2023年12月8日金曜日

人間一生胸算用 その18

P7 国立国会図書館蔵

(読み)

此 於りふし於もてを

このおりふしおもてを


者つ可川本\/   と

はつがつおはつがつおと


与んで通 り个れハ

よんでとおりければ


者やくもミゝハ

はやくおみみは


きゝつ希口 ハ

ききつけくちは


むしやう尓くひ

むしょうにくい


多可゛り者んとうの

たが りばんとうの


気をそゝの可し

きをそそのかし


个れハ氣ハもと与り

ければきはもとより


すこしう可れ

すこしうかれ


もの由へ心  尓申  个るハ

ものゆえこころにもうしけるは


もし多゛ん奈

もしだ んな


思 ひ

おもい


き川天

きって


者川

はつ


可川本を

がつおを


お可ひ奈されぬ可

おかいなされぬか

(大意)

 ちょうどそのとき、表を「初鰹はつがつお」と呼んで(魚屋が)通ると、

はやくも耳はそれを聞きつけ、口は無性に食いたがり、番頭の気をそそのかしている。

氣はもともと少し浮かれものなので、心に「もし旦那、おもいきって初鰹をお買いなされぬか。

(補足)

「きゝつ希」、変体仮名「希」(け)がやけにデカイ。

当時、江戸の初鰹は鎌倉でとれたものだったそうです。

「鎌倉を生きて出でけん初鰹」(松尾芭蕉)

 

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