P14 国立国会図書館蔵
(読み)
「口 ハよ多゛れを
くちはよだ れを
多らして
たらして
ミている
みている
「者奈可゛いふ
はなが いう
アいゝ
あいい
尓本ひ多゛
にほいだ
百 介 可゛所 の
ひゃくすけが ところの
くこをつけ多
くこをつけた
そふ多゛
そうだ
「ち川と小ぎくで
ちっとこぎくで
者奈を可んで可ぐべ以
はなをかんでかぐべい
今 までハ
いままでは
ちり可ミで外
ちりがみでほか
可満なん多゛
かまなんだ
目は正 月 を
めはしょうがつを
三 度いちどき尓
さんどいちどきに
するきとり
するきどり
尓て目の
にてめの
さやを
さやを
者川して
はずして
な可めてゐる
ながめている
(大意)
「口はよだれをたらして見ている。
「鼻が言う、アいい匂いだ。百助の店のクコ油をつけたそうだ。
「ちょっと小菊(上質の懐紙)で鼻をかんで、いい匂いをかぐべい。今まではちり紙でしか、かんだことがねぇ。
「目は正月を三度いっぺんに楽しむつもりで、あたりを油断なく眺め回している。
(補足)
「百介可゛所の」、現在でも浅草で営業している「百助化粧品店」
「正月を三度」、閏月でも二度までなので、三度はありえないことのたとえ。「目の正月」(美しいものや珍しいものを見て楽しむたとえ。目正月。目の保養)ももじっている。
「目のさやを者川して」、『油断なく目をそそぐ。「あたりに目を付,目の鞘はづす刀ののり」〈浄瑠璃・平家女護島〉』とありました。
四人がひざ突き合わせているだけで、どこかいかがわしさが出ている感じ。口のにやつきがいやらしい。
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