2023年12月26日火曜日

人間一生胸算用 その36

P15P16 国立国会図書館蔵

P15

(読み)

め可゛いふ「アゝいづ連をミてもあ多゛奈

めが いう「ああいずれをみてもあだ な


そ多ち多゛

そだちだ


「於まへさ満ハ

 おまえさまは


上  あん者゛つ可り

じょうあんば っかり


あ可ります年

あがりますね


上  あん者゛川可り五十  六 ハ

じょうあんば っかりごじゅうろくは


どふで

どうで


ござりま須

ござります


「あい多口 へ

 あいたくちへ


もちとハ

もちとは


これ可゛しやう

これが しょう


うつしさや川可れハ

うつしさやつがれは


P16

於じぎ奈し尓多べ ちよろの

おじぎなしにたべ ちょろの


於びと

おびと


志やれ

しゃれ


やす

やす

(大意)

目が言う、「ああ、どの芸者を見ても色っぽい育ちだ

「お前様は、上餡ばっかり召し上がっていますね。上餡ばっかり五十六とは、

どうでござりましょう。

「開いた口へ餅とは、まさにそっくりそのままさ。おれは遠慮なしに食べちょろ(早食い)の帯と洒落やす。

(補足)

「上あん者゛川可り五十六」、俗諺『十三ぱっかり毛十六』(十三で初潮、陰毛は十六歳)のもじりとありました。

「あい多口へもち」、棚からぼた餅と同じ。

「多べ ちよろの於び」、「多べ ちよろ」は早食い。「かべちょろ」は「壁縮緬(かべちろめん)」『よこ糸に壁糸を,たて糸に縮緬糸を使い,ちぢみのように細かい皺(しぼ)を織り出した地の厚い絹布。帯地などに用いた。壁ちょろ。』のこと。

 洒落つづきで疲れます。

 

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