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2021年7月20日火曜日

豆本 さるか尓合戦 その13

P13

(読み)

こハ可奈

こはかな


王じと尓げ

わじとにげ


い多春を多ち

いたすをたち


う春尓おさへ

うすにおさえ


られさるもせん△

られさるもせん


(P12)

△可多奈く

 かたなく


可いしん

かいしん


志てし多可゛ひ

してしたがい


けり

けり


めで

めで


(P13)

多し\/\/

たしめでたしめでたし


\/

めでたし


御届明治十九年九月廿日

馬喰町二丁目十四番地

編輯兼 

出版人 綱島亀吉


定價弐銭

(大意)

これはかなわんと逃げるところを

立ち臼に押さえられて

猿も仕方なく

心を入れ替えて

(皆に)従いました。

めでたし

めでたしめでたし

めでたし

以下略

(補足)

 両頁で上下段に分かれているので合印●△に従います。

囲炉裏でいきなりバチッと炭や小枝の薪が爆(は)ぜることがあります。けっこう驚きます。玉子が爆音とともに飛び出してきたら驚くどころの騒ぎではないでしょう。玉子は忍者のように鉄帷子(てつかたびら)を着て襷(たすき)がけ、やる気十分です。うしろの障子の桟がなんとなく変です。

P12P13見開き

現在でもこのような部屋はあります。このあともなくなることはないような気がします。

裏表紙

いつもながらの亀の意匠。池の中を自在に泳いでいます。


 

2021年7月19日月曜日

豆本 さるか尓合戦 その12

P12

(読み)

こゝへき多りこのあい多゛ハ

ここへきたりこのあいだ は


まこと尓おきのとくお王び

まことにおきのどくおわび


尓き満し多といろりそバへ

にきましたといろりそばへ


よれハ奈可与り多満ご

よればなかよりたまご


者年いでさるの可本へやけ

はねいでさるのかおへやけ


つきこれハ多満らぬ

つきこれはたまらぬ


とぬ可ミそをつけんと

とぬかみそをつけんと


せし可゛王き与り

せしが わきより


者ちいでさん

はちいでさん


\゛/尓さゝれ●

ざ んにさされ


(大意)

ここへやって来ました。

「この間は

まことにお気の毒でした。

お詫びに来ました」と囲炉裏のそばへ

近づいたところ、囲炉裏の中からたまごが

はね出てきて、猿の顔にやけどをさせました。

これはたまらぬと、糠味噌をつけようと

しましたが、脇から蜂が出てきて

さんざんに刺され

(補足)

「まこと尓」、「き満し多」、平仮名「ま」と変体仮名「満」(ま)。

「よれハ奈可与り」、平仮名「よ」、変体仮名「与」(よ)。

縁側は竹であつらえたようです。障子の桟が丁寧に描かれています。

 

2021年7月18日日曜日

豆本 さるか尓合戦 その11

P11

(読み)

者ねてやらん

はねてやらん


とそれ\゛/て王

とそれぞ れてわ


けを志てまつ

けをしてまつ


とも志ら須゛さるハ

ともしらず さるは


ま多゛あと尓可

まだ あとにか


起可゛ある由へそれもとらんと

きが あるゆえそれもとらんと


(大意)

はねてやろうと

それぞれ手分けして

待っている

とも知らずに猿は

まだ柿がその後も

残っていたので

それらを採ろうと

(補足)

「者ねて」、変体仮名「禰」ではなく平仮名「ね」。文章が背景の青縞で読みづらいですが鮮明です。

 蜂の縦縞柿色の羽織が渋い。蜂の顔がどうなっているかパッと見た目わからなかったのですけど、前に飛び出しているふたつの丸いのが目でその下に脚があります。お尻の部分がそのまま首になってます。竹の格子壁をとおして外の風景も丁寧に描かれています。

P10P11見開き

三人並んでの相談、立ち臼の存在がでかい。親方です。

 

2021年7月17日土曜日

豆本 さるか尓合戦 その10

P10

(読み)

可多起

かたき


うちの

うちの


さう多゛ん

そうだ ん


さいちう

さいちゅう


多満ごハ

たまごは


いろり尓

いろりに


いりて

いりて


(大意)

敵討ちの相談さいちゅうに

玉子は囲炉裏に入って

(補足)

 読みに難しいところはなさそうです。立ち臼の格子柄に色を散らした着物が素敵です。それを引き立てるように玉子の着物は地味。床の間も立派。

 

2021年7月16日金曜日

豆本 さるか尓合戦 その9

P8P9見開き

(読み)

P8

く満ん者゛ち

くまんば ち


とんできて

とんできて


春くひ者ち

すくいはち


可尓ゝむ可ひ

かににむかい


王れのとも

われのとも


多ぢ●

だち


P9

多ちう

たちう


春と

すと


多満ご

たまご


といふ

という


もの

もの


あり

あり


者やく

はやく


ふ多り

ふたり


をよび

をよび


尓やり天

にやりて


(大意)

熊ん蜂が

飛んできて

救い、蜂と

蟹に向かい

わたしの友達に

立ち臼と

玉子というものがいる。

はやく二人を呼びにいって

(補足)

「く満ん者゛ち」、パッとみため平仮名「ね」に見えるのは変体仮名「満」(ま)。「多満ご」も確認。変体仮名「者」(は)が何箇所か出てきてます。平仮名「む」の後半が右下に流れます。

「とも多ぢ」、濁点が「ち」のほうについてしまってますが、ひとつ上の文字につくべきところがそうなっている例がたくさんあります。不思議です。

「多ちう春」、「立ち臼」という言葉を知らないとなんのことが不明です。変体仮名「春」(す)は「十」+「て」のような形。

「者やく」と「尓やり天」の「や」の筆順とかたちがことなっています。変体仮名「天」(て)は「〃」+「く」のような形。

 玉子は旅装のような姿、左袖と左肩の柄が見えてますがこの着物はどうなっているのでしょう。左後ろの松をわざわざ交差させて描くところは絵師の遊び心。子どもたちは玉子の白い顔のところに絶対に百人が百人、いたずら書きをしたはず・・・

 

2021年7月15日木曜日

豆本 さるか尓合戦 その8

P8

P9

(読み)

P8

志ぶ

しぶ


可起

かき



可尓の

かにの


せ奈可

せなか


へぶつ

へぶつ


けさん

けさん


\゛/尓

ざ んに


奈や

なや


まし

まし


P9

ける

ける


とこ

とこ


ろへ☓

ろへ


(大意)

渋柿を蟹の

背中にぶつけ

ひどい目に

あわされました。

そこへ

(補足)

 ここの上段の話は前頁のもの。猿は手ぬぐいでほおかぶりし、さらに右手の袖で身を隠してるつもりの知らんぷり。かかとを揃えての立ち姿は定石のひとつ。左の裾が普通にしていたらあまり絵としてはおもしろくありません。

「せ奈可」、「可」が小さくて見にくいですけどあります。

「ける」と平仮名表記。

「ところへ」、「と」と「こ」の見分けは難しいので文章の流れから判断します。

 

2021年7月14日水曜日

豆本 さるか尓合戦 その7

P7

(読み)

さん

ざん


禰ん

ねん


尓おもひ

におもい


や可満しく△

やかましく


△いへバ

 いえば


さるハ

さるは


や可ましと

やかましと


(大意)

残念におもい

大声で文句を言うと

猿はうるさいっと

(補足)

「や」が現在の平仮名「ゆ」にみえてしまいます。変体仮名「也」(や)は平仮名「つ」をかいて最後に内側でクルッと右回りに一周します。

P6P7見開き

 両者を比べると、猿のほうがやや稚拙?柿の木も少々荒っぽい。蟹の脇には石灯籠。上の中抜の部分をとおして色を忘れていませんが、柿の枝分かれ部分はうっかり・・・

 

2021年7月13日火曜日

豆本 さるか尓合戦 その6

P6

(読み)

きへの本゛れぬいへ

きへのぼ れぬゆえ


とることできぬと

とることできぬと


きさ満とりて

きさまとりて


くれゝバ王けて

くれればわけて


やるべしと由ふ

やるべしちゆう


さるハ春ぐ尓

さるはすぐに


き尓の本゛りて

きにのぼ りて


つへ多るを

つえたるを


くらひ春こし

くらいすこし


もよこさ須゛

もよこさず


志多尓て

したにて


可尓ハ

かには


(大意)

木に登れなかったので

採ることができませんでした。

おまえが採ってくれれば分けて

やるぞと言うと

猿はすぐに

木に登って

熟したもの食って

少しもよこさず

下にいた蟹は

(補足)

「きへの本゛れぬいへ」、「いへ」は「ゆへ」のまちがいでしょう。

「つへ多るを」、辞書を引きました。「漬える」や「費える」はわかりましたが、「熟える」は知りませんでした。いい歳をしたジジイなのにお恥ずかしいばかり・・・

文章はきれいに摺られていて読みやすい。

 

2021年7月12日月曜日

豆本 さるか尓合戦 その5

P4

(読み)

可尓の可多

かにのかた


きさるを

きさるを


う春と多満

うすとたま


こ者ち尓て

ごはちにて


うちとり

うちとり


多り

たり


(大意)

蟹の敵(かたき)

猿を

臼(うす)と玉子

と蜂(はち)で

討ち取ったり


(補足)

 一番左の武士蟹は手に「大當」の扇をもって応援。その隣は帷子を肌着にいざと構える玉子武士。臼は歌舞伎の衣装。頁かわって、刺股(さすまた)で取り押さえるは蜂、中央はまいったまいったと猿。奥には立会人が2名蟹姿。

 これを読んだ子どもたちは、それぞれ配役を決めて「猿の敵うち」ごっこをしたんでしょうね。

 説明文の背景の赤色に白い柄があるなと拡大してみると、どうやら蜂のようです。違うかな?

P4P5パノラマ

 パノラマで見ると、いつもおなじことをかいてしまいますが、やはりこの広がりはいいです。

 

2021年7月11日日曜日

豆本 さるか尓合戦 その4

P2P3見開き

(読み)下段

P2

●由起て

 ゆきて


多のしミ

たのしみ


い多るとこ

いたるとこ


ろへさる8

ろへさる


P3

8き多りて

 きたりて


奈ぜとら

なぜとら


ぬといゝ

ぬといい


けれバ王れハ

ければわれは


(大意)

いって楽しんでいる

ところへ

猿が来て

なぜ(柿の実を)採ら

ないのかと

聞いたところ

自分は


(補足)

合印はいろいろな形がありますが、◯ふたつの8の字のものはあまり見たことがありません。

「こ」と「と」は似ているので注意。

 蟹の肌の色が白くて、色を忘れたのではとおもいましたが、このあとの頁を見てみるとみな白いので色白の蟹ということのようです。水桶の取っ手の下のところは色忘れ。

生け垣の格子の部分はすべてしっかり紐で縛られてますし、枝折り戸のひし形の格子部分も同様です。丁寧です。

 

2021年7月10日土曜日

豆本 さるか尓合戦 その3

P2

P3

(読み)上段

P2

うへ

うえ


て多の

てたの


しミい多り

しみいたり


ひ尓まし△

ひにまし


P3

△ゑ多゛者

 えだ は


志げり

しへり


多くさん尓

たくさんに


可起奈り

なきなり


个る

ける


きの

きの


もとへ●

もとへ


(大意)

植えて楽しんでいました。

日増しに枝は茂り

柿が沢山に実りました。

木の元へ

(補足)

 文章の流れが両ページにまたがるので上下段に分けます。△◯8の合印でつながります。

「ゑ多゛者」、助詞の「は」はたいては「ハ」ですが、ここでは変体仮名「者」(は)。

中央の太い幹の両面の色が異なってますけど、陰影のつもりなら極端だし、何か訳があるのか?

 猿はわらじで蟹はけとばされたら痛そうな角下駄、なんとなくそれらしい。

猿が左手でちょいと裾を持ち上げる仕草が粋なんでしょうね。

 

2021年7月9日金曜日

豆本 さるか尓合戦 その2

P1

(読み)

明治十九年十一月二日内務省交付


む可し\/ ある

むかしむかしある


や満可げ尓

やまかげに


さると可尓

さるとかに


ありあるひ可尓ハむ春

ありあるひかにはむす


びをひとつもちさるハかきの

びをひとつもちさるはかきの


多年をもちき多りむ春び

たねをもちきたりむすび


ととり可へくらゐ个る可尓

ととりかえくらいけるかに


ハ可起の多年をもち

はかきのたねをもち


王可゛やへ可へり尓ハへ

わが やへかえりにわへ


(大意)

昔々ある

山かげに

猿と蟹が

いました。ある日蟹はむすびを

ひとつもち猿は柿の

種をもって来ました。(猿は)むすびと

取り替えて食べてしまいました。蟹は

柿の種を持って

我が家へ帰り庭へ

(補足)

 この豆本は保存状態がとても良くて文字にかすれがなく絵の色合いも鮮やかです。発売された当初のままではないかとおもわれます。

 文章に難しいところはなさそうです。

 猿の体毛の色が濃紫色、僧侶なら高僧であります。それに花柄の赤いちゃんちゃんこが可愛らしい。手には柿の種をひとつ持っているはずですが、拡大してもわかりません。蟹のでっかい白いむすびは10人前くらいありそう。蟹の腹のしかめっ面のシワは定番です。山奥のどこかののどかな風景です。

 

2021年7月8日木曜日

豆本 さるか尓合戦 その1

表紙

見返し

(読み)

さるか尓合 戦

さるかにがっせん


綱 島 藏 版

つなしまぞうはん


東京図書館印 TOKIO LIBRARY

(大意)

(補足)

 まわりの花柄模様はこのシリーズではみな同じようです。二人ならべるとどうしても阿行吽形になってしまうようで、二人の手のひらがパーとグーになってます。上の武者姿の上着が背景の色と同じになってしまってます。

「か」は平仮名ではなく変体仮名「加」(か)だとおもいます。