2023年12月24日日曜日

人間一生胸算用 その34

P15P16 国立国会図書館蔵

P15

(読み)

きハミ奈\/尓

きはみなみなに


そゝ奈可され

そそなかされ


いよ\/

いよいよ


き可゛まぐれ

きが まぐれ


女 郎 や

じょろうや


尓て大

にておお


志やれ尓志やれ

しゃれにしゃれ


かく連バ

かくれば


ミ奈\/

みなみな


とてもの事 尓

とてものことに


ミゝをもよび尓やり

みみをもよびにやり


於もしろひ於めをさせんと

おもしろいおめをさせんと


人 をやれハこれもさ川そく

ひとをやればこれもさっそく


来 り口 ハ竹 むらの

きたりくちはたけむらの


上  あんを

じょうあんを


とり尓や川て

とりにやって


志こ多満

しこたま


くらひ

くらい


目ハ

めは


らう可

ろうか


をうそ

をうそ


\/

うそ


あるきて

あるきて


う川くしひや川の

うつくしいやつの


者ぎの志ろきを

はぎのしろきを


ミてまよひ

みてまよい

(大意)

 氣は皆々におだてられて、ますますいい気になって、女郎屋で飲み食い大騒ぎをし、皆々この大宴会を耳にも楽しませようと呼びにやると、これまたすぐにやって来た。口は竹村の上餡を買いに行かせて、しこたま食っている。目は廊下を間抜け面でキョロキョロして歩き、美人の脛(すね)の白さに目を奪われている。

(補足)

 総勢10人の大宴会。文章を書く余白をさがすのも大変だったことでしょう。

目のいやらしい流し目がすごい。どこを見ているのだろう。

「者ぎの志ろきをミてまよひ」、徒然草第八段『九米の仙人の、物洗ふ女の脛の白きを見て、通を失ひけんは』のひっかけ。

 

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