2020年1月10日金曜日

豆本 猫のはなし その4




 P.2

(読み)
かつぶしやのいんきょの
かつぶしやのいんきょの

志さうねことらといふ
しそうねことらという

ねこといつ可ふ可いなか
ねこといつかふかいなか

とハなりた連ど可ハひ
とはなりたれどかわひ

がら連て
がられて


(大意)
鰹節屋の隠居の秘蔵猫、とらと言う猫と
いつか深い仲になってしまったのですが、
可愛がられて、


(補足)
 二階の窓から手燭をかざして逃げ去るこまを見つめているのはおこみさん。
「しあわせにおなり・・・」とささやいていそう。

 旧かな遣いで文章はわかりずらいです。
「志さうねこ」、秘蔵(ひぞう)猫。「ひ」を「し」と発音するのは江戸っ子ですが・・・
「ねこといつ可ふ可いなか」、「と」の一画目がとんでしまっています。その前の行の行末の「と」も同じです。「可」が三つありますが小さくてわかりにくい。
「とハなりた連ど可ハひ」、ここの「と」はちゃんと一画目があります。変体仮名「多」ではなくひらがなの「た」を使ってます。次の「れ」は変体仮名「連」です。次行の「連」も同じ。
「ハ」が二つあります。最初は助詞「は」ですが、次の「ハ」は旧い表記。

猫の大好物、鰹節屋というのがいいですね。

このページでは、こまの振り袖が手燭の明かりで見えています。



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