P8 国立国会図書館蔵
(読み)
「奈んとマアいゝ志与く多゛いじやア
なんとまあいいしょくだ いじゃあ
袮へ可百 目可゛けを
ねえかひゃくめが けを
一ツて う
いっちょう
と本゛し
とぼ し
てへと
てえと
大 門 通 りの
おおもんどおりの
可奈もの
かなもの
ミせを
みせを
本める
ほめる
やふ尓
ように
保める
ほめる
心 がいふ
こころがいう
「とかくミる可゛
とかくみるが
めのどく多゛
めのどくだ
ミる奈\/ サアあ由べ\/
みるなみるなさああゆべあゆべ
ざ川とし多
ざっとした
ところ可゛
ところが
二分も
にぶも
い多事 多゛
いたごとだ
「喜介 どん百 川 尓ハ小田原 の
かすけどんももかわにはおだわらの
く王んしさんも
か んじさんも
いさ川しや川多可の
いさっしゃったかの
「も川と
もっと
かんさしを
かんざしを
さしこミ
さしこみ
奈せへ
なせえ
(大意)
「なんとまぁ、いい燭台じゃねぇか。百目蝋燭を一梃灯してぇ」と、
大門通りの金物店を褒めまくる。
心がいう「こりゃ見るだけでも目の毒だ。見るな見るな。さあ、歩け歩け。ざっとみただけでも、(こちらの芸者さんは)二分もかかるだろうよ」
「嘉介どん、百川には小田原町の幹事さんもいらっしゃたかの」
「もっとかんざしをさしこみなせぇ」
(補足)
「百目可゛けを一ツてうと本゛してへ」、芸者を見た目はすっかりその気になっています。遊郭ではロウソクの灯っているあいだ、二人だけで楽しめたそうで、できるだけ長く楽しむには太くて長い大きいロウソク(=百目蝋燭)がほしいところ。
「嘉介」、「介」のくずし字は上(𠆢)と下(縦棒2本)の部品が重なります。
「く王んしさん」、「幹事」or「監事」としましたが、人の名前「寛治」かもしれません。
芸者の着物柄は朝顔でしょうか、両手は振り袖をたぐって見えていません。嘉介どんが背負っている丸い荷物はなんでしょう。和傘を持っていますが、絵がにぎやかになるので扇子や傘を描くのは定番のようですが、実際もきっとそうだったのではとおもいます。
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