2026年9月8日火曜日

大日本物産圖會その79

P79 「船橋市西図書館所蔵」「画像の無断ダウンロード禁止」

P79_1

(読み)

下 総  國 醤  油製 造 之圖

しもうさのくにしょうゆせいぞうのず


醤  油盤葛飾郡(カツシカコホリ)野田

しょうゆは    かつしかこおり のだ


海 上  銚  子等 より出すこと

かいじょうちょうしとうよりだすこと


夥(オビタゞ)し小麥 を炒り大 豆

  おびただ しこむぎをいりだいず


尓和して麹(カウシ)を徒くり塩

にわして  こうじ をつくりしお


を咊(クワ)し天大 桶 尓いれ天

を  か  しておおおけにいれて


熟(シユク)せしと起布 の袋  に

  じゅく せしときぬののふくろに


包 ミて〆 器に入 て搾(シボ)り樽

つつみてしめきにいれて  しぼ りたる


尓詰 天諸 國 尓出す就中

につめてしょこくにだすなかんづく


野田の「萬」ハ上  品 尓して八 升  六

のだの亀甲万はじょうひんにしてはっしょうろく


合 入 を一 樽 と定 む

ごういりをひとたるとさだむ

(大意)

(補足)

「咊(クワ)し」、『(か、わ)。「和」の古字(昔使われていた漢字)or異体字』。

「布の袋に包ミて〆器に入て搾(シボ)り」、右の大きな箱が〆器。箱の丈夫に竿があって、その左端に何本もの綱網に重しの石がたくさん見えています。

「八升六合入を一樽」、一樽で約16kg。樽の側面には亀甲(きっこう)印の中に「万」。現在のキッコーマンです。樽が積んであるところは壁に濃淡を付けて薄暗がりの表現が見事です。左奥には積み出し船と川面が見えています。

 この画は現在でも大手のキッコーマン醤油の明治初期の工場のようです。利根川と江戸川にはさまれて絶好の立地に恵まれた野田は醤油で繁栄し、現在でも一大生産地です。そしてもうひとつ、煎餅が野田の名物でもあります。

 この画が出版された13年後の明治23年に利根川と江戸川を結ぶ利根運河が開通しました。もともと江戸時代初期、江戸川は利根川の上流の関宿で東京湾に至るように大工事で分流されましたが、貨物など交通量増加のため(浅瀬もあって不便でもあった)、もっと手前でむすぶこの運河が作られました。

 若かりし頃、この運河がどんなふうになっているか、何度か江戸川と利根川をいったりきたりしたことを思い出しました。小さな竹竿ですすめる和船があるとどこか江戸情緒を感じたものです。

 この画を見ているだけで、醤油の香りを感じてしまい、口の中がジュワッとしてしまいます。

 

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