2023年11月24日金曜日

人間一生胸算用 その4

P1P2 国立国会図書館蔵

P1

(読み)

毛のいふハ雷(らい)の者つする可゛

ものいうは  らい のはっするが


ことく可ら多゛尓生(せ うず)る

ごとくからだ に  しょうず る


のミ志らミハとりけ多゛もの

のみしらみはとりけだ もの


の生  ずると同 じどうり

のしょうずるとおなじどうり


それじや尓よ川天ま多ぐらの

それじゃによってまたぐらの


谷(多尓)あい尓ハまつ多けも志やうじ

  たに あいにはまつたけもしょうじ


遍その下 のうミべ尓ハあ可かいも

へそのしたのうみべにはあかがいも


うまるゝて奈い可そのうち

うまるるでないかそのうち


心  といふものハ天 地ぞうくハの

こころというものはてんちぞうか の


神 尓飛としくこのものゝ

かみにひとしくこのものの


里やうけん志だひ尓てせいしんや

りょうけんしだいにてせいじんや

(大意)

言葉は雷の発するがごとく、体に生ずる蚤虱(のみしらみ)は、鳥獣に生ずるのとおなじ道理である。それじゃによって、股ぐらの谷あいには松茸も生じ、臍の下の海辺には赤貝も埋まっているではないか。それらのなかでも、心というものは、天地造化の神に等しく、このものの考え次第で、聖人や(仏(ほとけ)も生まれ)

(補足)

変体仮名「毛」(も)この一文字だけを読むとなるとわからなさそう。

変体仮名「遍」(へ)は特徴的なのでおぼえやすい。

「あ可かいもうまるゝ」、「生まる」が適当なのでしょうけど「海辺に赤貝が埋まる」のほうが真面目な講釈のなかでちょっとニヤリとできます。

「心」のくずし字と、次の行の変体仮名「飛」(ひ)がにてます。どこにちがいがあるかというと、さがしてみてください。

「せいしんや」、「精神」としてしまいそうですが、読みすすめれば「聖人」とわかります。

 

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