2026年9月11日金曜日

大日本物産圖會その82

P82 「船橋市西図書館所蔵」「画像の無断ダウンロード禁止」

P82_1

(読み)

飛騨 國 養 蠶 之圖二

ひだのくにようさんのずに


何(イヅ)連の年 尓ても八 十  八 夜前 後

  いず れのとしにてもはちじゅうはちやぜんご


尓ハ蚕(カヒコ)生 連出る奈り蚕  少 し出

には  かいこ うまれでるなりかいこすこしで


加ゝらハ正  午十  二時頃 暖(アタゝ)可なる

かからばしょうごじゅうにじごろ  あたた かなる


時 を見合 せ種 を取 出し白 紙

ときをみあわせたねをとりだしはくし


五六 枚 本ど尓て包(ツゝ)ミその上 を

ごろくまいほどにて  つつ みそのうえを


抜出綿(ヌキデワタ)やう奈る物 尓さつとつゝミ

    ぬきでわた ようなるものにさっとつつみ


或  ハ骨柳(コリ)王ら多゛やうの物 尓入

あるいは   こり わらだ ようのものにいれ


暖  可奈る処  へ上ゲおき日尓二三 度

あたたかなるところへあげおきひににさんど


づゝ種 を取 ひろけまた元 の如 く

ずつたねをとりひろげまたもとのごとく


奈すなりすべて蚕  を手掛 る

なすなりすべてかいこをてがける


尓ハ手を洗(アラ)ひ清浄(セイジヤウ)を旨(ムネ)と須

にはてを  あら い   せいじょう を  むね とす

(大意)

(補足)

「飛騨國」、岐阜県北部に当たる。飛州。

「抜出綿」、『古くなった衣服や布団などから抜き取った古い綿(わた)のこと。単に「抜綿(ぬきわた)『ぬきわた【抜き綿】古着・古布団などから抜き取った綿。ぬきでわた。』」や「抜出(ぬきで)」とも呼ばれる』。

「骨柳」、『(こつごおり/こつやなぎ)は、コリヤナギなどの枝を使って編んだ「柳行李(やなぎごうり)」の古い呼び名』。

 天井から吊るしているのは「常陸國養蠶之圖一その80」でもでてきた「蚕卵紙(さんらんし)」。庭にある脚立で吊り下げたのでしょうね。木にのぼっている人は桑の葉をとっているよう。桑の木は葉をとりやすく管理しやすいように背丈ぐらいの高さにしますが、当時は普通の樹木のようにしていたのでしょうか。

 右側では蚕卵紙の裏を箸でたたいています。卵から孵化した蚕を落としているようです。床柱に枝がついていておしゃれです。お茶を運ぶ娘さんの裾にじゃれつく🐱がいて、暖かい縁側です。右奥の家屋内でも同じ作業をしていて、村中でお蚕さんをやっている様子です。

 わたしは子どものころよく母の実家に預けられていました。埼玉県北部にある実家ではお蚕さんもやる農家で、その地域の農家の裏の畑は桑畑がずっと広がっていました。桑の葉を背中の籠に入れてとってくるのは子どもたちの仕事でよく手伝ったものです。その葉をすごい勢いで体半分を振り回すようにしてむしゃむしゃと食べていくさまは見ていて飽きませんでした。蚕棚があって、その部屋から蚕たちが食べる音がするくらいなのです。そしてその部屋はほんのりと暖かった。すぐに桑の葉はなくなってしまうので、新鮮な葉をとってきて、おやつに手作りのまんじゅうをほおばったものでした。

 

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