2023年11月21日火曜日

人間一生胸算用 その1

口上 国立国会図書館蔵

(読み)

口 上

こうじょう


とうざい\/  高 ふ飛可へまし多る上 奈ら須゛者多可尓て

とうざいとうざいたこうひかえましたるうえならず はだかにて


志川連いの多゛ん御ようしや下 されませ うさ天

しつれいのだ んごようしゃくだされましょうさて


きよ袮ん和多くしどもよりあつまりぶて う

きょねんわたくしどもよりあつまりぶちょう


本う奈る狂  言 とりくミ御らん尓入 まし多る所

ほうなるきょうげんとりくみごらんにいれましたるところ


ことの外 御評  者゛ん奈し下 され大 けい仕   り

ことのほかごひょうば んなしくだされたいけいつまかつり


まして御さります付 まして

ましてござりますつきまして


とう袮んもさる御飛ゐきの

とうねんもさるごひいきの


御方 さ満の御すゝめ尓より

おかたさまのおすすめにより


右後篇(こうへん)をあらハし御らん尓

みぎ  こうへん をあらわしごらんに


入 まする此 艸紙(さうし)ハ老子(ろうし)不言(ふ个゛ん)の

いれまするこの   そうし は   ろうし    ふげ ん の

(大意)

口上

 東西とうざい、高いところからだけではなく裸でのご挨拶、

何卒失礼のだんご容赦くだされませ。

 さて、去年わたくしども一丸となって下手くそな狂言を出版しました所、

ありがたくも評判となりまして、大きなよろこびでございました。

 つきましては当年もさるご贔屓の方々のお勧めにより、右後編を

出版し御覧に入れまする。

(補足)

 国立国会図書館の版は表紙がメモ書きのようになっていて、表紙ではなさそうなので省きました。なので口上からはじまります。

 昨年評判をとった狂言とは「心学早染草(しんがくはやぞめぐさ)」(寛政二年(1790)刊行)のこと、善魂と惡魂の争いを書いた。なので口上挨拶はそのときの善魂(ぜんたましい)の頭部分が善となっている。

 変体仮名「飛」(ひ)は心のくずし字ににています。

枠の上にあるしるしは版元蔦屋のもの。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿