2020年1月23日木曜日

豆本 猫のはなし その17




 P.11

(読み)
つけねらいゐるうちあるよ
つけねらいいるうちあるよ

おこ満ハおくい満△
おこまはおくいま

△尓
 に

ねづミ
ねずみ

をとり
をとり

てじや●
てじゃ

●らして
 らして

いるとこ
いるとこ

ろ尓くぞう
ろにくぞう

ハせうべん尓いくとて
はしょうべんにいくとて

尓可いのあがりくちへきて○
にかいのあがりくちへきて

○この
 この

あり
あり

さ満をミて
さまをみて

めを
めを




ハし
わし



(大意)
つけ狙っていると、ある夜おこまは
奥居間でねずみを捕まえ、じゃらしているところへ
にく蔵が小便にゆくため二階の上り口へ来ました。
この有様をを見て目をまわし


(補足)
 文章がアチラコチラですが、一行目が長くつづいて△から右上△へ、障子のところ4行目●からすぐ右上の●へ、そのままつづけて○から右下階段のところの○です。絵がやや込み入っているので文章を書くことができるところを探して大変です。

「つけねらいゐるうちあるよ」、この豆本で「ゐ」は初めてです。「る」について他の箇所でも同じなのですが、最初の横棒がなく左斜め下に書いてからくるっとまわる形になってます。ここでも2箇所に「る」がありますが、そのような形になってます。

「てじや●」「●らして」、「じゃらして」ですが、わかってしまえばなんでもありませんけど。
「いるとこ」、「と」がかすれてわかりにく。

「ろ尓くぞう」、この「尓」は助詞の「に」ではなく、「にく蔵」の「尓」。

「ハせうべん尓いくとて」、「せうべん」は「小便(しょうべん)」、ここの「尓」は助詞の「に」。

「尓可いのあがりくちへきて」、「尓可い」は「二階」ですが、字面からはそんな感じはこれぽっちも伝わらない。

「ま」の変体仮名が気になって、再度ネットで調べました。
「満」のこの形が似ていそうです。「る」の最初の出だしの横棒がなく書き出して、最後のクルッと回るところが2周します。



 とてもしっかりして頑丈な上り口です。使っている材は厚みもあり上等なものです。
また上り口左側の格子の桟も必要以上に頑丈に組んであり、丁寧に描かれています。

 にく蔵の着物が、石を投げつけたときのものとはことなってます。
目を回しておっとっとの姿勢が危うくて、歌舞伎の見栄を切っているよう。

 P10P11の見開きです。



 こうしてみると、妖怪おこまに出会って驚いている様子のほうがピッタシ。
二階上り口の板の間は見開きでつながってますが、おこまのいる座敷とにく蔵の座敷がつながっていません。うっかり間違えてしまったのでしょう。




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