2023年11月30日木曜日

人間一生胸算用 その10

P3P4 国立国会図書館蔵

P3

(読み)

此 無二郎 といふハ

このむじろうというは


いま多゛廿   二三 尓て

いまだ にじゅうにさんにて


とし和可奈れども

としわかなれども


志゛川ていなる生 れ

じ っていなるうまれ


尓天奈里尓毛

にてなりにも


ふり尓も可まハ須

ふりにもかまわず


あさゆふそろ

あさゆうそろ


者゛んを者奈

ば んをはな


さ須゛よく可せぐむすこ奈り

さず よくかせぐむすこなり

(大意)

この無二郎というものは、いまだ二十二、三歳で

年若いが、生まれつき実直で身なりも気にせず、

朝から晩まで算盤をはなさず、よく稼ぐ息子であった。

(補足)

「廿二三」、これで二十二、三。十に縦棒一本加えて廿、さらに一本加えて卅。

「尓天奈里尓毛」、変体仮名六連発。

 帳場に座る無二郎、「奈里尓毛ふり尓も可まハ須」どころではなく、髪は結い髪したばかり、髭もきれいにあたって、眉も整え、着物も着こなし、羽織の結び目まで氣を使っているおしゃれ若旦那であります。

 

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