2023年12月1日金曜日

人間一生胸算用 その11

P3P4 国立国会図書館蔵

P4

(読み)

今 とも多゛ちの京  傳 をふく中  へのミこみし

いまともだ ちのきょうでんをふくちゅうへのみこみし


事 ハ由め尓も志ら須゛ひとり事 をいつ天いる

ことはゆめにもしらず ひとりことをいっている


「志可る尓京  傳 可゛から多

 しかるにきょうでんが からだ


まめ人 きやうのごとく尓

まめにんぎょうのごとくに


なり無二郎 可゛ふき

なりむじろうが ふき


出し多る多者この

だしたるたばこの


希ふりにつゝまれ

けふりにつつまれ


無二郎 可゛から多゛の

むじろうが からだ の


うちへ者いり个るぞ

うちへはいりけるぞ


ふしき奈り

ふしぎなり

(大意)

今、友達の京伝を腹の中へ呑み込んだ事は夢にも知らず

ひとりごとを言っている。

 しかし、京伝のからだが豆人形のようになり、

無二郎が吹き出したたばこの煙に包まれ、無二郎のからだの中に

入ってしまった。不思議なことであった。

(補足)

 何十年も前に「ミクロの決死圏」という映画がありました。宇宙船のような円盤にのって、それに特殊光線を照射し微小にして体の中に入り、赤血球や白血球より小さく血管内を飛び回る映像を覚えています。それより150年くらい前にすでにおなじような構想の体内探索のはなしを創作しているところがなかなか愉快であります。

「ふく中へ」、一読では理解できませんでした。

「まめ人きやう」、「ま」がなやむ。

「多者この希ふりにつゝまれ」、「者」は「し」にみえるし、「希」はなやむし、「ま」は「まめ人きやう」の「ま」とにています。

「から多゛の」、この「多゛」はかたちがよくわかりません。

 

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