2020年1月28日火曜日

豆本 浦島物がたり その2




 P1

(読み)
こゝ尓
ここに

者゛ん
ば ん

志う
しう

た可
たか

さご
さご

のうら
のうら




多らう
たろう

といふ▲
という


▲里やうし
 りょうし

あり
あり

あるひ
あるひ

春奈(どりの)
すな



(大意)
播州高砂の浦に太郎という漁師がいました。
ある日、漁の


(補足)
 この豆本の摺りは全般に色が薄く、かすれたような色合いです。
木版ですので、あとになればなるほど、版木が疲れてきてかすれてきてしまいます。

 また、この絵師(竹内栄久(たけうちえいきゅう))のこの豆本での特徴は、輪郭線が直線的なことがあげられます。

 でだしから、悩んでしまいました。「こゝ尓」と書いてあるのでした。
「者゛ん」「志う」、ばんしゅうです。
「多らう」、たろう。
「里やうし」、りょうし。
「春奈どり」、漁る。訓読みにすると(すなど)る、(いさ)る、(あさ)る、となります。
「すなどる」は現在ではほとんど見も聞きもしない言葉になりました。

 播州高砂というと、まずはじめにあたまにうかぶのは、謡(うたい)や能(のう)の「高砂」です。結婚式などで〽た〜か〜さ〜ご〜やぁ〜〽というあれです。
歌詞の内容は、長寿や夫婦愛をめで人世を言祝ぐ、大変に目出度いものです。
この浦島物がたりも目出度い部類に属するお話となります。

 沖に見える4,5本の白いものは白帆
ふたりとも足がなんか妙です。漁師の前掛け、現在では鵜飼の漁師がしてます。
また両人とも肌色の目の隈取があります。それに顔の描写が単純です。
亀をいじめている人の右の手のひらと石?は色付けの失敗か手抜きかもしれません。

 砂浜の黄色、海の青、空が赤、この赤は「明治赤絵」の影響でしょう。
今まで高価だった赤の顔料が、開国して外国から安く入ってきて盛んに用いられるようになりました。



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