2023年11月18日土曜日

THE MOUSE'S WEDDING その18

P18奥付 個人蔵

(読み)

明治十八年九月十八日版權免許

同   年十二月  出版御届

同 十九年九 月十日添題御届

同 廿一年八 月一日再版御届

 出版人 弘文社

     東京々橋區南佐柄

     木町二番地

     右社主東京府平民

     長谷川武次郎

     右同所

 譯述者 米國人 ダビド タムソン

     東京々橋區築地居

     留地二十三番

 印刷人 中尾獣次

     仝京橋區山下町廿

     二番地桑原活版所

(大意)

(補足)

 奥付が、すみっこにおいやられてしまったようになってしまいました。といってもこれはまだまともな奥付です。六曲一隻の屏風の四扇に広告をいれたものとそれを折り返してつづきになる裏表紙の一、二、三扇とするようにしたかったのかもしれません。

 東京女子大学比較文化研究所にちりめん本が多数あり閲覧もダウンロードもできるようになっています。ここの奥付とまったく同じ日付の出版の「鼠の嫁入り」があります。

 訳者はおなじなのですが、印刷人印刷者がことなっていておなじ版木を使っているようですがことなる摺師に摺らせたようです。

 長谷川武次郎自身が語っていることですが、当時米国から百万部もの注文があってもそれにこたえることは不可能で、米国から出版所を見学させてほしいとたのまれても、とてもじゃないけど恥ずかしくて見せることはできなかったといいます。せいぜいがんばっても二千から三千部が限度だったということです。

 こんな感じだったのだとおもいます。

 これは摺師での仕事風景ですが、ちりめん本はさらにもうひと手間掛けるわけでなおさらのこと部数を増やすことはできなかったのでしょう。

 これだけの手間ひまかけたちりめん本一冊が十銭前後で販売されていたのですから、驚かざるをえません。

 

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