひっかけ格子縞の単衣が風になびいています。豆本の見返しは素晴らしいものがおおく、どれもこれも季節ごとに飾りたくなるものばかりです。

 

2021年1月16日土曜日

豆本金太郎咄し その1

表紙

(読み)

金太郎咄し

きんたろうばなし

(大意)

(補足)

 ラベルが貼ってあるので「咄し」は確かですが、「金太郎」は?。

金太郎の襟足?が細い線で凝っています。

雲に乗って舞っているのは天女?

御届明治十八年六月一日

編輯画工兼出板人佐藤新太郎。 

2021年1月15日金曜日

豆本 禰この道行 その22

裏表紙

(読み)

なし

(大意)

なし

(補足)

 前回「猿加尓合戦」の裏表紙もそうでしたけれど、この裏表紙も風呂敷にしてほしい。または暖簾でもかわいらしい。シーツなど布柄にピッタシです。格子の四角には「編輯兼出版人木村文三郎」の「木」の字を図案化したようにみえます。猫の顔が見えているのが7匹いますけど、みな違ってるような・・・、間違い探しは苦手なんです。みんなかわいらしい。お尻も。

 

2021年1月14日木曜日

豆本 禰この道行 その21

奥付

(読み)

明治十五年七月十一日御届

編輯兼出版人

東京馬喰町二丁目一番地

木村文三郎 定價3銭


大賣捌人

東京通油町 水野慶次郎

同 横山町 辻岡文助

越後三條  浅間傳左衛門

同 長岡  松田周平

同 葛塚  弦巻七十郎

甲州三日町 松本米兵衛

箱舘地蔵町 木下清次郎

信州松本  髙美甚左ェ門


(大意)

(補足)

 定価が3銭ですから今までみてみた豆本の2〜3倍です。現在の価格で約800円くらい、手にして悩まずにササッと購入する価格ではありません。内容をちょっと立ち読みして面白いなとおもったらためらわずにすぐに買いますけど。

 箱館を除けば越後・甲州・信州と関東周辺地域です。東京に出てこなくてもこういった娯楽本もこの頃には手に入れられるようになっていたようです。

 

2021年1月13日水曜日

豆本 禰この道行 その20

奥付6

奥付拡大下段

(読み)

常磐津稽古本

ときわずけいこぼん


紙春り仕立ニ差入別して

かみすりしたてにさしいれべっして


安直尓差上候間たくさん

あんちょくにさしあげそうろうあいだたくさん


御もとめを奉希上候

おもとめをねがいあげたてまつりそうろう


(大意)

紙摺り仕立てに差し入れしました。

お求めやすくしましたので

たくさんお買い上げお願い申し上げます。


(補足)

「安直尓差上候間」(あんちょく)、値が安いこと。「候」は「丶」。平仮名「ゆる」のように見えるのは「間」(あいだ)のくずし字。ふたつ右の広告の2行目にも「御座候間沢山」とあります。

6つの広告を読むのも一苦労でありました。ふぅ〜。


 

2021年1月12日火曜日

豆本 禰この道行 その19

奥付5

奥付拡大下段

(読み)

下口文句

しもぐちもんく


左王里浄瑠璃

さわりじょうるり


御酒宴の御席へ御??

ごしゅえんのおせきへ


??ニハ求てよろしき

??にはもとめてよろしき


珍本奈り 一冊十銭

ちんぽんなり いっさつじっせん


(大意)

下口文句 左王里浄瑠璃

御酒宴の御席へ??

お手元へ一冊求めてよろしき

珍本にございます。


(補足)

「下口」、読みは(しもぐち)or(したぐち)どちらかわかりません。

「左王里」変体仮名が3文字連続です。「左」だろおもうのですがさて?3文字が一筆書きのようなってます。

「御席」〜「ニハ求て」、「〜」が???

「珍」も辞書で調べてやっとわかりました。

 

2021年1月11日月曜日

豆本 禰この道行 その18

奥付4

奥付拡大下段

(読み)

さ王り文句入

さわりもんくいり


浄瑠璃どゝ逸

じょうるりどどいつ


こ連ハえらみどゝ逸同やう

これはえらみどどいつどうよう


の美本尓御座候間沢山

のびほんにござそうろうあいだたくさん


???の??と候

???の??とそうろう


(大意)

さわり文句入

浄瑠璃どゝ逸

この本はえらみ(選)どゝ逸と同様の

美本にございますので沢山

???


(補足)

 読めないところが半分、なんとなく読めそうでわからないところが悔しい。

調べようにも八方塞がり、ウ~ン。

でもなんとかしたい。

 

2021年1月10日日曜日

豆本 禰この道行 その17

奥付3

奥付拡大

(読み)

浄瑠璃文句

じょうるりもんく


選どゝ逸

せんどどいつ


どゝ逸の?作をえらみ集め

どどいつの?さくをえらみあつめ


銅版の差画を加へ美ゝしき

どうはんのさしがをくわえびびしき


仕立御?中本尓御座候

したてご?ちゅうぼんにござそうろう


(大意)

浄瑠璃文句 選どゝ逸

どゝ逸の傑作を選び集め

銅版の差画を加え美々しく

仕立てました御?中本に

ございます。


(補足)

「どゝ逸の?作をえらみ」、「?」の漢字は一つ前の「繪入五行義太夫本」宣伝文「御目誇らしく」の「誇」と同じ形です。しかし間違えているようです。「誇作」という熟語はありません。

ウ~ン、あと一息で読めそうなんだけど・・・

「仕立御?中本尓御座候」、これもくずし字になってないのに「?」が読めません。

どなたか教えて下さ〜い。

(20210112追記)「どゝ逸の新作をえらみ集め」、「新」だとおもいます。

 

2021年1月9日土曜日

豆本 禰この道行 その16

奥付2

奥付上段拡大

(読み)

繪入 五行義太夫本

えいり ごぎょうぎだゆうぼん


文句ニ合せ所ゝへ画をく王へ

もんくにあわせところどころへえをくわえ


御目誇らしく稽古本ニて

おめほこらしくけいこぼんにて


相成候重宝の珍本奈り

あいなりそうろうちょうほうのちんほんなり


(大意)

繪入 五行義太夫本

文句に合わせ所々に絵を加えました。

見た目も誇らしい稽古本であります。

便利な珍本にございます。


(補足)

 どのようなものかは、国立国会図書館デジタルコレクションで見ることができます。

そういえば、ずいぶん昔に実家の引っ越しのとき、父が使っていた義太夫本が沢山出てきたのをおもいだしました。でもあれは義太夫だったかどうか、ウ~ン・・・。 


(20210112追記)「御目誇らしく」は数日悩んで「御目新らしく」のような気がしてきました。


2021年1月8日金曜日

豆本 禰この道行 その15

奥付1

奥付上段拡大

(読み)

大阪 五行義太夫本

おおさか ごぎょうぎだゆうぼん


紙春り仕立尓差入表紙尓

かみすりしたてにさしいれひょうしに


厚紙を用ひ御手な可゛く

あつがみをもちいながく


御らん尓相成候共いたむ事なし

ごらんにあいなりそうろうともいたむことなし


(大意)

大阪 五行義太夫本

紙の仕立てと表紙に厚紙を用いておりますので

お手元で末永くご使用されてもいたむことは

ございません


(補足)

 奥付の広告がおもしろそうなので、読めないところもあるのですが6つとも順に読んでみましょう。

最初は「大阪五行義太夫本」。もとのせりふから1ページに5行ずつ太い字で読みやすく書いた本。


 

2021年1月7日木曜日

豆本 禰この道行 その14

P12

P12拡大

(読み)

△そ連より

 それより


王可゛个゛ふを

わが ぎょうを


者げミてふうふ奈可五

はげみてふうふなか


五むつましく

 むつましく


くらし个る

くらしける


めで多し\/\/

めでたしめでたしめでたし


(大意)

それからは

自分の生活を真面目に生き

夫婦仲は睦まじく

暮らしました

めでたしめでたしめでたし


(補足)

「王可゛个゛ふを者げミて」、変体仮名「个゛」と平仮名「げ」。

 トラ蔵の縦縞の着流しがP4のものと同じになりました。前頁のものは太いのと細い縦縞が交互でした。トラ蔵の左のにゃんこの手がかわゆい。膝にのせているのは子どもでしょうか。

最後の頁も実に細かく隅々まで念入りです。

おコマの左手には「文句どゝ逸」の宣伝をしています。

 

2021年1月6日水曜日

豆本 禰この道行 その13

P10P11見開き

P11拡大

後半

(読み)

尓可うく王い奈しこ連より个つ

にこうかい なしこれよりけっ


してふぎをつゝしミ身のおこ

してふぎをつつしみみのおこ


奈ひを多いせつ尓い多すべしと

なひをたいせつにいたすべしと


奈ごりをしくもりやう尓王可れ△

なごりおしくもりょうにわかれ


(大意)

後悔しました。この後より決して

不義を慎み身の行いを

大切に致すべしと

名残惜しくもりょうに別れ


(補足)

 前回も記しましたが、「可うく王い奈し」が??です。「い」としましたがこれはどうみても「ハ」です。「い」は他の行にたくさん出ててそれらと比べても異なります。「ハ」は4行目にあるだけですがこれはそっくり重なるくらい同じです。しかし「ハ」と読むと「可うく王ハ奈し」となって意味が不明です。意味が通じるようにするには「ハ」を「い」とすれば「後悔した」の意に理解できます。ウ~ン・・・どうなんでしょう。

「つゝしミ」、ちょっと読みづらい。

「多いせつ」、ここの「い」は先程の「ハ」の形に近いです。

「こ連より」「奈ごり」「りやう」、「り」が小さい「つ」に似たのもあり、ちょっと悩みます。

「王可れ」、平仮名「れ」、他の箇所では変体仮名「連」(れ)でした。

木が両脇に一本ずつあります。枝ぶりや葉はともかくとして、両方とも幹がやや稚拙に感じます。

他の部分は緻密で丁寧でうまいのに、この落差はどうしたことでしょうか。

 

2021年1月5日火曜日

豆本 禰この道行 その12

P10P11見開き

P11拡大

前半

(読み)

◯多りとら蔵 大 い尓よろこびあ

  たりとらぞうおおいによろこびあ


つく連いを奈し王可げのい多り尓て

つくれいをなしわかげのいたりにて


おこ満をつ連て可けおち奈し多る

おこまをつれてかけおちなしたる


をさ多゛めしうち尓てハうらんでゐ

をさだ めしうちにてはうらんでい


ら連る多゛ろうとざんげ者゛奈し

れれるだ ろうとざんげば なし


(大意)

(助けました。)トラ蔵は大いに喜んで

あつく礼をしました。若気の至りで

おコマを連れて駆け落ちしたことを

さだめし、家の方では恨んでい

られるだろうと懺悔ばなしに


(補足)

「ざんげ者゛奈し」、ちょっとよくわからないところです。次に「尓可うく王い奈し」と続くのですが、ここもどうも読みが不安です。

 トラ蔵おコマには笑顔が戻り、クマはりょうにかみたおされてあたふたあたふた。クマとりょうの柄が似ています。

 画像を拡大するとわかるのですが、絵の濃淡は銅版に描くペンの太さと線の本数(密度)で描いているのがわかります。親方はこういった根を詰める作業は弟子にまわしたのでしょうか。おコマの着物の柄もにぎやかです。

 

2021年1月4日月曜日

豆本 禰この道行 その11

8P9見開き

P9拡大

後半

(読み)

りゆうといふいぬいでき多り

りゆうといういぬいできたり


やう春をきゝてくまのふぎ

ようすをききてくまのふぎ


をいきどふり多ちまちく満

をいきどうりたちまちくま


を可ミ多をしおこ満を多すけ◯

をかみたおしおこまをたすけ


(大意)

りゅうという犬があらわれて

いきさつを聞きクマの不義

にいきどおり、あっという間に

クマを噛みたおし、おコマを助け


(補足)

「やう春」、変体仮名「春」(す)は「十」+「て」のようなかたち。「多すけ」のように平仮名「す」もあり、共存してます。平仮名「ま」も変体仮名「満」(ま)があり、両方共存。

文章拡大画像背景の草地が非常に細かい細線で描かれているのがわかります。

3人の着物の輪郭線がふっくらと柔らかいのが印象的です。

 

2021年1月3日日曜日

豆本 禰この道行 その10

P8P9見開き

P9拡大

前半

(読み)

くまハ多ん本゛奈可尓

くまはたんぼ なかに


てひといきつ可んとや春

てひといきつかんとやす


ミゐ多れ者゛とら蔵 き多

みいたれば とらぞうきた


りて可ど王可し\/   と大ご ゑ

りてかどわかしかどわかしとおおごえ


多て連バもとこゝろや春くし多る

たてればもとこころやすくしたる


(大意)

クマは田んぼの中で

ひと息つこうと休んで

いたところ、トラ蔵が追いついて

「かどわかしかどわかし」と大声で

叫びました。そうすると以前から

親しくしていた


(補足)

変体仮名「可」(か)がたくさんでてきます。「う」のようにみえたり「っ」のようにみえたりいろいろです。

「や」は現在では3画です。この当時は「つ」の最後をそのまま右回りに上がり「つ」を横切ってそのまま丸く流れます。

 クマはおコマを右脇にかかえ、左脚でおもいっきりトラ蔵を蹴飛ばしています。クマは半笑い、おコマはうちひしがれ、トラ蔵は無念の表情。三者をよく描き分けています。おコマのこのときの顔って、実際の猫も首根っこを持って吊り下げるとこんな顔になりますね。

3人の手足はちゃんとにゃんこのものになっています。

 

2021年1月2日土曜日

豆本 禰この道行 その9

P6P7見開き

P.7拡大

後半

(読み)

そへどもそ奈多ハ奈

そえどもそなたはな


うてのあふ連もの

うてのあふれもの


由へ奈か\/ち可らおよ

ゆへなかなかちからおよ


者゛春゛ざんねん奈可゛ら

ば ず ざんねんなが ら


おこま王多し多れども

おこまわたしたれども


むねん尓おもひ奈く\/

むねんにおもいなくなく


あとをし多ひ由く

あとをしたいゆく


(大意)

争ったのですが相手は

名うてのあぶれ者

なのでなかなか力及

ばす、残念ながら

おコマを渡してしまいました。

しかし無念でならず泣く泣く

別れがたくおもいあとを追いました。


(補足)

「阿らそへども」と「あふ連もの」の「も」の筆順が異なります。最初のは「し」のように書きはじめてそのまま左回りにもとに戻るようにしますが、もう一方は書きはじめは同様ですが下部までいったら小さく左上にのぼりそこから大きく右回りにかきます。このあと2ヶ所「も」がでてきますがそれらも同様です。「あ」が現在と同じような形になってます。

「むねん尓」、変体仮名「尓」は英小文字筆記体「y」の形。

 豆本は手のひらにのるくらいの大きさです。まさか後世に拡大して見られることを想像していたとは思えませんが、画面を拡大して隅々をみると、どこも丁寧に描きこんでいて手抜きなど微塵もありません。

 

2021年1月1日金曜日

豆本 禰この道行 その8

P6P7見開き

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前半

(読み)

■い連奈けれバ大 い尓

  いれなければおおいに


い可りとら蔵 を可ミ

いかりとらぞうをかみ


多本しておこ満尓さる

たおしておこまにさる


ぐつ王を者ませてこ

ぐつわをはませてこ


王き尓可ゝへて尓げさ

わきにかかえてにげさ


らんと春とらざう

らんとすとらぞう


そ連やつてハと阿ら

それやつてはとあら


(大意)

(聞き)いれることはなかったため、大いに

怒り、トラ蔵を咬(か)み

たおして、おコマにさる

ぐつわをはませて、

小脇に抱えて、逃げ去ろうと

しました。トラ蔵は

そうなってはと争う


(補足)

「そ連やつてハと」、こんなにはっきり硬筆で記されているのに「やつてハと」がわかりません。意味はもちろんおコマを連れ去るクマを阻止しようと争うということですけど、「やつ」の次は「て」「こ」「こと」何でしょうか。

 トラ蔵はなにおぉ〜と息巻くものの、クマは余裕の笑顔でおコマの裾を踏みつけて逃げられないようにしています。3人の衣裳は前頁とおなじものの、外の風景は大きく変わっています。縁側の柾目板の木目も細かい。