2020年1月19日日曜日

豆本 猫のはなし その13




 P.8

(読み)
こ万を
こまを

まハし
まわし

いる由えとらハ
いるゆえとらは

可のかごの
かのかごの

さ可奈を
さかなを

く王い
くわい

尓げんと
にげんと

春ると
すると

ころを
ころを

者やく毛
はやくも

尓く
にく







ハミつけ
はみつけ



(大意)
独楽(コマ)をまわして遊んでいましたので、とらは
そこの魚籠の魚をくわえて逃げようとしたところ、
すばやくにく蔵はそれを見つけて


(補足)
 文字がかすれているところがあったり、旧仮名遣いや変体仮名が不規則でわかりづらくなってます。

「ま」の変体仮名には「万」「満」「末」があります。いままでは「満」にしてきましたが、ここでは「万」のようにみえます。おこまとひっかけたわけではないでしょうが、もしかしたらそうなのかもしれません。

「まハし」、じっと見ても最初はわかりませんでした。「ま」の縦棒がかすれてます。「し」がほとんどかすれてしまってます。

「いる由え」、この「え」はいままでは「へ」と記されていたような気がします。

「可のかごの」、「可」は「う」にちかいとはいえ、ここのはもう「う」そのもの。そして次の「かご」の「か」は現在の「か」と同じです。

「く王い」(くわい)、「わ」の変体仮名「王」です。

「春ると」「ころを」、「春」は「す」+「て」。「と」の一画目の「丶」が見えないので悩みます。次の「こ」が「と」に見えてしまいます。

「者やく毛」、「者」(は)は「む」の後半が流れた感じ。「や」は「也」。「く」はかすれてます。

「ハミつけ」、「ミ」が左下がりになっているので悩みます。「み」は「美」「見」がありますが、ことなるくずし字かもしれません。


 にく蔵のまわしているコマが描かれてませんが、次頁に出てきます。
とらの首根っこを押さえつけ、にく蔵は眉間にシワをよせ折檻しています。当時の丁稚の髷や着物の様子がわかりますが、白足袋に品のよさそうな草履は、なかったとおもいます。

 とらの仕業で、魚籠から飛び出した魚が散らばってます。鰹節にみえないこともない。籠の網目はちょっと手抜き。




0 件のコメント:

コメントを投稿