2020年1月18日土曜日

豆本 猫のはなし その12




 P.7

(読み)
志奈多
しなた

本゛つこ越
ぼ っこを

志奈可゛ら
しなが ら

おこ満
おこま










をまつているうち
をまつているうち

春えひろやの
すえひろやの

でつち尓くざう
でっちにくぞう

といふい多づらもの
といういたずらもの

つ可いものゝさ可奈
つかいもののさかな

可ごをそ者゛尓を起
かごをそば におき


(大意)
日向ぼっこをしながらおこまの来るのを待っていました。
そうこうする内、末広家の丁稚にく蔵といういたずらものが
お使い物の魚籠をそばに置いて、


(補足)
 でだしから、なかなか読むのが難しい。

「志奈多」「本゛つこ越」「志奈可゛ら」、わかってしまうと
「日向ぼっこをしながら」となりますが、変体仮名のオンパレードで一字一字確かめながらでないと読めません。

 何度か同じ例がでてきてますが、「ひ」と発音するところが、文字にして記すときも「し」になってます。わたしの思い込みで、書き言葉では「ひ」と記していて、読むときに「し」と発音するものとおもっていました。
「を」の変体仮名「越」です。

「をまつているうち」、少し不鮮明なところもあって悩みます。

「春えひろやの」、でだしが「す」+「て」ですので、「春」の変体仮名「す」。

「尓くざう」、旧仮名遣いなので「にくぞう」は「にくざう」。

「そ者゛尓を起」、「おき」であるところが「をき」です、旧仮名遣い?

 背景の障子が丁寧に描かれています。
障子の桟が黒線の奥になるよう薄茶色で立体的にされてますが、意図的にしているのならたいしたものです。

 こまにかばわれている子猫の顔、目鼻口がいまひとつ。


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