P15P16 国立国会図書館蔵
P16
(読み)
者奈ハとめきの
はなはとめぎの
可本り尓うつゝを
かおりにうつつを
ぬ可しミゝハ
ぬかしみみは
げいしやを
げいしゃを
むしやう尓
むしょうに
なをして
なおして
ミやう
みょう
於んを
おんを
きゝて
ききて
多のしめハ
たのしめば
きハ
きは
うて う
うちょう
てん尓
てんに
つるし
つるし
あ可゛つて
あが って
さら尓
さらに
多ハひハ
たわいは
奈可り个り
なかりけり
(大意)
鼻は芸者の留め木の香りですっかり夢見心地になり、耳は芸者をきりもなく座敷に留め置いて三味線の音に聞き惚れた。氣は皆のその様子をみて、有頂天になり、さらにグデングデンとなり正体をなくしてしまった。
(補足)
宴会の方は盛り上がってめちゃくになりつつある様相ですが、文章の方は読みやすく字はしっかりとしています。
「者奈ハとめきの可本り尓」、鼻は衣桁にかかっている匂い袋を手にしてウットリ〜、着物の袂にいれたり、紐で腰のあたりでしばり膝下にかくしたりして、ちょっとした所作のときにふんわりいい匂いをさせていたようです。
「あ可゛つて」、当時の「あ」は現在の「お」から「ゝ」をとった形。
「さら尓」、「ら」のかたちになっていません。前後から判断します。
手前の芸者さんの前にあるX脚のめいめい膳(箱膳)の丁寧な描きっぷりなこと、まるで見取り図のようです。
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