P.8
(読み)
こ万を
こまを
まハし
まわし
いる由えとらハ
いるゆえとらは
可のかごの
かのかごの
さ可奈を
さかなを
く王い
くわい
尓げんと
にげんと
春ると
すると
ころを
ころを
者やく毛
はやくも
尓く
にく
ぞ
ぞ
う
う
ハミつけ
はみつけ
(大意)
独楽(コマ)をまわして遊んでいましたので、とらは
そこの魚籠の魚をくわえて逃げようとしたところ、
すばやくにく蔵はそれを見つけて
(補足)
文字がかすれているところがあったり、旧仮名遣いや変体仮名が不規則でわかりづらくなってます。
「ま」の変体仮名には「万」「満」「末」があります。いままでは「満」にしてきましたが、ここでは「万」のようにみえます。おこまとひっかけたわけではないでしょうが、もしかしたらそうなのかもしれません。
「まハし」、じっと見ても最初はわかりませんでした。「ま」の縦棒がかすれてます。「し」がほとんどかすれてしまってます。
「いる由え」、この「え」はいままでは「へ」と記されていたような気がします。
「可のかごの」、「可」は「う」にちかいとはいえ、ここのはもう「う」そのもの。そして次の「かご」の「か」は現在の「か」と同じです。
「く王い」(くわい)、「わ」の変体仮名「王」です。
「春ると」「ころを」、「春」は「す」+「て」。「と」の一画目の「丶」が見えないので悩みます。次の「こ」が「と」に見えてしまいます。
「者やく毛」、「者」(は)は「む」の後半が流れた感じ。「や」は「也」。「く」はかすれてます。
「ハミつけ」、「ミ」が左下がりになっているので悩みます。「み」は「美」「見」がありますが、ことなるくずし字かもしれません。
にく蔵のまわしているコマが描かれてませんが、次頁に出てきます。
とらの首根っこを押さえつけ、にく蔵は眉間にシワをよせ折檻しています。当時の丁稚の髷や着物の様子がわかりますが、白足袋に品のよさそうな草履は、なかったとおもいます。
とらの仕業で、魚籠から飛び出した魚が散らばってます。鰹節にみえないこともない。籠の網目はちょっと手抜き。
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