P17P18 国立国会図書館蔵
P18
(読み)
もの由へこゝへきことハき多れとも
ものゆへここへきごとはきたれども
本可のものゝやう尓於もしろ
ほかのもののようにおもしろ
ミも奈く多ゞ大 じんの
みもなくただだいじんの
き可゛もつてゐる者奈可゛ミ
きが もっているはなが み
ふく路へゑん里よ奈く手を
ぶくろへえんりょなくてを
川ゝこんで多いこちや屋
つっこんでたいこちゃや
やりて王可いもの尓志 うぎを
やりてわかいものにしゅうぎを
やりうれし可゛らせて
やりうれしが らせて
多のしむ者可り奈り
たのしむばかりなり
それよりとこ於さまり
それよりとこおさまり
个れハ口 ハきのそは尓
ければくちはきのそばに
つきそいゐてこゝぞ
つきそいいてここぞ
和可゛者多らきをミする
わが はたらきをみする
(大意)
(あまり楽しみのない)者ゆえ、ここへ来ることは来たが、他の者のように面白みもなく、ただ気前よく遊んでいる氣のふところへ遠慮なく手をつっこんで、鼻紙袋から祝儀(小菊紙)を太鼓持ちや茶屋や遣り手や若いものにやって、嬉しがらせ楽しむばかりであった。
やがて、床がととのうと、口は氣のそばににじりよって「ここがおれの口のうまさのみせ(どころ」と)
(補足)
余白いっぱい文章だらけ。しかしかすれやかけもなく読みやすい。
三行目四行目に「ゐ」と「ゑ」が並んでいます。「ゐ」のもとは「為(い)」、「ゑ」は「恵(え)」。
「多いこちや屋やりて王可いもの」、一読したときはどこで区切るかわかりませんでした。
「志うぎをやり」、ここの祝儀は上質の小菊紙であとで換金できたとありました。
ここの立派な燭台にささっているのは百目蝋燭でしょうか。1本が100匁(もんめ/約375g)もあって、行灯よりずっと明るかった。
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