2023年12月5日火曜日

人間一生胸算用 その15

P5P6 国立国会図書館蔵

P6

(読み)

無二郎 可゛心

むじろうが こころ


可年てより

かねてより


多ゞし个れハ

ただしければ


与く於ちつきゐて

よくおちつきいて


ミ奈\/尓

みなみなに


げぢする

げちする


由へこの

ゆへこの


く尓

くに


よく

よく


於さまりて

おさまりて


於多や可也

おだやかなり


佐連ど

されど


うらむらくハ

うらむらくは


無二郎 とし和可

むじろうとしわか


个れハ者゛んとう

ければば んとう


かぶの気ハ奈尓可尓

かぶのきはなにかに


つけて於り\/

つけておりおり


きの可王る事 ありて

きのかわることありて


ふら\/とし多き尓

ふらふらとしたきに


なれども心  ハ志り

なれどもこころはしり


ぞい天よく

ぞいてよく


志あん志奈をし

しあんしなおし


か多くきを

かたくきを


い満しめて

いましめて


くらし个る

くらしける

(大意)

 無二郎の心は常ひごろから真面目で大変に落ち着き、皆に指示するため、この国はよく治まって穏やかである。しかし残念なことには、無二郎は歳が若いこともあって、番頭株の気は何かにつけて、そのときそのときで気がかわることがあり、ふらふらとしたところがあるが、心は一歩下がって思案し調整して、しっかりと氣を戒めくらしている。

(補足)

「於多や可也」、「也」のくずし字は三画目の辶のようなところが残った感じ。

「佐連ど」、「御」ではなく「佐」でした。

 それぞれの袖や肩に「き」「者奈」「め」「ミゝ」とあります。目は眉もあって、これはきっと髪の毛がわり。

 

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