2023年12月22日金曜日

人間一生胸算用 その32

P14 国立国会図書館蔵

(読み)

それよりきハいよ\/

それよりきはいよいよ


き可゛それめ尓もうつくしひ

きが それめにもうつくしい


ものをミせ者奈尓も

ものをみせはなにも


可け可うのあ多゛奈

かけごうのあだ な


尓本ひを可ゞせんと

のほいをかがせんと


与び尓やり中 ノ丁  の

よびにやりなかのちょうの


夕 けしきをミせ个れハ

ゆうげしきをみせければ


目口 者奈三 人 よつて

めくちはなさんにんよって


本゛んぶのちゑを出し

ぼ んぶのちえをだし


きをすゝめて中 で

きをすすめてなかで


い川ちう川くしひと

いっちうつくしいと


於本しき於いらんを

おぼしきおいらんを


志まひ尓やる

しまいにやる

(大意)

 そののち、氣はますます気が浮かれ、目にも美しいものを見せ、鼻にも色っぽいいい匂いをかがせようと、ふたりを呼びにやり、吉原の中の町の夕景色を見た。

 目・口・鼻はさんにんよって、凡夫の知恵を出し、氣をおだてて、吉原の一番美しいとおぼしき花魁をお座敷にかけさせた。

(補足)

「い川ちう川くしひ」、「い川ち」で区切りとわかるまでしばしかかりました。

「志まひ尓」、『㋓ 遊里で,遊女を買い切る約束などをして,ほかの客の所へ出さない。「今夜あ―・つて居て呼びにやるべえと思つた所い来さつた」〈洒落本・道中粋語録〉』とありました。

 

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