P3P4 国立国会図書館蔵
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(読み)
此 無二郎 といふハ
このむじろうというは
いま多゛廿 二三 尓て
いまだ にじゅうにさんにて
とし和可奈れども
としわかなれども
志゛川ていなる生 れ
じ っていなるうまれ
尓天奈里尓毛
にてなりにも
ふり尓も可まハ須
ふりにもかまわず
あさゆふそろ
あさゆうそろ
者゛んを者奈
ば んをはな
さ須゛よく可せぐむすこ奈り
さず よくかせぐむすこなり
(大意)
この無二郎というものは、いまだ二十二、三歳で
年若いが、生まれつき実直で身なりも気にせず、
朝から晩まで算盤をはなさず、よく稼ぐ息子であった。
(補足)
「廿二三」、これで二十二、三。十に縦棒一本加えて廿、さらに一本加えて卅。
「尓天奈里尓毛」、変体仮名六連発。
帳場に座る無二郎、「奈里尓毛ふり尓も可まハ須」どころではなく、髪は結い髪したばかり、髭もきれいにあたって、眉も整え、着物も着こなし、羽織の結び目まで氣を使っているおしゃれ若旦那であります。
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