2023年12月30日土曜日

人間一生胸算用 その40

P17P18 国立国会図書館蔵

P18

(読み)

ところといろ\/いやらしミを

ところといろいろいやらしみを


いひ可く連バ女 郎 も大 じんと

いいかくればじょろうもだいじんと


ミ多る由へ志よくハい可ら

みたるゆえしょか いから


於もしろ於可しくもて奈し

おもしろおかしくもてなし


すへハ大 くせ川と奈り

すえはだいくせつとなり


もしへまこと可゛あらハ本り

もしへまことが あらばほり


ものをし奈んしヨとい王れ

ものをしなんしょといわれ


きハぐ川とのろく奈り

きはぐっとのろくなり


本るき尓奈り个れバむざんや

ほるきになりければむざんや


手ハせ奈可へ奈尓可゛し

てはせなかへなにが し


一 心 命  と

いっしんいのちと


古風尓奈可めいを

こふうながめいを


本ら連る

ほられる

(大意)

(「ここがおれの口のうまさのみせ)どころ」と、いろいろ口説き文句を並べれば、女郎もお大尽と見てくれたためか、初回から面白おかしくもてなし、とうとう熱くせまってきて「もしぇ、誠があるなら彫り物をしなんしょ」といわれ、氣はすっかりその気になって彫る気になってしまった。無残や、手は背中に「某(なにがし)一心命」と古風に長銘を彫られてしまった。

(補足)

「のろく奈り」、『③ 異性に甘い。異性の魅力に弱い。「なぜあの女に―・くなつたらう」〈滑稽本・浮世床•初〉』とありました。

 

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