口上 国立国会図書館蔵
(読み)
入 まする此 艸紙(さうし)ハ老子(ろうし)不言(ふ个゛ん)の
いれまするこの そうし は ろうし ふげ ん の
教(おしへ)尓孔子(こうし)のべ川多りとい多したる
おしえ に こうし のべったりといたしたる
志めしをく王へ荘司(そうじ)の寓言(くう个ん)尓
しめしをくわへ そうじ の ぐうげん に
浮屠氏(本とけ)のまこと可ら出多方便(うそ)をとりまぜ
ほとけ のまことからでた うそ をとりまぜ
三 冊 津ゞきに仕 り御覧 尓入 まする
さんさつつづきにつかまつりごらんにいれまする
人魂(ひと多゛ま)の口 上 さやう[ひやうし木]チヨン\/
ひとだ ま のこうじょうさよう ひょうしぎ ちょんちょん
寛 政 三 亥乃春
かんせいさんいのはる
山 東 京 傳 戯作㊞
さんとうきょうでん げさく
(大意)
この草紙は言わずもがなの老子の教えや孔子のくどいほどの教えに加え、荘司のたとえ噺に仏教の「真からでた嘘」をとりまぜ、三冊続きにて御覧にいれまする。
人魂(ひとだま)の口上でありました。
拍子木の音ちょんちょん
寛政三 亥の春
山東京伝 戯作㊞
(補足)
「真からでた嘘」はもちろん「嘘からでた真」がもとです。でたらめなことをつらつら述べたのに、それらがまさか本当のことになって実現してしまったということですけど、この逆の「真からでた嘘」は仏教のもっともらしい教えはそれほどのものでもないという、罰あたりなことをさらりといってのけています。
このBlogは変体仮名の学習のためでありますが、漢字のくずし字もたくさん出てきますのでついでに学んでおります。
覧の旧字「覽」のくずし字の「見」の部分はわかりますが、その上の部分はなんとも複雑です。
「魂」は「云」「鬼」が上下になっています。偏と旁を上下にするくずし方はよくあります。
この草紙の絵は山東京伝自身がかいています。
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