2023年12月9日土曜日

人間一生胸算用 その19

P7 国立国会図書館蔵

(読み)

七 十  五日 いきのひると

しちじゅうごにちいきのびると


申  ますと春ゝむれども

もうしますとすすむれども


心  ハ希つしてうけ可ハ須゛

こころはけっしてうけがわず


こ連てハ無二郎 可゛身の

これではむじろうが みの


行 すへ万 代 もさ可へ遍゛く

ゆくすへまんだいもさかえべ く


多のもしくミへ个り

たのもしくみへけり


ミゝ尓もろ\/のふしやうを

みみにもろもろのふじょうを


きい天心  尓もろ\/のふしやうを

きいてこころにもろもろのふじょうを


思 ハ須とハこの者゛志よなり

おもはずとはこのば しょなり

(大意)

七十五日は生きのびると申します」と申し勧めたのだが、心は決して承知しなかった。

 これでは、無二郎の身代の将来はきっと何世代にもわたって栄えことだろう、頼もしいことである。

 「耳に諸々の不浄を聞いて、心に諸々の不浄を思わず」とは、まさにこの国この場所である。

(補足)

「心ハ希つして」、変体仮名「希」(け)は形の変化の幅がおおきく、これ一文字だけだと読めるかどうか自信がありません。

「ミゝ尓もろ\/のふしやうを・・・」、六根清浄祓詞。「六根」とは「眼、耳、鼻、舌、身、意」のことで、ここの登場人物たちと重なります。

 

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