P.5
(読み)
とう
とう
より
より
おこ満
おこま
尓こゝろを
にこころを
加けいく
かけいく
たびと奈く
たびとなく
くどけどもとらと
くどけどもとらと
ふ可い奈可奈れ者゛
ふかいなかなれば
いつもふりつけて△
いつもふりつけて
△いる由へく満ハこゝろよ可らぬうち尓
いるゆへくまはこころよからぬうちに
(大意)
以前よりおこまが気に入っていて
何度も口説いていたですが、おこまはとらと深い仲でしたので
いつも嫌ってふっていて、そのことをクマはこころよくおもっていませんでした。
(補足)
「とうより」、「疾うより」。早くから。普段会話で使うとき「とっくに」がありますが、それは「とうに」がなまったもの。または「とっくの昔」としても使いますがこれも「とうの昔」。
この場面ちょっと話が、わたしだけかもしれませんが、わかりにくいです。
こまととらが深い仲で、それにかまわすくまがずっと前より横恋慕していたのですが、こまはくまが寄ってきても「しゃぁーっ」と嫌って、振り続けていたというはなしです。
こまを大好きでたまらないくまはそうされつづけて気分はよくありません。くまの知らないあいだに二人は駆け落ちして居所が不明になってしまいました。
「加け」、このくずし字は「加」だとおもいます。ほとんどが「可」ですので、めずらしい。
「くどけどもとらと」、この行の「と」は一画目の「丶」が摺り不足でわかりずらい。
「△」、左上から右下につながります。黄表紙のお化物・妖怪ものなどを読むと、文字もおばけみたいでどこからどこへ読んでよいかわからないくらい、文字だらけの本も多数あります。
ざるかごに子猫たちをいれ母親のこまが、どこかイライラし、口を半開きにした表情で何かいいきかしています。こまもとらも駆け落ちしているときの着物と異なっています。
ざるを透かして、子猫やこまの膝などが線だけでしか描かれていません。手を抜いたのですね。
両ページの見開きです。
ざる部分は手抜きですが、絵の構図はにくいなとおもいます。
間仕切りを中央に大きくもってきて、こま側は表に椿のような大きな花を描き、とらの方は裏になりますが、そこにふすまに書くように物語を記しています。
この間仕切りがなかったら、夫婦仲良く子どもたちをあやしているだけの絵になってしまいます。
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