P.3
(読み)
多可゛い尓うちを
たが いにうちを
奴けい多゛し
ぬけいだ し
とうゝ 山 の
とうとうやまの
てのへん尓
てのへんに
可けおち
かけおち
して
して
(大意)
互いに家を抜け出て
とうとう山の手のあたりに
かけ落ちをして
(補足)
講釈師がリズムよく語り進み、ぺぺんぺんぺんとハリセンと扇子で調子を取る音が聞こえてきそうです。
ここの「尓」は、ほとんど筆記体の「y」。
「多(た)」の変体仮名はおもしろい形です。「さ」の横棒をなくした形にちかいかな。
ひらがな「た」は「太」が崩れたものです。
「とうゝ山の」、「てのへん尓」、JRの山手線(やまのてせん)は、1945年〜1971年までは「やまてせん」と呼ばれてました。敗戦して日本を占領したGHQの指示と言われてます。何はともあれ、昔からの読み方に戻ったのは嬉しいことです。
P2,P3見開きです。
画面の8割をしめる黄色い雲のような部分から駆け落ちするこまととらの投げかける視線は、夜半の二階の窓から見送るおこみさんの視線とぶつかります。その視線同士がぶつかるあたりにおこみさんの手燭があり、暗がりの中、見えなくなるまで照らし続ける明かりが揺らぎながら全体をまとめています。吹き出しのように黄色い雲のようなものは揺らぐろうそくの灯りなのでしょう。
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