P1P2 国立国会図書館蔵
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(読み)
ある時 京 傳 うか\/と
あるとききょうでんうかうかと
艸庵(そうあん)を多ち出 いづく共
そうあん をたちいでいずくとも
奈く行个る可゛思 ハ須゛善魂(ぜん多ましゐ)の
なくゆけるが おもはず ぜんたましい の
かくれ可゛へ来 り人 間 の可ら多゛の
かくれが へきたりにんげんのからだ の
可う志やくをきく
こうしゃくをきく
〽それ人 間 のから多ハ天 地の小 サき
それにんげんのからだはてんちのちいさき
やふ奈ものじやす奈者ち二 ツの
ようなものじゃすなわちふたつの
目ハ日 月 のごとく肉(尓く)ハ土 尓ひとしく
めはにちげつのごとく にく はつちにひとしく
本年ハ岩 石 のごとく血(ち)は水 尓て
ほねはがんせきのごとく ち はみずにて
脈(ミやく)ハ水 のさし引 尓飛としく
みゃく はみずのさいひきにひとしく
毛(け)や爪(つめ)ハ艸 木尓天つくいきと
け や つめ はくさきにてつくいきと
飛る屁(へ)ハ風 のごとく奈ミ多゛と
ひる へ はかぜのごとくなみだ と
小 へんハあめ尓飛としく
しょうべんはあめにひとしく
(大意)
あるとき、京伝はウキウキして草庵からどこへともなく
出かけたところ、おもいもせず善魂の隠れ家を訪れ、
人間の体の講釈を聞くこととなった。
「そもそも人間の体は、天地創造の世界を小さなものにしたようなものじゃ。
すなわち、二つの目は日月のごとく、肉は土にひとしく、骨は岩石のごとく、
血は水にて、脈は水の干満にひとしく、毛や爪は草木にて、呼吸と屁は
風のごとく、涙と小便は雨にひとしく
(補足)
講釈する善魂のからだは、腹が少々でて肉付きもよくいたって健康そう、作者の京伝のほうがほそくてちとみすぼらしい。
「共」のくずし字はよくでてきます。
「行」のくずし字は元字の名残が残っていて覚えやすいのですが、このくずし字はなんだっけと悩むこともおおいです。
「ごとく」、「ごと」が合字(二文字で一文字)になっています。
「水」のくずし字はとても特徴的で基本のくずし字。
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