口上 国立国会図書館蔵
(読み)
口 上
こうじょう
とうざい\/ 高 ふ飛可へまし多る上 奈ら須゛者多可尓て
とうざいとうざいたこうひかえましたるうえならず はだかにて
志川連いの多゛ん御ようしや下 されませ うさ天
しつれいのだ んごようしゃくだされましょうさて
きよ袮ん和多くしどもよりあつまりぶて う
きょねんわたくしどもよりあつまりぶちょう
本う奈る狂 言 とりくミ御らん尓入 まし多る所
ほうなるきょうげんとりくみごらんにいれましたるところ
ことの外 御評 者゛ん奈し下 され大 けい仕 り
ことのほかごひょうば んなしくだされたいけいつまかつり
まして御さります付 まして
ましてござりますつきまして
とう袮んもさる御飛ゐきの
とうねんもさるごひいきの
御方 さ満の御すゝめ尓より
おかたさまのおすすめにより
右後篇(こうへん)をあらハし御らん尓
みぎ こうへん をあらわしごらんに
入 まする此 艸紙(さうし)ハ老子(ろうし)不言(ふ个゛ん)の
いれまするこの そうし は ろうし ふげ ん の
(大意)
口上
東西とうざい、高いところからだけではなく裸でのご挨拶、
何卒失礼のだんご容赦くだされませ。
さて、去年わたくしども一丸となって下手くそな狂言を出版しました所、
ありがたくも評判となりまして、大きなよろこびでございました。
つきましては当年もさるご贔屓の方々のお勧めにより、右後編を
出版し御覧に入れまする。
(補足)
国立国会図書館の版は表紙がメモ書きのようになっていて、表紙ではなさそうなので省きました。なので口上からはじまります。
昨年評判をとった狂言とは「心学早染草(しんがくはやぞめぐさ)」(寛政二年(1790)刊行)のこと、善魂と惡魂の争いを書いた。なので口上挨拶はそのときの善魂(ぜんたましい)の頭部分が善となっている。
変体仮名「飛」(ひ)は心のくずし字ににています。
枠の上にあるしるしは版元蔦屋のもの。
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