ラベル 豆本かちかち山 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 豆本かちかち山 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2020年10月22日木曜日

豆本 かち\/山 その17

裏表紙

(読み)

なし

(大意)

なし

(補足)

小林英次郎の豆本は「国立国会図書館デジタルコレクション」に以下の4冊があります。

『花さかぢゝい』『かち\/山』『むまくらべ』『舌切雀』。

この4冊は同時期に同じ価格で出版されたようです。

このBlogではすでに『かち\/山』『むまくらべ』『舌切雀』の3つの豆本をとりあげました。

『花さかぢゝい』を続けてとしたいところですが、『かち\/山』の落丁が気になるところで、

次回も『かち\/山』の異なる版、明治18年佐藤新太郎のものにします。そのあとで小林英次郎の『花さかぢゝい』を予定してます。



 

2020年10月21日水曜日

豆本 かち\/山 その16

P11はP9と同じ

P12はP10と同じ

奥付

(読み)

明治十三年七月二十七日出版御届價一銭五厘

著者画

神田區八名川町五番地

小林英次郎

出板人

下谷區

坂本町二丁目八番地

野田茂政

(大意)

(補足)

「御」の上に「野田」の朱印があります。

貼紙にすけて「北尾卯三郎改」と読めます。

この豆本は意識的落丁の疑いがある、つまり女子子どもにふさわしくないページを抜き取り他のページを加えているのではないかとおもわれるようなものになってました。

絵自体はいかにも小林英次郎らしく太めの輪郭線と隅々まで描きこみ色彩豊かなものであります。

大正時代や昭和初期をへて、わたしも親しんだ昭和少年漫画の源流が感じられます。



 

2020年10月20日火曜日

豆本 かち\/山 その15

P.10

(読み)

ことをぢゝひ尓

ことをじじいに


者奈して

はなして


与ろこ

よろこ


者゛せめで

ば せめで


多く年を

たくとしを


おくり个る

おくりける


めでたし\/

めでたしめでたし


(大意)

(かたきうちを果たした)事をじじいに話して

喜ばせました。

めでたく年をおくることができました。

めでたしめでたし。


(補足)

でだし「こと」が「ここ」にもみえますが、それでは意味が通じません。

「与ろこ者゛せ」、「与」がわかりにくい。

「年」が楷書のようになってます。古文書ではたいてい「◯」に「丶」のくずし字です。

うさぎのふっくらした腹のへそがかわいらしい。瞳が赤ではなく黒でつり上がっている。

櫂を振り回している右手が下になってます。左利きなのでしょうか。

有名な北斎の神奈川沖浪裏を意識したのか、浪の描きこみがなかなかですし、舳先の先の浪の砕け方や右下のたぬきに襲いかかるような波はどうみても北斎のパクリであります。

その波間に落とされたたぬき、ケツの赤ふんが目を引きます。

たぬきの右足の後ろにある紺色のものはたぬきが乗っていた船のように見えますが、うーん・・・



 

2020年10月19日月曜日

豆本 かち\/山 その14

P.9中下段

(読み)

へいでゝ

へいでて


可多起▲

かたき


▲うちを

 うちを


なし个る

なしける


「かぜ尓

 かぜに


あ多るといけ

あたるといけ


ねへ可ら

ねえから


多いし尓

だいじに


志ねへ

しねぇ


(大意)

(沖)へ出てかたきうちをなしとげました。

「風にあたるといけねぇから

大事にしねぇ


(補足)

空の青さといい、海の青さも淡い水色でとても静かそう。こんな海でたぬきをこらしめるなんて・・・

うさぎはもちろん大工でも船大工さん、左手に鉋を持ち、その鉋の右に四角の黒いものがあります。

何かと考えましたが玄能で鉋の刃の調整をしているのかもしれません。

材木が斜めに置かれています。江戸時代やそれ以前の材木の製材や鉋がけの浮世絵などを見ると、ほとんど材木が斜めに置かれています。これが古来からの方法だったのでしょう。現在は平らな台の上で行います。材木の下にはかんなくずまで描かれています。

うさぎの瞳の赤が印象的です。

P8P9見開き

話が上中下段で流れていて読みやすい。

見開きで見ると海と空の広がりがあり、浜に打ち寄せる波のうち際が右斜め上に向かってそこには立派な松、沖には帆掛け船と小島、なかなか見事であります。銭湯の壁絵にできる。

 

2020年10月18日日曜日

豆本 かち\/山 その13

 

P.9上段

(読み)

どうと

どうと


奈りけるを

なりけるを


うさ起゛

うさぎ


とう可゛ら

とうがらし


ミそを

みそを


つけて

つけて


奈を

なお


奈やませ

なやませ


けれど

けれど


ひ奈らず

ひならず


ぜん可い奈せバ

ぜんかいなせば


こんどハ

こんどは


ふねをこし

ふねをこし


らへて多ぬき

らえてたぬき


尓ハ●

には


(大意)

(おおやけ)どをしました。

うさぎは唐辛子味噌をつけてなお悩ませましたが

まもなく全快してしまいました。それではと

今度は船をこしらえて、たぬきには


(補足)

前頁の上段からの続き。

「どうと」、この2文字目は「う」「ろ」「ら」?おおやけど(う)?わかりません。

「ひ奈らず」、日ならず。とおからず、まもなく。

鉋(かんな)片手にうさぎの大工姿、かっこいい。半纏の背中は屋号でしょうけど、読めませんね。


2020年10月17日土曜日

豆本 かち\/山 その12

P.8中下段

(読み)

●つちの

  つちの


ふねをこさ

ふねをこさ


へてやり

えてやり


や可゛てお起

やがておき


「このあい多゛ハ

 このあいだは


ひどいめ尓あつ多

ひどいめにあった


(大意)

土の船をこしらえて

やがて沖


「この間はひどい目にあった

(補足)

文章はP8P9見開きの上中下段に分かれているので、この頁だけの大意では意味がつながりません。

左下に見えている脚はうさぎが船をこしらえているところ。


 

2020年10月16日金曜日

豆本 かち\/山 その11

 

P.8上段

(読み)

あ可゛

あが


れバ

れば


多ぬ

たぬ


起ハ

きは


わら\/の

わらわらの


ていで

ていで


あ奈

あな


へ尓げて

へにげて


ゆき王可゛

ゆきわが


可ら多゛ハ

からだ は


おゝやけ

おおやけ


(大意)

(燃え)上がり、たぬきはあわてて

穴へ逃げてゆき、たぬきは大やけどをしました。

(補足)

「あ奈べあげて」、わかりません。文章の区切りを間違えているかもしれませんが・・・

たぬきの着ているのがドテラのよう、下駄も高下駄、まるで歌舞伎役者です。

一日おいて読んだら、わかりました。

「あなへ尓げて」でした。初心者はつらい。



2020年10月15日木曜日

豆本 かち\/山 その10

P.5(P.3と同じ)。P.6(P.4と同じ)なのでP.7となります。

(読み)

たぬきを

たぬきを


多゛まして

だ まして


志バ可り尓ゆく

しばかりにゆく


とて

とて


たきゞ

たきぎ


をせをわせ

をせをわせ


あとより

あとより


ひをつけ

ひをつけ


けれバ

ければ


多ぬ起

たぬき


のそ多゛

のそだ


ハもへ

はもえ


(大意)

たぬきを芝刈りにゆこうとだまして

焚き木を背負わせました。

うしろから火をつけると

たぬきの粗朶(そだ)は燃え上がり


(補足)

「たぬき」「たきゞ」の2箇所が平仮名の「た」。でも「多゛まして」「多ぬ起」と従来どおりの変体仮名「多」。

「せをわせ」、「わ」にみえないのですが、前後の流れで「わ」。

「そ多゛」粗朶(そだ)。火をおこすときに小さい枝切れに火をつけてそれから薪へとしますが、そのときの小枝などのこと。わたしが在住しているところは江戸時代、粗朶を大量に出荷していたことが古文書にあります。江戸の周辺地域はほとんど燃料となる薪や粗朶などの出荷を担っていました。

 道標の右側は「可ち\/山」、左側は「か(ち)\/山」、その上は「柾是」?、これよりかちかち山のこれは「是」ですから2文字目はよいとして最初の字はなんでしょう?

たぬきは熱くて絶叫、両手の突っ張り具合といい口を天に向かっての叫び声、脚は駆け出したくとも熱さで突っ張っています。背負紐の縄目まで丁寧です。

P6P7見開き

見開きにしてみるとP6のうさぎはやはり火打道具でたぬきの背中に火を付けている様子でした。またうさぎの斧の柄が右脚下にのぞいてます。

たぬきの絶叫が背中の炎と一緒に空にむかってます。


2020年10月14日水曜日

豆本 かち\/山 その9

 

P.4左半分

(読み)

か多起を

かたきを


とつて

とって


あげませう

あげましょう


とてぢゞいの

とてじじいの


いへを

いえを


かへり

かえり


や可゛て▲

やが て


(大意)

かたきをとってあげましょうと

じじいの家へ帰りました。

やがて


(補足)

「か多起」「かへり」、変体仮名「可(か)」ではなく平仮名です。

「ぢゞいのいへをかへり」、助詞の「を」が「に」ならば、じじいの家に帰ったとなりますが、「を」だと違う意味になるのかどうか・・・



2020年10月13日火曜日

豆本 かち\/山 その8

 

P.4右半分

(読み)

お奈げき

おなげき


奈さると

なさると


いへバ

いえば


ぢゞい

じじい


しか\゛/

しかじか


の■


■こと奈りと者奈

  ことなりとはな


せバうさ起゛

せばうさぎ


そん奈ら

そんなら


王し可゛

わしが


(大意)

お嘆きなさっているのかと聞けば

じじいはかくかくしかじかのことがあったと

答えました。

うさぎはそれならばわしが


(補足)

うしろの大きく燃え上がる炎は

もちろんたぬきの背中から立ち上がっているもの。

うさぎのいでたちがものものしい。

両手に持っているのは火付け道具にしては

ちょっとそうみえないし何でしょうか。

背負っている薪の下に見えるのは斧の刃先のようにみえます。

薪の側面、子どものいたずら書きみたいな顔にみえます。

「者奈せバ」、変体仮名「者(は)」は「む」の「す」のあとがそのまま右に流れたり下がったりするかたちになります。

「王し可゛」、変体仮名「王(わ)」は漢字の「已」のような形。



2020年10月12日月曜日

豆本 かち\/山 その7

 

P.3上段

(読み)

▲奈け起

 なげき


い多る

いたる


ところへ

ところへ


うさ起゛

うさぎ


き多りて

きたちて


奈尓を

なにを


(大意)

嘆(なげ)いていたところへ

うさぎがやってきて

何を


(補足)

逃げゆくたぬきににらみをとばし、縦縞模様を着流して二の腕まくり「やってやろうじゃねぇかぁ」と体格もたくましい。あごした首周りの毛並みか髭か、たのもしい。

白足袋はいた脚先はうさぎのかたちか。

敷居のむこう、縁側の板縁の緑が奇抜。



2020年10月11日日曜日

豆本 かち\/山 その6

 

P.3下段

(読み)

ぢゞいハ

じじいは


そん

そん


奈らい満のハ

ならいまのは


者゛ゞアをくい

ば ばあをくい


し可とて▲

しかとて


(大意)

じじいは

そんなら今の(わしが食った汁)は

ばばあを食ってしまったのかと


(補足)

下段から始まります。

前回説明したとおり、じじいはババアに化けたたぬきがババアを殺して料理した汁をたぬき汁とおもって食べたのですが、そうではなかったことがわかり愕然としているところです。

憎(にっく)きたぬきは夕焼けを背景に、うまくいったうまくいったとご満悦、笑顔でスキップして逃げてゆきました。

「い満のハ」、「8」にみえますが変体仮名「満」(ま)です。


2020年10月10日土曜日

豆本 かち\/山 その5

 

P.2下段

(読み)

▼奈

 な


ハを

わを


と可

とか


せて

せて


む起゛を

むぎ を


つ起

つき


い多り

いたり


し可゛

しが


者゛アの

ばばあの


ゆ多゛ん

ゆだ ん



みて

みて


(大意)

縄をとかせて

麦をついていましたが

ばばあが油断したところをみて


(補足)

この場面はばばあがたぬきにしめ殺されるところです。

このあとの二丁と三丁が落丁しているのですが、どうも意識的にというか何らかの圧力があったためなのか作為が感じられるところです。

というのは、たぬき汁にされそうだったたぬきがばばあをだまし、ばばあをババア汁にしてしまったうえに、たぬきはばばあに化けてじじいにそのババア汁を食わせてしまったからです。なんとも残虐な展開なのです。それがちょうど二丁と三丁にあたるのです。

ちがう豆本の「カチカチ山」ではその箇所はそのままになってます。

その部分を抜いてしまったので頁数が足りなくなってしまいますので、このあとで今度は四丁目を足しています。たんに抜いただけなら頁数が足りないままなところわざわざ勘定をあわせることをしているのですからどうも疑わしいのであります。

「みて」、「み」はほとんどカタカナ「ミ」ですが、ここでは平仮名。


2020年10月9日金曜日

豆本 かち\/山 その4

 

P.2上段

(読み)

多ぬ

たぬ


起ハ

きは


者ゞア尓む可いこれ

ばばあにむかいこれ


お者゛アさん

おば あさん


王しの奈ハを

わしのなわを


といてくれ多ら

といてくれたら


そのむぎを

そのむぎを


ついて

ついて


あげ

あげ


ようと

ようと


いつ

いつ


ハり▼

わり


(大意)

たぬきはばばあにむかって

「これ、おばあさんわしの縄をといてくれたら

その麦をついてあげよう」

といつわって、


(補足)

2行目「者ゞア」3行目「お者゛アさん」、他の箇所でもそうですが「者(は)」に濁点があったりなかったりいい加減です。

 首を絞められているばあさんの右側にあるのは凧揚げではありません。

麦にまじっているゴミやのぎとかのげという針のような毛をとるときに、使う道具でしょう。

一方からあおいで風を送り、麦をこの障子のようなところで上に振るうと麦以外はとばされる仕組み。



2020年10月8日木曜日

豆本 かち\/山 その3

 

P.1

(読み)

むかし\/

むかしむかし


あるい奈可

あるいなか


尓ぢゞいと

にじじいと


者゛ゞアあり

ば ばああり


あるひ多ぬきを

あるひたぬきを


つ可め者りへ

つかめはりへ


志づりをき▲

しずりおき


▲ちゞいハ山 へ

 じじいはやまへ


由起ける可゛

ゆきけるが


あと尓て

あとにて


(大意)

むかしむかし

ある田舎にじじいとばばあがおりました。

ある日たぬきをつかまえて

梁(はり)へ吊り下げたまま

じじいは山へ行ってしまいました。

そのあとのことです。


(補足)

「つ可め」、捕まえることでしょう。

「志づり」、垂る(しずる)。木の枝につもった雪が落ちると辞書にはあります。

宙吊りたぬきの後ろ、剥がれ落ちた土壁にその下地の竹編みやひび割れまで丁寧です。

たぬきが婆さんに何か話しかけているようです。また婆さんは何をついているのでしょう。

その内容は次頁。


2020年10月7日水曜日

豆本 かち\/山 その2

 

見返し

(読み)

筬 飛亭 画

せいひていが


北尾者ん

きたおはん


(大意)

(補足)

小林英次郎は号に「筬飛亭(せいひてい)」「箴飛亭(しんぴてい)」または「飛幾亭 (ひきてい)」があり、他にも別名があるようです。

「飛」のくずし字を辞典で調べると、確かにここのものと似てました。きっとあっているでしょう。


 かちかち山で争うたぬきとうさぎの置物がかわいらしい。

うさぎと杵は切り離せぬもの。

ご両人は何の上に座っているのでしょう。うちわのような本のような瓦でもあるみたい。


2020年10月6日火曜日

豆本 かち\/山 その1

 

表紙

(読み)

かち\/山

かちかちやま


(大意)

なし

(補足)

 やっこの手には杵(きね)、目の薄紅色の隈取はちと酔っているのか、右足のつま先がやけにリアルであります。それを左に見上げる姉さんは鼓(つづみ)をもち、やはり目のまわりは薄紅色の色っぽさ。その薄紅色で鼓の革を意匠化して表紙に散りばめています。


変体仮名「可」ではなく平仮名「か」となっています。どのように使い分けているかはまったくの気分次第のよう。


 このBlogでは著者画 小林英次郎、出板人 野田茂政のコンビの豆本「舌切雀」と「むまくらべ」を取り上げました。今回は同じ両者の「かち\/山」です。

この豆本残念ながら落丁乱丁があります。

気にせずそのまますすめます。